予選通過ならずも、シーズン初戦で手応えつかむ

体操

 4月1日に行われた全日本個人総合選手権の予選に早大からは唯一、竹中貴一(スポ3=福井・鯖江)が出場した。エントリー選手72名中、決勝に駒を進めることができるのは上位36名のみ。6種目全ての総合力を必要とし、強豪なライバルたちがひしめくこの舞台で、予選通過を懸け熱い戦いを繰り広げた。決勝進出はかなわなかったが、次に向けて大きな収穫を得る大会となった。

 今シーズンからは、種目の構成を大幅に変更している。早大の代表というプレッシャーを抱えつつ、挑んだ最初の種目はあん馬。前の演技者が相次いで落下し、自分の番を待つ選手に緊張が走る中、竹中は持ち前の粘り強さで演技を通し切り笑顔を見せる。続くつり輪でも、危ない場面をこらえて着地をピタリと止めた。しかし、3種目目の跳馬でまさかの転倒。会場練習では失敗がなかっただけに、悔やまれる実施となった。平行棒では「ミスは演技に入る部分だけ。あとは自分的に完璧にできた」と話す通り、序盤でミスが出るも実力を出し切る。常に前を見据える竹中の精神力の強さがうかがえた。

新構成で臨み、見事通し切ったあん馬

 5種目目の鉄棒。離れ技と着地をきれいに決め、全体的に丁寧な演技を披露したものの、思うように得点は伸びない。そして、集中力を高めて迎えた最終種目のゆか。上々な滑り出しだと思われた矢先、着地で大きく崩れるという痛恨のミス。「本当にそこだけが悔しい」。点数こそ振るわなかったが、その後はしっかりと立て直し、ダイナミックな実施とともに次々と着地を決める。「最初のコースがうまくいき、気が緩んでしまった」と自身の演技を冷静に振り返った。

点数が伸び悩んだゆか

 昨シーズンはU-21日本代表として経験を積み、精神面、競技面と着実に力をつけてきた。今大会は悔しい結果に終わったが、「新しい構成を自信を持って通せるようにしたい」と高みを目指し続ける姿は圧巻そのものだ。今シーズンの目標も『U-21日本代表』を掲げている竹中。大きな自信をつけ、早大体操部の期待の星としてさらに輝いた姿を見せてくれるだろう。シーズンはまだ始まったばかりだ。

(記事 田々楽智理、写真 田中佑茉、大浦帆乃佳)

結果

        

          

          

          

          

男子個人総合予選
選手名 ゆか あん馬 つり輪 跳馬 平行棒 鉄棒 合計点 総合順位
竹中貴一(スポ3) 13.150 13.050 14.350 13.400 13.750 13.050 80.750 61位
コメント

※4月1日終了時

竹中貴一(スポ3=福井・鯖江)

――どのような意気込みで試合に臨みましたか

決勝に残れるように頑張ってきたんですけど、あまりよくない出来になってしまいました。

――早大から唯一の個人総合への出場でしたが、緊張やプレッシャーはありましたか

ちょっとありましたね。演技にはそういったものは出てないんですけど、早大の代表として、決勝に残るっていう意志を持ってやってきたので。

――演技を振り返って

冬場にきょねんと技をだいぶ変えて、新しい技を取り入れてみたんです。あん馬も新しい構成で実施したんですけど、最初の種目だったということもあって緊張しました。でも落ちなかったのは大きかったし、ギリギリで通し切れたのでよかったです。つり輪もそんなに悪くなくて、いい流れでこなせてたんですけど、跳馬で崩れちゃって。そこから動き的には悪くなかったんですけど、種目ごとに1つずつミスが出てしまいました。その点は反省しています。

――あん馬では相次いで前の演技者の落下がありました

悪い流れは少しありましたね(笑)。やりづらかったです。最初に演技を終えられたらよかったんですけど2人目以降で流れが良くないほうに向いてるのを感じました。

――あん馬の演技後には笑顔が見られました

ほとんど練習でも通し切ったことがなくて、試合で初めて取り組んだ割にはよくできたかなと思います。

――跳馬で転倒してしまった原因は

きのうの会場練習でも成功していたので自信はあったんですけど、試合では手の入る角度が良くなかったです。

――平行棒では、序盤のミス以外はしっかりと演技をされていました

演技に入る部分だけですね。あとは自分的に完璧にやったつもりです。最初でミスがあったので、あとはもうやるしかない、やれることだけやろうって感じでした。

――ゆかの2コース目では危ない場面がありました

なんなんですかね(笑)。別にゆかを蹴れなかったわけではないんですけど、あまり蹴りが入らなくて。本当にそこだけが悔しいです。最初のコースも、いつもはひねり切れないことが多いのにきょうはうまくいきました。「あ、いい感じだ」って思ってた矢先のことでした(笑)。そこで気が緩んでしまったかもしれません。

――オフシーズンの間に強化してきたことは

特に器具系の種目(あん馬・つり輪・平行棒・鉄棒)の構成を大幅に変えてきました。でも、まだEスコア(出来栄え点)が伸びないので詰めて練習していきたいです。あとは、練習からもっと自信を持って通せるようにしたいです。

――U-21の日本代表として出場した海外の試合はいかがでしたか

その試合は本当に得ることが多かったです。今までは会場練習で雰囲気が悪くて、微妙な状態で試合を迎えていたんです。でも今回は海外遠征の経験を生かしたので、会場練習も調子が良く、きょうは(決勝に)行けるんじゃないかなって思っていました。そう思っていたのにこの結果なので、まだまだだなと。

――次の試合への意気込みをお聞かせください

このままだと次も同じことを繰り返してしまうので、この構成を自信持って通せるようにしていきたいと思います。

――今シーズンの目標は

ことしもU-21日本代表に入って、海外で試合ができるようにしたいです。