68回目となる早慶対抗定期戦(早慶戦)が慶大日吉キャンパスで行われた。団体総合では早大が慶大に対し20点近い点差をつけ、420.70点で優勝。個人総合では近藤宏紀(スポ2=福井・鯖江)が83.650点で首位に立った。また男子選手による対抗戦の他にも、女子選手によるエキシビション、両校応援部による声援やチアリーディングが伝統の一戦に華を添える。ことしの早慶戦も盛況のうちに終わった。
早大のトップバッターを務めたのは松田祐太(スポ4=埼玉栄)だ。1種目目のあん馬で流れが止まらない美しい旋回を披露する。全日本学生選手権(インカレ)、早関対抗定期戦(早関戦)で落下のミスが続いていたが、今回は最後まで演技を通し切ることに成功。演技終了後にガッツポーズをして納得の表情を見せた。小倉佳祐(スポ4=千葉・習志野)はゆかで中水平を初披露。実施する人が少ないこの技に、観客席からは驚きの声が上がった。浅野佑樹(スポ3=東京・明星)は得意な跳馬とゆかで共に15.000というハイスコアをマークする。特に6種目目の最終演技者となったゆかでは最後の着地までしっかりと止め、会場から大きな拍手が送られた。
インカレと早関戦での屈辱を晴らした松田のあん馬
全種目安定した演技を見せたのは近藤だ。インカレから新しい技を入れたつり輪では本人納得の演技を行う。鉄棒では離れ技を次々と決め、完璧な着地を見せた。しかし得意の平行棒では着地が上手く止まらず悔しさを見せる。全日本団体選手権(全日本)での挽回を誓った。竹中貴一(スポ2=福井・鯖江)はあん馬で落下が見られるも、その他の種目では安定した実施を披露する。個人の総合得点は近藤が83.650点で1位、竹中が82.800点で2位と拮抗(きっこう)。2年生コンビが若き力を見せつけた。
納得の実施をした近藤のつり輪
悔しさを味わったインカレから2カ月の時が流れた。屈辱をバネに変え、選手たちは次の大舞台である全日本に向け調整を進めている。早関戦や今回の早慶戦を通して、自身の課題がおのずと見えたであろう。全日本まで残り1カ月。集大成を笑顔で飾るため、早大体操部はまた歩みを始める。
(記事 中村ちひろ、写真 大浦帆乃佳)
男子団体総合 | ||||||||
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選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
小倉 佳祐(スポ4) | 14.400 | 12.300 | 14.500 | 15.150 | – | – | – | – |
松田 祐太(スポ4) | – | 13.950 | – | – | 14.200 | 13.800 | – | – |
浅野 佑樹(スポ3) | 15.000 | – | 14.000 | 15.000 | 13.900 | 14.550 | – | – |
岸本 邦秀(スポ3) | 14.200 | 12.900 | 13.400 | 14.100 | 13.700 | 14.100 | 82.400 | 3位 |
近藤 宏紀(スポ2) | 13.950 | 12.900 | 14.150 | 14.150 | 14.250 | 14.250 | 83.650 | 1位 |
竹中 貴一(スポ2) | 14.200 | 12.250 | 14.500 | 14.300 | 14.400 | 13.150 | 82.800 | 2位 |
佐藤 崇太(スポ1) | 13.600 | 13.000 | 12.250 | 13.000 | 13.100 | 13.500 | 78.450 | 6位 |
チーム得点 | 71.750 | 65.050 | 70.550 | 72.700 | 70.450 | 70.200 | 420.700 | 優勝 |
コメント
松田祐太(スポ4=埼玉栄)
――きょうの演技を振り返ってみていかがですか
インカレの次に大きな大会が全日本で、そこに標準を合わせてあん馬、平行棒、鉄棒と種目を絞って出場したんですけど、大きなミスなくまとめることができました。これからはDスコア(技術点)を上げて、さらに完成度を高めていくことが大事だなと思いました。
――今大会での目標は
インカレで最終種目のあん馬で落下してしまいました。早関戦は「このままじゃ終われない」ということであん馬に出させていただいたのですが、また失敗しちゃって。早慶戦が最後のチャンスだったと思うんですけど、しっかりミスなく演技をすることが自分の目標だったので、今回上手くいって良かったです。
――そのミスのなかったあん馬の演技の手応えはいかがでしたか
自分がやってきたことは出せたかなと思います。
――平行棒では演技後に笑顔が見られましたが、振り返っていかがですか
内容は良くてあとは着地だけかな、という感じでした。ここからは着地の強化とDスコアをもう一段階上げることが目標です。
――得意の鉄棒はいかがでしたか
自分の中で一番通さなきゃいけない種目だと思っているし、チームにも貢献できる種目なので、失敗しないということが当たり前、全日本で戦うのであればもう一つDスコアを上げていかないと、という感じですね。今の構成にコバチを入れて通しはやっているんですけどなかなか安定しなくて。やっぱり試合でやるとなると「絶対通せる」っていう自信が必要なんですよ。それがまだ掴めていないので、練習を積んでいきます。
――チームメイトへの声掛けやサポートする姿が多くうかがわれました。雰囲気作りなどは意識されているのですか
4年生で副将という立場になって、自分たちがチームの雰囲気を作っていかないといけないと思いましたし、サポートも後輩に任せるんじゃなくて、上級生が率先してやっていかないといけないと思っていました。そのように見えたのなら幸いです(笑)。良かったです。
――11月末に全日本が控えていますが、どの種目でチームに貢献したいですか
平行棒と鉄棒ですかね。あん馬は…ちょっときわどいんですよね。なんの種目にせよ、安定感というのがすごく大事になってくると思うので。全日本団体ならなおさら。そこを突き詰めて練習していきます。
――全日本に向けて意気込みをお願いします
ここで引退するわけにはいかないので、全日本で、代々木(代々木第一体育館)で試合をして引退を迎えたいです。メンバーに入ることが目標じゃなくて、その上の予選通過を目指したいです。予選を通過すると、来年の全日本個人総合選手権の1枠がもらえるので、自分がチームに貢献して、後輩たちにバトンを渡せたらいいなと思います。
近藤宏紀(スポ2=福井・鯖江)
――この試合に向けてはどういった調整を進めてきましたか
11月末にある全日本への試合としてちゃんとやろうと思いました。
――具体的な目標はありましたか
全種目ミスなくやることです。
――その目標は達成できましたか
なんとか達成できました。大きな失敗はなかったのですが、ちゃんと細かいところまでできたかなと言ったらできていなかったですね。
――その中でも手応えがあったものは
つり輪はだいぶ良くなってきたなっていうのはあります。インカレから新しい技を入れて良くなってきています。
――他にインカレから構成を変えたものは
ないですね、ずっとインカレと一緒です。
――全体的に安定している印象がありましたが、納得いかなかったものは
ゆかと平行棒とあん馬ですね。
――どういったところが納得いかなかったのでしょうか
着地がやはり止まらないといけないのですが、全部止まらなかったし、平行棒は途中まですごく良かったのですが、着地がまとまりませんでした。自分にとって平行棒は(点数を)取らなきゃいけない種目なのに、1番が取れなかったことが本当に悔しくて。着地をしっかり直したいなと思いました。
――優勝の気持ちを教えてください
うれしいです。個人総合で優勝することはめったにないので、うれしかったです。
――全日本まで一ヶ月ほどありますが、どういった調整を進めていきたいですか
あん馬などの苦手な種目はやらなくていいので、得意種目の平行棒とつり輪とゆかの3つで難度を上げていければいいなと思っています。
――全日本に向けて意気込みをお願いします
予選で4番以内に入って決勝に行って、来年の全日本の権利の枠を取りたいと思います。