大学体操界最高峰の大会、全日本学生選手権(インカレ)の男子個人総合予選が8月21日に行われた。決勝に進出できるのは上位36名のみ。個人として出場した4人、団体メンバーの6人がそれぞれ予選通過を目指す中、早大からは小倉佳祐(スポ4=千葉・習志野)、竹中貴一(スポ2=福井・鯖江)、高橋一矢(スポ1=岐阜・中京)が個人総合決勝へ進出。また、近藤宏紀(スポ2=福井・鯖江)は平行棒で種目別決勝へと駒を進める。残りのメンバーは予選敗退と悔しい結果となった。
鉄棒で着地をしっかりと止めた松田
個人戦には松田祐太(スポ4=埼玉栄)、山岸拓十(スポ4=福井・鯖江)、八木暁己(政経2=京都・洛南)、佐藤崇太(スポ1=福井・鯖江)が登場。最後のインカレとなる松田は大きな失敗なく5種目を終える。しかし最終種目のあん馬でまさかの落下。「自分にかけたプレッシャーに負けてしまった」(松田)。その他の種目が良かっただけに悔しさをにじませた。同じく4年の山岸も得意種目のあん馬の失敗が悔やまれる結果に。一方のインカレ初出場の八木、佐藤は「いい演技もできた反面、悔しさもある」と口にし、次への課題が見つかる大会となった。
ワセダのユニフォームを初めて身にまとい大舞台に臨んだ佐藤
チーム戦でありながらも、個人総合の予選も兼ねていた団体戦。小倉はベテランらしく、全種目において安定した演技を行う。得意の跳馬ではガッツポーズも見られた。竹中は「演技をするのは自分だから、自分がやることをきちんとやろうと思った」という言葉通り、メンバーの失敗が見られた鉄棒、あん馬でも落ち着いた実施をする。1年生ながら団体メンバーに抜擢された高橋一矢(スポ1=岐阜・中京)は得意のつり輪で堂々とした姿を披露。また、近藤は平行棒で着地までまとまった演技をし、15.000という高得点をたたき出した。結果、近藤は上位8人が進める種目別決勝への出場権を獲得。小倉、竹中、高橋が個人総合決勝へ進出することになった。
それぞれが目標を持ち挑んだこの大舞台。インカレ初出場の選手、最後のインカレとなる4年生と個々にいろいろな思いがあったであろう。「練習してきたことをその一回に出さないとだめなので、プレッシャーはとても強かった」(山岸)。試合で演技をするのは『いつも通り』の自分。体操競技はどこまで普段通りの実施をし、練習の成果を発揮できるかの戦いだ。らいねんのインカレではことしの悔しさをバネに、精神的にも技術的にも一回り成長した早大戦士たちの姿が見られることだろう。
(記事 河野千怜、写真 難波亮誠、井口裕太)
★竹中がU-21日本代表に!
昨年のインカレでは唯一1年生として団体メンバーに貢献をした竹中。今回の団体戦でも持ち前の全種目における安定感でミスが続いていた早大の嫌な流れを断ち切ってきた。そんな竹中が21日の個人総合予選の結果を受け、念願のU-21日本代表入りを果たした!らいねんは上級生となり、チームを引っ張っていく立場になる竹中。国際舞台を経験して成長し、次のインカレでは早大のエースとして活躍してほしい。
竹中
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団体5位、悔しい結果に終わる(8/24)
※男子団体に出場した選手の結果・コメントはこちらに載っております
結果
男子個人総合予選 | ||||||||
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選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
松田祐太(スポ4) | 13.850 | 10.850 | 13.550 | 13.450 | 14.200 | 14.350 | 80.250 | 77位 |
山岸拓十(スポ4) | 13.950 | 12.350 | 12.150 | 13.350 | 13.700 | 14.000 | 79.500 | 87位 |
八木暁己(スポ2) | 13.350 | 12.200 | 12.550 | 12.750 | 12.700 | 14.000 | 77.500 | 103位 |
佐藤崇太(スポ1) | 13.600 | 11.500 | 12.950 | 13.550 | 13.250 | 13.200 | 78.050 | 100位 |
コメント
松田裕太(スポ4=埼玉栄)
――6種目の演技を終えて今の率直なお気持ちを教えてください
最後の最後でミスをしてしまったので、悔しいですね。
――最後のインカレとなりますがどのような意気込みでこの大会に臨んでいますか
最後のインカレという気持ちよりも、自分の演技が後のチームの人たちにも影響すると思いますし、自分がやってきたことをしっかりとやりたいと思って臨みました。
――演技を全体的に振り返っていかがですか
5種目目のゆかまで完璧だったんですけどね…。ノーミスということを(あん馬の)演技をする前に意識してしまって、自分でプレッシャーをかけてその自分にかけたプレッシャーに負けてミスが出たので悔しいですし、そういうところがまだまだ弱いなと思います。
――コンディションなどはいかがでしたか
コンディションはばっちりでした。
――以前おっしゃっていた『攻めの演技』は貫けましたか
そうですね。あん馬も守りに入ってミスをしたというよりも、気持ち攻めていって出たミスなので、貫けたと思います。
――1種目目からいい流れで演技できていたのではないでしょうか
そうですね。しっかりと自分のペースで試合をはこぶことができたと思います。
――得意の鉄棒の演技を振り返って
コールマンがいつもの練習通りのところにきたので、そこでもう通ったなとは思います。いつも通りできましたね。
――14.350という点数に関しては
ひねり系の部分で減点がいくつかあったと思うので、妥当な点数だと思いました。
――緊張などはありましたか
跳馬、平行棒、鉄棒で緊張していました。跳馬は少し不安なところでもありましたし、平行棒も不安なところで、鉄棒は得意だから失敗したくないという意味で緊張がありましたね。
――ご自身の演技で団体への流れを作ることはできましたか
あん馬で失敗してしまって悔しいのですが、悔しい思いを今度団体の応援につなげて、3位をとってもらいたいですね。
――今後の抱負や意気込みをお願いします
ここぞというところでミスがでてしまうので、そういうところを今後直していきたいです。今は11月の全日本団体選手権を最後の最後の締めとして目標にしているので、そこに向けてまた頑張ります。
山岸拓十(スポ4=福井・鯖江)
――最後のインカレの舞台を振り返っていかがでしたか
個人での出場ということで決勝にいくことを目標にして試合に臨んだのですが、自分のバッチリの演技というのをできた種目が2種目で、それ以外は耐えた種目だったり、最後のあん馬はミスが出てしまったんですけど、結果的に目標には届かなくて今は悔しい気持ちです。
――粘りの演技とういのは見せることができましたか
跳馬は着地で前に体重がかかったんですけど、手はつかずに足で堪えたり、平行棒の時も、最後うしろに引っ張られて尻もちをつきそうになったんですけど、それもこらえたりできました。そういうところは粘れたと思うんですけど、最後のあん馬は落ちてしまったのでそこは心残りです。
――8月の頭の時点では調子が良いとおっしゃっていました。調子を維持するのは大変だと思うのですが、大会まで維持できましたか
8月の中盤ぐらいからちょっと上半身の筋肉の張りが取れないという感じで、あまりコンディションが良くなくなってしまって。そのまま新潟入りをしたかたちになったので、8月の頭に比べると少し調子は落ちた感じで試合に臨むことになりました。
――練習のしすぎとかではなく、疲労がたまってという感じですか
そうですね。やっぱり練習というのは試合に向けて少なくなっていくので、練習のしすぎというわけではないと思うんですけど、暑さだったりそういう面で、ちょっとコンディションが崩れてしまったのだと思います。
――今回の大会で小さなミスというのは確かにあったと思うのですが、全体的にはまとまった演技がをしている印象がありました。個人的に振り返ってみていかがですか
最初の方の種目であんまり点数を伸ばすことができなくて。でも大きな失敗をすることはなくこらえてできてたんですけど、最後の自分の得意種目であるあん馬で、落下という大きな失敗をしてしまいました。まとまってると言えばまとまってるのですが、失敗を出さないということが絶対条件だったので、その面では良くない試合をしてしまいました。
――やはり緊張やプレッシャーがありましたか
それは相当ありますね。練習してきたことを本当にその一回に出さないとだめなので、そういう面でのプレッシャーはとても強かったです。
――つり輪後、監督と審判が話している姿が見られました
最初にやった力技が、ちょっと認定されなくて、それでDスコア(技術点)が大幅に下がってしまって。そのことを質問しにいってもらいました。
――今回の全体の得点にはやはり納得はできていないですか
もっと取るつもりでやったので悔しいですね。
< p>――早大での4年間を振り返るとどうですか
試合には1年生の頃からインカレに出させてもらってたんですけど、あんまり良い試合というのがずっとできてなくて。でもことしの東インカレ(東日本学生選手権)は大きな失敗を出すことなく6種目揃えた演技ができて、インカレではさらにいい点数が取れるようにって臨んだのですが、またちょっと下がってしまって。今は悔しい気持ちが大きいです。
――今後の目標はありますか
もう4年生なので引退とかも考えないといけない時期なんですけど、インカレが終わってからそこについては考えようと思ってたので頑張ってしっかり考えます。でも大学院に行く予定で、競技をここで引退となっても、そのままサポートとかコーチというかたちで体操部には関わるので、早大体操部の力に少しでもなっていきたいと思います。
八木暁己(政経2=京都・洛南)
――インカレ出場が突然決まったと思うのですが、意気込みはいかがですか
いつアクシデントが起きてもおかしくないようにしっかり試合に出る準備はしていました。調子もそんなに悪くなかったのでいつも通りやろうと思っていました。
――きょうの演技全体を振り返っていかがですか
着地とかも少しずつ動いたりして、あまりいいところがなかったと思います。調子は良かったのですがきょうは粘って粘ってという感じでした。
――特に修正していきたいと思うところは
平行棒はこの前の東インカレからDスコアを上げて臨んだのです、まだ技術的に足りないところがあったのでこれからもっと改善していきたいと思います。
――つり輪でもスコアを上げようと以前おっしゃっていましたが、その点はいかがですか
つり輪は思っていたほどスコアを伸ばせなかったのですが、Eスコア(出来栄え点)が以前よりも出てきたのでそこは良かったと思います。
――インカレでの演技を終えての感想は
もうちょっとうまくできたかなと思うので悔しいのですが、ことし出れたのでまたらいねん、その次へとつなげていきたいと思います。
――本年度残りの試合もあると思いますが、それに向けての意気込みをお願いします
まだ出れるか分からないのですが、いつ試合出ても自分が演技をできるようにしっかり準備というものを大事にしてやっていきたいです。
佐藤崇太(スポ1=福井・鯖江)
――試合を振り返って
きょうの練習、また試合の前半は調子がよくて、平行棒も頑張ろうと思ったのですが、いつも以上に身体が反応して、普段の練習では出ない失敗が出てしまって、体力の消耗が激しかったです。それで後半のゆか、あん馬で思うように演技ができなかったです。いい演技もできた反面、悔しさもあるという感じです。
――あん馬以外は全体的に安定しているように感じました。その中で印象に残った種目はありますか
いままで跳馬が全然跳べていなかったのですが、きょう調子が良かったということもあり、着地も意識して、いい実施ができました。
――全体的に着地も意識されていましたね
そうですね。これからは技の難度もですが、いまはEスコアで7点台が多いので、なんとか8点台、さらに8点台半ばまで上げて、もっと質の高い演技をしていきたいと思います。
――はじめてのインカレ出場ですが、雰囲気など高校までと違う点はありしたか
やはり高校までと応援の声量とかも違って、すごかったです。これが大学生なんだなあと思いながらやりました。いい経験になりました。
――圧倒されたりはしなかったですか
それはしなかったですね。自分の演技に集中していました。ワセダの応援は聞こえました。
――ワセダのユニフォームを着てはじめての試合でした
周りからはよく緊張するんじゃないのと言われるのですが、試合形式の練習でユニフォームを実際に着て練習もしていたので、そんなに緊張することなくできました。
――高校のときと比べて、点数の出方で違いはありますか
高校生よりも採点が厳しくなっているというのを実際に試合に出てみて感じますね。高校と同じように実施しても、減点の幅が高校のときよりも大きくて、Eスコアで点数が伸びないので、今後はそこを意識して点数の出る体操を目指していきたいです。それと並行して技の難度点を上げる練習もしていきたいです。とにかく点数が伸び悩んでいるので、もっと意欲的にまじめに練習していきたいと思います。
――自信のあった種目はありますか
平行棒はもともと、自分の点数の出る種目だったので頑張ろうと思ったのですが、最初の技で失敗してしまったところが残念でした。これからは普段から失敗を想定した練習をして、失敗してもあわてないように、どんな状況でもいつも通り落ち着いて最後まで演技できるようになりたいです。
――逆に緊張した種目は
もともとあん馬が不安だったのですが、最終種目ということもあって体力的にもきつかったです。ミスを出さないということが大前提なのに、そこでミスが出てしまったというのは自分の弱さだなと思います。
――試合中は先輩からアドバイスはありましたか
普段の練習通り声掛けはありましたが、アドバイスとかはありませんでしたね。でも、声掛けによって普段と同じような雰囲気の中でできたので、安心してできました。
――団体への流れは作れたと思いますか
失敗はありましたが、前半の勢いがある種目もあったので、その勢いのまま団体戦につなげれられたらいいかなと思います。
――今後の課題をひとつ挙げるとしたら
根本的に点数を上げなければいけないので、一つの技の質を上げてEスコアを伸ばすのもそうですが、Dスコアも上げて、らいねんは団体で出られるようになりたいです。
――10月末の新人戦までの調整は
新人戦でやる構成は今考えている途中です。2か月ある中で、最初の1か月でまず技を作って、残りの1か月で通しこんで、安定させたいい状態を作りたいです。
――それでは最後に新人戦の目標をお願いします
新人戦ではきちんとD、Eスコアともに上げて、83点目指して頑張りたいと思います。