8月に行われる全日本学生選手権(インカレ)の前哨戦となる今大会。1日目となるこの日は男女の個人総合の試合が行われた。女子選手にとっては今回の結果がインカレ出場権と直接結び付くため、特に重要な大会となってくる。エースの長沼園佳(スポ2=群馬・中央中教校)は跳馬での思わぬミスにより、一時はインカレ出場が危ぶまれるも、何とか選考基準を通過。きょねんに引き続き、個人で大舞台に立つことが決定した。
男子個人総合には、松田祐太(スポ4=埼玉栄)と八木暁己(政経2=京都・洛南)が登場した。「翌日に行われる男子団体へ良い流れを作りたい」と、万全な状態で試合に臨んだ松田。得意とする鉄棒ではダイナミックな離れ技を次々と成功させるも、着地に大きな乱れが出てしまう。「鉄棒だけでなく、全体的に着地が乱れている部分が多いので詰めていかないといかない」と反省点を明確にした。一方、オフシーズンに技の質の向上を図ったという八木。特に完成度を高めたという平行棒では、きょねんの最終戦からEスコア(出来栄え点)を1.2伸ばした美しい実施を披露した。最終種目のゆかでは、ガッツポーズも飛び出す。シーズン初戦を好発進するも、「いまのベースに新しい技を上乗せしていき、もっと点を取れるようにしたい」とさらなる向上心をのぞかせた。
演技終了後、ガッツポーズが見られた八木のゆか
女子全員で臨んだ女子個人総合。「きょうの目標は、ノーミスで通すこと」という中村麻衣子(スポ4=東京・小山台)は、4種目すべてでまとまった演技を披露。ゆかでひねりの技を入れることを目標に臨んだ井口亜結香(国教2=USA・Diamond Ranch)は、序盤で着地を失敗するも、その他の種目では安定した実施を見せる。ケガの影響を引きずる周防優花(スポ2=東京・富士見)は3種目で自身納得の演技をすることに成功。練習を詰められなかったという最後の段違い平行棒ではミスをしてしまい、通し込みの必要性を感じさせた。きょねんの同大会でインカレ出場を決め、ことしも出場を目指していた長沼。平均台、ゆかではハイスコアをマークしたが、良い流れで迎えた跳馬でまさかの着地のミス。あとが残されない状態の中臨んだ段違い平行棒は無難に演技をまとめ上げ、ことしも何とかインカレへの切符をつかんだ。
いままでの中で良い演技ができたという中村の跳馬
今大会をもって、競技生活から身を引くことになった中村。この4年間は苦しい思いもたくさんしてきたという。しかし、最後の大会を終えた中村の口から出たのはいままで支えてくれた人たちに向けられた感謝の言葉。「応援してくれている人たちがいることを絶対に忘れないで感謝の心を持ってずっと頑張って欲しい」(中村)。まだ始まったばかりの今シーズン、部員たちは中村をはじめとする多くの人の期待に応えることができるか。早大体操部の飛躍がことしも楽しみである。
(記事 中村ちひろ、写真 寺脇知佳)
男子個人総合 | ||||||||
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選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
松田祐太(スポ4) | 14.000 | 12.550 | 13.400 | 13.150 | 13.550 | 14.000 | 80.650 | 49位 |
八木暁己(政経2) | 13.400 | 11.700 | 12.200 | 12.650 | 13.550 | 13.850 | 77.350 | 68位 |
女子個人総合 | ||||||
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選手名 | 跳馬 | 段違い | 平均台 | ゆか | 合計点 | 順位 |
長沼園佳(スポ2) | 10.750 | 10.650 | 11.700 | 10.700 | 43.800 | 68位 |
井口亜結香(国教2) | 10.000 | 7.850 | 7.900 | 7.100 | 32.850 | 102位 |
中村麻衣子(スポ4) | 10.100 | 7.200 | 7.300 | 7.600 | 32.200 | 103位 |
周防優花(スポ2) | 10.200 | 5.800 | 8.450 | 7.300 | 31.750 | 105位 |
コメント
※5月23日終了時
松田裕太(スポ4=埼玉栄)
――いきなりの出場となりましたが準備のほどは
この試合に向けてずっと練習していたので、いつも通り準備万端で臨みました。
――きょうのコンディションは
最近体調を整えることができていて、きょうの試合にも上手く合わせられたと思います。
――きょうを振り返って
あまりプレッシャーを感じないで試合ができたのですが、やっぱり僕らが最初に試合をするので、(明日の男子団体へ)良い流れを作ってやろうという気持ちはありました。明日にもつながってくれるといいと思います。
――鉄棒の着地を振りかえって
乱れてしまったので悔しいですね。
――具体的な改善点は
鉄棒だけでなく、全体的に着地が乱れている部分が多いので、その練習を詰めていかないといけないなと思います。
――平行棒を振りかえって
着地までしっかり決まらないと点数は出ないので、やはり着地が課題ですね。
――Eスコア8.75の跳馬の手応えは
他の人より跳馬のDスコアが低いので、跳馬を強化していきたいです。
――収穫は
大過失なく試合を終えることができたので、次につなげることができるんじゃないかなと思います。
――今後の抱負をお願いします
インカレに向けて課題をクリアしていって、点数を取れるように詰めて練習していきたいです。
八木暁己(政経2=京都・洛南)
――今シーズン初の大会でした
最近調子が良かったので、いつも通りの演技ができて良かったです。
――あん馬の演技後、コーチと審判が話し合っている場面がありました
入っていると思っていた技が入っておらず、結果的に僕自身の勘違いで認定されませんでした。
――本来ならばDスコアは
あと0.1上がる予定でした。
――きょねんの関東学生新人・交流選手権(新人戦)で「平行棒の完成度を上げたい」とおっしゃっていました。今回は着地まで綺麗に決めていましたが、手応えは
平行棒も調子が良くて、新人戦と構成は変わっていないのですが、質を上げることができたので良かったです。
――ゆかの演技後にガッツポーズが出ていました
全種目大きなミスなく終えることができたので、一安心という感じです。
――今大会での収穫や課題は
収穫は、ベースがちゃんと出来てきたかなと思うので良かったと思います。課題は、もう少し技を増やして今のベースにどんどん上乗せしていって、もっと点を取れるようにしていきたいです。
――具体的に、技を増やしたい種目とは
平行棒とつり輪でもう少しDスコアを上げたいです。
――オフシーズンで強化したことは
新しい技をたくさん練習したのですがあまり身に着かなくて、技の質が上がったという感じですね。
――最後に今シーズンの意気込みをお願いします
ことしは東インカレに出場できたので、次はインカレにしっかり出場できるように頑張っていきたいと思います。
中村麻衣子(スポ4=東京・小山台)
――きょうの試合への意気込み
いままで4種目を通しで練習をやってきた時にやっぱり小さいミスが出てしまいノーミスでできたことはなかったので、きょうはノーミスで通そうと思って前日練習から意識していました。
――東グループから構成を変えたり、強化したりした種目は
段違い平行棒は技を1つ増やしてDスコアが1.5だったのを1.8に上げました。
――その段違い平行棒ですが、演技前にイメージトレーニングされていたのが印象的でした。意識していたことは
失敗しないだろうなとは思っていたのですが緊張してしまったので、いつも通りやろうと思ってずっとイメージしていました。
――反省点が見られた種目は
きょうはノーミスで通せたので良かったのですが、平均台がここまですごく調子が良かったのに本番では小さくなってしまってそこは少し悔しいです。でも全体的にはまとまっていたので良かったと思います。
――跳馬を振り返ってみて
ケガで足が痛んでいたので全然走れなかったのですが、いままでやってきた中では良い方の演技ができたと思います。
――全体的には良い形で終われたということですか
そうですね。ケガの影響もあったし、試験の勉強があったためこの試合で引退を考えていました。本当に良い仲間に恵まれて、応援してくれる同期や後輩、マネージャーやトレーナーも練習の時からずっと支えてくれていたので良い試合ができたと思います。
――ワセダでの4年間を振り返って
最初は雰囲気が怖いなと思ったり、コーチや監督と上手くいかないこともあったのですが、少しずつ心を開いて先生も私のことを気にかけてくれていることも感じながらやっていくことができました。女子選手の先輩が(自分が)1年生の時の4年生しかいなくて、選手の先輩を見て学ぶ機会は少なかったのですが、大野さん(沙織、平27文構卒=埼玉・早大本庄)や宇都宮さん(万祐子、平26スポ卒=神奈川・桐光学園)には卒業してもずっとずっと支えてもらっていて本当にありがたいと思っていて、また後輩は私は全然難しい技とかができないのに、私がいることでいいなと言ってくれる時もあって本当にそういう気持ちには感謝しかないです。あと同期の男子4人と主務の相原(優稀、スポ4=群馬・中央中教校)にはここまで支えてくれてありがとうという言葉しか出ないですね。
――後輩たちに伝えたいことは
ケガなくやってもらいたいというのが第一です。あとは、日々の練習すごく辛いと思うのですが、応援してくれている人たちがいることを絶対に忘れないで感謝の心を持ってずっと頑張って欲しいと思います。
――体操部の皆さんに一言お願いします
このあと色々試合が重なるシーズンだと思うのですが、本当にケガなく皆がいい演技ができるよう願っています。
井口亜結香(国教2=USA・Diamond Ranch)
――今大会はどのような意気込みで臨みましたか
目標がゆかでひねりの技を入れることだったので、成功したらいいなと思っていました。少し失敗してしまいましたが。
――きょうの演技で良かった点は
平均台とゆかで少しミスをしてしまったのですが、最後の段違い平行棒でミスなくできたことが良かったと思います。
――平均台とゆかの改善点は
毎回ミスなく、確実にできるようにしないといけないと思いました。
――ゆかでは序盤にミスがありましたがその後しっかりと立て直して演技していました。その時の心境は
気づいたらゆかに座っていて、茫然としてしまって。とりあえず最後までしっかり演技をしようと気持ちを切り替えました。
――今大会で得た収穫は
新しい技に挑戦できて良かったのと、練習を重ねないと確実にできないということが分かったので、練習を頑張らないといけないなと思いました。
――今後の抱負は
技を増やしていって、ノーミスで演技ができたらいいなと思います。
周防優花(スポ2=東京・富士見)
――今大会の意気込みは
ノーミスを目指して挑みました。
――ケガの調子は
当初より良くなりました。
――きょうを振りかえって
最初の3種目は自分的にはノーミスでできたのですが、練習不足の段違い平行棒で失敗してしまったので、そこが反省点だと思います。
――具体的に良かった点は
平均台はこらえて止まることができたのと、目標にしていたゆかの最初の伸身前宙で着地が決められたので、そこは良かったと思います。
――ゆかを振りかえって
最初の伸身前宙ができたのと、ジャンプ系がグループのときよりはバタバタしなかったので、そこは良かったです。
――改善点は
ジャンプの足の方向とか、そういう細いところを直すことと、ターンが足をケガしてから全部でききれていないので、そこを元に戻したいです。
――今後はどのような練習を中心に行っていきますか
今回入れたいと目標にしていたバーの車輪です。あとは跳馬で新しい技を取り入れたいと思います。
――今大会の収穫点は
やっぱり通し込みが必要だな、と。通し込めていなかったバーがやっぱり失敗してしまったので、そこが反省でもあり、収穫でもあります。
――今後の抱負をお願いします
次の試合はおそらく関東学生交流・新人選手権だと思うので、そこで今よりDスコア(技術点)を上げることが目標です。
長沼園佳(スポ2=群馬・中央中教校)
――きょうの試合への意気込みは
インカレの出場権を得ることを目標として臨みました。
――試合全体を振り返って
思わぬところでミスをしてしまいました。跳馬で転んだのは計算していなくてびっくりしました。
――跳馬は高い跳躍であっただけに着地が悔やまれました。改善点などはありますか
とりあえず落ち着いてやることと、今大会から1本しか跳べないルールになって、そのルールに対応できていなかったので、これからきちんと対応していきたいと思いました。
――ゆかでは冒頭に大技を決められましたが、片足がラインオーバーになってしまいました
あの技は普段からそんなに成功率も高くなくて、とりあえず使ってみることが優先でラインオーバーはしてもいいかなというくらいの気持ちでやりました。あの技を入れないと大きく点数が変わってくるので無事に入れられて良かったと思います。
――段違い平行棒について
跳馬で失敗してもう失敗が許されない状況というのを自分で強く思っていて、普段からそんなに失敗しないのですが、やはり落下が伴う種目なので絶対それだけはやってはいけないと思って臨みました。普段通りと思いながらも安全に安全にという感じで守りの演技になってしまいました。
――平均台では11.700というハイスコアがでました
東グループでは2回落下してしまったので、上がりの技を抜いて今回はリスクを減らそうということで、練習もいっぱい詰めてきたのでそれが出せて良かったと思います。
――今大会で得た収穫は
緊張する場面でも自分のやるべきことをしっかり確認しなければいけないことと、1本が決まらないとこの先勝負できないんだなということを学びました。
――今後への抱負
今のところギリギリインカレに行けるか行けないかのところで瀬戸際なので、もし行けるとしたらその試合に向けて練習を頑張りたいと思います。