多くの選手にとって今シーズン初の公式戦となる関東学生新人・交流選手権。24日の交流戦には1年ぶりの試合復帰となる中村麻衣子(スポ3=東京・小山台)が、翌日の男子団体では宮田雅博(創理2=東京・山手学院)と1年生3人が登場。また人数不足により、団体戦に出場できなかった女子にとっては久しぶりのチーム戦となった。
ケガの影響により、2種目のみでの出場となった中村。「ワセダで練習していた時は1回も通せなくて不安だった」という段違い平行棒では離れ技も成功させ良い流れで演技を通す。平均台ではターンで難易度は下がってしまったが、着地はしっかりと止め応援席にいる部員たちに大きく手を振る場面も見られた。
けがから復帰し1年ぶりの公式戦出場を果たした中村
女子団体では全日本学生選手権(インカレ)に出場した長沼園佳(スポ1=群馬・中央中教校)がチームを引っ張った。「練習では離れ技が1本も決まらなかった」という平行棒では、その陰りが見えない素晴らしい演技を披露する。しかし、平均台では最初のジャンプでのひねりが足りなかったのが原因で後半の技が認定されないという悔しい結果に。一方、周防優花(スポ1=東京・富士見)は1年半ぶり、井口亜結香(国教1=USA・Diamond Ranch)は8年ぶりの公式戦に臨んだ。「すごく緊張はしていたが、浦野コーチが引退してしまうのでみんなで頑張ろうと話していた」(井口)。細かなミスはあるものの、練習の成果を発揮できた。
長沼の段違い平行棒終了後、浦野翔太コーチ(写真右、平25スポ卒=埼玉・早大本庄)とハイタッチを交わした
初の公式戦出場である宮田の平行棒で幕開けした男子団体。今大会でメンバー全員調子が良かったのは2種目目の鉄棒だ。八木暁己(政経1=京都・洛南)は離れ技を成功させると、さらに完璧な着地を決め大きくガッツポーズ。竹中貴一(スポ1=福井・鯖江)は「鉄棒が1番苦手だが、きょうやった中では一番できたのではないか」と納得の表情を見せた。しかしその後に控えたあん馬では八木、竹中ともに落下してしまう。その中で全種目を通し安定した実力を見せたのは近藤宏紀(スポ1=福井・鯖江)だ。跳馬では膝をついてしまう場面もあったが、その他の種目では演技の流れも良く、着地もすべて成功させる。しかし「ほとんどの種目で自分がやろうとしていた演技構成よりひとつ技を落としてしまった」ときょうの試合を60点と評価。それぞれの課題が明確となった。
課題は残ったものの、安定感のある演技を見せた近藤
今回が大学初の試合となった選手たちは「ミスは出たが最後まで楽しく試合ができた」(宮田)、「チーム戦独特の一体感を感じすごく楽しかった」(周防)、「この女子2人とまわれてすごく嬉しかった」(井口)と試合で演技することの楽しさを味わった。ほとんどの選手にとって今シーズンラストの試合となった今大会。それぞれが収穫を得ることができ、今後に向け大きなターニングポイントになったであろう。来シーズンでの新星たちの飛躍に期待したい。
(記事 中村ちひろ、写真 寺脇知佳)
交流女子個人総合 | ||||||
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選手名 | 跳馬 | 段違い | 平均台 | ゆか | 合計点 | 順位 |
中村麻衣子(スポ2) | 0.000 | 8.600 | 10.700 | 0.000 | 19.300 | 43位 |
新人女子団体 | ||||||
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選手名 | 跳馬 | 段違い | 平均台 | ゆか | 合計点 | 順位 |
井口亜結香(スポ1) | 10.700 | 8.150 | 7.850 | 9.300 | 36.000 | 39位 |
周防優花(スポ1) | 10.850 | 8.500 | 8.850 | 9.300 | 37.500 | 35位 |
長沼園佳(スポ1) | 12.750 | 10.900 | 11.200 | 11.400 | 46.250 | 20位 |
チーム得点 | 34.300 | 27.550 | 27.900 | 30.000 | 119.750 | 6位 |
新人男子団体 | ||||||||
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選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
宮田雅博(スポ2) | 9.100 | 3.000 | 3.550 | 11.100 | 3.600 | 3.850 | 34.200 | 70位 |
近藤宏紀(スポ1) | 13.800 | 13.650 | 13.450 | 13.350 | 14.450 | 14.350 | 83.050 | 8位 |
竹中貴一(スポ1) | 14.300 | 12.200 | 14.250 | 13.650 | 14.300 | 13.300 | 82.000 | 10位 |
八木暁己(スポ1) | 13.400 | 9.900 | 12.250 | 13.100 | 12.350 | 14.000 | 75.000 | 42位 |
チーム得点 | 50.600 | 38.750 | 43.500 | 51.200 | 44.700 | 45.500 | 274.250 | 11位 |
コメント
浦野翔太コーチ(平25スポ卒=埼玉・早大本庄)
——2日間の女子の演技を振り返って
中村はけがの影響で2種目のみだったのですが、最後にすごくいい演技をしてくれてとても良かったと思います。きょうの新人戦は長沼以外は初めての公式戦だったので、楽しくやってもらえればいいと思っていました。失敗はありましたが、久しぶりの女子団体でチームとしての雰囲気は良く、いいチームを作ることができて良かったです。
——コーチとして迎える最後の試合となりましたが
コーチとしてはまだまだかなと思わされました。自分自身の反省点が大きいです。中村の演技に関してはそこまでは思っていないのですが、きょうの演技に関してはとても反省しています。
——具体的には
平均台は落下しやすい競技なのですが、そこをもうちょっと考えて練習のときから取り組むべきだったのかなと思います。あとは長沼のDスコア(技術点)でうまくいかない部分があって0.7くらい下がってしまったので、自分の力不足でした。
——早大での体操部としての生活はいかがでしたか
選手のときはとても楽しくできていました。コーチとしては、女子体操は男子体操とはまったく異なる種目なので一からのスタートで、その点では大変で苦労もありました。
——これからもコーチとして
早大でのコーチとしての生活は終わってしまいますが、これからも体操に関わる仕事に就いて、指導していきます。これからも女子を教えていくことになるので、早大でのコーチとしての経験を糧にしていきたいです。
——最後に早大女子体操部に一言お願いします
これからが来季に向けてのスタートだと思うので、次の大会に向けどんどん実力をつけていってもらいたいです。
中村麻衣子(スポ3=東京・小山台)
――1年ぶりの公式戦でしたがどのような意気込みでこの試合に臨みましたか
2種目のみの出場でしたが色々な新しい技を入れていて、でも絶対に失敗したくないという思いが強かったので頑張って通しました。
――最初から2種目の予定だったのですか
はい。ケガの影響で通すのは難しいと判断しました。
――どこをケガされていたのですか
足の甲をケガしていました。
――段違い平行棒について振り返っていかがですか
ワセダで練習をしていた時は1回も通せなくて、本当に不安だったのですが、公式練習で1本通ったのでその良い流れできょうは通すことができて良かったです。少し跳びの部分と下から上に移る技で少し焦ってしまい、そこはもったいないと思いましたが、まずは成功することができ安心しました。
――平均台についてはいかがですか
上がり技と降り技とターンが不安だったのですが、上がりは結構調子が良く、ターンは落ちはしなかったのですが技は取れなくて難度が下がってしまいました。ですが、まずは落ちなかったので良かったかなと思います。降りはおもいっきりやろうと思って跳びました。
――点数についてはどういう印象ですか
段違い平行棒は、いつもはB難度で取れている所がC難度で取れていて、練習の時より高い点数が出ていてうれしいです。平均台はすごく高い点数が出てとてもうれしかったです。
――らいねんがラストイヤーとなりますが、らいねんへの抱負をお願いします
らいねんは多分4月の予選からシーズンが始まるので、冬のシーズンをしっかり乗り切って4年生を良い状態で迎えられたらいいと思います。
井口亜結香(国教1=USA・Diamond Ranch)
——きょうを振り返っていかがですか
とにかく楽しかったです。昔も体操をやっていたのですが、8年ぶりの試合でした。みんなと競技をすることができて楽しかったです。
——初めての公式戦はどのような気持ちで臨みましたか
すごく緊張していたのですが、私たちのコーチも引退になってしまうのでみんなで頑張ろうという話をしていました。
——得意の平均台の調子はいかがでしたか
2回落ちてしまい調子は悪かったですが、とりあえず最後までできて良かったです。
——今後の目標を教えてください
もうちょっと難しい技を入れることができるようにしたいと思います。
——最後に一言お願いします
この同期二人と回れてすごくうれしかったのと、すごく応援してくれていたチームにも感謝しています。また試合に出れるように頑張ります。
周防優花(スポ1=東京・富士見)
――きょうの試合にどのような気持ちで臨みましたか
きょうは大学入ってから女子初の団体戦だったので、とりあえずチームに貢献できるようにという気持ちで臨みました。
――いつぶりの大会でしたか
高校3年生のインターハイ予選以来なので1年半ぶりくらいです。
――緊張はしましたか
とても緊張しました(笑)。
――跳馬について振り返っていかがですか
いつも通りにはあまりいかなくて、もう少しミスが押さえられる着地が出来たら良かったなと思います。
――段違い平行棒について
ほぼノーミスで通せたので練習の成果が出たなと思います。
――平均台について
普段は落ちないところで落ちてしまったのでダンス系の練習がまだ足りたいなと思いました。
――ゆかについて
最初の1本目が着地も高さも出なかったのでそこは今後の課題だと思います。でも、ダンス系の要素は取れたと思うのでとりあえず技のアクロバティック系を増やせればいいと思います。
――1番強化していきたい種目は
跳馬ですね。1番好きな種目なので新しい技を入れていきたいです。
――今大会での収穫はありましたか
初めてワセダの女子で組んで、チーム戦独特の一体感を感じられたことが良かったです。チームで出来ることはすごく楽しいし自分の糧になるなと思いました。
――最後に今後への意気込みをお願いします
次の試合は春になってしまうのですが、そこでまず予選通過して夏のインカレに出ることができるように頑張ります。
長沼園佳(スポ1=群馬・中央中教校)
――きょうの演技を振り返って
一番悔いが残るのは平均台なのですが、技が認定されなくて思った通りのいいスコアが出なかったのは自分のミスなので悔しかったです。
――どんなところで認定されなかったのですか
最初のジャンプで、4分の1ひねるはずのところがひねりきれていなくて、そこが原因で後半にやったシリーズの技が認定されませんでした。
――インカレでのけがから復帰された印象を受けました
苦手なジャンプ系で技を増やしたのと、難度を上げて臨めたので良かったのですが、もう少し完成度を上げて演技できたら良かったです。
――ゆかの難易度も上がりましたか
ゆかは一節目の二回宙返りを得意の技に変えて、安全にできるようにしたことで演技の出来がよくなりました。
――段違い平行棒でコーチとのハイタッチが印象的でしたが
前日、前々日から練習をしていたのですが、前々日は全然バーをつかめなかったので、一本も離れ技が決まらなくて不安で仕方ありませんでした。なのでとりあえず(バーを)持つことができて安心しました。
――エースとして今後を引っ張ることについては
一人より団体のほうが心強いのですが、エースとして団体を支える自覚はまだあまりないです。日々、技などを前向きにみんなで練習していきたいなと思います。
――今後の目標は
5人出ないと大会は参加できないのですが、まずは練習の段階から4人でも団体の雰囲気を感じながら練習していざというときに備えていきたいと思います。
宮田雅博(創理2=神奈川・山手学院)
——きょうの意気込みは
公式戦は初めてだったので、まずは普段通りの演技をすることを心掛けていました。
——実際にはいかがでしたか
自分ではいつも通りのつもりだったのですが、周りからは普段とは違うと言われてしまいました。最初の種目では緊張してしまったのですが、2種目目からは雰囲気に慣れて落ち着いて試合に臨むことができました。
——きょうの演技を振り返っていかがですか
ミスをするような技をしていないというのもありますが、大きなミスは無かったので全体的には良かったと思います。
——きょうは後輩とともに挑んだ初の公式戦でしたね
先輩後輩というよりは、みんなで力を合わせてできたので良かったです。
——チームとしては
ミスが結構でてしまったので、そこは残念です。しかし、最後まで楽しくできたのは良かったところです。
——これからどのようなことに取り組んでいきたいですか
とりあえずは技を10個やらなければならないのですが、まだそろっていないので技を10個そろえていきたいと思います。
近藤宏紀(スポ1=福井・鯖江)
――きょうの演技を振り返って
60点くらいです。
――残りの40点は
自分がやろうとしていた演技構成より一つ技を落とすことをほとんどの種目でやってしまった感じです。
――全体的にまとまっていた印象を受けましたが
大きなミスは無かったですけど、自分が目指した演技はできませんでした。
――インカレより技の完成度がより向上したように見えましたが
そうですね。スコアを2点以上上げてきているので。ただ、失敗が無くなるようにしないといけないと思います。
――跳馬での失敗については
あれはもっと練習しなくてはと思います。
――試合経験が豊富という立場で団体に出場したことについて役割などは
前の人が鉄棒とかで成功していたのでそこは流れに乗っていい感じでできて、あん馬などは失敗などが続いたので通すことを目標にして頑張りました。
――今後の課題は
難しい技でも完成度を高めていかないといけないし、そのためにはトレーニングなど地味なことも行ってらいねんに備えたいと思います。
――今後の目標は
らいねんのインカレで団体として出場して3位以内に入ることが目標です。
竹中貴一(スポ1=福井・鯖江)
——きょうを振り返っていかがですか
いつものようにはできなかったです。順位を気にしすぎてしまいました。
——今回の公式戦はどのような気持ちで臨みましたか
自分はすごい得意な種目とかはないので、個人総合を狙っていたのですが、今回はうまくいかなかったです。
——鉄棒の成功でガッツポーズを見せていらっしゃいましたがそのときの心境は
鉄棒が一番できないのですが、きょうやった中では一番いけたんじゃないかなと思いました。
——あん馬での落下の要因は
あん馬は失敗するとは思ってなかったのですが、今回はちょっとしたミスをしてしまい、いつもは立て直しができるんですけれど、そこからが響いてしまいました。
——全日本団体選手権の抱負は
全日本団体は、いつも通りできるように、しっかりやっていきたいと思います。
——今後の課題は
ずば抜けて点数が取れる種目を一つでも作っていきたいと思います。
八木暁己(政経1=京都・洛南)
――きょうの試合にどのような気持ちで臨みましたか
練習してきたことをしっかりとやって、得点は気にせずミスが出ないようにしようと頑張りました。
――力を入れていた種目などありますか
最初の種目の平行棒と鉄棒は重点的に力を入れてやってきました。
――良かった種目はなんですか
鉄棒は良かったと思います。
――ガッツポーズも見られましたね
そうですね。着地が決まったので自分でも納得のいく演技が出来ました。
――改善点が見られた種目は
平行棒とあん馬です。平行棒はまだできるようになったばかりというか新しい技が多かったので、そこでもっと完成度を上げなければいけないと思いました。あん馬は苦手なのでとりあえず落ちないようにしたいです。
――試合を終えて今の率直な気持ちを教えてください
良かった所と悪かった所がはっきりと出たので、悔しいですけど次に向けて頑張っていかなければいけないと思いました。
――今後への意気込みをお願いします
まだまだDスコアも低いしEスコアもなかなか点が出ないのでこの冬しっかりトレーニングをして技を増やして来シーズンはもっとツーランクくらいレベルアップしたいです。