決勝へ進出し、NHK杯出場決める

体操

 全日本個人総合選手権(全日本)。日本一のオールラウンダーを決める大会で、藤原昇平(スポ3=埼玉栄)が躍動した。U―21日本代表として海外経験を積んだ藤原は臆することなく演技し31位で決勝進出を決める。1日の休みを終え、上位36位で競われた決勝の舞台でも落下などの大きなミスなく演技を終え合計168.850、33位で2日間にわたる戦いを終えた。

 今季藤原は演技前に精神統一をするようになった。「予想以上に落ち着いて演技できた」と語るように、少しのミスも動じることない。最初の平行棒で序盤にバランスを崩した藤原だが力を使いなんとか耐えると、安定感のある倒立を披露。さらに微動だにしない着地できょう自身最高点となる14.400を出す。これで流れをつかむと鉄棒、床でも確実な実施で前半を終える。4種目目のあん馬では序盤に2回の立ち技を決めたが、落下しそうになる場面がいくつか見られた。落下の恐怖には打ち勝ったものの、「スコアが少し思ったより低かった」と悔いが残った。残すは最終種目の跳馬のみとなり、悲願の決勝を視界に捉える。しかし跳躍は少し傾いてしまい、ラインオーバーとなる。だが高さある跳躍を見せ、出来栄え点でこのミスを補った。合計84.800と自己ベストに迫る得点で決勝へ駒を進める。さらには目標としていたNHK杯の出場権を獲得した。

流れをつかんだ平行棒

 迎えた決勝。完全燃焼すべく藤原は鉄棒からのスタートとなった。序盤の離れ技を確実に成功させると、全日本決勝という大舞台にも気後れすることはない。着地をピタリと止め、上々の滑り出しを見せる。床では着地で減点があったものの、顔色に変化はなく冷静沈着。続くは「(あん馬は)次回の課題です」と予選で語っていたあん馬だ。だが抜け目ない演技で足先まで意識が行き渡っている。降り技まで集中し、課題を克服した。予選で減点となった跳馬では助走から勢い十分で気合いを見せる。失敗した着地も一歩で収め、雪辱を果たした。最終種目の平行棒では、疲れが見え力尽きる。ミスは無かったものの、安定感に欠けた。結果予選よりも順位を下げ33位、2日間の合計168.850で全日本決勝の幕を閉じた。

演技前、精神統一をする藤原

 

 決勝では疲れをのぞかせたものの、2日間最低限のミスでとどめたことは大きな収穫と言える。これは海外での試合経験が確実に表れている証拠だ。6月にはNHK杯の出場を控えている。まだまだ戦いは終わっていない。ことしの藤原は何かが違う――。

(記事 三上雄大、写真 谷田部友香、末永響子)

        

          

          

          

          

男子個人総合予選
選手名 あん馬 つり輪 跳馬 平行棒 鉄棒 合計点 順位
藤原昇平(スポ3) 14.300 13.600 14.150 14.350 14.400 14.200 84.800 31位

        

          

          

          

          

男子個人総合決勝
選手名 あん馬 つり輪 跳馬 平行棒 鉄棒 合計点
(2日目)
総合順位
藤原昇平(スポ3) 14.050 14.200 13.600 14.400 13.950 13.850 168.850
(84.050)
33位
コメント
※コメントは予選終了時のものです。

藤原昇平(スポ3=埼玉栄)

――決勝進出おめでとうございます。いまの心境をお聞かせください

まあとりあえずホッとしたという気持ちです。

――どのような意気込みで試合に入られましたか

とりあえずNHK杯に出場するというのが最低の目標でした。あとはノーミスで全種目演技できたらいいなという気持ちで試合に臨みました。

――ミスも少なく落ち着いた演技だったと思うのですが、藤原選手自身どう思われましたか

いつも以上に落ち着いて演技できたので良かったのですが、やっぱりあん馬が予定していたよりスコアが少し下がってしまったので、そこが次回の課題になると思います。

――あん馬を失敗したという感覚はありましたか

自分では失敗してはいないですけど まあ耐えたという感じですね。

――冬の間に取り組んだことは

練習の段階では常に試合を想定して、通し練習をするときは絶対にノーミスを意識して、失敗のない演技を心に置いて練習をしていました。

――スタンフォード大学定期戦と環太平洋選手権にU-21日本代表として参加されましたが、この2つの大会の感想を聞かせてください

スタンフォードの試合もノーミスでできて、かつ得点も出たので、自分としては自信になったと思います。環太平洋は気持ちが弱かったのが演技に出てしまって、かなり失敗してしまいました。

――この2つの大会から得られたものは

ことし初めての2つの試合だったのですが、試合の慣れと、緊張感を持った試合ができました。それが今回の試合につながったのではないかと思っています。

――U-21の日本代表として出場されて、個人的にはどうでしたか

プレッシャーを自分の中で意識し、周りの人が見ているという意識を持って演技をしていました。

――決勝へ向けての抱負をお願いします。

きょう大きな失敗は無かったのですが、まだ詰めが甘いというか、そういう部分をしっかり意識して、決勝に臨みたいと思います。