今回は男子舵手なしフォアに出場する川田翔悟(基理4=東京・早大学院)と土屋夏彦(スポ4=山梨・吉田)が登場。春の早慶レガッタでは共に第二エイトに出場した。私生活でも交流が多いというお二人に、プライベートでの一面や最後のインカレに懸ける思いを伺った。
※この取材は8月5日に行われたものです。
「今まで以上に自分を律して、行動言動を客観視しながら動いている」(川田翔)
最近の練習について話す川田翔
――まず初めに最近の練習内容を教えてください
川田翔 基本的なところを重点的にやっていますね。先日試験も終わって結構時間を取ることができるので、基礎的なところから四人(川田翔、土屋、中川大誠、スポ3=東京・小松川、岩松賢仁、スポ2=熊本学園大付)の動きをしっかり合わせることをメインでやっています。
土屋 そうですね、同じですね。
――練習の中で意識していることはありますか
川田翔 四人の動きだったり水中での(オールの)押し方のイメージだったりを合わせることですね。あまりパワーのない四人で、シンクロ率がないと勝負できないと思っているので、動きを合わせることにフォーカスしています。
土屋 同じですね(笑)。
――早慶レガッタや全日本選手権ではクロアチアの漕法をコーチから教わったとうかがっています。習得状況や手応えはいかがですか
土屋 海外の方との練習や遠征で、私たちのクルーだけではなく部全体にクロアチアの漕ぎが馴染んできたタイミングなのかなと感じています。最終局面というか、インカレ(全日本大学選手権)→リードで使ってたら省いて!に向けて少しずつ武器になってきているのかなと感じています。
川田翔 海外の漕ぎを取り入れるときに、クロアチアの人が英語に変換してまず言葉の壁を越えて、さらに英語を変換して言葉の壁を越えて取り入れているので、自分としてはまだなかなか本来伝えたいところが伝わり切ってないこともあるのかなと思っています。そこを自分たちで試してみて試行錯誤していかないと本質には近づけないし、まだ6割7割くらいなのかなとは思っています。
――その漕法はクルー問わず浸透させる方針なのでしょうか
川田翔 そうですね。部としてはそういった方針です。
――現在の練習の雰囲気はいかがですか
川田翔 どうかな…(笑)。そんなに厳しいみたいな感じはないですね。僕らが下級生のときの方がピリピリしている感じはあったかな。
土屋 そうだね。自分たちが上級生になっているからわからない部分も正直あるんですけど、自分たちは結構のびのび楽しくやれているのかなと思います。
川田翔 何というか、すごく厳しいという感じでもないですけど、かといって楽しくいこうぜっていうところまでもいっていないので、どっちつかずではありますね(笑)。そんなに肩身が狭いことはないですね。
――練習と練習以外では雰囲気は違いますか
川田翔 人によりますけど結構変わるかなと思います。ただ練習の調子が良かったり悪かったりっていうのを、練習を上がった後に引きずってしまうことはあるかなと思います。練習が良かったときはやっぱり全体的に機嫌が良いし、そうじゃないときは機嫌が悪いです。けど基本的にはしっかり分けてはいるんじゃないかなと思います。
土屋 やっぱり練習が上手くいった日と上手くいかなかった日で雰囲気も少し変わってきますが、悪かった日の雰囲気を引きずってしまうと信頼やコミュニケーションで支障が出てくるので、切り替えるのがすごく大切です。クルーの中でも共有しているわけではないですが、陸と水とでは自然と分けられているのかなと思います。
――練習の中でムードメーカーのような方はいますか
土屋 …俺ら?
川田翔 俺らか?(笑)でも様子見ながらな気はしますが、俺らどっちかかな。
土屋 どっちかですね。
川田翔 今日ちょっと土屋イライラしているなってときは僕が和ませにいきますし(笑)。
土屋 逆もあります(笑)。
――実力のある1年生が入部したと思いますが、刺激はありますか
川田翔 そうですね。僕が1年生から部にいた中でも、過去最高くらいの高校の実績がある子たちです。練習以外のときの意識も違うなというのは結構感じて、僕はそういう意味では良い影響はありました。食事もかなり気を遣っていて、今までそういう人をあまり見なかったので、そういうことしている人たちがやっぱり強いんだなと知ることができました。
土屋 今話していた通り、競技に対する思いやこだわりが競技以外でも強く感じるシーンが多いです。大学でボートをやって4年ですが、その立場でも勉強になることは多いなと一緒に過ごしていて思います。
――4年生になってから意識の変化はありましたか
川田翔 普通のことなんですけど、しっかりしなければいけないなと思うこと増えました。3年生のときはなんだかんだ4年生がいて、自分があまりしっかりしなくても引っ張ってくれることがありました。けど最上級生がそういう態度だと誰も何も言ってくれないし、下から見られている部分もあると思うので、今まで以上に自分を律して、行動言動を客観視しながら動いているつもりではいます。
土屋 10カ月ほど前に入れ替わってから生活する中で、自分たちの行動や考え方が部として映る立場になったと強く感じています。自分を律して後輩からどう映るかも考えながら行動するようにはなりました。
――今シーズンを振り返って印象的なレースはありましたか
川田翔 僕は良い印象ではないですが、早慶戦(早慶レガッタ)で大敗して。すごく負けたなというか、逆に去年の早慶戦で大きな差で勝っている分すごく悔しかったです。次の大会のことでもありますが、早慶戦の反省を全日本選手権にも生かせなかったのが自分としては心残りですね。
――早慶戦での反省点は何が挙げられますか
川田翔 一番感じたのは漕ぎの再現性の高さですね。いつ練習しても同じような漕ぎができることです。調子がいい日悪い日はあると思うんですけど、調子が悪い中でも比較的高い水準で漕いで 、その中でどんどん詰めていかないといけない競技だと思います。練習での再現性が早慶戦の後も生かせなかったなと思っています。
――土屋選手はいかがでしょうか
土屋 早慶戦かな。早慶戦がやっぱりすごく印象に残っています。私は2、3、4年生で早慶戦に出させていただきました。2、3年は勝つことができたんですけど4年で大敗したので、勝った早慶戦よりも負けた早慶戦の方がすごく心に残っています。内容もあまり良くなかったです。早慶戦では(川田翔が)クルーリーダーだったのですが、話してくれた通り漕ぎを再現できていなかったと感じますし、それが今の早稲田の課題なのかなとも感じます。夏に向けてこの課題を私たち含め早稲田全体として変えていかなければいけないなと感じます。
川田翔 良いコメントだね。
土屋 あざっす(笑)。
――今シーズン成長した点は何でしょうか
川田翔 自分は去年の早慶戦、クロアチア遠征、今年の早慶戦の三回コーチに教わっていて、回数を重ねるごとに何を伝えたいのかがわかってきました。ボートをどうやって漕ぐかをより考えるようになったと思います。自分の中でかみ砕いて理屈として落とすと再現性が上がると思うので、漕ぎの安定感はある程度出てきたかなと思います
土屋 さっき話した通り、いつ漕いでも同じような漕ぎができるようなチームをつくっていかなければならない中で、「ここができたからこういう結果が得られた」というのをこだわるようになれたと感じています。これまでは「この辺りが合っていたから良い練習ができた」というのが何となくでつながっていましたが、それを一つずつかみ砕いて「この練習はここができていたからうまくいった」という確信を持って練習に取り組めるようになったかなと思います。
お互いの印象
プライベートに関する話題では仲の良さが伺えた
――では、お互いの他己紹介をお願いします
土屋 じゃあ先やって。
川田翔 えー難しいな…。結構出会ったことがないタイプのネジの飛び方というか。今は真面目に受け答えしていると思うんですけど(笑)。
土屋 (笑)。
川田翔 ネジが外れているときは外れ方がすごくて。ある種の二面性まで感じますけど、そのぶっ飛び方が僕は結構好きです。すみません、他己紹介になってないですね(笑)。全然褒めてないですけど、頭おかしい人だなと思います(笑)。
――練習以外のときにそうなるのでしょうか
川田翔 そうですね。それも外れているときと外れていないときの差がすごくて。そううつみたいな(笑)。
土屋 そううつ!?ヤバいでしょ(笑)。
川田翔 そういうところも含めておもしろいなという感じです。
――何かエピソードはありますか
川田翔 いやー。あまり言えるやつがないです(笑)。
土屋 (笑)。
川田翔 去年の夏二人で出かけたことがあったじゃん?
土屋 あったね。
川田翔 そのときに「ゲイカップルに見せようぜ」みたいな感じで、すごくスリスリしてくるみたいな(笑)。
土屋 (笑)。「あらっ」みたいなね。
川田翔 手つないできたり。
土屋 それを外でやっちゃうからね。
川田翔 そう。それを人がいるところでやる、みたいなところですね(笑)。
――では土屋選手から川田翔選手の紹介をお願いします
土屋 いや本当に彼はすごいんですよ。引き出しの多さが素晴らしいなと感じていて。物知りなのはあるんですけど柔軟性というか。
川田翔 はあ?(笑)
土屋 ボケもできるしツッコミもできるし、かつそのボケの幅広さもあり、そのワードどこで拾ってきたみたいな天才的なツッコミもできるので。
川田翔 お笑いの取材じゃないから(笑)。
土屋 (笑)。いや本当にすごいなって。彼の笑いは莫大な知識量から裏付けられているんだなと感じます。就活のときもわからないことを聞くことがあって、いろいろ知っているなと思います。勉強も天下の早稲田大学高等学院出身なので頭キレるなと。
川田翔 何で急にあおってくるの?
土屋 あおってないよ(笑)。賢い人っているんだなって。
――川田翔選手はこれを聞いていかがですか
川田翔 恥ずかしいですね(笑)。
土屋 (笑)。
――レガッタ前の取材では、川田翔選手は土屋選手と交流が多いと話されていたと思います。よく遊びにいかれるのでしょうか
土屋 遊びにいくのはあまりないですね。
川田翔 そうですね。
土屋 飯食べるとかはちょこちょこあります。
川田翔 あと最近はあまりないですけど、よく一緒にゲームをやっていました。チャットしながら一緒にゲームするのが、交流の結構メインの部分です。
――何のゲームをされるのでしょうか
川田翔 当時はフォートナイトというゲームをひたすらやっていました。土屋以外にも何人かやっている人がいて、部員でチーム組んでやっていました。
土屋 チャットがしたくてやっているようなところがあります(笑)。
川田翔 わかる(笑)。
土屋 話をしながらやると楽しいですね。
――あまり外に遊びに行くことは少ないのでしょうか
川田翔 そうですね。全然付き合ってくれないので。
土屋 いやいや。まあそうだけど(笑)。なかなか予定が合わないので。
川田翔 そうだな。予定が合わない。俺はいつでも空いているけど。
土屋 やめてよ(笑)。
――第一印象と今の印象はお互いに違いますか
川田翔 違うかな…。高校のときから知り合いなんですけど、ここまでの飛び具合だとは思っていなくて(笑)。「人見知りだなこいつ」っていう雰囲気はちょっとあって、ちょっと気難しそうだなと勝手に思っていました。今も全く気難しくないかっていわれたらそんなことないですけど(笑)。
土屋 (笑)。
川田翔 ここまで仲良くなるとはというか、一緒の大学で練習することになるのも全然想像付かなかったので、最初の控え目な感じとは違うなと思います。
土屋 私が人見知りで(川田翔が)東京出身ということもあってなかなか話せずにいました。すごく印象に残っているのが、ある程度顔見知りの状態だったんですけど、高校の全国大会で丘の上から僕の声を呼ぶ人がいて。
川田翔 名前な(笑)。名前を呼ぶ声な。
土屋 名前を呼ぶ声がして誰だと思って見たら、金髪のイケイケの高校生がいたんですよ。それが彼で。あんなイケイケでウェーイみたいなことをやられて、人見知りの僕としてはヤバいヤバいってなりました。
川田翔 いやいや嘘だろ(笑)。
土屋 やっぱり東京の高校生は違うなと第一印象で思いました。
川田翔 (笑)。まあ学院だしな。高校だったら髪は染まっている期間の方が長いですね。ずっと茶髪か金髪っていう感じです。
土屋 最初に会ったときはそうでもなかったけどね。
川田翔 そうだっけ。多分ライトめな茶髪です。
土屋 そうそう。怖かったです(笑)。
川田翔 (笑)。
――学年全体のカラーや雰囲気はどんな感じでしょうか
土屋 全体か…。まとまりはあるけど、群れはしないみたいな。
川田翔 そうですね。ある程度ちょっとずつコミュニティは分かれていて。ただ結構みんな楽しいことが好きというか、笑っているのが好きな感じはあります。変な意味じゃないですけど、一生懸命に部活というよりかはおもしろいことしたいみたいな。なんか聞こえが悪いな(笑)。
土屋 ちょっとそうだな(笑)。
川田翔 ボートのことしか考えていません、という人はほとんどいなくて。かといってみんなで楽しいことやろうぜっていう感じでもないんですけど、それぞれが勝手に楽しんで、それを見て「あいつら楽しそうだな」ってやっている感じですね。
土屋 みんなで集まるわけじゃないけど、それぞれ楽しみを探しています。
川田翔 学年のカラーを聞かれて迷うくらいには学年のカラーはないですね。
土屋 けど仲は良いですね。
――個性が強い人はいらっしゃいますか
川田翔 まあみんな強いですけど、何としても意見を通すようなわがままいないです。
土屋 誰がまとまるにはキーマンかな。
川田翔 山中(裕一朗、スポ4=埼玉・本庄第一)でしょ。みんなからいじられてくれるからそこで一つになれる気がします(笑)。
――学年全体で流行していることはありますか
土屋 ないな(笑)。
川田翔 ひと昔前だったらフォートナイトだったけど。
土屋 そうだね。
川田翔 今は本当にそれぞれがそれぞれで楽しんでいる感じがします。学年問わずそうだと思います。
土屋 みんなでまとまってみたいのは本当にないと思います。他の部活だとあるんですか。
――男子部の方だとゲームが多いと思います
川田翔 じゃあ漕艇部はベイブレードにしておいてください(笑)。
土屋 (笑)。
――再びボートについての質問に移ります。ボートを始めたきっかけを教えてください
川田翔 僕は結構単純で、兄も早大学院の漕艇部から大学漕艇部というルートだったので。競技人口が比較的少ないスポーツなのでインターハイ(総体)などが他に比べたら近い競技だと思うんですけど、兄が全国大会などで地方に行くのを見ていいなと思って。自分もそれがかっこいいなと思って始めました。
土屋 私は中学のときからやっているんですけど、その中学校が変わっていて。部活には全員入らなきゃいけないんですけど、野球部かボート部か卓球部の3つから選ばないといけませんでした。
川田翔 (笑)。
土屋 自分は少年野球をやっていたので普通なら野球部にいくルートだったんですけど、野球はやり切った感がありました。そこで卓球とボートから選ぶときに、失礼なんですけど卓球は根暗なイメージがあったのでボートにしました。入ってみたらボートの方が根暗だったんですけど(笑)。それがきっかけです。
――大学まで競技を続ける要因は何でしたか
川田翔 自分は高校のラストイヤーがあまりパッとしなくて。そのときはもうこの競技はいいやって思ったんですけど、当時兄がまだ大学でやっていて試合の応援に行ったときに、自分はまだやり切ってないなというか、未練もなんだかんだあるなと感じました。ボートをやっていた頃の自分の方が好きだなと感じたのが入部した理由ですね。
土屋 スポーツをやる上で勝ちたいなという気持ちは少年野球をやっていたからあって。やっぱり優勝する1チームしか勝つことができないのがスポーツで、自分は小中高と優勝の経験をしたことがなかったので、一度でもそれを味わいたいなと続けようと高校3年生のときに決めました。
――ずばり漕艇の魅力は何でしょうか
川田翔 種目にもよりますが、漕ぎのシンクロやテクニックで自分よりも体格で勝る相手に勝てるところだと思います。僕も身長が大きい方ではないですが、190センチの選手が相手だったら、バスケで対決するよりかはチャンスもあるし、努力のやり方次第なのかなと思います。まあ190センチの選手に同じ努力をされたら勝てないかもしれないですけど、それでも4人乗りや8人乗りになったときに、シンクロなどで差を埋められるスポーツなのかなと思います。そういうのが起きることが面白いのかなと思います。
土屋 野球とかだと対抗競技なので1試合1試合勝てば楽しいというのがあると思うんですけど、ボートはレース競技なので優勝しないと確実に負けがついてくるスポーツだと思います。そうなると負けの悔しさはどうしても感じてしまうので、その部分では魅力は少ないのかなと(笑)。
川田翔 (笑)。
土屋 ただ他の種目と違って、4人乗りなら4人、8人乗りなら8人の同じメンバーで、毎日何時間もボートに乗って話をしながら練習を進めていくのはすごく貴重な経験だと思います。普段以上に自分たちの素が出て、こういう人間なんだなと感じることができるのはすごくおもしろいなと思います。
川田翔 いいねー(笑)。
土屋 (笑)。
「勝って10年間のボート競技生活が良かったと、これから先思えるようなレースにしたい」(土屋)
最後のインカレへの意気込みを語る土屋
――今回のクルーの特徴や強みは何でしょうか
川田翔 特徴でいうと漕ぎのスタイルが違う四人が集まったなと思います。決して強みにはならないんですけど(笑)。多分なしフォア乗ったことないよね?
土屋 うん。僕はないですね。
川田翔 僕は2年生からずっとなしフォアで出ていますけど、それぞれいろいろな種目を乗ってきていて、漕ぎのスタイルは違うかなと思います。
土屋 ストロークの中川がすごくリズム感が良くて、その後ろに川田がいます。その二人は同じ艇に乗ることも多くまとまっています。後ろの二人(岩松、土屋)も全日本(選手権)などで一緒に乗ったのでまとまっていますが、四人ではなかなかまだ合っていないので基礎的なところから合わせようとしています。そこがばっちり合ったときは、結構いいスピードが出るのではないかなと個人的には思っています。そこの強みに変えていければと思います。
川田翔 強みは伸びしろだね。
土屋 そうだね。僕の前の岩松は本当に伸びしろの塊ですね。まだ荒削りな部分もすごく多いですが、クルーの中で体力的なスコアの伸びしろが一番あって。前回もクルーの中では一番良かったですね。そこがどれだけ伸びるかで結果が大きく変わってくるので、みんなで支えて伸ばしていけたらと思います。
――クルーの下級生のお二人とは関わり方で気を付けていることはありますか
川田翔 あまり精神的にきつくなりすぎないようには気を使っています。自分も下級生のときに、上から言われて委縮して漕ぎも小さくなってしまう経験がありました。頭も少しパニック気味になりどんどん動きが乱れてくると良くないので、そうならないように気を付けながら指導していますね。あとは、あまり二人は気にしないタイプですけど、先輩に意見を言いやすいようにはしています。
土屋 二人とも言われて気にするタイプではないのであまり心配してないですけど、最上級生から言われて受け身の姿勢になると、自分の感覚やどう進めたいというのを伝えられないと思います。たった4人の艇で1人でも自由に意見できていないのは大変なことなのでそこには気を使っています。
――クルーでのご自身の役割はどのようにお考えでしょうか
川田翔 技術的な面では、ストロークの中川のリズムを伝えつつも、自分も引っ張るというか。専門的な話になりますが、ストロークサイドとバウサイドがあってバウサイドにとっての一番前は僕です。僕が彼(土屋)にとってのストロークみたいなところもあるので、リズムをつなぐだけではなく自分も引っ張れるようにと思っています。あと自分はなしフォアの経験がある程度あって、動かし方や感覚は比較的わかっていると思うので、気づいたことはすぐに言うようにしています。
土屋 川田からバウサイドの一番でリズムをつくるという話がありましたが、その役割の人間を後ろからしっかり支えなければいけないと思います。片方のサイドが2人しかいないので、バウサイド側でリズムをつくる人間がリズムを作りやすいように、サポートというかパワーで漕いでいきたいです。
川田翔 後ろから押してもらうと前の人が軽くなるので。
土屋 後ろの僕と岩松は、技術はもちろんパワーでクルーに貢献していかなければならないと思います。
――8月に夏合宿があると思いますが強化したい点は何ですか
川田翔 基本的なシンクロ率をより詰められたらと思います。そこに尽きるかなと思います。
土屋 そうですね。本当にその通りだと思います。
――インカレ前ではありますが、ここまでの早大漕艇部での競技生活は振り返っていかがですか
川田翔 僕はいろいろな意味で面白かったなと。まずシンプルに合宿生活が楽しいなというのが意外とあります。一般的に想像する体育会の寮って下級生はヤバい、みたいなイメージがあると思うんですけど、うちは比較的緩くて。部屋も下級生は下級生同士、上級生は上級生同士で、下級生が上級生にこき使われることもあまりないです。毎日友達がいる感じで、逆に実家に帰ったら寂しいんじゃないかと思うくらい楽しかったと感じています。あとは変な感じかもしれないですけど、いろいろな人がいるんだなと感じて(笑)。いろいろな地方から人が集まっているので、地方ごとに文化や考え方などが本当に違います。そういうものに触れる機会があったのは、自分にとって深みではないですけど、良かったなと思う部分です。
土屋 重なる部分が多いんですけど、寮生活が楽しいなと感じています。部屋は3、4年生で入りますが、自分が3年生のときは4年生の先輩がいてアットホームで楽しかったですし、今の後輩が入ってきている部屋も友達が家にいる感覚で楽しかったなと思います。部活動でも普段の生活でも気が合う仲間が常にいて、話し相手に困らないですね。あと本当に重なるんですけどいろいろな奴がいるなって(笑)。この大学、この部活動に入って、一番嫌いな人間もできましたし、一番好きな人間、一番話していて楽しいなという人間もできました。
川田翔 (嫌いな人)誰?
土屋 多分一緒だよ?(笑)
川田翔 ええ?
土屋 (笑)。
――インカレが最後の大会になると思いますが、どのような思いで臨みますか
川田翔 僕はやっぱり最後メダルが欲しいなとすごく思っています。最高でAファイナル(決勝)の4位まで取ったことしかないので。もともと自分ではAファイナルが一つの壁だと思っているんですけど、それを超えた上で最後に大きな大会でメダルが欲しいなと。もちろんできたら一番良い色が欲しいですけど、表彰式に出たいなと思います。
土屋 やっぱり最後形に残るものがあったら気持ち良いかなと。大学生活のボート競技を5年後10年後に振り返ったときに、最初に思い出されるのは最後の大会だと思います。なのでその最後の大会で良い結果を残すことができれば、自分の大学4年間含めた中学からの10年間がすごく良い思い出に消化されると思います。僕もメダルを取ったことがないので、そこでメダルを取れたら気持ち良いのかなと思います。
――インカレで注目、警戒している大学はありますか
川田翔 まだあまりわからないですが、なしフォアだといつも強いのは仙台大、あとは中大、明大、立大あたりだと思います。仙台大、中大、立大はいつも決勝にいるイメージなので、そういうところを倒さないとメダルは取れないかなと思います。
――最後にインカレに向けて意気込みをお願いします
川田翔 もちろん結果が付いてくれば一番良いのですが、何よりも悔いの残らないレースがしたいですね。結果が出ないときの保険ということではなくて、自分はこれでやり切って7年間のボート生活に一つ終止符を打てると思えるようなレースをしたいなと思います。
土屋 自分が今まで勝てていなかったので、最後くらい勝って10年間のボート競技生活が良かったと、これから先思えるようなレースにしたいです。それに結果が伴ってくればなお良しというか、自分の中でボート競技が良いものとして終わると思うので結果にはこだわっていきたいなと思っています。
――ありがとうございました!
(取材・編集 小松純也)
川田翔「ここで(笑)?」
◆川田翔悟(かわだ・しょうご)(※写真右)
1997(平9)年8月6日生まれ。173センチ。73キロ。東京・早大学院高出身。基幹理工学部4年。早慶レガッタの第二エイトでクルーリーダーを務めた川田翔選手。早慶レガッタで負けてしまった分、インカレではこれまでの競技生活を納得できる結果で終えてほしいですね。
◆土屋夏彦(つちや・なつひこ)(※写真左)
1997(平9)年5月26日生まれ。177センチ。76キロ。山梨・吉田高出身。スポーツ科学部4年。川田翔選手と同じく、早慶レガッタでの悔しさを晴らしたい土屋選手。インカレでは競技人生10年分の思いを込めて漕ぎ切ってくれることでしょう!