第2回に登場するのは、今年の第二エイトでクルーキャップを務める川田翔悟(基理4=東京・早大学院)だ。着実に経験を積み重ねてきている川田翔に今年の第二エイトや早慶レガッタへの思いについてお話を伺った。
※この取材は3月7日に行われたものです。
新体制発足
今年のチームの雰囲気を話す川田翔
――現在のご自身の調子はいかがですか
最近は時期的にも練習量が多いので、少し疲れているかなという感じですね。漕ぎの面では4年目ということもあって比較的安定はしてきました。
――最近はどのような練習をされていますか
海外の漕ぎを取り入れた練習をしています。その漕ぎの良いところを分析して自分たちのクルーに落とし込んでいってます。
――昨シーズンを振り返っていかがですか
女子はおととし少し不振なところがあったので復活の兆しというか、インカレ(全日本大学選手権)総合優勝があったり盛り返してきたのかなと思います。男子は目立った結果はなかったので、早稲田ならもう少し結果を出さなければというところはありましたね。自分としては昨シーズン、インカレと全日本(全日本選手権)でクルーキャップになりましてどちらもまあまあな結果が出せたので、自分のクルーキャップの下でそのような結果が出せたことは少し自信につながりました。
――新体制になって雰囲気は変わりましたか
去年以上に厳しさ的なものがなくなってきました。去年でだいぶがらっと緩い感じになったと思うんですけど、今年はさらにそういうところがあります。
――それは主将が代わったことによるものですか
主将もそうなんですけど、僕たちの代は最高学年全体がそういう雰囲気なところがあります。
――藤井主将はどんな主将ですか
彼自身はストイックですね。やっぱり上にはああいう存在がいてくれないと部として締まらないと思うので、緩い雰囲気の中でうまくメリハリをつけてくれています。
――4年生になってご自身の中で変わったことはありますか。
やっぱり3年生の時よりもさらに責任が伴ってきますね。日頃の生活はもちろん、練習面でも常に下に見られていますし。弛んでしまった時に今までなら「弛んでいるんじゃないの」と言ってくれたりしたところが、自分たちで律するしかないのでそういうところで「自律しないと」という気持ちが去年以上に強くなりました。
――オフの日はどのように過ごされていますか
最近は疲れ気味なのでゆっくりしながら溜まっている録画とかユーチューブを見ています。ゲームも結構好きなのでちょっとインドアな感じで(笑)
――普段もインドア派なのですか
アウトドアというほどではないんですけど、カラオケとかボーリングとかは好きなので行きたいなとは思っています。けどなかなかそういう感じにもならないですね(笑)
――やはり冬場の練習は大変ですか
夏はシーズンオンなのでハイレートっていうんですけど、ボートのピッチが高い練習とかレースに直接的につながるような練習が比較的多いです。冬はどちらかというとピッチ低めで基礎確認とかそういうところの分量が多いので、どちらがキツいかというのはなんとも言えないんですけど、やっぱり寒い中での練習は辛いですね。あと体も大きくする時期なので、ウエイトトレーニングとかは夏と比べたらキツいかなと思います。
武器は「若さ」と「勢い」
第二エイトについて語る川田翔
――早慶レガッタに話が移るのですが、第二エイトのメンバーが決まったときの心境はいかがですか
自分は去年も第二エイトに乗っていたのですが、その時よりは難しくなっているかなという感じです。
――それはどの辺りが
フィジカル的にも技術的にも少し去年よりは劣るところがあって、その中で自分がクルーキャップをして組み立てていかなければいけないというところは少し大変になってくるかなと思います。
――今お話にも出ましたが、クルーキャップになって何か意識していることはありますか
自分発信でやらなければいけないこともありますし、とにかくまず「自分がしっかりしなきゃいけないな」っていうところはあります。あとは僕以外にも最高学年が2人乗っているんですけど、そういうこともあってあまり僕が頭ごなしにっていうふうにしたくないと思っています。
――4年生3人で引っ張っていく感じですか
そうですね。僕一人っていうよりは3人でという気持ちがありますね。
――今年の第二エイトの強みはどんなところですか
若さとかになりますかね。新3年生が漕手で3人、新2年生が2人と比較的若い選手が乗っているので。まあ去年の方が若いんですけど(笑)それは対校(エイト)にはないところなので、乗ったときの勢いとかはすごい目を見張るものがあるかなと。
――反対に課題はありますか
フィジカルと技術になってきますかね。あとは乗ったときの勢いと反対に安定感というか、ちょっと調子が良くないときにガタガタ崩れてしまうところがあるので、その部分は本番までにしっかり安定させていきたいなと思います。
――現在の第二エイトの状況はいかがですか
乗り始めと比べたらだいぶ良くなってきたという感じはあります。練習とかでも対抗クルーと良い勝負をしたりする時もあるので、少しずつステップアップしてきているかなと思います。けど隅田川は非常に難しい川で、そこで3750メートル漕ぎ切るにはまだまだかなというところはあるので基礎的なところを徹底的にやっていかなければという感じです。
――第二エイトのメンバーとプライベートでの交流はありますか
そうですね。1番多いのは同期の土屋(夏彦、スポ4=山梨・吉田)ですかね。部屋が隣ということもあってよくご飯を一緒に食べたりゲームをやったりとかはありますかね。僕は後輩とはあまりプライベートではないので(笑)あ!でもコックスの山田(侯太、商3=東京・早大学院)は部屋が一緒なのでそういう中での絡みとかはあります。
――隅田川は初となる選手も多いですが、どのように対応していこう考えていますか
やっぱり結構気持ちで押されることが多いと思うので、そこを全員で覚悟を決めるというか。実際に隅田川で練習する機会に波に翻弄されても縮こまらないような精神的耐性をつけていくことが重要かなと思っています。
「早稲田代表」の誇りを胸に
――今年の慶大の第二エイトへの印象はいかがですか
メンバーとかあまりまだわかっていなくて、まだ見かけないというか。何回か見かけたことはあるんですけど、正直まだ未知数なのでそういう面では怖いかなと思います。
――慶大全体としても同じような印象でしょうか
同期に結構仲の良い友達がいるので、それほど敵視みたいな気持ちはないんですけど、でもやっぱり怖いところはありますね。なんかすごい速いなっていうときとか。僕と仲が良い同期も結構強い選手が多いので、そういった面では常に意識していないといけないところではあるのかなという感じです。
――慶大の同期とはボートの話もされますか
そうですね。一緒にご飯食べに行く時とかはボートの話とかもします。今のお互いの状態とか。あんま喋っちゃうのは良くないと思うんですけど(笑)
――ご自身の第二エイトに懸ける思いは、どのようなものがありますか
第二エイトなんですけど、それでもやっぱり早稲田の代表なので自分に限らずそこには誇りを持っているのかなと。あとは女子エイト、第二エイト、対校エイトっていう順番だと思うんですけど、しっかり僕らがタスキをつないでいかないと対校(エイト)に良い流れが持っていけないと思うので、重要なところかなというのはあります。ちょっと答えになってないかもしれないですけど・・・(笑)すいません(笑)
――今年は3年連続の完全優勝を狙っていくことになると思いますが、プレッシャーはありますか
僕は全く連覇に関してはプレッシャーは感じていませんね。去年とメンバーも全部違うので、今年は今年のやり方というかそういうものでやるというか、目の前の事をしっかりやれば結果が付いてくると思うので「2回連続優勝してるから今年もしなきゃ」とかそういうプレッシャーはないですね。「慶応に勝たなきゃいけない」っていうのはあるんですけど3連覇がかかってることに特別な重みはないですね。
――チーム全体としても同じ雰囲気なのでしょうか
あんまり3連覇みたいな言葉は出ていないですね。特に僕らの代は1年生の時は特殊だったんですけど・・・。というのも僕はまだ入部していなかったんですけど、僕らが1年生の時に対校エイトが沈没してしまって第二(エイト)もレースが延期になってしまったことがあって。なんですけど、2年3年とどちらも完全優勝していてあまり負けるというイメージを僕らの代は持っていないですね。負けが続いていた時代と比べたらそういうプレッシャーは少ないんじゃないかなと思っています。
――第二エイトのキーマンを挙げるとしたらどなたですか
2人いるんですけどやっぱり新2年生の岩松(賢仁、スポ2=熊本学園大付属)と加藤(聖也、スポ2=愛知・豊田北)だと思いますね。まだ技術的には未熟なところもあるんですけど、逆に彼らの成長具合でクルー全体が大きく変わるかなと感じているので、そういう意味ではキーマンなのかなと思います。やっぱり下の学年が頑張って上の学年を突き上げるかたちでやると僕らも気持ち的に「やってやるか」という感じになるので、そこに期待かなと思います。
――練習中は後輩ともよくコミュニケーションを取られますか
僕はちょっとポジション的に離れているので直接ということはあまりないんですけど、近くに乗っている先輩とかは結構声を掛けたりしてくれています。
――今年の第二エイトはどのような特徴があると思いますか
少しわちゃわちゃしてしていますね(笑)去年とおととしは最高学年の人が1人だったので、全員がその人についていく感じだったんですけど今年は4年生が3人いるので(笑)自分の学年が結構わちゃわちゃしているので、自然とそういう雰囲気になりますね(笑)
――とても楽しそうですね
そうですね(笑)ふざけているというとあれですけど、ユーモアを持ちながら練習も取り組んでいます。
――今年はご自身にとってラストイヤーになると思いますが、ラストイヤーに懸ける思いは
やっぱり最後はいい結果で気持ちよく終わりたいなというのが一番です。ボート選手としてのキャリアは2年、3年とステップを踏んで少しずつ調子が上がってきているので、最後はいい結果で終わりたいです。ラストイヤーだから特別というのはあまりないので、楽しく終われたらなと思います。
――改めて早慶レガッタへの意気込みをお願いします
やることをやってしっかり勝ち切ります!
――ありがとうございました!
(取材・編集 飯塚茜)
◆川田翔悟(かわだ・しょうご)
1997年(平9)8月6日生まれ。173センチ。72キロ。東京・早大学院出身。基幹理工学部4年。色紙を書くのは初めてだったそうですが、渡した後すぐに「決まりました」とペンを走らせていた川田翔選手。早慶レガッタでもクルーキャップとして素早い判断でリーダーシップを発揮してほしいです!