女子舵手なしペアに出場するのは宇都宮沙紀（商２＝愛媛・今治西）と尾嶋歩美（スポ２＝埼玉・南稜）だ。東日本選手権にも同じクルーで出場したお二人に、全日本大学選手権（インカレ）に向けての心境をうかがった。
※この取材は８月１日に行われたものです。
「また同じクルーになれた」（尾嶋）
今回が初のインカレとなる尾嶋
――まず、今季の振り返りからお願いします。早慶レガッタでは女子エイトに出場されましたが、レースを振り返っていかがですか
尾嶋 冬場、ずっとスイープで漕ぎこんできて、エイトに乗るのは初めてだったんですけど、先輩方と一緒に冬場乗せていただいて、自分自身得るものが大きくて、ちょっとハプニングもあったレースではあったんですけど、でも勝てて本当にうれしかったです。
宇都宮 私は早慶レガッタは高校のときからずっとあこがれだったので、出場できることが決まったときはすごくうれしくて、でもそれで安心するんじゃなくてそこから練習をしっかり積み重ねてしっかり勝てるようにしなくちゃいけないなという思いで、練習を積み重ねました。
――おふたりのペアで出場された東日本選手権（東日本）はいかがでしたか
尾嶋 早慶戦が終わって東日本の前に二人とも別々の場所なんですけどケガをしてしまって、二人ともリハビリ明けのレースが東日本でした。結構長い期間乗れなくて、お互いリハビリしながらみんなが練習しているのを陸で見てて、その期間ずっと漕ぎたい気持ちがすごい高まっていて、いざ乗ったんですけど練習期間が短かったんで、その分短期集中で頑張ってレースに持ってって結果的には、今振り返ってみたら結構課題の残るレースだったなと思って…。うん、どうだった？
宇都宮 そうですね。ケガしててずっと漕げてないあ時間が長かったので、東日本を終えてからも悔しさっていうより、もうちょっと漕ぎつめて完成度高い状態でレースできたら良かったなっていう思いがずっと二人の中であって、また漕ぎたいねって話はしてたんですけど、それがまあ今回のインカレで叶ったというか。
尾嶋 また同じクルーになれたので。
――インカレがリベンジという感じでしょうか
二人 そうですね。
――今季のレースを経て成長した部分や課題を感じる部分はありますか
尾嶋 課題…。
宇都宮 でもスイープの技術は向上したよね。早慶レガッタとかすごい練習して。
尾嶋 ずっとスイープ種目に乗らせてもらってここまで来てるので。でも個人的にはまだ基本の技術に至らない部分があって、いま合宿までの期間に技術的な部分をできるだけ直して、合宿に臨みたいなと思っていて…。
宇都宮 あゆ（尾嶋）と違って私は早慶レガッタ終わって、ちょっとスカル種目を漕いでた期間もあったので、あまりペア自体乗ってなくてそのまま東日本に出たので、技術的にはそんなにあんまり成長したなというふうには感じられないんですけど、最近は二人でインカレに向けてずっと練習してて、自分の中で課題だったツイストしてしっかり漕ぐ長さを大きくするっていうのがずっと課題だったんでしたが、それが最近の練習で少しずつ良くなってきました。それは成長かなと思います。
尾嶋 クルーとしては東日本での反省点を今課題としてつぶしていってる感じです。
――お二人ともケガをされたというお話がありましたが、今は普通に練習ができている状態ですか
宇都宮 今はもう大丈夫です。
尾嶋 完治しました。
「コミュニケーションはどのクルーよりも取っている」
宇都宮にとっても初めてのインカレ。二人の意気込みは十分だ
――クルーとしてお互いの役割はどのようになっていますか
尾嶋 宇都宮が前に乗ってるんですけど、私の役割はもう彼女に合わせることです。彼女のリズムと大きさに後ろで合わせて、彼女が漕ぎやすいように漕がせてあげるのができたらいいなと思っています。できてるかな？（笑）
宇都宮 できてるよ（笑） 。私は尾嶋が漕ぎやすいようなリズムをしっかりつくる、楽に漕げるようなリズムをしっかりつくっていくことを目標にしてます。
――息を合わせるために陸の上でも意識してコミュニケーションを取ることなどはありますか
尾嶋 たぶんコミュニケーションはどのクルーよりも取ってると思います。
宇都宮 同期だからね。
尾嶋 同期っていうのもあるんですけど、結構なんでも言いやすいので、水上でも陸上でも気づいたこととか思ったこととかはその都度言うようにしてて、それを漕ぎに生かすという感じでやってます。
――今、同学年というお話が出ましたが、２年生のカラーや特徴は何かありますか
宇都宮 とにかくキャラが濃い。
尾嶋 個性豊か。いろんな人がいます。
宇都宮 人数も多いから、すごいわいわいしてるというか。
尾嶋 でもみんなやるときはやる。
宇都宮 そんな感じですね。
――その中でお二人はどのような立場ですか
宇都宮 尾嶋はボートに対して真面目なんですよ、すごく。真面目なんですけど、相手のこともしっかりわかってくれてて、周りのことをしっかり見てくれてるお母さん的な存在です。
尾嶋 お母さん？（笑）
宇都宮 違うか（笑）。
尾嶋 宇都宮は場を和ませてくれるというか、ボートのときはしっかりしてるんですけど、普段はなんかちょっと抜けてるところあるからみんなを和ませてくれます。
――プライベートでもどこかに出かけることなどはありますか
宇都宮 うーん。でも出かけなくても仲はいいよね（笑）。
尾嶋 なんか忙しいよね。
宇都宮 なんか、学年でもたまには行くけどっていう感じだよね。
尾嶋 たまに同期会みたいなのがあったりして、みんなで艇庫でパーティーしたり夜ご飯を外に食べに行ったりはあります。
宇都宮 女子同士では誕生日プレゼントとか渡したりして、仲はいいと思います。
尾嶋 今度遊びに行こう（笑）。レースが終わったら。
「とにかく１番にゴールして、１位になりたい」
笑顔の多い対談となった
――今年から２年生になって後輩が入りましたが、心境の変化はありますか
尾嶋 まだ、あんまり後輩と一緒に乗る機会は現時点ではないんですけど、でもすごい力のある後輩が入ってきたので刺激をもらっているというか、もっと自分頑張らなきゃと思ってます。
宇都宮 私もほとんど同じなんですけど、２年生として責任感というのも感じるようになったし、あとやっぱり１年生から刺激をもらって今頑張っているという感じです。
――それぞれの強みや長所はどのような部分ですか
宇都宮 あゆは誰にでも合わせられるところじゃない？
尾嶋 結構人の後ろに乗ることが多いんですけど、合わせることだけは絶対にぶらさず、どんな船に乗っても絶対合わすっていうのは目標というか持ってます。
宇都宮 私はあまり特徴的な漕ぎじゃなくて誰でも合わせられるような漕ぎをしてるらしくて、それは自分の中の長所なのかなと思います。
尾嶋 私たち体格が一緒で、身長も一緒だし。
宇都宮 体重も一緒だったよね。
尾嶋 同じ体格をしてるので、合わせるという面では合わせやすいのかな。体格が違うとまた違うと思うんですけど。そこは合わせやすいかな。漕ぐ長さとかもぴったりだなと思います（笑）。
宇都宮 そこは生かせるかな。
――クルーとしてお互い信頼している部分はどのような部分ですか
宇都宮 信頼…しないと漕げない。
尾嶋 １本ずつオール持ってるんで。
宇都宮 どちらかがずれたら、それで崩れてバランス取れなくなってしまうので。
尾嶋 二人の力が合わないと船も思うように進まなくて、なのでそういう点では常に信頼してます（笑）。
宇都宮 私は前で１人で１本のオールで漕いでいるので、ちょっとバランスとかが怖いんですよ。でも後ろで漕いでくれてる、しっかり合わせてくれてるというのを信じてるので、それを信頼して漕いでいます。
尾嶋 でも、宇都宮が前で安定してリズム刻んでくれてるので、それに合わせられればいいスピードも出るし、船も進むのでそれに合わせればいいと信頼してます。
――現在、お二人で練習されている中で、クルーの状態や練習の雰囲気はいかがですか
尾嶋 徐々に東日本での課題は個人個人もあるんですけど、クルーとしても練習の回を積むごとにつぶせてはきてるかなとは思います。
宇都宮 雰囲気は…やる気に満ちあふれてる（笑）。あゆは私が直さないといけない部分でもお互い悪いところがあるから、お互い直していこうみたいな感じでいい雰囲気をつくってくれるので、ポジティブなんですよ、すごい。だからクルーの雰囲気も良くて私も頑張ろうと思えます。
――今は順調にインカレに向けて練習できている状態ですか
尾嶋 早く合宿に行って、とりあえずボートだけに集中したい。漕ぎこみたいな。
宇都宮 ね。
――今シーズンを振り返って、インカレに向けてやっていきたいことはありますか
尾嶋 私は大学入ってまだ１位になったことがなくて、金メダル取ったことがなくて、インカレでの目標は1位になることなんですけど、残りの期間でしっかりもっと詰めるところ詰めて、絶対勝てるってくらいの完成度高めて、1位を取りたいなと思います。
宇都宮 やっぱり東日本での課題を踏まえてこれから夏に向けて、１位を取ることを目標にやっていきたいと思います。
宇都宮 なんか考えてたんだけど忘れた（笑）。あ、そうだ。私たち２人東日本で一緒だったんですけど、あとのクルーで東日本で一緒だったクルーはいなくて、だから東日本のときは練習期間短かったんですけど、インカレはどのクルーよりも練習期間が長いので、それを強みにしてインカレでは勝ちたいと思います。
――インカレに対して特別な思いはありますか
尾嶋 インカレの目標って女子が総合優勝ってあるんですけど。他のクルーも含めてなんですけど、それに近づくじゃないですけど、いい順位取って総合優勝しなきゃなと。
宇都宮 私もインカレに出るのは初めてなので、今回しっかりあゆが言ってたインカレ総合優勝できるように部に貢献できるように頑張りたいと思います。
――昨年は総合優勝を逃すかたちとなりましたが、何か感じる部分はありますか
尾嶋 昨年は出てないんですけど、昨年１年間ここの部にいてワセジョの重みというのがわかって、インカレ総合優勝は私たちにとって成し遂げなければいけない目標だと思うので、他のクルーの先輩方も全クルーでそれを取るためにもまず自分たちのクルーが近づけるために良い順位を取らなきゃいけないなって思います。
宇都宮 言いたいこと言われちゃったんですけど、昨年総合優勝逃してしまいましたが、今年はまた取り戻すというくらいの思いで、たぶん私たちのペアがレースの順番的に１番初めなのでしっかりそこで１位とって、後の人たちに続いてもらえるように…。
尾嶋 いいリズムというか。
宇都宮 そうだね。いい流れをつくりたいと思います。
――現在の女子部全体の雰囲気はいかがですか
宇都宮 盛り上がってはいるよね。
尾嶋 でも今みんなテストも終わってボートに集中できる環境が整ってきたので、みんなそれぞれのクルーで結構集中してるなっていう雰囲気はあります。でもなんかまだピリピリしてるとかではなくて、集中できている感じです。それは部全体としてだと思います。
――改めて、インカレでの目標をお願いします
尾嶋 とにかく１番にゴールして、１位になりたいと思って練習してるって感じです。
宇都宮 インカレ今回初めてなんですけど、すごい勝ちたいという気持ちはあって…勝ちたいっていう気持ちに尽きます。
尾嶋 残りの期間で、全力でやることをやるだけだよね
宇都宮 合宿の期間で完成度をしっかり高めてインカレに持っていけるようにしていきたいと思います。
――どのようなレースにしていきたいですか
尾嶋 スタートかな？
宇都宮 スタートから出て、最後までずっと１位をキープする。
尾嶋 もうスタートから他艇を見渡せるくらい、余裕持って出て、艇身差を付けたまま縮められないでそのままゴールまで行きたいですね。
――部としての目標は総合優勝ということですが、総合優勝に向けてこれからさらに頑張っていきたいところはありますか
尾嶋 お互い合わせていくところを詰めたいかなと個人的には思います。
宇都宮 総合優勝をするためにできることは1秒でも早く自分たちのクルーが速くなることが近づくのかなと思うので、頑張るしかないですね。自分たちで。
尾嶋 全力で。合言葉は『全力で』（笑）。
――ありがとうございました！
（取材・編集 加藤千咲）
仲の良さそうなお二人、東日本の雪辱を果たせるか楽しみですね！
◆宇都宮沙紀（うつのみや・さき）（※写真左）
１９９８（平１０）年７月１日生まれ。１６７センチ。６１キロ。愛媛・今治西高出身。商学部２年。ポジションは舵手なしペアのストローク。趣味はカフェ巡りだという宇都宮選手。対談では尾嶋選手と笑い合う場面が多く、仲の良さが垣間見えました。コンビネーションの良さを強みに、インカレでの活躍に期待がかかります！
◆尾嶋歩美（おじま・あゆみ）（※写真右）
１９９８（平１０）年１１月２５日生まれ。１６７センチ。６１キロ。埼玉・南稜高出身。スポーツ科学部２年。ポジションは舵手なしペアのバウ。練習で日焼けをするため、美白は諦めたという尾嶋選手。インカレでは練習の成果を十分に発揮してくれるでしょう！