【連載】インカレ直前特集『Now or Never!』 【第1回】 伊藤光 × 川田諒

漕艇

 いよいよインカレ開幕まであとわずか。舵手なしペアに出場するのは、全日本軽量級(軽量級)でも出場した伊藤光(文構4=東京・神代)と川田諒(社3=愛媛・松山東)。今季の集大成として、この大会に懸ける思いを聞いた。 

※この取材は8月7日に行われたものです。

「確実にステップアップしている」

最後のインカレとなる伊藤光

――まずはお互いの他己紹介をお願いします

川田諒 えー…。シャウト系黒人?

伊藤光 なんだそれ(笑)。

川田諒 シャウトしてくれるんですよ、結構。

――鼓舞をするためにということですか

川田諒 そうそう。1人でも結構叫んでいるんで、自分も鼓舞しつつ周りも鼓舞するみたいな。あとは黒いです。

伊藤光 自分へ(の鼓舞)だな、それは。川田諒はムードメーカー的な感じですかね。場をうまく盛り上げてくれる。プライベートでもね。

――学年の違うお二人ですが、お互いについてどう思っていますか

伊藤光 初めて見たときは、めっちゃスポーツできそうな子だなと。もともと愛媛県の松山東って有名な所だったので、ボートも速いですし、すごい運動神経良さそうだとは思っていました。クルー組んでからは、意外としっかりしてるなって。やらなきゃいけない所は、しっかりしてるなって思います。

川田諒 僕は初めて会ったのが、オープンキャンパスだったと思うんですけど、高校3年の時にワセダを見に行こうということで先輩方が引率してくれていたんですけど、本キャンで光さんも合流して、その時に初めて見て、たしかその時の全身が黒コーデだったんですよ。ちょうど秋で本キャン紅葉で、「なんやこれは」って。

伊藤光 (笑)。

川田諒 紅葉のなか黒コーデの男が軽そうな感じでやって来て、バチバチの大学生来たなって(笑)シティーボーイは違うなって思いました。

伊藤光 バチバチのシティーボーイってなんだよ(笑) 。

川田諒 クルー組んでからの印象は、組む前に光さんとペアって噂で聞いていたので、予定調和なところはあったんですけど。初めてクルー組んだのが軽量級で、その時で言うと、他の先輩と比べていい意味で気を遣わなくていいというか。言いたいことを言わせてもらえるので。練習の時は気を遣わなきゃいけない先輩あんまりいないんですけど、プライベートでは結構ボケたいんですけど、光さんは結構ちゃんと拾ってくれるので、自分を出して行けます。ボケをちゃんと笑ってくれる(笑)。

――いいコンビですね

川田諒 役割分担はちゃんとできていますね。僕はずっとボケなんですけど(笑)。

――大変ですか

伊藤光 もう慣れました(笑)。

川田諒  桟橋に着けるときにだいたい始まりますから(笑)。

――趣味はありますか

川田諒 趣味…。

伊藤光 川田はあんまりゲームとかそんなにじゃない?

川田諒 やってなくはないですけど…。まあでも同期でゲームやってますね。高山格(スポ3=神奈川・横浜商)とか土屋夏彦(スポ3=山梨・吉田)とか川田翔悟(基理3=東京・早大学院)とかと。ボイスチャット繋いで喋りながらやっています。

――みんなで集まってやるわけではなく、それぞれのお部屋でということですか

川田諒 そうそう。一人一人のPS4で各自の部屋で、LINEで呼びかけて、ヘッドセットしてずっとやってます。

伊藤光 ずっとやってるね(笑)。

川田諒 あとは、来週から合宿があるんですけど、そこで新しい趣味作りたくて。Wi-Fiもなくてやることないので、ハーモニカ買おうかなって。

伊藤光 ハーモニカ…?

川田諒 ハーモニカよくないですか?ギターとかだとデカいじゃないですか。持ち運びにくいし。出先でパッとポケットから取り出して一曲吹けたらかっこよくないですか(笑)。

伊藤光 やばっ(笑)。

川田諒 あと、1回やったんですけど、三浦彩朱佳(文2=青森)に僕が構えてるところにケツ蹴ってもらって、声を出さない、みたいなのをやって、普通に堪えたんですけど、ハーモニカくわえてやった方がおもろいなって思って。昨日アマゾンで調べたら、3000円くらいだったので、ワンチャン買います。

――常に笑いを意識されているんですね

伊藤光 彼は笑いを求めてます。

川田諒 面白いことがしたいです。

――伊藤光選手はいかがですか

伊藤光 僕も川田と一緒で、合宿中に…

川田諒 ハーモニカ買っちゃう?(笑)

伊藤光 ちげえよ(笑)。僕は割と真面目な方なので、ボールペン字講座を買いました。4週間で出来て、1冊700円だったので。僕も来年社会人になるので、そろそろ字を綺麗に書きたいなと思ったので、ボールペン字講座やります。

川田諒 じゃあ横でハーモニカ吹いてますよ(笑)。構ってくれなかったら強めに吹きますから(笑)。

――オフの日の過ごし方について教えてください

川田諒 オフの日は飲んでますね。

伊藤光 そうね、飲んでるね。 あとは結構映画見たりとか、美味しい物を食べに行ったりとかしていますね。

――同じ部の方々と一緒に過ごされることが多いですか

川田諒 飲みは同期とかといっしょに飲みに行ったりもするんですけど。日曜の夜が飲んで良くて、その次の月曜は部員とはあんまり遊んでいないですね。

伊藤光 僕はほとんど部員ですね。

――仲の良い選手はいらっしゃいますか

川田諒 ゲーム一緒にしてる連中は基本仲いいですね。あと坂本英皓(スポ3=静岡・浜松北)とか。

伊藤光 僕は同じ学部の井踏直隆(副将、文構4=東京・早大学院)と仲がいいです。

――先輩・後輩の仲は良いのですか

伊藤光 まあいいんじゃない?

川田諒 風通しビュンビュンですよ。

伊藤光 ビュンビュンらしい(笑)。

川田諒 後輩とは友達みたいな感じですし、なんなら先輩とも友達みたいな感じです。あ、でも飯尾さんだけ友達じゃないです。飯尾さんだけあるじです。

伊藤光 あるじ(笑)。

川田諒 子弟ではなくて、飯尾さんとは主従関係です(笑)。

――今年の1年生の印象は

川田諒 挨拶の声大きいですよね。

伊藤光 元気がいい。

「OKパワー」

質問にテンポよく答える川田諒。二人のコンビネーションは抜群

――前期の試合を振り返っていかがでしたか

伊藤光 一番大きく変わったのは、ストロークとバウが交代して、軽量級のときは川田のリズムに僕が基本的に合わせるって形だったんですけど、いまは練習でもはまって、僕も漕ぎやすいですし、川田もこっちの方がいいのかなって感じで。結構スピードも乗ってきて、前回よりは確実にステップアップしているかなって思います。

――戸田レガッタでは、下級生を率いてエイトに出場されましたが、下級生は頼もしかったですか

川田諒 中川(大誠、スポ2=東京・小松川)が頼もしかったです。

伊藤光 あー、ストロークね。

川田諒 中川は勝負勘があるので、仕掛けるところで、中川に合わせとけば勝てる、みたいな。そういう意味では頼もしかったですね。あとは瀧川(尚歩、法2=香川・高松)は練習の時から声出してくれてて、クルーを盛り上げてくれたと思います。

伊藤光 大野一成(法2=東京・早大学院)は、まあ声出してくれるよね。

川田諒 安全確認の大野です。

――現在はどんな練習をされているのでしょうか

伊藤光 ベースに向けた高いレートは合宿からやると思うので、いまはずっと基礎を積み重ねています。

川田諒 低レートからミドルレートくらいまでですかね。

――冬はどんな練習をされていたんですか

川田諒 みんなと一緒ですよね、ウエイトとか。

伊藤光 夏だと体の代謝が良くて痩せやすいので、冬で結構筋トレとかウエイトトレーニング重めにやって、体作りをして、夏に向けて絞っていく感じですね。あとは、長い距離をずっと漕いだりとか、夏に向けての基礎作りを冬でやっていました。

――練習で意識していることはありますか

川田諒 練習の時にコーチの方に、「技術はいい。課題はパワーだ。」と言われ、魂を振り絞って漕ぐように言われているので、僕たちが意識していることは『魂振り絞り』です。

――軽量級では準決勝敗退となりました。この結果に対していかがですか

伊藤光 組んだのが浅かったというのもあるんですけど、割とレートが上がらずに行ってしまって。僕があまりリズムを作るのが得意ではないので、それで今回もペアになって、川田の方がストロークの方がいいんじゃないかということで、変えてみたら川田の方がリズムがいいのでそれでうまく行きつつあるかなという感じはします。

――ストロークとバウのポジションが変わったのはいつ頃なんですか

伊藤光 クルー組んでから1週間くらいで。

川田諒 7月の頭くらいにクルー組んで、2モーションくらいで、僕がストロークに乗ってもいいですかって聞いて、光さんにいいよって言われて。監督がその時、相模湖の合宿に行かれていたので、相談もできなかったので勝手に変えて練習してたら、他のコーチの方にもそっちの方がいいんじゃない、と言われて。それで、後で監督に言いに行って変えました。

伊藤光 普通、監督に理由とか聞かれると思うんですけど、ポンポンって決まりましたね。

――軽量級に出場した時と比べて、成長した点はありますか

伊藤光 軽量級の時はレートを上げて、レンジが短くなって結果的にスピードが出ないということがあったので、その反省点を踏まえて、レンジの長さとリズムをキーワードにしてやっていますね。あとはシンプルにスピードが出てきたかなと思います。

川田諒 個人的には、1か月くらい東日本に向けてクルー組んだんですけど、舩越湧太郎(社2=滋賀・膳所)と苦行みたいな1か月を過ごして、秘密特訓みたいな感じで。舩越発案で、練習に加えてこれやりましょうって言われて、嫌だったんですけど、そこでやらないのも面白くないなと思って続けたら、レース終盤でのギアチェンジが少し得意になりました。

――お二人のレースの強みは

伊藤光 練習中もそうなんですけど、辛い練習の中で結構気持ちで出さないといけないところで、出せる強さは絶対あると思います。

川田諒 んー、二人であんまりレースしてないので、軽量級の時は2週間くらいしか乗ってなかったので、間に合わせたって感じなので、強みとかはあまりなく、その時は2000メートル早く漕ごうって思っていました。

――あんまり練習を積めていない中での出場だったのですね

川田諒 そうですね。監督にあと2週間くらいしかないから、出てもいいし出なくてもいいし、みたいに言われて。まあ出られるんだったら出たいなと思って、出ました。まあでも、キーになるのは後半勝負だと思っているんで、強みになるかはわからないですけど、強みにしたいなと思っているのは後半ですかね。周りより早めに仕掛けたいなっていうのは漠然と思っています。

――お互いの漕ぎについてどう思いますか

伊藤光 コーチも言っているんですけど、割と川田が癖のない漕ぎというか、押しているので、僕はそれに合わせていけば、おのずとスピードも上がってくるのかなって思います。あとはコーチにも言われたんですけど、二人の相性は合っていると思うって言われたので、そこは自信にしてこれからもやっていきたいと思います。

川田諒 僕がバウサイドでペアでストロークをするのが初めてということもあるんですけど、舵もストロークサイドがストロークをするように作られているので、ちょっとバウサイドでストロークをするのは切りづらいというのがあって、最初心配なところがあったんですけど、割とそれにも慣れてきて。あと話は少しずれるんですけど、フィーリングを近づけることを、大事にしていて、片方が悪いと思っていることを、もう片方がいいと思っていたらまずいよねって話しています。光さんは先輩なんですけど、結構言わせてもらっていて、光さんもすぐにそれを快諾してくれるので、漕ぎというよりはクルーメイクみたいな感じになるですけど、ストロークとバウで役割分担はきっちりできているかなって思います。

――インカレが1か月後に控えています。目標は

川田諒 天下統一です。

伊藤光 男子の目標がエイト優勝、全種目最終日(順位決定戦以上)、メダル1個以上を掲げているので、その男子の目標に貢献できるようにしたいのと、二人でメダルを取って帰ってきたいなと思っています。

川田諒 メダルを取って、二人で勝手に喜びたいです。

――その目標達成に必要なことは

川田諒 パワー(笑)。強靭な肉体(笑)。

――ウエイトトレーニングとか意識してやられているんですか

伊藤光 それが他のクルーがインカレに向けて組めてなくて。

川田諒 クルー自体は決まっているんですけど、けがだったり、世界選手権だったりで欠員出たりして、選手を駆り出さなきゃいけなくて、そうすると、駆り出たところのクルーは一旦組めなくなったりとかあって、レース用のクルーが組めているのが僕たちだけとかで。それで組めてない人たちがウエイトトレーニングしているので、あんまり。

伊藤光 組めてない人たちが、全然乗艇してないので、乗艇したいとか言ってるんですけど、僕たちずっと乗艇しているのでウエイトやらせてほしいって思ってます。

川田諒 あとは、ケガをしない。

伊藤光 それはありますね。僕たち今のところケガせず、練習も休まずできているので、このペースで続けていきたいです。

――どの点に重点を置いてレースに臨みたいですか

川田諒 後半勝負。

伊藤光 後半勝負と、あとコーチに予選からしっかりタイムを出しておくのが大事だと言われて、予選でしっかりタイム出しておけば、敗者復活戦とかに回っても組み合わせが良くなるので、初戦のレースが大事になるかなと思います。そこにしっかりとピークを持っていきたいです。

――最後にインカレに向けて意気込みをお願いします

川田諒 OKパワーです。

伊藤光 最後のインカレなんですけど、そんなに思い入れがあるわけではないので、ただ悔いのないようにやれればいいかなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 秦絵里香)

パワーを身につけ、息の合った漕ぎで表彰台を目指します!

◆伊藤光(いとう・ひかる)(※写真右)

1995(平7)年8月6日生まれ。172センチ72キロ。東京・神代高出身。文化構想学部4年。ポジションは舵手なしペアのバウ。ボケる川田諒選手に対して、温かい眼差しを向けていた伊藤光選手。最後のインカレで有終の美を飾ることはできるのか、伊藤光選手の活躍に注目です!

◆川田諒(かわだ・りょう)(※写真左)

1997(平9)年4月8日生まれ。173センチ63キロ。愛媛・松山東高出身。社会科学部3年。ポジションは舵手なしペアのストローク。次から次へと秘話が飛び出し、対談を大いに盛り上げてくれた川田諒選手。勝利へのリズムを刻み、2年ぶりのメダル獲得に向けて突き進みます!