上位クルーがメダルを受け取る華やかな舞台、表彰式。各種目の選手が入れ替わり立ち替わり表彰を受ける中、そこに早大の選手が立つことはついぞなかった。出場クルー全てが、メダル獲得ならず。近年経験のなかった現実が、失意となって選手たちに降りかかった。
男子部で唯一の決勝進出を果たした舵手なしフォア
男子部で唯一決勝に残ったのは、下級生主体の舵手なしフォア。しなやかな漕ぎで高いユニホーミティーを感じさせたこのクルーは、全員が初経験となる大舞台に臨んだ。難敵がそろうこのレースに挑むため、スタートで他艇の飛び出しを抑え、後半で突き放すレースプランを描いたが、理想とは裏腹に前半で出遅れることとなる。クルーキャップの尾崎光(スポ3=愛媛・今治西)が「Aファイナル(決勝)の空気に慣れない中で、(クルーが)硬くなってしまった」と振り返ったこのレースは、最後まで他艇を捉えられず4位に終わり、メダルを手中にすることはできなかった。ことしのチームの特徴となる『下級生のボトムアップ』を示した今大会だったが、一歩及ばない結果となった。
前日の準決勝で涙を飲み、順位決定戦に進んだクルーは3艇。最初に登場したのは、ここまで思うようなレースができていなかった舵手なしペアだった。スタートで1艇身他艇に先行すると、そのリードを粘りで守る。高いピッチでも1ストロークで艇を伸ばせる漕ぎを、この順位決定戦で発揮できるかが焦点となったが、見事にそれを実現。予選や準決勝で後れをとったクルーにも先着し、総合5位。一矢報いて今大会を終了した。
一矢報い、総合5位とした舵手付きペア
続いて登場した舵手付きフォアは、このレースで苦戦。得意の前半で日体大に先行されると、前日までとは変わった静水のコンディションにも悩まされ、3着で総合7位に終わった。それでも、全員が主体的に動くクルーづくりの功績か、準決勝で腹を切り敗戦の一因となった有田雄太郎(法4=東京・早大学院)を、下級生が精神的にフォローする一幕もあったという。有田も「非常に心強く切り替えられました」と振り返り、クルーの成長を喜んだ。
対校艇となるエイトは、早大の意地にかけて最後のレースに臨んだ。慶大との一騎打ちが予想されたこのレースはしかし、コンスタントの漕ぎへ移行する際にスピードを維持できず。中盤にかけて徐々に慶大に先行されると、最後までその姿を視界に捉えられなかった。2着で総合6位と、苦しみぬいた今大会を象徴する結果に終わった。
「(今大会は)気持ちは前に行ってるけどボートは進まないというもやもやした感じ」(石橋広陸、スポ4=愛知・豊田北)。まだ、選手の目には明確な課題が映っていない。敗戦のインパクトは痛烈で、簡単に乗り越えられるものではないだろう。「当たり前のことを当たり前にやる」(内田達大主将、スポ4=山梨・吉田)。まずは基礎からリスタートだ。最後の戦いとなる全日本選手権(全日本)までは残り2カ月。「このまま終わるつもりはない」。主将のこの言葉にかけて、早大漕艇部は2カ月先の逆襲を誓った。
(記事 喜田村廉人、写真 鎌田理沙、茂呂紗英香)
★準決勝敗退となるも、『攻めの漕ぎ』を体現
準決勝のレースに臨んだオックスフォード盾レガッタエイトクルー
この日、朝一番に行われたオックスフォード盾レガッタの準決勝。早大のエイトクルーには、きのうの予選、敗者復活戦で「攻めの漕ぎができなかった」(冨田剣志、スポ4=愛媛・今治西)という課題が残っていた。目標に掲げた『学生日本一』を達成するためにはこの課題の克服が不可欠。「このレースに全てを懸けよう」とクルー全員で話し合い、準決勝に挑んだ。
事前に掲げていたレースプランのように先行逃げ切りの展開に持ち込みたいところだが、スタートで出遅れてしまった早大。実力ある社会人クルーは先行し、2位の一橋大Aにも序盤から1艇身ほど差をつけられてしまう。しかし、このまま終わるわけにはいかない。必死で食らい付き、徐々に一橋大Aとの差を詰めていく。
「行けるぞ!」。一橋大Aの艇に半艇身にまで迫った時、2番に座る舩越湧太郎(社1=滋賀・膳所)の声が響く。振り絞るようなその声が、それまでの追い上げで既に疲労の極限にあったクルーを再び奮い立たせた。その声は舩越の反対の端にいるストロークまで届いたといい、伊藤光(文構3=東京・神代)は「あの瞬間、『絶対に諦めない』と(クルーが)まとまった」と振り返る。心を一つにしたクルーはさらにレートを上げ、課題にしていた『攻めの漕ぎ』を体現。一歩及ばず3着に終わったが差は1秒を切るまでに縮まっており、その決死の追い上げには鬼気迫るものがあった。
「誰一人抜いた漕ぎなんてしないって信じて自分の力を全員が出し切れた」(伊藤光)。決勝・順位決定戦進出は逃したものの、未経験の1年生2人を含むフレッシュなクルーが会心のレースをやってのけた。今大会が初めての実戦となる選手もいる中、今後の漕艇部を担う下級生たちにとって記憶に残るレースとなったに違いない。
(記事 久野映、写真 茂呂紗英香)
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結果
【決勝】
▽男子部
【舵手なしフォア】
S:中川大誠(スポ1=東京・小松川)
3:川田翔悟(基理2=東京・早大学院)
2:藤井拓弥(スポ2=山梨・吉田)
B:尾崎光(スポ3=愛媛・今治西)
6分27秒87 【4着 総合4位】
【順位決定戦】
▽男子部
【エイト】
C:佐藤修平(文4=秋田)
S:内田達大主将(スポ4=山梨・吉田)
7:伊藤大生(スポ3=埼玉・南稜)
6:石田良知副将(スポ4=滋賀・彦根東)
5:石橋広陸(スポ4=愛知・豊田北)
4:鈴木大雅(スポ3=埼玉・県浦和)
3:堀内一輝(スポ2=山梨・富士河口湖)
2:東駿佑副将(政経4=東京・早大学院)
B:得居亮太(法4=東京・早大学院)
5分53秒68 【2着 総合6位】
【舵手付きフォア】
C:徐銘辰(政経2=カナダ・St.Andrew‘s highschool)
S:坂本英晧(スポ2=静岡・浜松北)
3:高山格(スポ2=神奈川・横浜商)
2:菅原諒馬(商2=東京・早大学院)
B:有田雄太郎(法4=東京・早大学院)
6分47秒07 【3着 総合7位】
【舵手付きペア】
C:菱谷泰志(スポ1=鳥取・米子東)
S:金子怜生(社3=東京・早大学院)
B:土屋夏彦(スポ2=山梨・吉田)
7分40秒61 【1着 総合5位】
▼オックスフォード盾レガッタ
【男子エイト】
【準決勝】
C:山田候太(商1=東京・早大学院)
S:富田剣志(スポ4=愛媛・今治西)
7:川田諒(社2=愛媛・松山東)
6:伊藤光(文構3=東京・神代)
5:山中裕一朗(スポ2=埼玉・本庄第一)
4:瀧川尚歩(法1=香川・高松)
3:新井裕也(社1=早大本庄)
2:舩越湧一郎(社1=滋賀・膳所)
B:大野一成(法1=東京・早大学院)
6分22秒11 【3着】
コメント
【男子エイト】
S:内田達大主将(スポ4=山梨・吉田)
――きのうのレースからお伺いします。きのうの準決勝で決勝進出を逃しました。そのときのお気持ちは
素直に、本当に悔しかったです、準決勝は。仙台大に対してリードを奪っていたんですけど、結局自分たちの強みの後半で抜かされたということが、本当に悔しかったです。順位決定戦では1位を取って、一つでも順位を上げたいなと思って臨んだんだけど…って感じですね。
――準決勝ではスタートから飛び出すことを第一に置いていたように見えました。それはクルーの統一意識としてありましたか
そうですね、頭を取りに行くということは決めていて、そこを狙っていったという意識ですね。
――その反動がレース後半にきましたか
反動というか…。そこ(スタートで飛び出してから)から失速してしまったというか…。体力的にばてたというよりは、(漕ぎが)合わなくて、テクニカルの面で劣ったかなと。
――そのレース後からクルーの皆さんとお話されたことはありますか
とにかくシンプルにいこう、ということは話しました。
――気持ちを切り替える要素として大切にしたことはありますか
全体1位のタイムを取る気ではいたんですが、難しかったですね。
――きょうの順位決定戦では、逆に前半から慶大に先行されましたが、その要因は何が挙げられますか
慶大がスピードが上がったというわけではなくて、僕たちが自滅していっちゃったというのが出られた原因かなと。もちろん負けたし、慶大の方が速かったんですけど、特別速かったというよりも僕たちが、普段してきたことをできなかったという感じですね。
――大会を通して、初日からの課題だったクルーワークやブレードワークを修正し切れなかったという印象でしょうか
そうですね、初日(予選)よりは、敗者復活戦、準決勝、順位決定戦と良くなってはいったんですけど、ただいまいちそこでスピードに乗り切れなかった、もう少しというところで終わってしまいました。
――チーム全体としても、残念な結果に終わってしまいました。それについては主将としてどう感じていますか
責任はものすごく感じているなと…。きっと早慶戦(早慶レガッタ)の時とは違った悪い要因があって、できていたことができなくなっていたというところですね。それがどこにあるか考えていかないと、次はないかなと思います。
――具体的には定まっていませんか
ぼんやりは見えているけど、はっきりとはまだ。終わったばかりなので。
――今大会で得たものはありますか
やっぱり負けて気づくことの方が多いので、勝ったときよりも。チームとしてもクルーとしても課題を考える機会ができたということは、得たものですね。
――次の目標はどのように置いていますか
全日本で、クルーがどうなるか分からないんですが、このまま終わるつもりはないというところですね。
――チーム全体としてはどのように立て直していきますか
『当たり前のことを当たり前にやる』というところですね、チームとしても。OBの方に「規律を取り戻せ」という風に言われたので、もう一度基礎から見直そうという風に思っています。
――全日本選手権への意気込みを一言お願いします
目標はあまり人には言わないので…頑張ります!
5:石橋広陸(スポ4=愛知・豊田北)
――きのうのレース後の心境はいかがでしたか
悔しい気持ちはあるんですけど、どうしても悔しいだけだとなかなか次の日へ進めないというか、攻めていけないと思ったので、その気持ちはしまって、きょうの順位決定で1位になることだけを考えて気持ちをうまく切り替えました。
――レース後のクルーの雰囲気はいかがでしたか
負けた瞬間はみんなどうしても悔しいという気持ちはあったんですけどそこからミーティングをしまして、もう一回あした頑張ろうということで意思統一はできました。準決勝の時は予選、敗者復活戦でできなかった攻める姿勢が体現できましたので、その形をしっかり順位決定戦でもやっていこう、そして攻めたうえで2クオーター3クオーターの真ん中1000メートルを耐えていこうということを話し合いました。
――きょうのレースを振り返って
大きなミスとかはなかったんですけど、クルーのユニホーミティであったり統一感っていうところが慶大さんに一枚及ばなかったかなと思います。こちら側も攻めたんですけど慶大さんにも前半からいくということで、そこで半艇身かキャンバス差ぐらい出たところで1000メートルまでいって、そのあたりから艇身差が開いていってしまいました。
――今インカレはどういった大会でしたか
なかなか思うようにいかなくて、どちらかというとつらいというか、後ろ向きな言葉は良くないですけど気持ちは前に行ってるけどボートは進まないというもやもやした感じはありました。
――全日本までに集中して取り組みたいことはありますか
この後どうなるかはこれからのミーティングで決まるのでなんとも申し上げにくいんですけど、個人的には日大であったり明大といった強い大学は一本一本でコンスタントでスピード伸ばしている感じがしていて、それが僕たちには足らないと思うので、その練習を補えるようにやっていければなと思います。/p>
――全日本への意気込みをお願いします
全日本ではボート生活最後になってしまうので、今までは次が次がってあった思うんですけど、全日本ではもう次がないので、一切後悔を残さないように頑張っていきたいと思います。
B:得居亮太(法4=東京・早大学院)
――今大会の結果を受けていかがですか
クルーとしては優勝を掲げていたので、そこには到底及ばない結果だと思うので、残念というか悔しいというか今はそんな気持ちです。
――予選と敗者復活戦とあまり良くない結果になってしまいましたが、きょうはどのように気持ちを立て直して臨まれましたか
準決勝で覚悟を決めて挑んだのですが負けてしまって。あそこでクルー全体としてちょっと落ち込んでしまった部分はあったのですが、きょうの相手は慶大もいるということで、向こうも死ぬ気で来ると思うからそこには絶対打ち勝っていこうと。全員で気持ちをもう一回盛り立ててきょう臨みました。
――今はやり切れない思いが強いですか
そうですね。やり切れないというか、準決勝の漕ぎが予選でできていればなとか、いろんなことを思うことはあります。まあ結果は結果なのでしょうがないかなという感じです。
――バウから見て今大会のレースに対してどのような印象を持たれましたか
良くも悪くも練習で出ていることはそのまま出てしまったのかなという感じです。自分たちはいいスピードというかパワーをしっかり持っていて、これが準決勝のスタートの場面では出せたと思います。ただ予選、敗復の時は逆風ということもあり、自分たちの弱点のブレードワークが乱れやすい環境だったのですが、難点というかブレードワークの乱れが出てしまって艇が伸びなかったかなという印象です。
――大会中にクルーで話し合われたり、ご自身から意見を言ったりすることもありましたか
予選、敗復と良くない内容が続いたので準決勝でなんとか一矢報いたいという思いでした。敗復が終わった日の夜には、大きな変更はしていないのですが、気持ちや覚悟の面でクルー全員でスタートを決めて、最初の500メートルで絶対に出ると決めて臨みました。
――その最初の500メートルは上手くいきましたか
きょうも昨日と一緒のレースプランで行こうとしたのですが、やっぱり慶大が速くて。並ぶかたちで500メートルを通過したのですが、そこでちょっと上手くいかなかったかなというか、ちょっと上手くハマらなかったかなという部分はありますね。
――ご自身にとっての最後の全日本大学選手権が終わりどのような心境ですか
やはり悔しい気持ちが今はもうほとんどです。
――引退まであとわずかとなり最後の大会である全日本選手権(全日本)も控えています。そこまでにやり切っていきたいことはありますか
今回こういう悔しい思いをしたので、全日本では絶対に同じような思いはしたくないなと思っています。きょうの気持ちというのは忘れずにこれから約2カ月練習して最後の大会を迎えようかなと思います。
【男子舵手付きフォア】
B:有田雄太郎(法4=東京・早大学院)
――きのうの準決勝を振り返っていかがですか
準決勝は全体で結果的に2番目のタイムだったということで、非常に自信のついたところでした。日大という圧倒的に強い学校と当たるというのは予選の結果から分かっていたので、それに合わせてレースプランというのも一から考え直して常に攻めていこうという姿勢で臨んだので、結果的に満足のいく漕ぎができたのかなと思う反面、スタート1本は決まらなかったりだとか、自分が途中で腹を切ってしまったりだとかというミスが少しあったのであれだったんですけど、全体としては攻め切れたいいレースだったと思います。
――準決勝で負けてしまった後、クルー全体でどのように切り替えていきましたか
全員素直に悔しかったんですけど、ただ自分たちがやることはできたというのが正直な印象で、自分がミスをしたので「すまん、ごめん」とか言ったんですけど、前の2年生の3人が気にしないでくれて、あしたがあるのであした頑張りましょうと水上で切り替わっていたので、非常に心強く切り替えられたかなと思います。
――他が全員2年生ということで、4年生として精神的支柱になられたと思います
自分が4年生1人というのは春の早慶戦のセカンドエイトから状況は変わっていなくて、そのときから大切にしているのは、自分は4年生だけれども水上では学年関係なく一人一人が主体的になってほしいということを言っていて、それをみんながしっかりと意識してやってくれたのかなと思います。結果的には4年生1人なんですけど、水上ではお互い全員が信頼しあっていたので比較的やりやすい環境でした。自分が言ったことに対して素直に受け入れてくれたので、本当にやりやすくてみんなが成長してくれたクルーだと思います。
――きょうの順位決定戦を振り返っていかがですか
今まで予選、準決勝と常に最初の第1クオーター、0メートルから500メートルの区間というのは全体を通してもトップタイムで入っていたんですけど、きょうに関しては隣の2レーンの日体大に出られてしまったところから少し焦りというのがあって、あともう一つ、いつも逆風の中だったんですけど、きょうはほとんど静水だったということで、コンディションが変わった中でしっかりと水をつかみ切れなくて漕ぎが短くなってしまったということが今回の敗因だと思っています。それも全員が感じていることなので、まあ焦りが出てしまったレースだったかなと思います。
――コンスタントで遅れた要因は何だとお考えですか
周りも(スピードが)上がったというのもあるんですけど、自分たちは第2・3クオーターから落ちてしまうというのが課題だったので、その課題が顕著に出てしまったのかなと思います。後は先ほど言った焦りから漕ぎが短くなってしまったというところで1本1本伸ばすことができなかったのかなと思います。
――下級生の多いクルーで2カ月間やってきていかがでしたか
最初はテクニックであったりとか、ボートに対する考え方であったりとか意識レベルが全く違っていて、正直最初教えるのはすごく大変だったんですけど、徐々にみんなが意識することであったりとかクルー内でのコンセンサスというのを全員が共有し始めてきて、最後は一人一人が成長してクルーの一員として戦ってくれたので、コックスのジン(徐銘辰、政経2=カナダ・St.Andrew‘s highschool)を含めて非常に成長したなと思いますし、自分自身も成長できたのかなと思います。
――きょうの結果を受けて今後どのような練習をしていきますか、
今後のクルーもあと残り全日本選手権しかなくて、今後はクルーがどうなるかわからないんですけど、今回最後のレースで見えた課題は多かったので、そこをしっかりと潰していけるように意識レベルを保ったままやっていきたいと思います。
――最後に今後への意気込みをお願いします
残り50日しかないので、自分の7年間のボート生活の最後の集大成として最後までしっかりと取り組んでいきたいと思っています。
【男子舵手なしフォア】
尾崎光(スポ3=愛媛・今治西)
――本日の決勝への意気込みはどのようなものでしたか
クルーの目標として優勝を掲げていたのですが、きょうAファイナル(決勝)に残れたことで少し安心してしまったところがあったかもしれないと思います。Aファイナルに慣れていないメンバーだったので、きょうはいつもの力が発揮できなかったと思います。
――尾崎選手から見て、クルーに緊張は感じられましたか
自分はクルーキャプテンという立場というのもあって、自分は落ち着いてしっかり周りを見ていこうと思っていました。なので自分が雰囲気にのまれるようなことはなかったのですが、クルー全体として硬いなと感じる部分はありました。それをほぐしてあげることができなかったと感じます。
――具体的なレースプランのようなものはありましたか
どこも自分たちより力のあるクルーだと思っていたので、最初からもっと仕掛けていかなければならないと思っていました。前半はそうやってしっかり付いて行って、後半で離していけたらと思っていました。それが実際は、最初から他艇に出られてしまって、思っていた通りにレースをすることができませんでした。
――では実際のレースを振り返っていかがでしょうか
最初の500メートル、800メートルくらいまでは仙台大さんと並んでいてまだ勝負できるかなって感じだったのですが、その後踏ん張り切れなくて、そこで勝負が決まってしまいました。
――決勝レースの前にクルーで話をしたりはしましたか
毎レースごとに、前のレースの反省とかどういう風に臨むかっていうのを話し合っていました。決勝では、まずはここまで残れたことに自信を持って、Aファイナルというこんないい環境で漕げることってめったにないので、まずはしっかり自分たちがここまでやってきたことを出し切ろうと。この大会を通して、自分たちの思い描く漕ぎがだんだんとできるようになっているところだったので、もっと良くしてAファイナルでいいレース、自分たちにできる限りいいレースをしようと話していました。
――だんだんと理想の漕ぎができるようになったということですが、きのうのレースときょうの決勝でのレースとを比較していかがでしょうか
きのうの方がしっかりと自分たちのレースができました。きょうはやはりAファイナルの空気に慣れない中で硬くなってしまって、他艇に負けたというよりも自分たちで自滅してしまった感じです。なので率直に、悔しいですね。
――このインカレ全体を振り返って、クルーで得たものや見つかった課題などはありますか
詳しくは自分も分からないのですが、全日本までに日があるのでクルーを組み替える可能性も否定できないです。インカレを通して感じたことは、初めてクルーキャプテンという立場で乗らせてもらったのですが、この大会にピークを合わせることの難しさを感じました。練習でいかにいいパフォーマンスができたとしても、インカレという大きな舞台でそれを発揮できないと意味がなくて。最初は雰囲気にのまれて自分たちのレースがしにくかったのですがきのうまで日に日に良くなっている実感はありました。でもやっぱり短期間で改善することの難しさは感じました。
――最後に、全日本に向けての意気込みをお願いします
今大会で、自分に足りないものというのを実感して、もっと練習の質を高めていかないとこの決勝の舞台では戦えないなと思いました。このままだときょうの繰り返しになってしまうな、と。自分の具体的な課題はパワーであったりテクニカルな部分の技術なのですが、そういった部分でも質を高めてやっていきたいと感じました。
【男子舵手付きペア】
S:金子怜生(社3=東京・早大学院)
――今大会を振り返って、感想をお願いいたします
目標としていた表彰台ないし3位以内というものには届かなかったのは悔しいです。
――本日のレースプランはどのようなものでしたか
準決勝でもそうだったのですが、スタートから飛ばしてリードを奪い、自分たちの漕ぎができるようにしました。順位決定戦ではスタートがうまくいったので、ペースを保つことができました。
――では、スタートにおいて予選、準決勝から改善したところはどのようなことろでしょうか
準決勝ではピッチを上げようとしたのですがそれが失敗したので、順位決定戦ではピッチを上げつつも一つ一つの漕ぎを丁寧に、進むようにしました。順位決定戦は、今大会の中で一番の漕ぎができたと思います。
――では次の試合になる全日本選手権に向けて、意気込みをお願いいたします
全日本(全日本選手権)で、今回と同じクルーになるとはまだ決まっていないのですが、そこでしっかり勝負ができるように練習していきたいと思います。
6:伊藤光(文構3=東京・神代)
――本日の準決勝にはどのような意気込みで臨みましたか
準決勝で2位に入れたら次に順位決定戦があるんですけれどあまりそれは考えていなくて、準決勝で全て出し切ろうと。次のことを考えるんじゃなくて、朝のこの1本目に全てを懸けるつもりでいこうと思っていました。
――それはクルーの皆さんで話し合ったことでしょうか
そうですね。取りあえずこの1本に集中しようと話していて、その通り出し切りました。
――具体的なレースプランのようなものはありましたか
2000メートルのうち最初の1500メートルをとにかく頑張ろう、残り500メートルのラストスパートはどうにかなるといった感じです。とにかく1500メートル突っ込んでいって頭を取ってから漕ぎ切ろうと。ただ実際は一橋大が1000メートル地点くらいからずっと見えていて、ラスト600メートルくらいでスパートに入りました。いつもより100メートルくらい早くスパートをかけて、ぎりぎり差し切れなかったんですけど結果的にロングスパートをかけたかたちです。
――終盤はかなり追い上げ、一橋大とのタイム差も縮まっていました
最初は1艇身くらい出られていたんですけれど、1200メートルくらいから半艇身くらいまで迫っていて。その時に2番の舩越(湧太郎、社1=滋賀・膳所)の「行けるぞ」って声がみんなに聞こえて、そこでみんな希望を見出して、あの瞬間「絶対にあきらめない」と(クルーが)まとまったのを感じました。エイトって8人縦に並んでいて端の方は普通声も聞こえづらいのですが、なぜかその時はものすごいはっきりとストロークにまで聞こえて。その瞬間「ここから上げていくしかない」って思いましたし、実際レートも2枚くらい上げて、全員で出し切りました。
――最初に目標にしていたという「この1本で出し切る」というのはできたということですね
はい。結果はどうであれ、コックスも「全員の出し切るんだって気持ちが伝わってきた」って言っていましたし、いいレースだったのではないかと思います。
――昨日は「攻めの漕ぎができなかった」という反省があったとお伺いしましたが
スタートはうまく決まらなかったのですが、最後競った時に攻める漕ぎをできたと思います。やっぱり途中でレートを上げるってつらいんですよ。第3クオーター、第4クオーターは体力的にもきついところで。でもそこでみんなを信じて、誰一人抜いた漕ぎなんてしないって信じて自分の力を全員が出し切れたのがこのクルーの良かったところだと思います。
――このクルーを組んでからの2か月で最も大変だったことは何でしたか
やっぱり未経験の1年生が2人いて、経験ある子でもスカル種目からスイープ種目になるという違いもあってその難しさを痛感していたと思います。エイトって8人で、ボート競技というのは人数が増えれば増えるほどコミュニケーションとかそういった部分でまとまらないと走らない艇なので、コミュニケーションだったり学年の差っていうのをうまくまとめていくことですね。冨田さん(剣志、スポ4=愛媛・今治西)がまとめて下さって自分がそれをサポートするというかたちでしたが、そこが一番大変だったことです。
――最後に、伊藤選手ご自身の今後の目標をお願いします
あさってからクロアチアに遠征に行くんですけれど、それが終わったら全日本があってたぶん出るのでそこでしっかり結果を残して、来年の早慶戦(早慶レガッタ)と軽量級(全日本軽量級選手権)、インカレでしっかり結果を残せたらと思います。
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