【連載】インカレ直前特集『One for Oar』 第2回 1×:安井咲智

漕艇

 1年生ながら全日本大学選手権(インカレ)のメンバー入りを果たした安井咲智(スポ1=東京・小松川)。「全力で楽しんでいきたい」と話す表情はプレッシャーを感じさせない。あこがれだった早大の一員として初の大舞台に挑む、その心境を伺った。

※この取材は7月29日に行われたものです。

「ドキドキワクワクな」はじまり

1年生ながらシングルスカルとしての能力はかなり高い

――大学に入り数カ月経ちましたが、大学生活は慣れましたか

 そうですね。大学生になってから朝から練習するということを初めて体験して、最初の方は朝早く起きる習慣が身についていなくて、ちょっとドキドキしながらやっていたのですが、最近はちょっと慣れて決まった時間には起きられるようになりました。サイクルがうまく作り始められたかなと思っています。

――ちなみに朝何時に起きて練習されているのですか

 早かったら3時半です。遅かったら5時半とか6時に起きています。

――一人暮らしだと思いますが、一人で起きることは難しいこともありますか

 そうですね、結構。目覚まし時計を5個くらいかけて、最初止めて、ちょっとうだうだして、また止めてって(笑)。

――では、春のシーズンについてお伺いします。春はお花見レガッタ(お花見)や全日本軽量級選手権(軽量級)に出場されていたと思いますが、全体的に振り返っていかがですか

 お花見は初めて早稲田大学として出させていただいて、早稲田大学というブランドがある以上先輩たちが築いてきたものにしっかり合わせていけるように、しっかり結果を残そうと思っていてちょっとドキドキワクワクな感じのレースでした。軽量級は、私はシングルで出場したので、自分の中での目標を立てて、大学生になって2カ月経っていたので、その2カ月で早稲田大学として少しだけでも学んだ技術を少しでも出そうと思っていました。それで順位(全体6位)が得られたのは良かったのかなと思います。

――技術面や精神面において、収穫や課題などはありましたか

 先輩たちはインカレや全日本(全日本選手権)で優勝という経験をしていて、高校生の時は総体では毎回優勝クルーって変わるんですよ。インカレ、全日本は優勝クルーがだいたい決まっていて、早大はその中でも毎年毎年連覇しているので、そのプライドと、そこに向かう自分たちの気持ちの持っていき方っていうのを最近すごく感じることができているのかなと思います。女子の中の早大としては、一つになってチーム全体としてという気持ちが強いです。クルーというより、女子全員で一つの掲げている目標に向かって全員で頑張っていきたいです。

――早大というチームの一員として、話されていましたが、どのような時に自分がチームの一員なんだとか、早大というチームを感じますか

 真面目なことをしている時ではなくて、女子で昨日も女子部会というのをやって、先輩たちと一緒にフリーにトーキングする時間があったのですが、その時に先輩たちと上下関係ばかりではなくて違うところでも一緒の組織にいるんだなと。先輩も私たちのことをしっかり迎えてくれているし、私たちのボトムアップをしようという気持ちを持ってくださるので、そういう気持ちを練習以外で見れた時に私は組織の中にいる、早大の中にいれているなという気持ちになります。

――女子部会というのはどのくらいの頻度で開かれているのでしょうか

 私たちはまだ1回しかやれていないのですが、年度によって4年生の先輩方がやろうとなって開かれているのかなと思います。

――早大を目指した理由はありますか

 私は東京出身で高校も東京で、この戸田を高校生の頃から利用させていただくことが多かったのですが、その時にやはり覇気があって女性らしい強さが見え、練習1つ1つを真剣にやっていたのが早大でした。そういう組織の中に自分が入ることができたら自分自身も成長できるし、チームとして頑張っている集団の中に入って、大きな集団の中で部のためにということを考えながら大学生活を送ってみたいと思ったからです。

――同期である1年生の雰囲気はどのような感じなのでしょうか

 仲めっちゃいいです。女の子だけで8人もいるので…(笑)。

――先輩はどういった方が多いですか

 早大の女子の先輩って一つ目標を掲げている以上、その目標に向かって全員で頑張っていこうと考えていて、誰か置いていくんじゃなくて全員が同じ目標に迎えるように意識を向かせて、何かあるたびに些細なことでもしっかり軌道修正をさせてくれる先輩が多いかなと思います。

――実際に早大に入ってみて、高校のことに抱いていたイメージと違ったところはありますか

 思った以上にオンとオフがあって、もうちょっとクールな先輩が多いと思っていたんですけど、入ってみたらおしゃべりがすごく好きで先輩後輩でいじることもあったりとかもあって、練習後とかのさりげない会話が意外だなというのはありました。

――一人暮らしをされているかと思いますが、練習と勉強の両立のために工夫しているところはありますか

 私は授業後に料理を作っています。この春授業を取りすぎてしまって、結構練習が終わるのが遅くなり、料理をする時間が遅くなって、寝る時間も削られてしまうといった良くないサイクルがどんどんできてしまうので、時間があるときに作り置きをしてできる限りすぐに食べられるようにしています。

――どんなものを作り置きされるのですか

 ひき肉とかもジャンボサイズで買って、3品とか4品とかに分けて作っています。こないだささみは、ささみのサラダと、ささみの照り焼きとか、焼きと合えとってちょっと(ジャンルを)変えて作っています。

――レシピを見て作られるのですか

 レシピを検索して、こういう感じで作っているのが分かったら、見ているとまた時間がかかってしまうのでレシピを置いて自分の好みの味に寄せてつくっています。

――忙しい生活だと思いますが、オフの日には何をされていますか

 ちょうどきのうがオフだったのですが、レストがない組でカラオケに行きました。みんなで行ったのは初めてでした。

――息抜きとしては何をされていますか

 本や漫画を読むのが好きなのと、ディズニーがめっちゃ好きでディズニーのキャストさんの演出を見ていたりします。

「自ら考えて成長していきたい」

軽量級では、シングルスカルで学生トップとなる全体6位に入った

――Facebookでの新入生紹介ページで、「入部してから1カ月あまりで私の目標は日本一のためばかりでなくて、人間的に成長することも目標の1つ」と考えが変わったことも書かれていましたが、具体的にどのようなきっかけがあって考えが変わったのですか

 あいさつや先輩に対して敬意を払うことと、周りが今どのような状況かというのを見て行動を取るようにしなきゃいけないなというのを先輩方を見て気付くようになりました。この空間にいれば人間的にも成長できるんだろうなと思いましたし、自ら考えて成長していきたいと思いました。

――現在インカレまで1カ月切っていますがどのようなことを練習していますか

 ベースは監督やコーチ陣の方が考えてくださっている練習メニューを行っています。その中でも、前まで自分の自主トレが10分でもできるような空間があるので、その時に自分のまだ足りない技術であったり、先輩に近づいて行けるように、先輩と同じ舞台で組めるように、ちょっとしたところで際際を上げられるようにしています。

――もうすぐ合宿があると思いますが、合宿で重点的にやりたいことはありますか

 想像以上の長さを感じると思うのですが、その長さに耐えるために、自分の中で納得がいかないままをズルズルと引っ張らない、1回の練習で目標を決めて低い目標でも達成して、その達成感を持っていけるようにしたいです。

――インカレではご自身のどういった強みを生かしたいですか

 私は試合の目前も緊張しなくて、自分が楽しめればいいじゃないですけれど、自分が楽しかったときこそいいベースができているので全力で楽しんでいこうという考えを持って試合に臨みたいです。

――インカレに向けて一言意気込みをお願いします

 インカレというものには初めて出させてもらうので、フレッシュさじゃないですけど、怖さを知らないことを強みとして勢いよく漕ぎ切っていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 加藤佑紀乃)

元気いっぱいの姿勢のまま、本番でも活躍してくれることを願います!

◆安井咲智(やすい・さち)

1998(平10)年7月24日生まれ。159センチ。東京・小松川高出身。スポーツ科学部1年。シングルスカルで出場。漕艇部の1年生女子は8人と人数は多いですが、安井選手曰くとても仲良しなんだとか。ただボケが多くてツッコミが追い付かないことが唯一の悩み事、ともお話ししてくれました!