【連載】インカレ直前特集 『Row out!』 第8回 3:石上璃奈×2:木下美奈×S:木野田沙帆子×S:田口えり花

漕艇

 『女王ワセダ』に、もはや負けは許されない。全日本大学選手権(インカレ)7連覇中、昨年には史上初の全種目制覇を達成した女子部にとって、この四人がもたらす力は絶大だ。木下美奈(スポ3=山梨・富士河口湖)、石上璃奈(スポ3=長野・下諏訪向陽)、木野田沙帆子(スポ3=青森)、田口えり花(商3=埼玉・浦和一女)。チームの主力として活躍し続ける選手たちからは、優勝に懸けるはっきりとした思いを聞くことができた。

※この取材は8月28日に行われたものです。

「楽しく漕げている」(木野田)

ことしもダブルスカルで出場する木野田

――インカレが近づいてきましたが、最近はどのような練習をされていますか

田口 私は舵手なしペアでの出場で、周りのように乗ってすぐに追い込める状態ではないので、合わせるのが難しかったです。そこで、低いレートでゆっくり合わせていく練習から始めました。最近では少しずつ速いレートにも対応させて、他の皆と同じメニューに入っています。

石上 (木下)美奈と同じクルーなのですが、美奈が腰を痛めてしまって。最初とシート順を変えて新しくやり始めて、最近やっと漕ぎ込みができるようになりました。レートを上げて少しずつ合って来て、楽しくなってきたというかまだこれからですが良くなっている感じがして、良い感じに進んでいるとは思います。

木野田 まだ1カ月先なのでハイレートの練習はあまりできていませんが、低レートでもしっかり漕ぎ込みを入れつつハイレートの練習を入れて、細かい部分で合わせていく練習を中心にやってきています。

木下美 石上から説明があったように8月上旬に腰のケガがあったんですけど、徐々にリハビリメニューをして最近は乗り始めました。シートを変えてだんだんフルメニューをこなせるようにしてきたので、9月の合宿ではフルメニューで追い込んでいけたらいいと思います。

――皆さんの調子はいかがですか

田口 合宿前で疲れが溜まっているところはあります。4年生の土井さん(鈴奈、教4=埼玉・浦和一女)と乗らせていただいているんですけど、息や体の動きや雰囲気を含めて合ってきたという感じがして。調子はいいと思います。

石上 一番前のストロークの背が高いので、合わせるのが難しかったです。でも最近リズムや長さをつかみ、気持ち良く漕げるようになってきたのでいい感じかなと。調子は良いと思います。

木野田 私は1年生とのクルーで、2個下となると若いので、若さについていくのが必死で。その中で楽しく漕げているので、調子は上がってきているのかなと感じます。

木下美 クォド(舵手付きクォドルプル)は5人で声の掛け合いが多いので、誰かが声を掛けた時にガッと変わるのが良いと思っています。順調に追い込めていると思います。

――取り組んでいる課題などはありますか

木下美 個人的な面では、大学に入学してからずっと上体を開いてしまう面があって。そこを意識しているので、継続していきたいです。全体としては、前から立ち上げたときにスピードに乗れているので、合宿でも追求していきたいと思います。

木野田 私たちは二人ともパワー系といいますか、力を入れるのは得意なのですが、体力的な部分などでは他のクルーと比べて劣る部分があって。そこを課題として、優勝という目的に向けてペアで話し合って解決してきた段階です。

石上 木下も言っていたように、キャッチを早く入れて立ち上げることをクルーとしてやっています。それが続くように意識して、集中し続けたいと思います。

田口 個人としては、去年のインカレ、全日本選手権、早慶戦はバウサイドを漕いでいました。しかし今回のインカレからストロークサイドに転向して、土井さんと漕いでいくことになりました。真逆の動きをすることが初めは難しく、バウサイドを漕いでいたときの動きのクセがまだ残っている部分があります。そこをバウサイドのときの鏡写しの漕ぎ、むしろストロークサイドの方がうまくなったねと言われるように意識しています。また、土井さんと私は様々な点で正反対で楽しい部分もあるのですが、漕ぎにも違いがあって。私はキャッチで船をつかむように進んで、前の方が長いんですけど、土井さんは押し進める感じで後ろの方が長く漕ぐので、二人で歩み寄りながら船を進めていくようにしています。

――早慶レガッタの感触はいかがでしたか

木下美 初めてスイープで、しかも隅田川は荒れるのでハイフェザーを高く取らないといけなくて、バランスの面などを含め気になることは多かったです。実際に隅田川で1回練習した時に感触をつかめたのが良かったと思います。

田口 部員8人で集まって同じクルーで話し合うことが今までほとんどなかったので、その点では良い経験ができました。同期2人とレースに参加したのも数回しかなかったので、長期的に行っていくクルーとしては良い経験ができたと思います。当日私が乗っていたシートのオールを固定するリガーの部分が、根元からポキッと折れてしまって、それもアップの終盤に気づきました(笑)。4年生の亀本さん(咲季子、人4=埼玉・浦和一女)の尽力で予備に替えてもらって、それでいざ漕ごうと思ったらフェザーが返らなくて。ノンフェザーで1000メートル漕ぎ通したという思い出ができました(笑)。

木下美 何が起こるかわからないのが隅田川ですね。(笑)

――それで腹は切りませんでしたか

田口 なんとか…。インハンドはパンパンになりましたけど(笑)。

――3年生になってからここまでに自身で点数をつけるとしたら何点ですか

石上 50点ぐらいだと思います。早慶戦のあたりでは腰がヘルニアで出場できなかったことと、東日本選手権でもトラブルがあってしっかりしたレースができなかったので、まだまだこれからだという意味で半分の50点くらいだと思います。ケガはたまに痛むときはありますけど、ほとんど完治しています。

木下美 60点くらいかな。ことしに入ってから早慶戦、軽量級(全日本軽量級選手権)と並行してあったオープントライアル、東日本の3本のレースをやって。結果もですが、徐々に昨シーズンからの課題としていた自分の漕ぎが明確に分かって、取り組めてきたという点で成長できたと思います。あとは、そこをつぶしていかないと勝てないので60点くらいだと思います。

木野田 私も石上と同じで50点ぐらいです。ケガとかで離脱はないんですけど、自分の理想の漕ぎにまだ近づき切れていないところがあります。ダブルのクルーを組んでいても2人のコミュニケーションがもう少し円滑に進むのではないかとかの課題がまだあるので、50点と点数をつけています。もしインカレで優勝できれば加点されて100点になるかもしれませんが、今はまだ過程の段階なので50点くらいかと思います。

田口 みんな同じくらいで低めな点数ですけど、私も60点くらいだと思います。早慶戦で勝てたという冒頭から、軽量級と国体の県予選でも負けてしまって、東日本選手権もあまりいい結果を出せずここまできています。その中で50点じゃなくて60点という点数をつけたのは、今までは乗ったクルーで、ガツンと意見をそのまま言っていた面があったのですが、どうすればクルー全員がまとまって同じものを目指していけるかを考えて成長できた部分で加点しました。インカレ選考でも自分の力を出し切れるだけの準備はできていたので、そこも自分に加点してあげたいなということで、60点にしました。

――4月の下級生の入部により、心境に変化はありましたか

田口 艇庫を歩いていて後輩が多いと感じます(笑)。「お疲れ様です」と声を掛けるより「お疲れ」と声を掛けることの方が増えていて、「後輩多い…」と感じることが多いです。

石上 2年生も可愛いんですけど、1年生はさらに年が離れている分、孫みたいに感じることがあります(笑)。

木下美 来年になったら最上級生になって、3個下が入ってくると思います。中学・高校では2個下とは接してきたけど、3個下が入ってくると未知だよね(笑)。責任をきちんと持たないといけないなと思います。

「女子はよく歌う(笑)」(木下美)

笑顔で質問に答える木下美

――昨年のチームと比べて今年のチームの雰囲気はいかがですか

木野田 去年は圧倒的な二人が部全体を引っ張っていたのですが、今は紫生乃さん(佐藤女子主将、スポ4=宮城・塩釜)中心に4年生が下から部員を支えてくださっている印象があります。

木下美 確かにそれは感じます。

石上 『引っ張っていく』というより全員で話し合いまとまっている感じがあります。

田口 去年は相模湖合宿の中で「実はこう思ってた」というのを話し合って、皆でまとまってインカレに向けていけました。私は正直、今はまだ遠慮し合っている部分がなきにしもあらずなのかなと思うので、合宿などでこれからまとまっていけたらいいと思います。

――3年生全体の雰囲気はいかがですか

木下美 何だろう。女子はよく歌う(笑)。個性的な人が多いかな。

田口 きのう就活セミナーみたいなのがあって、そこでやった性格診断で、普通は1割くらいしかいないといわれるオープン・クリエイティブなタイプの人が4人くらいいて。同期が20人くらいなんですけど、5分の1がそれにあたってしまうという…。すごく個性的というか、主張が強いんだと思います。

木野田 それぞれプラスにもマイナスにも、いろんなタイプの人間がいて、それでバランスが取れている感じがあります。楽しいですけどね(笑)。

石上 わちゃわちゃしてる。

――お互いのイメージはどのような感じですか

一同 去年もあった気がする(笑)。

田口 そんな質問が来るとは!って感じだったよね(笑)。

――まずは木下選手のイメージからお願いします

田口 つらいことをあまり表に出さない感じがします。怒ったり、悲しかったり、嫌なことなどを外に出さないで、ちゃんと自分の中に秘めて解消できるような自立したイメージがあります。

石上 すごくプラス思考で、大変なことでも「頑張ったら自分にご褒美!」みたいな感じで、自分で頑張る理由を見つけられる人だと思います。

木野田 木下は優しくて、基本的に人のことを否定しない人なので誰からも受け入れられる人間なのかな、と思います。

木下美 素直に照れました(笑)。

田口 あと、桃製品に関する情報がすごく早いです(笑)。

木下美 そうですね。ことしはスタバの桃が出ていないので少し悲しいです(笑)。

――木野田選手のイメージはいかがですか

石上 よく周りが見えている人ですね。

木下美 沙帆子は視野が広くて、何かを行うときに効率良くまとめることができる人だと思います。

石上 学年会を開くのも沙帆子がいないと絶対やらないだろうし、仕切ってくれるのが彼女だと思います。

田口 企画を行動に移せる実行力があるのが沙帆子です。

――石上選手のイメージは

田口  前はもっとふにゃふにゃっとしたイメージだったんですけど、後輩が入ってきてから先輩としての行動を心掛けていることが伝わってきます。東日本選手権の時に急きょ彼女がストロークになってしまって、後輩の前では「頑張るよ!」みたいな感じだったんですけど、私といるときに「頼りにしているから」と。すごく不安だったはずなのに、後輩の前では強い先輩でいることに感化させられました。

――石上選手自身も後輩の前で意識している部分はありますか

石上 東日本選手権では1日前くらいにストロークになって。後ろを漕ぐ後輩たちが不安なまま漕ぐのはまずいので、自信を持って後輩に接していました。

田口 後輩をご飯に連れて行ったりするのとかも多いよね。

――最後に田口選手のイメージはいかがですか

木下美 努力家かなって思います。ビデオを人一倍見たり、スイープでバウサイからストサイに変わったんですけど、自分のできることを増やしていくためにコーチに早く来てもらって指導してもらったり、そういう部分で頑張れるのかなと思います。

木野田 自他ともに厳しいです(笑)。自分に厳しい分結果を出していて、1年生の田口を見たら今の田口になるなんて想像できなかったし、性格的にも、自分で課題を見つけ努力する部分に関しては、誰よりも長けていると思います。

木下美 たまに寂しがり屋(笑)。

木野田 常にだよ(笑)。

木下美 結構かまってちゃんなところあります。

田口 いつもご迷惑をお掛けしています(笑)。

「にぎやかな面々です」(石上)

独特な雰囲気が魅力の石上

――プライベートで仲の良い方はいらっしゃいますか

木下美 この前3年女子5人でプールに行ってきました。来られなかった人もいたんですけど、日程調整して。

――オフの日はどのように過ごされていますか

木下美 映画を見るのと、あと私はすごくDVDが好きで。最近はそんなに借りてないんですけど、ひどいときは週に3本借りることを繰り返します。

木野田 私は極端で、家にずっといるときは掃除したり料理したりして家にこもるんですけど、外に出る日は自転車でも電車でも行ったことのない街を開拓しています。

田口 戸田詳しいよね(笑)。

木野田 いろんな道を冒険しているので、こう行く方が早いとか分かります。

木下美 近道を教えてくれる(笑)。

――石上選手と田口選手はいかがですか

石上 私はDVDをよく見ていますね。毎回見ています。遊びに行くときもありますけど…。家でダラダラしています。

田口 私は日によっては昼頃まで疲れて寝てしまうこともあります。最近は少し勉強しなきゃという気持ちが芽生えてきました。ゼミで簿記の資格を取らなければいけないんですけど、それに1回落ちてしまったので、その勉強をしています。

――去年はパーティーや女子会などをされているとうかがいましたが

木野田 学年で集まったり、3年女子で集まったり、去年より規模が小さくなっていますがそういう集まりはしていますね。

田口 学年会のときは沙帆子が艇庫の厨房を使って餃子を焼いてくれました。

木下美 『キッチン沙帆子』って呼ばれてたね(笑)。

――女子の選手は一人暮らしとうかがっていますが、家では何をされていますか

石上 寝ています。

一同 (笑)。

田口 今までの人生で、高校時代は特になんですけど、家に寝るために帰っていた部分が大きかったので、家に帰ると寝ちゃう部分が…。きのうはゴキブリ退治をしていました(笑)。

木下美 出たの!?

田口 出た! きのうの夜。

木下美 まだ出ていないです。

木野田 私も出ていないです。見たこともない。死んだやつしかない。

木下美 青森出ないの?

田口 家に出たとき死ぬよ(笑)。

木下美 彼女(田口)の部屋は4階なのに。やっぱり家にいる時間って女子部はそんなに長くないのかなと思います。家にいるときはごはん作って食べたり、寝たり、時間空いたときに私はDVDとか見てつぶしています。

――部内ではやっていることはありますか

木野田 ことしはあんまり…。1年生の頃とかはようかい体操とかやっていましたけど。

木下美・田口 あー、あったね。

木野田 3年女子の中ではやるものが毎年あるんですよね。

田口 3年女子、合宿に行くと何かはやる。

木下美 一緒にいる時間が増えるので、そのとき一つのことをシェアして(笑)。1年の時はようかい体操で、2年の時はビジュチューン?

木野田 NHK教育テレビで『ビジュチューン』っていう番組があるんですけど、それをみんなで見て。歌なんですけど。

田口 芸術作品や大仏、仏像、モナリザ、そういうのがシュールな感じで歌われている、『みんなのうた』みたいな感じです。それをみんなで歌ってひたすら楽しむっていう(笑)。

木野田 ことしはまだないですね。これから合宿があるので、何かあるかもしれません。

木下美 基本は歌だね。

石上 にぎやかな面々です。

――部内でおしゃれな方は誰になりますか

田口 みんな私から見たらおしゃれに見えちゃう。

木野田 確かにみんなおしゃれな気がする。川田さん(悠太郎、国教4=東京・早大学院)とかは?

木下美 確かに。正装になってもおしゃれに見えちゃう(笑)。

田口 確かに学ランなのにおしゃれ。でもあんまりみんなの私服見ない…。1年生の大野絢乃(スポ1=愛媛・松山東)がおしゃれとはちょっと違うかもしれないんですけど、Tシャツがいつも派手っていうか。色がはっきりしているやつを着ていて、赤と黄色とか。

木野田 腕時計も黄色なんですよ。原色を使いたがるというか、色使いが上手なんですよ。

田口 黒いズボンが一着しかないらしくて、この前白黒を着ていた日に、石上が「なんかきょう元気ない?」って聞いたらしくて(笑)。

木下美 それ私も聞いた。「さっきガミさん(石上)にも言われたんですよ」って(笑)。やっぱりそのせいか。同期に三上(千沙、スポ3=青森)っていうトレーナーがいるんですけど、その日大野に話しかけられた時、一瞬誰だか分からなかったらしいです。いつもと色が違うって(笑)。

――日常生活で心掛けていることはありますか

木下美 栄養バランスを良くするためにご飯を頑張るとか…。

田口 私はゴミを拾っています。船台に落ちているゴミや、船が前から来てたら止めてまで拾います。

木野田 私は普通なんですけど、睡眠時間をちゃんと確保するようにしています。次の日のオン時間に起きられるような、5時くらいになればその分前倒しで寝るようにしています。

「日本最強のスイープ女子になります」(田口)

勝利を追求する田口

――3年目のインカレに向けての意気込みや目標は

田口 私は、去年インカレ初出場で優勝させていただいて。去年バウサイで優勝して、ことしはストサイで優勝を目指しています。ペアで2年連続同じ人が優勝するということはなかなかないでしょうし、サイドチェンジして2連覇することもないでしょうし、ことし優勝して日本最強のスイープ女子になります。

石上 去年全種目優勝して、ことしは全種目優勝はちょっと厳しいかもしれないんですけど、優勝できなかったときのプレッシャーというか、すごいことを達成したから、その次も頑張らなきゃなという気持ちはあります。でもやはり、今回クォドなので、ワセダのクォドは優勝したいというか、優勝します。

木野田 私は高校から通してクルーの中で後輩を引っ張ってくるということはあまりなかったので、今回が初めてです。しかも2個下の後輩と組んでいて。去年は石上と組んで、お互い言いたいことをばんばん言い合って優勝できたんですけど、ことしは環境が違ってくるので、同じ種目ですけど別の気持ちを持って優勝目指していけたらいいなと思います。

木下美 去年は全種目優勝をしまして。私はクォドに乗っていたんですけどことしもクォドなので、まずは他から見て去年の全種目優勝は奇跡じゃなかったんだって思わせたいです。去年は4年生の実力のある二人が乗っていたっていうのもあるんですけど、やはりワセダのプライドとして、何連覇ということもかかっているので、優勝したいです。

――クォドの木下選手、石上選手は、クルーの強みを何だとお考えですか

木下美 私が思うのは、「ここだ!」という時やコックスのコールに4人が反応した時に、まとまって強い力が継続して出せることが強みかなと思います。楽なレースはないと思うので、常に並んでいたり、ちょっと出られていたり、そういう時にガッといけるのかなと思っています。

石上 だいたい同じで、まとまろうという時に声を掛けたら反応して船を伸ばしていける、グーンと進めていけるということかなと思います。

――クォドはシート変更があったあとお聞きしましたが、クルーの仕上がりはいかがですか

木下美 当初は私が前に乗っていたんですけど、今は米川(志保、スポ2=愛知・旭丘)が一番前に乗っていて。すごいパワーがある選手で、立ち上げがすごく速いので、その分後ろが米川のスピードについていかなきゃと思ったりしました。最初は(漕ぎの)長さも合わなかったりして、それを合わせるということも難しかったんですけど、徐々にそこを歩み寄って、ということができればいいです。まだ完成はしていなくて、合宿とかで詰めていければ速くなるのかなと思います。

石上 今はやっとそろってきたというか、やっとレートも上げられてきたので、まだ少し分からないところもあります。今後レートをレースペースまで4枚くらい上げなきゃいけないので、それで続けていく練習は難しいかもしれないんですけど、まだまだこれからかなって感じで。合宿でまとまって、って感じです。

――石上選手と木下選手は自身のどのような部分をクルーに生かしていけるとお考えですか

田口 就活の面接みたい(笑)。

石上 私は疲れてきた時に声を出しています。シャウトしているので(笑)。疲れてきたときに声を出して皆を盛り上げていければいいなと思います。ただあまりにもシャウトし過ぎると力が入ってしまうので、自分はリラックスして皆を盛り上げるように意識したいと思います。

木下美 私は自分の漕ぎ的にあまりスプリントには強くないんですけど、コンスタントに続けていくということについては得意だと思うので、中盤で周りをよく見て声を掛けていければと思います。

――ずばり、優勝するための秘けつはなんですか

石上 地道にこつこつと、直さなきゃいけないところを改善してっていうのは一日でできることじゃないので、毎回同じことを繰り返しやっていくことですかね。

木下美 一日一日やれることをやっていって、追い込んだ結果最後には今までやってきたんだという自信を持って、自分や周りを信じ切って気持ちを強く持つことかなと思います。

木野田 ユニホーミティーが第一だと思っているので、船上でのユニホーミティーを高めるために陸上でどうするかなどを考えられたら優勝できると思います。

田口 ペアで一回優勝しただけなので何とも言えないんですけど、二人が信頼し合っているというのがベストで。少なくともお互いが不満を持っていたらいけないなと。少し前まで鈴奈さんとすれ違いは起こっていたので(笑)。2日前くらいに話し合って、「お互いこう思っていたんだね」っていうことが分かって。今すごく上り調子になりつつあるので、このまま優勝したいです。

――皆さんのクルーの雰囲気は

田口 私は土井さんと同じ高校の出身で、高校時代は一度も一緒に乗ったことはなかったんですけど、元々知っている仲ということで。割と言いたいことを言わせてもらっていて、さっき漕ぎのタイプもいろいろと正反対と言ったんですけど、やっぱり頑張るときに狙うところも正反対だったりします。土井さんは「気持ちを頑張ろう」というコールをしてくださるんですけど、私は「ファイナルしっかり押し切っていこう」というところからです。そこで気持ちの違いが生じていたんですけど、今度からは土井さんと手分けして、気持ちで頑張るところと、技術で頑張るところを二人で協力していける関係になっているのかなと思います。

木下美 クォドは、もちろん4年生が引っ張るところは引っ張ってくれるんですけど、下級生だから意見が言えないというのはなくて。誰でも意見を言いやすい雰囲気だと思うので、「どこから課題をつぶしていこうか」というときにも、全員の意見が反映されるのがすごくいい雰囲気なのかなと思います。

木野田 私もすごく楽しく漕げているなっていうのはあります。弥桜(木下、スポ1=和歌山北)に聞いたら何と言うか分からないですけど(笑)。やっぱ漕ぎのタイプも似ているので、お互いに深く考えすぎずに漕げているというか、楽しく漕げているのかなと思います。

――インカレまでに伸ばしたいところはどこですか

田口 しゃれかよって思われるかもしれないんですけど、今髪の毛が伸ばしかけで、帽子の間からすごく出てきちゃうんですよ。なので髪の毛を早く伸ばしたいです

一同 (笑)。

――「切りたい」ではないんですね

田口 短いとはねるってことが判明したので、伸ばしたいです(笑)。

――他の皆さんはいかがですか

木野田 私はさっきも言ったんですけど、もう少し二人で仲良くできたらなと(笑)。自分からアプローチしていけたらいいなと思います。

石上 ガッとまとまったときの勢いを2000メートル継続できるようにしたいです。

――木野田選手は3年連続でダブルのストロークになりますがそれについてはいかがですか

木野田 思い入れが強くなってきたというか、自分の年度が上がる度に気持ちが変わってくるというか。1年生の時は4年生の先輩と漕いでいて、後輩の面倒見がいい先輩でした。自分は自分のことばかりで先輩に申し訳ないなという部分もありました。それで、去年は石上と乗って同期同士楽しく漕げて。今は後輩と乗って、今度は後輩にとって自分が1年生の時の4年生の先輩のようになりたい、と思って接しています。1年生が楽しく漕げていればいいなと思っていて。それが結果につながってくるかは別として、もし後輩が私と同じような気分でインカレまで過ごしたら、自分の中では大成功だなと思います。

――バウの木下弥桜選手(スポ1=和歌山北)とのコミュニケーションはいかがですか

木野田 木下はとてもユニークな人間というか、ちょっと天然な部分があるので、そこで自分がちょっと突っ込んだりしてコミュニケーションを取れる部分があります。でも彼女も中学生のころからボートをやっているので、私よりも漕ぎのセンスがあるなと感じる部分があります。陸上においても、水上においても、私的には楽しく漕げているのでいいかなと思っています。

――皆さんから見てお互いのクルーの印象はいかがですか

木下美 ダブルは、似てる。

石上・田口 似てる(笑)。

田口 親子とかきょうだいに見える。

木下美 ユニホーミティーかな。本人たちには多分まだ追求したい部分があると思うんですけど、見ていると漕ぎもタイプも似ているので、合ったときは迫力があって楽しみです。

石上 体格がすごくそっくりです。身長も同じくらいで、髪型も同じなので、並んだときに違いがないです

木下美 よく間違われてる。

田口 さらに似てきたよね(笑)。

木野田 嬉しいです!

木下美 ほんとは私が木下美奈だから、(弥桜と)似なくちゃいけなかったんだけどね(笑)。似られなかった。

木野田 ペアに関しては努力家の二人が集まったなと。鈴奈さんも努力家で、田口も努力家なので、コツコツ積み重ねているんだなと思います。さっきも言っていましたけど、朝コーチに時間ずらして見てもらっているところもすごい尊敬できると思います。

田口 クォドは、私から見るとワセダの女子クォはプレッシャーがあるのかなと思うので、重厚感があるというか、力強さもあってかっこいいなと思いますね。

木野田 いろんなカベをもろともしないように、どっしり構えているなと思いますね。

田口 でも抱え込まないで頼りにしてくれればいいなと思っています。頼りにしているし、頼りにしてくれると嬉しいなって、陸から思っている時もあります。

――最後にもう一度、インカレへの意気込みを一言ずつお願いします

木下美 3度目のインカレで、1年の時はシングルスカルで。決勝に進みましたが決勝では他艇に後れをとるような実力で、4位でした。昨年は上級生の中に私が一人で、必死についていく中でつかんだ優勝というかたちだったので、ことしは来年度に向けて、自分で自信が持てるようなレースで優勝できたらいいなと思います。応援よろしくお願いします。

木野田 先ほども言いましたが、楽しく漕ぎ切りたいなと思います。勝っても楽しくなかったらそれは競技として面白くないと思うので、楽しく勝てたらいいなと思います。以上です!

石上 もちろん優勝したいんですけど、まず自分のやることは、ストロークの米川が漕ぎやすいように支えるというか、淡々とぶれないようにやっていきたいなと思います。

田口 去年は後輩とで、ことしは先輩とで。どうしても去年部全体で成し遂げたことが大き過ぎて、去年を追ってしまいがちになると思います。ですがそこにこだわらずに、鈴奈さんと二人乗りの一番いい漕ぎをします。去年は気付かない内に全種目優勝の1勝目になっていたんですけど、決勝全レースのなかで女子の舵手なしペアが最初に行われると思うので、そこでワセダが一番でいけば、みんなの励みになると思います。なので、しっかり勝ちたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 喜田村廉人、秦絵里香)

仲の良さが伝わってくる1枚ですね!

◆木下美奈(きのした・みな)(※写真中央右)

1995年(平7)11月2日生まれ。山梨・富士河口湖高出身。スポーツ科学部3年。ポジションは舵手付きクォドルプルの2番。対校クォドルプルのメンバーに昨年から名を連ねる実力者。どんな質問にも終始柔和な笑顔で答えて下さいました。そのクールビューティーぶりはもはやとどまることを知りません。さらなる進化に期待です!

◆石上璃奈(いしがみ・りな)(※写真中央左)

1995年(平7)8月28日生まれ。長野・下諏訪向陽高出身。スポーツ科学部3年。ポジションは舵手付きクォドルプルの3番。強さで艇を押し進めるエンジン役。口数は決して多くありませんが、慎重な言葉選びから勝利への意志がうかがわれました。船に乗ると「シャウトする」というその勇姿に注目です!

◆木野田沙帆子(きのた・さほこ)(※写真右)

1995年(平7)4月4日生まれ。青森高出身。スポーツ科学部3年。ポジションはダブルスカルのストローク。どのポジションでも力を発揮する好プレーヤー。楽しい話も真面目な話も、全て気持ち良くはきはきと答えてくださいました。料理上手で艇庫を『キッチン沙帆子』にしてしまうこともあるとか。ぜひ一度食べてみたいものですね!

◆田口えり花(たぐち・えりか)(※写真左)

1995年(平7)10月17日生まれ。埼玉・浦和一女高出身。商学部3年。ポジションは舵手なしペアのストローク。艇の先頭でリズムをつくれる技巧派選手。答えにくいような質問でも、積極的に話を広げてくださいました。対談の際は勉強のお話も多く、その話は毎回記者も驚くようなテーマが多いです!