【連載】インカレ直前特集 『Row out!』 第6回 S:井踏直隆×3:飯尾健太郎×2:川田悠太郎×B:富田剣志

漕艇

 男子舵手なしフォアに出場するのは、川田悠太郎(国教4=東京・早大学院)、富田剣志(スポ3=愛媛・今治西)、飯尾健太郎(教2=愛媛・今治西)、井踏直隆(文構2=東京・早大学院)。学年も趣味も漕歴もバラバラなこの4人が、いかにして一つの船を動かしていくのか。今回はプライベートなお話も交えながら、全日本大学選手権(インカレ)に懸ける思いを伺った。

※この取材は8月25日に行われたものです。

「いい感じにはまとまっている」(川田)

最後の大舞台に挑む川田悠

――学年ごとの仲の良さはいかがですか

川田悠 4年生、特に男子は落ち着くところに落ち着いたかなと。3年一緒に住んでいますし、僕は(早大)学院出身で、同期の菅原(拓磨、国教4=東京・早大学院)とかは7~8年の付き合いなので。特にくっついたり離れたりということはなくいい距離感をキープしています。「どこか行こう」となったら、ゆるく行くという感じで決まりますね。

富田 3年生は、練習とかに関しては次の(最高学年の)代になるので「引っ張っていくぞ」という感じなんですけど、練習外では、後輩に声をかける場面もあったり自分たちで同期会をやったりですね。この前も同期会をやったのですが、自分たちも4年生みたいに仲はいい方だと思います。

――同期会は結構頻繁に開催されるのですか

富田 開催しようとはするんですけど、何人かはいないですね。個性が強いメンバーがいるので(笑)。

――2年生はいかがですか

飯尾 比較的、3年生とか4年生とかに比べたらおとなしめの人が多いと僕は思っています(笑)。でも集まろうとなったら集まります。この間は全員集まりましたし。仲は悪くはないですね、僕はそう思っています。井踏はどう思っているか知らないですけど(笑)。

井踏 普段はそんなにみんなでどこ行くとかはないんですけど、「集まろう」と声をかけたときにはすぐに集まるので、みんなで行くときもあれば、個人個人の時間を大切にして、という面も持っているのかなという気がします。

――2年生はおとなしい学年だという話がありましたが、先輩方から見ていかがですか

富田 まあ、おとなしい(笑)。まだ2人部屋で一緒になっていないので、クルーでしか基本的には濃い時間を過ごすことがあまりないんですけど。ここ(富田と飯尾)はもう中学校から一緒なので、まあ、あれですけどね(笑)。

――クルーの仲というのはいかがですか

川田悠 あまり練習以外の時間は共有してないんですよね(笑)。

井踏 クルーでご飯に行くっていうのもまだ行けてないですね(笑)。

富田 集まるときだけ集まるという感じですかね(笑)。

――いろいろな学年がそろっているクルーだと思いますが、お互いの印象は

川田悠 (先に)いいよ。(井踏を指さしながら)

井踏 僕からですか(笑)。そうですね、川田さんはけっこう動じないというか、いろいろなことがあってもどっしり構えている感じはありますね。富田さんは、いまバウに座ってらっしゃって後ろから必要なことをバシバシ言ってくれるので、支えるポジションな気がします。健太郎(飯尾)は…。なんですかね(笑)。

富田 ミスターマイペースみたいな(笑)。

井踏 そうですね。自分のペースが強い感じはしますけど(笑)。

富田 「乱されたくない」、みたいなだよな(笑)。

飯尾 たぶん、僕が一番この中では気分屋かもしれないですね(笑)。

井踏 一緒に飯尾とストロークペアで漕いでいるので、2年生同士で前から引っ張っていこうという感じはありますね。

飯尾 この僕以外の3人が(先にメンバーとして)確定していて、僕のシートをあと2人とシートレースをして僕が勝ち取ったんです。だから、ほかの3人よりは僕が一番、テクニカルの部分でも経験値の部分でも劣る部分が多いので、やはり3人に支えられているということはものすごく感じます。

――他の3人には劣る部分があるということでしたが、飯尾選手はボート未経験からのインカレ出場になりますね。これまでどのような練習をしてきたのでしょうか

飯尾 僕は高校までずっと野球をやっていて割と体力には自信があったので、別のスポーツをやってみたいなと思ってボート部に入ったのですが、この1年間は自分が今まで持っていたものを取り戻したという感じでした。ただ、そこからプラスアルファで積み上げた部分というのはまだ少ないかなというか、やっとボートのことがよく分かってきたという段階ですね。でも、練習自体は監督(内田大介監督、昭54教卒=長野・岡谷南)やコーチ陣に言われたこととか、先輩方に教えてもらったことをひたすらやり続けた結果、今があるんだと思います。

――戻りますが、クルーメンバーの印象いかがですか

川田悠 それぞれ簡単に言うと、井踏はオンオフの切り替えができているかなと。部活以外の休んでいるときと練習しているときのオンオフの切り替えがちゃんとできていて、そこはうまいなと思いますね。富ちゃん(富田)と飯尾は2人ともマイペースなところがあるなと僕は思っていて、何か自分の世界があるじゃないですけど、自分のペースがあってちょっと誘っても「放っといてくれ」というような感じがあるように思いますね(笑)。

飯尾 そんなことないですよ(笑)!

川田 まあでも、(クルー全体を見れば)いい感じにはまとまっていると思います。

富田 井踏が言ったんですけど、川田さんはけっこうどっしりしていて、いい意味で鈍感なところがあります。井踏は、ストロークなのであんまり言わないですけど内に秘めている感じがあって。たまに爆発しかけるときもあるんですけど(笑)。あまり言わないけど持っているタイプという感じです。健太郎は昔から、のればやるけど…。みたいな(笑)。

飯尾 それはちょっと言い方悪くない(笑)?練習全くやらないみたいじゃん(笑)。

富田 納得すればやるんですよ。スイッチが入るまでが大変という感じです。(スイッチが)入ればどんどんいくんですけど。

――インカレが近づいていますが、最近はスイッチ入っていますか

飯尾 そうですね。特に富ちゃんにはよく言われるんです。だからスイッチは入れているつもりなんですけど…。入っていないと言われたのであしたから頑張りたいと思います(笑)。

――川田悠選手と井踏選手、富田選手と飯尾選手は高校が一緒ですが、何かエピソードなどはありますか

飯尾 ワセダの漕艇部は愛媛県出身の人が多くて、僕らのこの間柄だけではなく、僕と竹内さん(友哉副将、スポ4=愛媛・今治西)、竹内さんと富ちゃんの関係も中学校・高校から密で、長い間関わってきたというのがあります。富ちゃんとは、中学校が一緒で高校も一緒で、高校の最後のクラスが一緒で(笑)。だからほぼ一緒なんです(笑)。

富田 今西(今治西)間は濃い間柄なので、あまり言わなくてもだいたいわかるというか察する部分があって、またこんなこと思っているんだろうなと思いながら、いろんなことをやっている感じです。

川田悠 僕自身は、3年生を2回やっていて、3年生の2回目をやっているときにボート部に入ってきたのが井踏だったんです。でも、2回目をやっているときには大学の方で練習させてもらっていたので、直接かぶったという感じはあまりないです。

井踏 僕が学院のときには話したこともなかったので、大学に入ってから関わるようになったという感じです。

――みなさんオフの日はどのように過ごされているのでしょうか

川田悠 月曜日がオフなので、その前日の日曜日に何をやったか次第で何をするか決まります。日曜日の夜に飲みすぎたら月曜日は1日艇庫で時間をつぶして終わったりしますね。あとは月並みですけど、映画を見に行ったりしますね。

飯尾 僕も日曜日に遊びに行ったりするんですけど、特に3年生と遊びに行きますね。あと、月曜日の1日オフの日に何をするのかというと、美容院に行くのが好きなので頻繁に行きますね(笑)。月に1回、多いときには3週間に1回くらいのペースで行くときもあります。

富田 1回で髪切れよ(笑)。

飯尾 あとはいろいろなところにふらふらと行ったり、映画見たり、買い物に行ったりですね。結構買い物に行くんですけど、最近2年生になってやっとお金の使い方がわかったといいますか、やっと自分でセーブできるようになりました。物欲がなくなったというのもあると思いますけど。

――何か心境の変化でもあったのでしょうか

飯尾 いや、おそらく慣れですかね。1年生のときは東京に来ていろいろなものがあって、好奇心旺盛な僕にとっては毎日が楽しかったんですけど、それも1年が経てば当たり前になってしまって、かなり落ち着きました。

富田 自分の場合は、何か用がないと外には出ないですね。本当に、寝てちょっと必要な分だけ食べて寝て、その結果月曜の夜に眠れなくて火曜が大変という感じです。何か必要なものがあるときだけ出てという感じなので、基本的には艇庫にいます(笑)。

川田悠 艇庫の番人だな(笑)。省エネ。

富田 それなので飯尾とは違ってあまりお金も使わないです。

飯尾 「本当に同じ高校にいたの?!本当に同じクラスだったの?!」とよく言われますね(笑)。

井踏 僕の場合も富田さんと一緒で、用事があれば外に出ますけど、基本的には艇庫の中や自分の部屋にこもっていますね。最近は特に暑いので、外に出たくないです(笑)。

――漕艇部の中でのご自身のポジションは

富田 自分は集金とかが早いので。今度またレポートの回収があるのですが、一応全員がちゃんと出しているのかを確かめるのが自分で、光熱費を集めるのも自分で、という感じです。それなので、石田良知(スポ3=滋賀・彦根東)とかが「お金ない!」って毎回言うんですけど、「早く出せ!」と。おそらく自分しかあまり言わないので、自分の学年だけかもしれないですけどそういう部分があるなと感じています。

――しっかり者ですね

富田 よく言うとそんな感じです(笑)。

井踏 僕は学院出身なので、3年生の有田さん(雄太郎、法3=東京・早大学院)と一緒に、高校との交流を図るというような仕事をしています。きのうもその交流会で仕事をしていました。

川田悠 実は彼はカメックスと呼ばれていまして(笑)。ポケモンのですね。

井踏 僕の最近のあだ名というか愛称みたいな感じですね(笑)。

富田 広背筋がすごいんですよ!

川田 背中が甲羅を背負っているみたいで。

井踏 みたいですね(笑)。自分では見られないので。

川田悠 それなのでマスコットキャラじゃないかと!

井踏 『ポケモンGO』がリリースされたあとは、よく携帯を向けられてちょっとあれだったんですけど(笑)。

飯尾 僕の場合は結構、好き放題やっている法ですね。学年の中でも僕は浪人生なので、富ちゃんとは同級生ですが学年では1つ下という。だから同期の中でいうと一番年上なんですけど、同期の中でも一番好き放題やっているというか、やんちゃして、みんなに「おいおい」と言われることがありますね。

富田 迷惑というか、「しっかりせいや」的な(笑)。

飯尾 迷惑はかけてないです、迷惑はかけてないです(笑)。

井踏 たまに暴れん坊のときが。

飯尾 まあ、好き放題やっていますね。漕艇部全体の中でもたまに怒られることはありますけど、そこは切り替えてやっています。マイペースに。

川田悠 僕も割と好きにやらせてもらっているかなと感じています。1回留学して漕艇部から離れたこともあって、部の中でのかっちりしたポジションとかは特にないので、好きにやらせてもらいながらもちゃんと要所では言わなくてはいけないことは言っているつもりです。そういうのも大事なのかなと。ふわっ、としているというか(笑)。あとはお酒係といいますか、艇庫とかで飲んでいると人が通るのでその中から誰かが入ってきたり出て行ったりというのがあって。それはよく同期の中でやることが多いのですが、たまに後輩とかが入ってくると、普段は関わらないところでの会話とかが増えていくと思うので、それもなんだかんだでいいのかなと思っています。

「良い意味で縦のつながりを」(飯尾)

未経験者ながらもインカレ出場権を手にした飯尾

――今シーズンに向けて、冬場はどのような練習をしてきたのでしょうか

川田悠 全体としてはボトムアップを意識していました。対校(エイト)に乗っている選手と下級生やインカレに出ていなかった選手といった、パフォーマンスに差のある選手を同じ船に乗せたりして、全員がレベルアップできるように下の層を育てるという練習が多かったと思います。

――具体的には

川田悠 エイトに乗るということです。エイトに乗って、それを何艇かつくって、川に行って並べたりだとかですね。あとは、エイトでなくてもフォアとか舵手付きフォアとかにも。

井踏 そうですね。12月の年末合宿でエイトを乗り回していたんですけど、その前後ではそれぞれシングルスカルとかペアとかに乗って個々の技術を、という練習が多かったと思います。

――学年が上がっての気持ちの変化などは

川田悠 去年の4年生が引退してからずっと最上級生というものがついたままだったので、学年が上がってからというのは特になかったですかね。最近は就職活動も終わって、「学生が終わる!」という気持ちが強いですね(笑)。3年生の終わりの3月から就職活動が始まっていたので、一気に7月まできて、一息ついたものの、終わってしまうことに焦りを感じながら、という感じです。でも特に意識などは変わっていないです。

富田 いろいろそれぞれの学年で課題があるのを、自分たちの代ではできるだけ課題が出ないようにしよう、みたいなことを話しています。そのように話していく中で次の世代になっていくので、自分たちの代はこんな風になったらいいなという話や、やることを徹底していこうという話をするようになりましたね。やはり3年生というのは半分よりも上になってしまうので、できるだけ下級生のことを見られるときは見ようと思いますし、そのような話をしています。

井踏 後輩ができた影響が本当に大きいなと感じています。いろいろ仕事とかやらなくてはいけないことを1年生にやらせなくてはいけない反面、1年生ばかりにやらせていては僕らの気が抜けてしまうので、きちんと僕らがやりつつ、一緒に後輩も引っ張っていくという意識をもってやっているつもりですし、これからもやっていきたいです。あと3か月くらいで4年生が引退して僕らが上から二つ目の学年になるので、これからもっと気を引き締めていかなくてはいけないなという気がしています。

飯尾 井踏と同じところもあるんですけど、僕がもう一つ思っているのは、自分自身が1年生のときにけっこう伸び伸びとやらせていただいたので、1年生が練習しにくいとか、ここに居づらいとかをなくすように、良い意味で縦のつながりをよくしていきたいと思います。そして1年生も積極的に先輩に声をかけるというか、上級生と練習しやすい雰囲気づくりというものを、良い意味で作れればいいなと思います。僕自身が1年生のときにそのようにやっていただいたので、僕が2年生になった今は、1年生がそんな練習ができればいいなと思ってやっています。

「エイトで培ったもの」(井踏)

早慶レガッタから多くを学んだという井踏

――前期全体を振り返って、川田選手と井踏選手は早慶レガッタ、富田選手と飯尾選手は中日本レガッタに出場しましたが、それらも含めいかがでしたか

川田悠 (早慶レガッタの第二エイトには)最上級生が3人乗っていたのですが、その3人はエルゴで見ていくと一番スコアの低い3人でした。そのため、その中でどのようにして引っ張っていこうかと考えて、それを通して、船に乗っているときのポジションもそうですし、船から上がって陸での自分たちがどのようにしてやっていくかというポジションとかでも大事さを改めて確認できました。それから、逆に一歩先とか二歩先をいっている選手と一緒に乗ったので、そこから学ぶものもあって大きなレベルアップになりましたね。あと、僕は早慶戦に3回出たんですけどレースでは1回も隅田川で漕げなくて、それがすごく悲しいな、マスターズまでやるしかないのかなと思いました(笑)。でも少しやりたくないなと。まあ、もやもやはしましたね(笑)。

井踏 一緒に2年生があと僕以外に2人乗っていて、どちらもストロークサイドだったので、僕ともう一人2年の金子(怜生、社2=東京・早大学院)が高校時代に隅田川で漕いでいて。結果的に今回は隅田川で漕がなかったのですが、練習の中で、高校の1000メートルレースと大学の3750メートルのレースで求められるものも全然違ってきて、そういった知識やノウハウとかを先輩方から教えていただき得ることができました。よかったことは、その早慶戦で得たものとかが、一時期シングルスカルで軽量級(全日本軽量級選手権)に出たりしたのですが、そういったときに早慶戦のレートを漕ぐ前とかよりも結構、漕げるようになっていたりして、エイトで培ったものが自分の中に残っていて、その他のシングルスカルとかになっても生きてきているなと自分でも思うことがありました。

飯尾 僕は、正直に言うと早慶戦に出たくて漕艇部に入ってきたので。ことしの早慶戦に関しては選考外というか選考対象にもならなくて、監督さんからは「お前はもう少し基礎を固めてから夏に合わせろ」、「夏にしっかり漕げるようにやったほうがいい」というような言葉をいただきました。(中日本レガッタの)エイトに富ちゃんと一緒に出て、富ちゃんは技術的にはすごく良いものというか、同級生からも良いと言われているので、少しでも教えてもらうというか、いいものを吸収できるようにと思いました。だから、冬は最初もやもやしながら、「なんで自分が早慶戦に出られないんだ」と思いましたけど、中日本(レガッタ)では良い船にも乗らせてもらって、愛知まで行って愛知のOBの方々からもすごく応援してもらって、早慶戦から今まででこの夏につながる良い大会というか、良い経験というか、良いトレーニング期間になりました。

富田 自分としては、サードメンバーということで、早慶戦に出られないメンバーだと。やはり基礎漕力の漕ぐ力、パワー、体力に関してはそれぞれが頑張らなくてはいけないことだと思います。ただ、伸び方というのがそれぞれにあるのですが、最近個人的に思ったことではあるのですが、エルゴで6分30秒とかは出せないかもしれないけど、技術面は絶対誰にでもできるはずだと自分は思っているので、そのメンバーの中で何が必要かと考えたら、その部分に関して少し高いものを目指してやってみようということで、今シーズンはそれが目標にありました。中日本は良い結果ではなかったのですが、次の軽量級から、対校メンバーだった人やセカンドメンバーだった人たちと乗って、自分がやってきたことも悪くはなかったけど、やはりサードメンバーの中での上の方であっても全体で見るとまだ下の方だったので、中日本終わりは、まだ甘い部分があったかなと感じながらやっていました。

「高いパフォーマンスを」(富田)

向上心を忘れない富田

――今のクルーはいつごろから組まれたのでしょうか

井踏 期末テスト前にクルーを組んでしまおうということで選考をして決めたと思うので、7月15日くらいだったと思います。

――組んでいる感じの雰囲気はいかがですか

川田悠 正直、最初は本当に船のバランスが悪くて、みんなすごくイライラしながら「訳分かんない」みたいな感じでずっと練習していましたね。

井踏 最初はあまりまとまらなかったというかバラバラになりやすかったんですけど、7月末くらいのミーティングで、1回みんなで話し合って、そこからまとまる場面は多くなってきたかなというようには感じます。

飯尾 諏訪湖合宿というのがあって、長野県の諏訪湖に4日間くらい、コックスのいない船が行って強化してもらったのですが、そこでワンランク、ツーランクレベルアップして帰ってこられたと感じます。今は細かい部分の練習というか、練習の内容としては組み始めたころに比べてはるかに良くはなってきているかなと思いますね。まだまだですけど。

――練習自体の中身が変わってきたということでしょうか

川田悠 レートが高くなってきましたね。最初の方はゆっくりで長距離を漕いでいたのが、いまは中距離で(レートを)少し高めにやったり短距離でレースペースまで上げてちょっと休んでというようなインターバルゲームとかになったりとかですね。内容は少し変わってきたのですが、今も長距離で低レートっていうのもやっているので、半分変わったというくらいですかね。

――練習ではどのようなことを意識してやられているのでしょうか

川田悠 一つはバランスですね。自分たちが崩したりすると割と船が反応しやすいので。あとやはりバランスが悪いよりは良い方が絶対速いので、その良い環境を整えながらです。苦手な場所の相性がすごく悪くて、船が曲がったりとか出てきてしまったりするので、そこの意識ができるといいなと思います。そのため、お互い声を掛けたりしながらお互いの苦手なところを意識して船を真っすぐ進めるというのが今の段階ですね。

富田 ボートを速く進めるためには基本の動きをちょっと速めるだけなので、基本、基本という感じですかね。同じサイクルなので、それを速くすればレースになるという感じです。逆にそこで悪い癖がつくと悪いまま行ってしまうので、そこは一つの方向を目指していきたいなと思っています。

――インカレの目標は

川田悠 とりあえず決勝が目標です。タイムの目標が決まっていて、6分20秒が現実的なのかなと。練習の過程でそれを上回れそうだったらもっと目標を上げられると思います。それで、6分20秒だとAファイナルに行けるかBファイナルで1位ですね、タイム的には。

――目標達成のためにやらなくてはいけないと感じていることは

川田悠 先ほども言ったんですけど、クル-全体で言ったらバランスを整えて、お互いの苦手なところを意識していかないと艇が曲がってしまって漕がなくてはいけない距離が増えるのでタイムも遅くなりますし。効率よく同じ漕ぎを4人でするということが必要なことなのかなと思います。

井踏 僕はストロークで、コックスがいない分やはり僕が舵を切っています。今までの大会とかで、ペアであったりフォアであったりコックスのいない種目を見ていると、けっこう左右に振られながらゴールするクルーが多いので、そこを真っすぐ進めるというか真っすぐ進むように制御するのが僕の仕事だと思います。もちろんバランスが良くなればもう少し真っすぐ進むとは思うんですけど、ちょっとした誤差とかをもう少しなくしていければ、他のクルーとかが蛇行している分有利になるのかなと個人的な課題として思っています。

飯尾 僕は井踏の後ろで、後ろにリズムをつなげるというシートに座っているのですが、経験がない分、微妙なブレードと水面の位置がまだはっきりと分かりきっていないというか。その分でストロークペアの微妙なずれがまだまだ多くて。そこが合うとけっこう船も良くなるので、僕と井踏が合えばあとの二人は合わせてくれるし、僕はひたすら井踏に合わせるという。それだけしか考えてないと言ったら違いますけれど、そこをメインにやるべきかなと考えています。井踏をコピーする、それが僕の課題です。

富田 自分はバウで全員見えるので、言えるところはできるだけ言おうというのが、自分がやるべき課題なのかなと思います。クルー全体としては、最近感じることが、できるけどできない、できるけどやっていないみたいなことを感じるときがあって、それぞれの意識の部分もあるかとは思うんですけど、それを、合宿が来週から始まるので、高い意識で練習できれば高いパフォーマンスをレースに向けて準備できるんじゃないかなと思います。

――レースを迎えるにあたって意識している大学などは

一同 特にはないですね。

富田 でも日大はやはり見ますね。

井踏 やはり目立ちますし、漕いでいると日大だと思って見るので負けたくはないですね。

富田 でも周りに振り回されずに、自分たちのことをしっかりやろうという感じです。

――インカレまで1か月となりました。合宿も含めこれからどのように過ごしますか

川田悠 楽しく練習したいなと思っています。別に楽をして練習するというわけではないんですけど、やはり速く船が進んで自分も全力を出してみんながまとまっている感じがあると、すごく練習が楽しくて。やはり練習が楽しいと船も速くなるような気がしますし、気持ち的にも楽なんです。その段階にまだいけていないなと思っているので、早くその段階に行って良い練習をして気持ち良くレースをしたい。レースが終わったときにバテバテにはなっているけど「気持ち良かったな」と。その感覚というのは味わったことがあるので、もう一度味わいたいなと思います。とりあえず楽しくレースがしたいです。

井踏 僕自身は、個人的にもクルーとしても、ムラをなくしていきたいなと思っています。残り1か月なので、1日1日しっかりレベルアップしていくということが重要ですね。それから、大会とかでも勝ち上がっていくにあたって、毎レース毎レース同じものというか、自分たちのベストを安定して出せるようになっていかなくてはいけないので、そういったことを1日1日単位だとか練習のメニューとかで、それこそ1本1本の漕ぎのムラをなくしていきたいなと思います。

飯尾 僕はまだまだ伸びしろというか、漕歴がやっと1年くらいなので、まだまだインカレまでの30日でもっとうまくなると思っています。とにかくコーチ陣に言われたことや上級生・クルーにやろうと言われたことを、ひたすらに黙々とやり続けるということを大切にしたいです。それから、川田さんも言ったように、4人で楽しくというか。エンジョイローイングではないですけど、勝ちにこだわりながら楽しく練習していきたいなと思っています。そしてインカレで良い結果を出したいという思いで練習していきたいです。

富田 練習に関しては1日1日が大事になってくるので、トータル10数キロメートル漕ぐにしても、できたらいいですけど全部集中するのは難しい部分があると思うので、2キロメートルの片道だけでもしっかり集中して、高い意識で練習していきたいですね。私生活の面では、ことしも少しケガがあるので、慢性疲労からくるケガであったり突発的なケガであったりというのは、そこまで欲を出さなければ回避できることなので、そこはしっかり準備して「大丈夫」と言えるようにしていきたいです。

――最後に意気込みをお願いします

川田悠 全日本のレベルまでの意気込みなのですが、全力を出し切って気持ちよく引退したい。それに良い結果がついて来たら最高なので、気持ちよくレースしたいです。

飯尾 僕は、「耐えて勝つ」ですね。

富田 今西(今治西)の野球部の監督の言葉です(笑)。自分は、しっかり準備をしきって、「大丈夫だよ」と言える状態にしてレースに臨みたいと思います。

井踏 インカレ、全日本に向けても、やはりやるべきことというのは変わらないので、しっかり日々の練習でやるべきことをやりきっていきたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 深瀬真由)

こだわりのピースポーズです!

◆川田悠太郎(かわだ・ゆうたろう)(※写真左)

1993年(平5)7月16日生まれ。東京・早大学院高出身。国際教養学部4年。ポジションは男子舵手なしフォアの2番。クルー唯一の4年生として率先して質問にお答えしてくださる一方で、井踏選手の愛称を披露するお茶目な一面も。最後となるインカレ、楽しく気持ち良く漕いでくださいね!

◆富田剣志(とみた・けんし)(※写真中央右)

1995年(平7)7月3日生まれ。愛媛・今治西高出身。スポーツ科学部3年。ポジションは男子舵手なしフォアのバウ。常に冷静に質問に答えてくださる姿が印象的でした。しかし、中学校からの長い付き合いだという飯尾選手の話になると自然と笑顔が。性格の対象的なお二人ですが、仲の良さが感じられますね!

◆飯尾健太郎(いいお・けんたろう)(※写真中央左)

1995年(平7)4月28日生まれ。愛媛・今治西高出身。教育学部2年。ポジションは男子舵手なしフォアの3番。自他ともに認める「ミスターマイペース」。上京して2年目、お金の使い方が分かってきたのだとか。ボート未経験からインカレ出場を果たした飯尾選手のさらなる飛躍に注目です!

◆井踏直隆(いぶみ・なおたか)(※写真右)

1996年(平8)6月25日生まれ。東京・早大学院高出身。文化構想学部2年。ポジションは男子舵手なしフォアのストローク。ストロークとして自分のやるべきことを常に分析している印象を受けた井踏選手。一方で、『カメックス』の愛称通り、マスコットのようにクル-全体を和ませる場面も。インカレでは井踏選手の舵取りが勝負のカギです!