戸田の地を離れ、愛知池漕艇場で行われる中日本レガッタに早大から男女合わせて7艇が出場した。3月に行われたお花見レガッタのメンバーを中心として挑んだ今大会。社会人チームが名を連ね、レベルが高い中で男子ダブルスカル早大Aが決勝に進出する。その他のクルーも夏に向けて収穫を得られる大会となった。
大会初日、強い逆風が吹く中で早大の先陣を切ったのは女子シングルスカル。木下弥桜(スポ1=和歌山北)は風の影響で焦りが生まれ、思うような漕ぎを披露することができない。中盤以降は得意とする逆風を生かし、艇を伸ばしていくも5着でのゴールとなり敗者復活戦に回った。迎えた敗者復活戦では予選で見つけた課題を意識し、強く大きな漕ぎで他艇を大きく引き離すと、勢いそのままにトップフィニッシュ。二日目の準決勝へと駒を進めた。南菜月(教1=新潟南)と続く男子シングルスカルの川田諒(社1=愛媛・松山東)はそれぞれ敗者復活戦に挑んだものの、序盤から生まれた前艇との差を詰めきれない。準決勝進出が決定する上位2クルーに食い込むことはできず、初日で敗退となった。また、お花見レガッタからクルーを変えて臨んだ男子ダブルスカルでは3艇が出漕。早大B、早大Aが敗者復活戦に回る中で、早大Cは最初の500メートルでしっかり前に出るというプラン通りにレースを展開する。後半も勢いを落とすことなく艇を前に進め、準決勝進出を決めた。敗者復活戦では早大同士が並ぶレースに。早大Aが好スタートを切ると、それに続くように早大Bが後を追う。早大が1、2着でゴールし見事2艇共に準決勝への切符を手にした。男子エイトはスタートで後れを取るも、徐々に追い上げを見せる。敗者復活戦に回ったが、最後は順位を上げてのフィニッシュとなった。
社会人クルーの中でも堂々とした漕ぎを披露した木下弥
大会二日目、女子シングルスカル準決勝に進出した木下は4着でレースを終えるも、社会人クルーが集う組の中で堂々とした漕ぎを見せた。また敗者復活戦に挑んだ男子エイトは慶大と同組となり、ここでも早慶戦が行われることに。序盤から横並びの状況となり中盤からの巻き返しを図るも、順位を上げることはできず4着でのゴール。慶大にはわずかに及ばず、悔しい表情でレースを終えた。そして男子ダブルスカルは早大が同じ組に入るレースとなる。好スタートを切ったのは早大Aだった。序盤から積極的に攻めていき、中盤以降も安定した漕ぎでレースを運ぶ。早大Bがコンスタントでリズムを取り戻し、猛追を見せるも早大Aが勢いを落とすことなく見事決勝進出を決める。早大Cは最後まで粘りの漕ぎを見せるも、差を詰めきれず5着でのゴールとなった。最終日の男子ダブルスカルでは早大Aが理想通りのレースプランを実現させる。スタートから好位置に出ると、そのまま自分たちの漕ぎに持ち込んでいく。一本一本を強く漕ぎ進めていくも終盤ミスが生じてしまい、艇が止まってしまう事態に。結果としては6着でレースを終えたが、強豪の中で本来の力を発揮できたことは自信となり、今後に大きくつながるレースとなったはずだ。
6着でフィニッシュし肩を落とす早大A
表彰台には届かなかったものの、社会人クルー相手にそれぞれが手ごたえをつかんだ今大会。ここで得た自信や課題を再び戸田に持ち帰った若きクルーの台頭は、チーム全体を底上げする活力となることは間違いない。勝負の夏に向け、早大漕艇部は一丸となってまい進し続ける。
(記事、写真 黒田菜々子)
結果
▽男子部(予選)
【シングルスカル】
川田諒(社1=愛媛・松山東)
5分00秒92【敗者復活戦へ】
【ダブルスカル】
早大A
S:藤井拓弥(社1=山梨・吉田)
B:有田光佑(創理4=東京・早大学院)
3分51秒85【敗者復活戦へ】
早大B
S:髙山格(スポ1=神奈川・横浜商)
B:土屋夏彦(スポ1=山梨・吉田)
4分04秒60【敗者復活戦へ】
早大C
S:堀内一輝(スポ1=山梨・富士河口湖)
B:菅原諒馬(商1=東京・早大学院)
3分54秒71【準決勝進出】
【エイト】
C:片所宏介(社3=東京・早大学院)
S:富田剣志(スポ3=愛媛・今治西)
7:尾崎光(スポ2=愛媛・今治西)
6:寺田圭希(人4=滋賀・膳所)
5:飯尾健太郎(教2=愛媛・今治西)
4:山口幹太(スポ2=青森)
3:正木丈治(商2=米国・ウッドブリッジ高)
2:伊藤光(文構2=東京・神代)
B:杉田陸弥(人3=栃木)
3分15秒70【敗者復活戦へ】
敗者復活戦
【シングルスカル】
川田
4分26秒63【敗退】
【ダブルスカル】
早大A
S:藤井
B:有田光
3分47秒90【準決勝進出】
早大B
S:髙山
B:土屋
3分50秒93【準決勝進出】
【エイト】
C:片所
S:富田
7:尾崎
6:寺田
5:飯尾
4:山口
3:正木
2:伊藤
B:杉田
3分04秒53【敗退】
準決勝
早大A
S:藤井
B:有田光
3分25秒54【決勝進出】
早大B
S:髙山
B:土屋
3分29秒60【敗退】
早大C
S:堀内
B:菅原
3分33秒22【敗退】
決勝
早大A
S:藤井
B:有田光
3分37秒74【6位】
▽女子部(予選)
【シングルスカル】
早大A
木下弥桜(スポ1=和歌山北)
5分10秒81【敗者復活戦へ】
早大B
南菜月(教1=新潟南)
5分08秒90【敗者復活戦へ】
敗者復活戦
【シングルスカル】
早大A
木下
4分57秒92【準決勝進出】
早大B
南
5分20秒54【敗退】
準決勝
早大A
木下
4分09秒37【敗退】
コメント
B:菅原諒馬(商1=東京・早大学院)
――お花見レガッタからどういった調整をされましたか
クルーが変わったのですが、自分の課題としてはしっかり長く漕ぐことやキャッチを早くすることだとか具体的な課題がまだ残っていたのでクルーは変わっても、自分の課題を意識してやっていました。練習期間が1カ月もなくて、二人で完成形までもっていくのは難しかったのでまずは自分のできるところからやっていました。
――風の影響はいかがでしたか
風の影響もありました、スタートがなかなかつけられなくて。なので、スタートのときがぐだついてしまって大事な1本目が傾いてしまってうまく決まらなかったのですが、そのあとはとにかくたくさん速く漕いで前に出ようという意識でやっていました。それでも1着にはなれなかったのでまだスタートを出る意識が足りなかったかなと思いました。
――きょうのレースプランは
最初の500(メートル)を取るというプランでした。ひたすらレートを速くやっていたのですがそれでもなかなか出られなくて、500メートルからコンスタントにしたのですがあんまり伸長を生かせなくて長く漕げていないということが後から分かりました。これが今回のレースの課題として新しく見つかったので、あしたのレースではきょうよりも絶対良い漕ぎをしてタイムを伸ばしたいです。
――あす(準決勝)はどういうレースにしていきたいですか
レースプランは変わらないので、とにかく前半の500メートルをしっかり出し切って、出てあとは逃げるという、シンプルなレースプランでいきたいと思います。
木下弥桜(スポ1=和歌山北)
――お花見レガッタからどのように調整されましたか
お花見レガッタの前と変わらず、テクニック部分だけではなくメンタル面で練習でどれだけ自分を追い込むというか、質の良い練習ができるかというところだと思うのでそこを意識してお花見レガッタが終わってから中日本(レガッタ)までやってきました。
――逆風の影響はありましたか
きょうのレースはスタートから500メートルまでがすごい逆風で白波も立っていたので、逆風は好きなんですけど、少し強すぎかなって感じでした。でも500メートルからはゴールまでは程よい逆風で得意な風だったので、そこからは伸ばしていけました。500(メートル)までは風も強かったですし焦らずに一本一本艇を進めようという意識でやって、そこからは自分の漕ぎで自分の良い漕ぎができるように意識しました。
――予選と敗者復活戦を振り返って
予選は風が強くて波も荒れていたので、予想していたレースはできなかったのですがその出てきた課題を敗復(敗者復活戦)で解決して、敗復は思うような漕ぎができたかなと思います。
――予選で見つかった課題というのは主にどの部分でしょうか
波が高くて、焦って漕ぎが小さくなったりテクニック的な部分で焦って自分の漕ぎができなかったりというのがあったので、敗復ではそれを抜き上げを高くとか前から大きく漕ぐとかを意識して漕ぎました。
――準決勝に向けて
中日本の大会は実業団の方とかいっぱい出ていてレベルが高いんですけど、その方たちに食らいついていけるように全力で自分が今できる一番の漕ぎをして一つでも上にいけるように頑張りたいです。