【連載】早慶レガッタ直前特集 『4月17日』 第3回 C:藤川和暉×3:伊藤大生×2:東駿佑

漕艇

 昨年、隅田川の上で肩を落とす仲間たちを悔しい思いで見つめていた藤川和暉(法4=東京・早稲田)、東駿佑(政経3=東京・早大学院)、伊藤大生(スポ2=埼玉・南稜)。ことしこそ、ワセダの王座奪還へ―――。初の対校エイトメンバー入りを果たし闘志を燃やす三人にお話を伺った。 

※この取材は3月8日に行われたものです。

「勝たなきゃいけないなという責任感」(東)

質問に丁寧に応じる東

――初の対校エイトでの出場となりますが選ばれたときのお気持ちは

伊藤大 今回は初の対校(エイト)で初の早慶戦なんですけど、もともとワセダに入学を決めた理由が早慶戦だったので、選ばれたときは 「やったー!」というよりも「たどり着いた」という気持ちの方が大きかったです。 

藤川 自分も1年のときに見ていたのが、そのときの4年生の負けた姿だったので、それを見て自分もシートに座って勝てればなと思ったのが入部のきっかけでした。やはり自分がそのシートに選ばれたというのはすごく嬉しくて、やりがいを感じています。 

 自分は、選考に入った3人のうち2人が選ばれるということで、1人が落ちる結果になったんですけど。その選考はやっぱりすごく緊張して、実際は自分がその選考に入れるとは思っていなくて。1年、自分の計画としては(対校エイトのメンバー入りには)早くて。選考に勝って嬉しかったんですけど、自分は高校のときからワセダに入っていて、対校が勝ったところを見たことがなくて。きょねんは勝ったんですけど失格というかたちになってしまったので、そこで自分たちが勝たなきゃいけないなという責任感は感じています。 

――早慶レガッタは観客も多いですが、緊張や不安はありますか

伊藤大 緊張はとてもあって、今回は自分だけが2年生なんですけど、その中でのプレッシャーというのも結構大きくて。観客が多いっていうのは漕いでいるときは頭が真っ白になるので分からないんですけど(笑) 。その状態に至るまではずっと緊張してると思うので、それをはねのけたいです。 

藤川 やっぱり独特の緊張感というのがあって、コースひとつにしてもきょねんの中村先輩(拓、平28法卒=東京・早大学院)はベテランのコックスの方だったのですが、その人でも間違えてしまうことがあって、その緊張感だとか独特の難しいコースだったりするところをなんとか乗り越えていかなければならないなと思っています。かといって守りに入りすぎてしまっても攻め込まれてしまって相手の思うようにされてしまうので、とにかくそうさせないようにと思っています。 

<p><strong>東</strong> 自分も藤川さんと一緒で、すごく緊張します。きょねんも第二エイトで乗って、やっぱり来る人の数が全然違うし、環境も違うし緊張するんですけど、でも結局練習でやってきたことを出していくしかないので。しかも今回は初めての対校なので、自分たちはとにかく先輩についていくし、声を出していくしかないかなと思います。 

――昨年の対校エイトはどのようなお気持ちで見られていましたか

伊藤大 きょねんはサポートだったのでずっと見ていられたのですが、まだ勝ったワセダというのを見たことがなくて。ワセダが先行して帰ってきたとき本当に嬉しかったんですけど、失格というかたちになってしまったので。自分は漕いでいないのに、涙を流すほど悔しかったです。 

藤川 自分も伊藤と同じで、漕力で勝った分どうしても理不尽な負け方をしてしまったなという感じはありましたね。 

 自分たちの(第二エイトの)レースが負けたあと、対校エイトが勝っていると聞いてゴールしたところも勝っていたし、でもそのあと赤旗が上がって。同期も先輩もめちゃくちゃ泣いてて、どう声をかければいいのかそのときはわからなかったです。 

――昨年の結果も踏まえて、ことしのレースプランはありますか

藤川 まだ煮詰めてはいないです。きょねんもそうだったんですけど、ケイオーは後半が得意なイメージで、吾妻(あづま)橋、言問(こととい)橋、桜橋の区間がすごく速いので、そこになんとか追いついてラストでスパートをかけられればいいかなと思っています。 

伊藤大 自分はとにかく先輩についていくという感じですね。 

 ことしはインコースで、ケイオーに出られている状況からスタートするので、いかにその差を詰めてから突き離していけるか、という部分ですかね。 

――すでにお話に挙がっていますがことしのケイオーについての印象はありますか

 少しだけ見た感じだと、ことしは違う雰囲気だなと。ケイオーはボートコースと川で漕ぎを変えてきていて、隅田川に合わせた漕ぎをしていたんですよ。いつもはハイレートで漕いでいる感じがするんですけど、ことしは普通というか、基本の漕ぎをしているなって感じたんですけど、どうですかね? 

藤川 その通りだと思います。 良くも悪くもケイオーらしさが消えたというか、あまり見てはいないんですけど。オールも硬くて細い、新しいものに変わったし、リズムも変わったなと。もう一つあるとすれば、ついこの間まで中部電力と合宿で並べ練習をしていたみたいで、コンスタントは強いのかなと見ています。 

――漕手のお二人は、ご自身のシートで必要とされているものは何だとお考えですか 

伊藤大 自分は真ん中のエンジンの役割で、土台というかとにかく力強く漕ぐこと。あとは、声を出すこと。2年生だからといってただ周りについていくだけではなくて、自分からも声を出してチームの雰囲気を上げられたらいいなと思っています。 

 自分は二つあるとおもいます。一つは、バウペアといって後ろの二人なので、他の6人の漕ぎを見わたしてその漕ぎの感じをフィードバックすること。二つめは、クルーを盛り上げること。やっぱりいま、練習はきつくて、朝早かったりして身体も疲れてくるので、クルー全体で声を出すことが辛くなってきます。そこを率先して声を出していこうっていう話はバウの内田(達大、スポ3=山梨・吉田) ともしています。でも漕ぎの指導っていうのが、自分たちはまだまだ見れてないのかなと感じるので、そこをあと1カ月で詰めていきたいなとは思います。 

――早慶レガッタに向けて特別な練習はされていますか

藤川 特には。

伊藤大 特には(笑)。

 そうですね(笑)。結局、基礎基本ができていないと勝てないと思うので、そこをとにかく、徹底的に、地道に。長い区間を漕いでいくという練習なので何か特別なことをしているのはあんまり無いって感じですね。 

――隅田川と戸田のボートコースの違いはどこにあると思われますか

藤川 なんというか、(隅田川は)うねりがあります。コースと違って大きな船が通るし、川幅も狭いので波がすごく複雑で、大きいです。そのせいでバランスが取りにくいし、あとオールが真っ直ぐ水中に入ってもしっかり進めないこともあって。遠くにオールが入ったとしても速く進めるとは限らない、という感じです。 

――コックスの先輩である中村さんに教わったことは

藤川 いっぱいあってわからないです(笑)。 

――ことしの対校クルーの雰囲気はいかがですか

伊藤大 陸ではばらばらで、にぎやかな人だったり静かな人だったりするんですけど、水上にいくとみんな一気に熱くなるというか、性格が変わります(笑)。急に熱くなりません? 

 そうですね。練習になると雰囲気が一気に切り替わるというか。特に一番すごいのが、今回はケイオーと戦うんですが、日大をやっぱり意識していて。きょねんの(全日本大学選手権の)対校エイトに乗っていた人が今回四人乗ってて、ことし連覇を狙っているので、夏を見据えて日大を意識せざるを得ないというか。そういう雰囲気をつくってくれるので、そこに自分たちがまた新しい風を吹き込んでいければいいのかなと。クルーの雰囲気全体としてはとても良いと思います。 

藤川 その通りで、メリハリがあります。陸と水上では全然違くて、熱くなれるクルーだなと。コールをかけるとすごく反応をくれる。対校ってコールをかけてもあんまり反応してくれないってイメージを勝手にもっていたんですが、自分が一声かけるとワッと盛り上がってくれて、逆に言い返してもくれるし、元気で良いクルーだと思ってます。

――是澤(祐輔、スポ4=愛媛・宇和島東)主将についての印象は

伊藤大 主将らしい統率力もですし、水上に出ても一番強いドライブを出していらっしゃるし、まだまだ自分にはたどり着けない、一歩、二歩先の先輩なんだなと感じます。 

 やはり主将ということで責任感が強いですし、人一倍勝ちたいという気持ちが強い方です。けどそうやって追い込みながらも、オフとかはお茶目な感じです(笑)。気軽に話しかけてくれて、「きょうどうだった?」「何してたの?」とか、主将なんですけど関わりやすいというか。

藤川 同期なんで分かんないんですけど、親しみやすいんじゃないかなと思います。東が言ったようにお茶目なところがあったり、練習であれば「自分は絶対ドライブを抜かない」といった、意識を徹底していて、頼れる面もあったりして親しみやすい主将なのではないかと。 

「常にチャレンジャーでいたい」(伊藤大)

昨年ルーキーながら全日本を制した伊藤大

――お三方とも学年が違いますが、お互いの印象は

伊藤大 印象ですか(笑)。難しいなあ。陸だと、藤川さんはすごく熱心な方で、誰かがビデオとかを見ていると一緒に見て教えてくれる、頼れる先輩です。東さんは高校のときから知っている仲なんですけどとても話しやすくて、こちらから話しかけやすいし向こうから話しかけてもくれる先輩です。 

 それだけで(笑)。 

伊藤大 精一杯です(笑)。 

 伊藤ちゃんは、超ピュア。なんか女の子っぽいピュアさ(笑)。優しいし、こういう感じです。フワフワしてる。だからそれが水上でもっと強くなってくれれば頼れる人間になるなって感じです。藤川さんはきょねんの第二エイトもそうですし、わりと一緒にいるクルーではあるので。とにかく超真面目な方で、自分が「(今日の練習について)どうでした?」とか聞くと全部返してくれるし、 観察眼がすごくて、全員しっかり見ているし、陰で支えてくれているっていう感じが強いです。 

藤川 そうですね、二人に持っている印象が、二人とも向上心がすごいっていう。自主練習も全然抜かないし、きつい練習のあとも漕ぎの修正をしたり足りないところの補強をしていたりして、すごく真面目な部分があります。伊藤大が特にそうですね。東が言ったように普段は優しくてフワフワしてるんですが、締めるところは締める。東はセンスが良いというか、コールに対する反応が抜群に良くて、コールをかけるとすぐに声を出して上げていってくれる。メリハリがありますね、二人とも。 

――それぞれの学年カラーは

伊藤大 みんな性格がばらばらなので。でも自分から意見を発することはあまりなくて、先輩についていく感じです。 

 自分らは今年3年の代なんですけど、うるさいです。結構強キャラが多くて(笑)。 

伊藤大 僕らの代よりかはかなり。 

 個性が強い人が多くて、それがまとまらないと思いきや結構まとまってますね。女子もそうなんですが、学年でどこか遊びに行くといったことはなかなかないんですけど、ここぞっていうときに結構まとまります。学年ミーティングのときとかもみんなきちんと考えていて、ボートにおいてはやっぱりストイックだし、刺激し合っているし。面白いけど、ストイック。不真面目だけど真面目。しっかりしてる代だと思います。 

――ちなみに誰が一番強キャラですか

 石田良知(スポ3=滋賀・彦根東)!あいつ最高です、大好きです(笑)。もうあいつのようなキャラには一生出会えないと思います(笑)。午後練とかの前に部屋にでかい音楽流して、クラブみたいにしちゃうし、飯をものすごく食うし、なんかもうとにかく強キャラです。 

――藤川選手の4年生の代は

藤川 自分たちは1年生の代と似てて、自分から発信していくことはあまりないかなと。まとまりやすいです。あんまり、学年としてのカラーというか個人個人としてのカラーがよく出る部活だなと思っています。 

――ご自身で思う部内での役割は

伊藤大 自分は常にチャレンジャーでいたくて、いまも対校に乗せていただくんですがその中では1番下の漕力だと思っていますし。自分がチャレンジャーとしてどんどん上にいくことを目指していて、他の同期がそれに刺激されてどんどん上を目指してくれるような人間になりたいです。

 これからもそうしていきたいと思っているんですけど、みんなと話していきたいというか。悩みも相談してほしいし、それを一緒に解決していきたい。そういうポジションが必要なのかなって思って、自分がやっていきたいなと。あと自分は学院出身(早大学院)なので、そういった意味でも自分が高校と大学の架け橋になれればいいなと思っています。

藤川 自分が冷静っていうわけではないんですけど、結構女子も含め熱くなりやすい人が多いので、悪い意味で熱くなりすぎないようにある意味で抑えこまなきゃいけないのかなと感じることがあって、それが自分のポジションなのかなと。 

――ご自身の強みとは何だとお考えですか

伊藤大 ないですね(笑)。 

 自分が代弁すると、伊藤大はとにかくストイックです。エルゴは軽量級の中では1番回しているし、どのメニューでもベストを尽くすっていう。書いといてください(笑)。自分から言ったってことで(笑)。

伊藤大 さっきも言ったのですが自分はチャレンジャー精神でいきたいので。自分はこれが強いな、っていうのはまだです。出てきたら言います(笑)。 

 この部活は全体的に、どこを取ってもすごい人が多くて。自分がどこかで1番になれるっていうのはなかなか無いんですが、強みといえば自分は171センチとあまり身長が無くて、180とか185センチある人との差をここまで少しずつ埋めつつあるのかなっていう思いはあります。まだまだなんですけど。 

藤川 隅田川に対する思い入れは負けられないなと。1年目は隅田川でレースすらできなくて、2年目は負けてしまって。オフの日とかも病気とかしなければ隅田川に行きますし、隅田川でレースをしたい、勝ちたいっていう思いは誰にも負けないと思っています。

――部内でこの人には負けたくないなと思う人や、ライバルとして意識されている方はいますか

伊藤大 負けたくないっていうか超えたい人は、卒業生なんですけど、長田さん(敦前主将、平28スポ卒=石川・小松明峰)。あの人には絶対追いついて超したいなっていうのが自分の中で目標としてあります。 

 自分も同じで負けたくないっていうか尊敬している人なんですけど、4年生になる竹内さん(友哉副将、スポ4=愛媛・今治西)。身長もそんなに変わんなくてエルゴはあっちの方が全然回すんですけど、漕ぎがめちゃくちゃ上手くて、キャッチのエントリーとか全てにおいて真似したいというか追いつきたい人ですね。 

藤川 自分も尊敬している人になってしまうんですけど、丹下(翼、スポ4=愛知・旭丘)かなって。あれほど他人のために尽くせる人間はいないなと思います。オフの日とかつぶしてまで早慶戦の準備とか、部のために何かしてくれているのはすごく尊敬できますし、見習いたいなと思います。

――これから1つ学年が上がりますが、昨シーズン全体を振り返っていかがですか

伊藤大 大学1年目で、まず最初の半年は寮生活に慣れるっていうのが大変でした。朝4時台に起きることなんていままであんまりなかったし、5時台に水の上にいるなんてありえなかったので(笑)。まず生活に慣れるっていうのが大変な一年でした。

 きょねんのこの時期は自分なりに頑張っていたんですけど、夏の結果を見るとやっぱり足りなくて、きょねんはインカレ(全日本大学選手権)で男子はエイト優勝して、女子は全種目優勝して、(舵手)付きペアも優勝したし。その中で自分は順位決定戦で1位で(全体)5位みたいな。めちゃくちゃ悔しくって。表彰台で喜んでいる姿を見て、自分もすごく嬉しいんですけど、すごく悔しくて。だから、ことしは絶対に勝ちたいなと思いました。

藤川 自分は自信をつけられた1年間だったかなと。結果から見れば伊藤みたいに全日本(選手権)で優勝したり、東みたいに順位を残したりしたことはなかったんですけど、やっぱり自分がクルーキャップになってみんなを引っ張っていって、自分の立てた方針が間違ってなかったっていうのがすごく自分の自信につながりました。1年の中でそこが一番大きかったなと思います。

――――先ほど悔しいとおっしゃられていましたが、昨シーズンの全日本新人選手権の男子エイトでは4位でしたが、改めて振り返ってみていかがでしょうか

 自分も正直コースで、エイトで出るのは初めてで慣れてなくて、経験不足だったのかなと思います。あとはやっぱり石田や内田の2人の技術にまだまだついていけなかったのかなと思います。すごく悔しいっていうのと、そこについていかなきゃという目標が見つかった大会だったのかなと思います。

伊藤大 自分は昨シーズンがずっと遅い種目の艇に乗っていて、そこから新人戦で速い種目の艇に切り替わって、自分がついていけなかったかなと思います。あとは東さんも言っていたように、良知さんや内田さん、石橋さん(広陸、スポ3=愛知・豊田北)とか、早慶戦で対校に乗っている人たちに全然ついていけなくて力不足だなっていうのを痛感した大会でした。

――――1年を通しての課題は見つかりましたか

伊藤大 ほとんどなんですけど(笑)。艇の上では漕ぎの技術だったりドライブの強さだったり、陸だったら早慶戦に対する意識だったり。そういうのがまだまだ自分は足りてないなと思っていて。まず先輩たちにきちんとついていけるように意識から変えないといけないと思います。

 自分も技術的なものはまだまだかなっていう。良くなってきてはいるんですけど、もっと課題を解決しないといけないのかなっていうのがありますね。あとは雰囲気づくりをもっと重要視したいなと。もっと自分たちで声出してやっていくというのをやらなきゃいけないのかなと思います。

藤川 具体的なことになってしまうんですけど、水中が落っこちてしまったりペースが落ちてしまったりしたときにダメならダメと言わなきゃいけないところを言えない。まあいいかなと思ってしまうところがあって、そこの意識が甘いかなと思います。

――――逆に1年を通して成長したなと思うところはありますか

伊藤大 全体を通してレベルアップは出来たかなと思っていて、エルゴのタイムを見てもそうですし、大学入ってから基礎的な体力とかはすごく付いたかなと思います。

 自分はとりわけパワーがやっぱ全体的に足りてなくて、そこをこの冬結構頑張ってきて、結果的に6秒くらい上がったんですけど。まだまだそこはもう少し出来るところはあるのかなと思います。

藤川 声の大きさはよくなったのかなと(笑)。いろいろあって声つぶれるくらいコールとかやってて。でもことしは結構声をつぶすこともなくて、ちゃんと声も出せてて、そこは結構良くなったのかなと思います。

――学年が上がって新しく後輩も入ってきますが、それぞれ意識するようになったこと、意識したいことはありますか

伊藤大 自分の1個下の後輩になるので、伝えるべきことはちゃんと伝えたいなと思っていて。まあ暮らし方だったり、自分の代が結構ひどかったので(笑)。その反省を生かして、後輩には正しい道を(笑)。良い先輩になれるようにしたいです。

 正直大学2年生までは高校の延長というか、大学3年生になると、大学生になったなって自分の感覚のなかではあって。もう上級生の部類に入るので、背中で見せていかないといけないのかなと思います。練習に対する姿勢も私生活も、そこは示していかないとついてこないかなっていうのと、あとは、みんなに声をかけていきたいなと。特に下級生。絶対に悩んでいる人もいると思うので。そこを何とかしていきたいなと思いますね。

藤川 私生活にしても何にしても目指したいなと思われるような先輩にならなきゃいけないのかなと思っていて。それが自分たちはできていなくて。逆に次の3年生がやってくれているところが大きくて、やはり自分たち4年生がやっていかなきゃいけないところだと思うので。らいねん、下級生が入ってきたら、自分たちが率先して下級生を指導できるようにやっていかなければならないなと思っています。

「自信はあります」(藤川)

初の対校エイトメンバー入りに闘志を燃やす藤川

――――今回の早慶レガッタについて自信はありますか。意気込みなどもお聞かせください

伊藤大 自信は、あります!初めてなので、どうやって漕げばいいかとかは分からないんですけど、絶対先輩たちに付いていけば勝てると信じています!

 自信はありますね。メンバー的に、やれば勝てる。でもやらなければ勝てないので。そこをこの1か月でどう詰めてやっていくかというのが大事だと思います。でもまだ7割5分くらいですかね。自分の中での自信的にも達成度的にも、まだ7割くらいかなと。それを全員で10割に持っていく。技術もそうだし、雰囲気もそうだし。全て10割に持っていけば、本番には100パーセント勝てるって言い切れる自信がつくのかなと思います。

藤川 まとまれば勝てるのかなと思います。自信はあります。逆にまとまりがなくなったらコロッとやられてしまうので、とにかく8人で動きを合わせて、8人で進めて、8人でまとまるっていうのが大事だと思います。

――最後に、皆さんにとって早慶レガッタとは何でしょうか

伊藤大 通過点なんですけど、絶対に勝たなきゃいけないレースで、ここで勝って次のインカレ、全日本につながっていく大事なレースなんで、必ず勝ちにこだわるレースだと思っています。

 早慶レガッタは、学院の時に1回出て負けて、2回目はセカンド(第二エイト)できょねん出て負けて、ここまで2回負けてるんですけど、勝つことが難しいレースだなと思います。普通にやって勝てればいいんですけど、そういう簡単なものではないので、とりあえず勝つっていう。だから、後悔がないぐらい1か月練習して、勝ちます。

藤川 伊藤が言ってくれたんですけど、長い目で見たらインカレ、全日本の通過点でしかないと思うんですけど、やっぱりこういう風にワセダとケイオーっていう対校戦っていうのは、ワセダは早慶戦しかないので、そこがすごく大きくて、負けられないなと思います。絶対に勝ちたいです!

――ありがとうございました!

(取材・編集 三浦遥 吉田安祐香)

◆伊藤大生(いとう・だいき)(※写真左)

1996(平8)年9月13日生まれ。身長180センチ、体重73キロ。スポーツ科学部2年。埼玉・南稜高出身。ポジションは対校エイトの3番。対談中、真摯(しんし)な受け答えが印象的だった伊藤大選手。東選手いわく、「自炊が最強」だそうです!好きな料理は親子丼とハンバーグ。趣味はお菓子作りで、ホワイトデーは毎年手作りのお菓子を作るそうです!

藤川和暉(ふじかわ・かずき)(※写真中央)

1995(平7)年1月27日生まれ。身長162センチ、体重55キロ。法学部4年。東京・早稲田高校出身。ポジションは対校エイトのコックス。クールな表情とは裏腹に、「オフの日は病気でもしなければ必ずと言っていいほど隅田川を訪れる」など、言葉の端々から早慶レガッタや漕艇部にかけるストイックな熱い思いが伝わってきました!また、趣味の紅茶にも温度や時間までこだわる徹底ぶり。本番ではどのようにクルーを導くのか、注目ですね!

◆東駿佑(あずま・しゅんすけ)(※写真右)

1995(平7)年12月28日生まれ。身長171センチ、体重73キロ。政治経済学部政治学科3年。東京・早大学院出身。ポジションは対校エイトの2番。高校時代からずっと見てきた早慶レガッタに、6年目のことしは対校エイトのクルーとして臨まれます。また、非常に後輩思いの東選手。対談中も終始、後輩の伊藤大選手を気にかけていらっしゃる姿が印象的でした。