【連載】インカレ直前特集『Challenge』 第7回 6:石田良知×3:内田達大

漕艇

 大学日本一の座を懸け毎年熱戦が繰り広げられる、全日本大学選手権(インカレ)。その中でも花形種目となる男子対校エイトのシートを2年連続で勝ち取ったのは、石田良知(スポ2=滋賀・彦根東)と内田達大(スポ2=山梨・吉田)だ。昨シーズンから主力として活躍している二人は何を思うのか。インカレに対する意気込みを伺った。

※この取材は7月31日に行われたものです。

「一つの大会ごとにレベルアップしている」

2年連続のインカレ出場となる石田

――オフの日はどのように過ごされていますか

石田 オフの日は学校の友達と遊びに行ったり映画を見に行ったり、友達の家に行ったりしています。

――どういったところへ遊びに行かれますか

石田 遊びに行くのは新宿と池袋とかで映画を見たり、(高田)馬場の近くに小学校からの友達が住んでいるので、そこへ遊びに行ったりしますね。

――内田選手はいかがですか

内田 僕も高校のときの同級生と遊びに行ったりとか、あとは戸田で他の大学の子たちと遊んだりいろいろしています。

――ようやくテストも終わりましたが、練習との両立はきつかったのではないでしょうか

石田 単位は取れたかなと思います。単位を取れれば良いかなと思っていたので、大丈夫かなと(笑)。

内田 きつかったですね、一週間(笑)。夜遅くまで勉強して、朝早くから練習していました。単位は大丈夫だと思います(笑)。

――2年生の仲の良さ、雰囲気などはいかがですか

石田 2年生は仲良いよね。遊びに行ったりはないですが、同期の誕生日ごとにパーティを開いています。毎回ここ(講義室)でパーティして、みんなでプレゼントをしていますね。それくらいかな?

内田 それくらいだね(笑)。

石田 オフは結構みんなバラバラに過ごしていることが多いですね、いつも一緒に生活しているので。

内田 同期の中でちょっと集まったりとかはしていますね。

――部内で流行しているものなどはありますか

内田 ちょっと自転車がはやり始めていますね。

石田 そうですね、ロードバイクですね。僕は持ってないんですけど、うっちー(内田)は持っているよな。うっちー、石橋(広陸、スポ2=愛知・豊田北)、有田(雄太郎、政経2=東京・早大学院)あたりが持っていますね。練習終わりにツーリングに行ったりしています。僕だけママチャリで(笑)、必死について行っています。最近みんなロード(バイク)を買い始めたな。

内田 そうだね。

石田 10万とか15万円くらいするんですよね。結構みんな買うためにお金を貯めていますね。

――今シーズン前半戦を振り返っていかがでしたか

内田 僕は早慶戦(早慶レガッタ)と軽量級(全日本軽量級選手権)にしか出ていないのですが、一つの大会ごとにレベルアップはしてきているのではないかと感じています。やってきたことが大会ごとにうまく表現できるようになったかなと思っています。課題はもちろんその都度出てきてはいるので、もっと上を目指していかなければいけないのですが、山積みの課題の中でも一個一個減らせてきているのかなとは思います。

石田 僕もうっちーと一緒で、早慶戦が一番良かったかなと。内田監督(内田大介監督、昭54教卒=長野・岡谷南)の体制になって新たな指導方針が決まって、それが少しずつ身に付いてきたかなと。その結果勝敗は別にしても、ゴールはケイオーよりも先にできたので。あと僕はアジアインドアローイングという大会に出場してきました。それも高校のときからずっと行きたかった大会でした。詳しくはよく分からないのですが、高校のときに僕より一個年下の子が出たんですね。おそらくなのですが、僕の先生が僕に内緒で(アジアインドアローイング出場を)断っていたみたいで。大学に行ったら出ようと思っていたので、無事に出場できて良い成績を残せたので、その点は良かったかなと思います。

――後輩も入部されましたが、先輩として何か刺激されたことなどはありますか

石田 先輩になったという自覚は多少ありますが、特に意識はしていないですね。

内田 実力では負けないように、と思っています。普段の生活でも理不尽なことは言わないように心掛けています(笑)。特に大きく意識はしていないですね。

石田 もともと僕らの部活は自由でそんなにしばりがないので、自主練したい人はすれば良いし、僕らの漕ぎを見て、教えてもらいたい人は先輩に聞けば良いし。聞かへんのやったら、それもそれで良くて、好きに自分で頑張っても良いという感じです。「教えて」と言われれば僕らも教えますし、そんな感じで自由にやっていますね。

――後輩や先輩との仲はいかがですか

石田 どっちかと言うと僕らは先輩の方が仲は良いよな。

内田 そうだね、どっちかと言えば。

石田 僕は後輩はまだそこまで仲良くはないですね。

内田 まあまあですね(笑)。

石田 やっぱり1年のときから先輩と同じクルーで乗っているのが大きいですね。ことしは(対校エイトクルーに)1年生がいないので、まだ全然関係が築けていないですね。どんな漕ぎをするかわからないし、どんなアドバイスをすれば良いかもわからないですね。

内田 コミュニケーションを取る場が少ないとは思います。

石田 そうだね、部屋も違いますもん。

内田 オフの日もそれぞれでどこかに行ってしまうので、後輩とはこれから(仲良く)やっていければ良いですね。

石田 そうですね、まだだって(1年生が入部してから)3カ月ですからね。

「まだまだ上を狙える」

インカレに向けて気持ちを引き締める内田

――お二人は早慶レガッタに続いての対校クルー選出となりましたが、選ばれた時の心境はいかがでしたか

内田 良知(石田)なんかはアドバンテージで(対校エイトクルーに)入っていたのですけど、いつも僕は選考ごとに毎回レースしなければいけなくて。でも今回はアドバンテージで入れてもらえたので、選考レースしなくてもよかったのでほっとした部分はありました。ですがその分、選ばれた分は仕事をこなすという気構えといいますか、そういう気持ちでいます。

石田 僕もうれしかったですね。努力してきたから選ばれたとは思いますが、まだまだ上を狙えるかなと。ここで一喜一憂せずに、これからも頑張りたいですね。でもまずはうれしかったです。

――早慶レガッタに続いての選出ですが、早慶レガッタの経験で生かせそうなことなどはありますか

内田 テクニックはそのままだよね。

石田 狙うところはずっと一緒なので。漕ぎに関しても、荒川で漕ごうが戸田(ボートコース)で漕ごうが変わらないので。同じように狙うところを狙います。

内田 良いバランスを取って、キャッチをしっかりかけるだけですね。

石田 それだけですね。

内田 それを春先からずっと狙ってきているので。

石田 そこは変わらないですね。

――対校エイトクルーの雰囲気はいかがですか

内田 個性がかみ合っているクルーですね。

石田 早慶戦が終わって一度クルーがそれぞれバラバラになったんです。1人乗りになったり2人乗りになったり、4人乗りになったりといったん軽量級を挟んだので。そこでみんなが個々で実力をつけてもう一度集まったので、船のスピードは出ていますがまだ個人個人になっている部分はありますね。8人乗りの船に乗り始めてからまだ一週間たっていないので、これからもっと艇速が上がるかなとは思います。

――今回4年生が5人も乗られていますが、先輩たちの姿を見て感じたことなどはありますか

内田 お互いに刺激し合っているのかなと。やっぱり長田さん(敦主将、スポ4=石川・小松明峰)が僕らにとってのキーマンだと思います。長田さんの姿を後ろから見ていて、漕ぎも人間性も含めて、この人についていけたら良いなと思いますね。

石田 僕も一緒で、長田さんについて行くだけですね。4年生が他にも乗られていますが、後ろから声を掛けてくださるので素直にアドバイスを聞き入れるようにしています。僕らは全員が日本のトップである長田さんに近づけば良いので、極力僕らが長田さんに合わせるようにしていますね。

――クルーのシートが仮決定していると思われるのですが、そのシートも含めてご自身に求められている役割は何だと思いますか

石田 僕は今回6番で、おそらく1年生の時の対校では、全日本(選手権)も新人(全日本新人選手権)も早慶戦も6番でした。6番は一番エンジンになるというか、艇を進めるパワーが要るところです。3年生の是澤さん(祐輔、スポ3=愛媛・宇和島東)が5番で、おそらく(自分たちは)ずっと固定だと思うのですが、ここ(のポジション)はもう常に艇を進めることだけを考えています。バランスとか僕は全然考えないです。バランスは後ろに任せるので。本当に艇を進めることだけを考えています。

内田 僕は3番というポジションで、良知がいま言ったように僕は後ろの方になるので、バランスをしっかり取るということと、あとはちょうど4人ずつに分かれる真ん中に近いポジションなので、そのリズムをしっかりバウペアの2人にまで伝えるということを意識していきたいです。

――お二人は昨年に引き続きインカレ出場となりますが、ご自身にとって昨年との違いは何でしょうか

内田 やはり築けた知識の量とか身に付けられたテクニックとかの量が全然違いますね。1年生の時に築いていたらなという部分がかなり多くて。心境としては、きょねん果たせなかった優勝という目標に対して、リベンジしたいです。

石田 僕も一緒で、1年の時から(対校エイトに)乗っていて、1年生の時には全然気付けなかったことに乗っている期間が長くなってくると気付けたので、それを改めて実感した上で乗るので、ことしこそは日本一になりたいなと。打倒日大です。その気持ちは多分誰にも負けないですね。

――精神面でも技術面でも成長できたということでしょうか

内田 そうですね。練習に対しての姿勢もだいぶ変わったと思います。

石田 僕はもうかなり1年の時から変わりましたね。1年生の時、僕は文句しか言ってなくて、常にだるがっていました。ちょっと変わったかなと思われるくらいになればいいかなと。ちゃんと変わったよな?

内田 だいぶ変わった(笑)。

石田 ちょっとは変わりましたね。

内田 レースの時にその集大成を見せてくれると思います。

石田 見せます!

――まだあまり練習できていないとは思いますが、いまの対校エイトでの課題はありますか

内田さっき言っていたように、動きが個々になっていたり、一人一人の動きがバラバラになっちゃう時があります。一人一人のスキルは上がってきているのですが、そこをうまく8人で合わせなければならないと思います。

石田 8人(の動きが)がまだそろっていないので。でもまだ3週間あるし、3週間あればたぶん100パーセントパーフェクトになると思うので、そこは楽しみですね。

――逆に今後伸ばしていきたい良いところはどこかありますか

石田 艇速ですかね。ことしはかなり速いので。きょねんでは出せなかったようなタイムをことしは普通に出せているので、スピードですね。

「チャレンジャーの気持ちで貫き通せたら」

大学日本一の座を熱望する二人

――8月4日から相模湖合宿が始まりますが、合宿で強化していきたい部分はありますか

内田やはり8人の動きが完璧にそろって帰ってきてくれればいいかなと思いますね。あとはさっき言ったキャッチのかかりももっと良くして、戸田の各大学の中で日本一の漕ぎができるように帰ってきたいと思います。

石田 そうですね、一緒ですね。8人が同じリズムで、同じ意識を全員で共有するということが大切かなと思います。相模湖って他大学の選手たちはいなくて、多分僕たちだけなので有利かなと。同じ意識を共有してこっちに帰ってきたいですね。

――戸田ではなく相模湖で合宿をすることによって得られるメリットはどこにありますか

内田 コースがすごく混むと、船って若干波が出るんですよ。そういう小波がなかったり、あとは自分たちが好きなようにコースが使えるので、普段できない練習ができるかなと思います。

内田 あと(船を)止められないですからね。戸田だと邪魔になると「すいません」って止められるので。でも相模湖では誰もいないので、止められることなく黙々と漕いでいけます。

――スケジュール的には毎日何時間くらい漕ぐことになりますか

内田 4、5時間くらい?

石田 1モーション3時間くらいじゃない?1モーション2時間以上なので。

内田 1日4~6時間は漕ぎますね。

――距離としてはどのくらいになりますか

石田 たぶん1日40キロメートルくらいは漕ぐかなと思います。相模湖合宿は本当に漕ぎます。もう戸田ではそんなに漕げないので。向こうに行って死ぬまで漕いで、漕ぎ通すので。

――基本的には水上だけの練習になるのでしょうか

石田 そうですね。ウエートとかもしないですし、筋トレとかもせずに、漕ぐことだけに集中します。だから相模湖に行く前に僕らはウエートとかで筋肉付けて、ある程度体をつくってから、向こうで漕ぎまくります。いまは漕ぐだけじゃなくて、トレーニングしたり、みんなでサーキットトレーニングしたり、筋トレしたりしています。

――4年生たちにとっては最後の夏ということになりますが、2年生としてどのようなお気持ちで臨みますか

石田 ワセダって全然勝てていないので。何でも日大がいて。勝って4年生にメダルを渡したいですね。僕は滋賀県の先輩もいるので、メダルを首に掛けてあげたいですね。

――最後にご自身のインカレに対する意気込みをお願いします

石田 僕は優勝できると思うので。ワセダのOBでオリンピックに出た村瀬さん(康、昭40商卒)という方がいるのですが、おそらく日大とワセダが競って、最後に戸田のコースレコードをどっちが出すかというくらいのタイムで競って日大かワセダが優勝するのではないか、という見解でした。お互いコースですれ違うとバチバチしているので。まあ僕だけかもしれないですけど(笑)。お互い8人いてシートがあるじゃないですか。いわゆるタイマンを張っているわけですよ、向こうと。こっちの6番と向こうの6番と。体重を見て俺の方が勝っているとか、パワーを見て、エルゴの数値を見て、過去の記録を見て、タイマンしていくんですよね。結構バチバチで。

内田 シート変えやがったな、とかね(笑)。

石田 また計算し直しですよ。また俺の方が勝っているなとか。体重とかいろいろ見て。まあでも向こうも意識はしているとは思います。ことしは結構ワセダは速いので。バチバチしながら、にらみ合いながらやっています。

内田 絶対優勝できるとはひそかに思いつつ、勝負に絶対はないので、優勝に挑戦してチャレンジャーの気持ちで貫き通せたらいいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 須藤絵莉、八木瑛莉佳、写真 栗村智弘、渡部歩美)

◆石田良知(いしだ・りょうち)(※写真左)

1995年(平7)10月26日生まれ。滋賀・彦根東高出身。スポーツ科学部2年。ポジションは対校エイトの6番。Tシャツに描かれているイラストは『とんかつ君』なんだとか。笑顔で「とんかつ君もちゃんと写りますかね?」と話しながら、和やかな雰囲気の中、写真撮影に応じてくださいました

◆内田達大(うちだ・たつひろ)(※写真右)

1996年(平8)1月7日生まれ。山梨・吉田高出身。スポーツ科学部2年。ポジションは対校エイトの3番。最近はドラえもんやクレヨンしんちゃんなど、子供のころに見た懐かしい映画にはまっている内田選手。しっかり息抜きをして、リラックスした状態でインカレに臨んでくれることでしょう!