全日本大学選手権(インカレ)では『全種目優勝』を目標に掲げる女子部。中でも2年生の漕手は経験豊富な実力者ぞろいで、完全優勝への原動力として期待される。女子舵手付きクォドルプルに出場する木下美奈(スポ2=山梨・富士河口湖)、女子ダブルスカルでペアを組む石上璃奈(スポ2=長野・下諏訪向陽)と木野田沙帆子(スポ2=青森)、女子舵手なしペアに出場する田口えり花(商2=埼玉・浦和一女)。四人が織りなす濃密な漕艇部生活の全貌、そして目前に迫った戦いへの胸中を探る。
※この取材は7月30日に行われたものです。
あふれる個性
静かなる闘志を燃やす石上
――インカレまで1カ月を切りました。いまの率直な心境をお聞かせください
木下 私は舵手付きクォドルプルの2番で出ます。きょねんもシングルスカルで出場して4位だったのですが、ことしはあまりマイナスな面や感情はなくきているので、楽しめたらと思います。
木野田 1カ月前まではカウントダウンしていたのですが、この間1カ月を切ったことが分かってからいまに至るまでが早いという感じがあって、いま早いと感じるならば大会まではもっと早いのかなと思うと、時間のなさに追いやられる感じがあります。
田口 きょねんのインカレは選考に落ちて出られなかったのですが、ことしはこんな良いポジションで出させてもらうのですごく楽しみだという気持ちが強いです。
――今シーズンの調子はいかがですか
木下 この間シングルスカルに出て、徐々に速い動きにも慣れてきたとは思うのですが、まだまだ課題はあるので、徐々に直せていけたらと思います。
石上 (木野田)沙帆子とのダブルスカルなのですが、もとから水中の押している水が合っているなという感じはありました。少しずつ精度も上がってきているので、あとはレートを上げられるように頑張っていきたいと思います。
木野田 もともと石上とのダブルスカルは勢いで漕いでいる部分があったのですが、時を重ねるうちに勢いが削れてきて繊細さがついてきました。残り少ない時間でいかに調子を上げられるかが重要になってくると思うのですが、いまはまだ完成できているという感じではないので、これからかなと思っています。
田口 1年生の北村(綾香、スポ1=滋賀・膳所)と乗っています。選考の時から乗り換えとかはしているのですが、すごく長さとか漕ぎのリズムとか相性が良いなと思っていて、まだスイープは乗りたてということもあるので、これから段階を追ってセットアップしていけたらと思います。
――今シーズンから内田大介監督(昭54教卒=長野・岡谷南)が就任されましたが、何か変化はありますか
木野田 1年生で入ってきた時よりも目標が明確で、かつその目標に向かって段階的に部員に発信しているのがとても分かりやすいなと思います。1年生の時は一人一人に対してよく見てくれているというか、監督に対してそれぞれ感想文を送ったりとかそういうところに関してはいいと思っていたのですが、部全体の目標が明確ではなく漕ぎもあいまいな部分があったので、内田監督になってからは一つの目標が明らかになったことによって部全体としてワセダの漕ぎができているという印象はあります。
――練習にも目標があってやりやすいのでしょうか
木野田 監督がいらっしゃる土日の練習の前に必ず監督がここを狙うためにここをどうしようというアドバイスをくれて練習の目的も明確になってくるので、練習に向かう姿勢としてはとても良い方向に向かっていると思います。
――では逆に平日の練習はどうされているのでしょうか
木野田 練習メニューは一週間で出ているので、そのメニューに対して土日に出た課題を自分たちでアプローチして解決していき、土日にコーチや監督が見て変化しているかを確認するというサイクルでやっています。
――以前、土屋愛女子主将(スポ4=新潟・阿賀黎明)が自由な雰囲気づくりをしているとおっしゃっていましたが、どういったところに感じられますか
田口 思ったことをパッと言ったときに肯定的に受け止めてもらって、「確かにそういうふうにやっていったらいいかもね」と言ってもらえるので、こちらも考えがいがあるというか、「こういうこともやってみたいな」というのをどんどん考えられるしそれを言えるので、練習が楽しくなったかなと思います。
木下 制度とかも、女子部の中とかでミーティングをして、気付いたことを言いやすい雰囲気になったかなと思います。
――女子部会も開かれているそうで
一同 あー(笑)。
木下 先輩の主催で「やらない?」という提案があって、「じゃあやりましょう」という感じでみんなが盛り上がった状態でやるので、一方的ではなく、「ああいいですねー」みたいな。
――一人一品手料理を持ち寄ってやるのですよね
木下 一人暮らしのスキルが試される(笑)。
木野田 それも話のネタになりますね。この女子部会もボートの話だけをする場ではなくて一つの女子の集まりとして楽しんでいます。
――先輩との仲も良さそうですね
木野田 私たちも2年生になったというのもあるのですが、横のつながりだけではなく縦のつながりも強くなったという印象があります。先輩にも言いやすいし先輩もアドバイスをくれるので、友達と言ったら違いますけど、尊敬し合えるという関係です。
木下 練習とプライベートのメリハリがあって成り立っている関係だと思います。
――ことし入部した後輩の印象は
田口 動物みたいな子が多いなという感じです。
木下 きょねん私たちが入った時は生活にも慣れなくて必死でしたが、ことしの1年生は元気な子が多いのでコミュニケーションも取れていて、だんだん心を開いてくれています。
木野田 米川(志保、スポ1=愛知・旭丘)とか高校時代に成績を残している人が入ってくることによって、先輩に負けないというより後輩に負けられないという下からの刺激もあります。
田口 みんな心は一番下で甘えていたのですが、もう一番下じゃないので頑張らなきゃと下から押されている感じで良い刺激になっています。
――先輩後輩ときたので、次は同期の皆さんのお互いの印象をぶっちゃけていただきます
木野田 なんか改められると…(笑)。
――まずは木下さんの印象から
石上 つらくてもあまり表に出さず、頑張っているなという感じです。
田口 早慶戦の時もみんなのフォローをうまくしてくれているとか、結構優しい面もあります。
木野田 とげがないというか、誰にも分け隔てなく接してくれる優しい人です。陸上でも水上でも、勝負が懸かってくるとどうしてもかっとなったりするところもあるのですが、常に冷静で、「ここはこうじゃない」とか下からものを言ってくるので、話をしていても突き刺さることがないです。
木下 照れくさいね、これが4回続くのか(笑)。
――続いて石上さんの印象を
木野田 石上は2年生の中のゆるキャラ的な存在で、癒やし系です。おちゃめが8割ぐらいです。
木下 サーキットトレーニングで、もも上げをやっている途中に、「んー、はっ!」と言うんです。
木野田 「最高!」とか言うことはあるのですが、何もなしに「んー、はっ!」って言うのでみんなパニックになります。
田口 アイスがすごく好きなので差し入れであげたくなってしまいます。
――では木野田さんはどうでしょうか
木下 プラスアルファをやっているイメージです。石上の場合はやるときはやるという感じなのですが、沙帆子の場合は決めるところで決めてくるので頼もしい存在です。
石上 全てのことが効率的で目的があるのですが、ときどきおちゃめになります。
田口 ときどきケーキを作ってくる女子力もあります。
――最後に田口さんの印象を
木下 みんなが気付かないところも周りを見て気付けて、ちゃんと言ってくれるのがすごいなと思います。
石上 元気。たまに沈むけど常に元気なイメージです。あとメロンパンが好きで、メロンパンを食べたそう(笑)。なんかあげようかなと思ったらメロンパン?
木野田 何よりもしっかりしていて、全てをきちんとこなしている。私はやらなきゃいけないことはやるのですが、彼女はあれもこれもと全てをきっちりこなしていくタイプかなと思います。
――皆さんご一緒に出掛けたりはしていますか
木野田 出掛けるというよりかは誰かの家に集まってパーティーを開く感じです。
木下 冬は結構鍋とかしますね。あとはギョウザ、パフェ、パンケーキ…。
田口 パンケーキまだやってないよ(笑)。
木野田 やったのはパフェだよ。でもたぐっちゃん(田口)はいなかったよね?
石上 あれ、何かあったんだっけ?
田口 テストだよ、テスト。
――田口さんは商学部なので勉強の方も大変なのではないでしょうか
田口 法学部とか聞いていると大変ですけど、商学部は出席とテストのバランスが良い方なのでそこまできついという訳ではないです。
――もう夏休みに入りましたが、皆さんはまとまった休みは取れるのでしょうか
木野田 大会の後にだいたい何日か休みがあって、インカレのオフは3日ですね。全日本(全日本選手権)までの期間が短いので。
――がっつり休むという感じではないですね
木野田 アクティブにいろんなところに出掛けたり、帰省する人もいますし。
木下 でもなかなか帰省する機会もないですね。
木野田 貴重な3日連続のオフなので、寝て過ごすということもないです。
田口 そこを楽しみに頑張っているというのはありますね。
木下 もうすでに計画を立てています。
――上京組のお3方(木下・石上・木野田)は帰省されたりはしないのですか
石上 全日本(全日本選手権)の後に5日間のオフがあるのですが、私は実家が遠いので。
木野田 年末年始の1週間ぐらいしか帰れないです。
田口 えー。全日本の後、帰らないの?
木野田 帰らないよ、きょねんも帰ってないし。
――お父さんお母さんは会いに来てくださるのですか
木野田 そうですね。大会があれば会いに来てくれるので。
――練習の合間のマイブームは何ですか
木下 石上とDVDを週に2,3本見ます。洋画も邦画もドラマも見ます。週1で絶対TSUTAYAに行って借りています。
木野田 ホームパーティーで映画を見るというときには映画評論家の二人の意見を聞いています。この二人が見ているという可能性があって、かぶると困るので、基準はこの二人です。
――ことしの夏も何か見に行きたい映画はありますか
木下 『バケモノの子』を見に行きたい。
田口 あー、見たい!
石上 「『バケモノの子』展」にも行きたい。
木野田 行きたい!
――木野田さんはどうでしょう
木野田 いまはまっているのが、ケーキを作ることと昼寝ですね。でも昼寝はあまりできないので、何か作るか、買い物に出掛けるか、掃除するかの3択ですね。
――田口さんはいかがでしょう
田口 テスト期間中に勉強していると本を読み出すじゃないですか。「あ、本を読みたい」といって読書にはまり出しました。この間はぱっと寄った本屋さんで3冊くらい買って、きのうは図書館で4冊ぐらい借りました。1冊だけ読み終わってあと6冊残っています。
――どんな本を読んでいるのですか
田口 買ったのは小説とかですが、借りたのは『お寺の経済学』とかですね。
一同 商学部っぽい(笑)
田口 タイトルを見て「なんじゃこりゃ」と引かれて、中を読んで理解できそうな感じだったので。
練習からチーム一丸
明るくはきはきと答えてくれた木下
――練習は具体的にはどのようなことをされているのでしょうか
木下 基本月金の午後がオフで、ウエートトレーニングは週2で入っていて、あとは基本朝ですね。週末になったら距離を稼ぐために、コース閉鎖で使えないときは川行って距離を稼ぎます。普段学校あるとどうしても朝の時間が限られてしまうので、距離稼いでおくという感じですね。
――朝は何時くらいからですか
木下 一番早くて5時には水上ですね。それに間に合うようにみんな4時過ぎくらいからアップします。
――起きるのは何時ですか
木野田 私はぎりぎりまで寝るタイプですね。
木下 女子は一人暮らしでここ(艇庫)に住んでいないので、移動のこととかもいろいろあって起きるのは4時ちょっと前とかですね。
木野田 4時台に入ってくると艇庫に住めたらいいなと思いますね。
――夜更かしできませんね
木下 自然に寝てしまいますね。
――そのスケジュールは毎日なのですか
木下 いや、組むクルーによってです。
木野田 どうしても(通学に)時間がかかってしまう人もいれば、一番遅い人だと7時とかでも間に合うので、5時から7時までの間に授業に合わせてそれぞれ練習してくださいという感じです。この日だけ突然7時みたいなのはよくありますね。私の場合、突然7時とかになっても体が5時に合わせて起きますね。
木下 いつも眠いはずなのにそういう時に突然起きてしまうよね。
――午後はどのように過ごしているのですか
石上 だいたい1時間半から2時間かからないくらい練習します。
木下 やはり川に行くと2時間はかかりますね。8時にオンしても終わりは10時半とか11時くらい。荒川まで階段上ってボート運びます。
――真夏の練習とか日差しが強いですが、日焼け対策とかしていますか
木野田 ロングタイツにアンダーアーマーですね。
田口 大会になるとそれはできなくなるので、グローブと袖の間の手首が焼けるというのはグローブユーザーのあるあるですね。
木野田 グローブしないユーザーのあるあるは手全体が焼ける。
――それだけ疲れていても自炊とかはするのですか
木野田 1年の時はそれに慣れるので精一杯だった。
木下 作り置きとか覚えましたね。時間があるときにちょっとやっておくと帰って楽とか。「おかずがある!」みたいな。
――寮に住んでいる男子の選手のご飯はどうしているのですか
木下 朝食はマネージャーさんが作ってくれて昼は出なくて、学校ある時は学食とかいろいろなところで食べて、夜は中華料理屋さんに仕出しを頼んでいます。
木野田 仕出しが出る火水木曜日以外は外食が多いですね。
――マネージャーさんやトレーナーさんは選手から見てどんな存在ですか
木下 一番忙しいイメージです。
木野田 マネージャーさんがいなければ練習できないし、トレーナーさんがいなければ良いパフォーマンスの状況で練習できないし、ケガのない状態で長期間練習することはできないかなと思います。マネージャーさんは毎朝練習時間に合わせてビデオを撮ってくれます。
木下 その前日とかは結構2時とかまで仕事してくれた中で、朝4時とか4時半とかにビデオ撮ってくれるので感謝しなければいけないなと思います。
田口 たまに起きられないからいっそオールしてしまえみたいな。
木野田 川練習とかもマネージャーさんがモーターボートを出してくれなかったら私たちは練習できないですし、OBとの関わりや早慶戦の準備とかもマネージャーさんが準備されています。やることがたくさんあるので、私たちが練習するにはマネージャーさんが陰で頑張ってくださっています。
田口 マネージャーさんはケガとか熱中症とかしたときに、スッと来て対応してくださる。何かあった時でも安心感があります。
木野田 ウエートトレーニングもトレーナーさんが見てくださるので、やはりきちんとウエートトレーニングやらないとボートで使う筋肉が鍛えられないので、なくてはならない存在です。
――早慶戦とかを自分たちだけで運営しているのですよね
木下 それに向けて1年前から準備をすごくしていますね。
木野田 住み込みの人もいれば通いの人もいます。
田口 早慶戦の準備は住み込みの人がやっているかなという感じです。
木野田 入場料とか取らない分、協賛金を集めに回ったり、自分たちだけで運営するので水上警備の方にお願いしに行ったりしていますね。
インカレ完全優勝へ
丁寧に取材に応じる木野田
――女子部でインカレに出場する10人のうち4人が2年生で、割合も多いですし、期待の学年になりますね
石上 もともと人数も多いので。
木下 そうですね、全日本で主力の4年生が抜けてしまい、来年にはまた3年生が抜けてしまうので、私たちも実力を付けて、見せていけたらいいと思っています。
――皆さんそれぞれが入部してからレースに出続け結果も残していますが、成長を実感できる点は
石上 キャッチがすごく遅かったのですが、ちょっとずつ早くなってきたので、うれしいなと思っています。
木野田 全体的に知識が増えたと思います。1年生の時、私は4年生と一緒にクルーを組んでいて、自分の感覚がよく分からず、先輩に言われてようやく納得していたのですが、いまは乗っていて自分で「こうかな」と感じられるようになったのは一年での成長だったのかなと思います。それを感じられるようになったからこそ、ダブルだと誰かが言ってくれるので成長できるのですが、シングルに乗っても見て感じて自分で修正できるようになりました。
――木下さん石上さんはお花見レガッタと早慶レガッタに出場して両方勝利していますが、良い流れで来ていますか
木下 きょねんとかは勝つという経験があまりなかったので、シーズン一発目で4年生と3年生がいる中でついていくのに必死な感じはあったのですが、ここで勝つ経験ができたのは今後によく生きてくると思います。
石上 漕ぎ方とか一緒に乗って学べましたし、試合への臨み方も分かって成長しました。
――田口さんは岐阜レガッタに出場してメダルも獲得されましたが
田口 一年の頃からみんなとは(実力的に)突き放されてはいましたが、右肩上がりに伸びてはいたのでその実力をシングルで発揮できたのだと思います。今までは力がなく、技術で補ってきていましたが、今回で力がついてきたのも実感できました。
――木野田さんはアジアインドアローイングに出場されましたが、どういう大会なのでしょうか
木野田 エルゴという水上の動きを模したマシンがあるのですが、それに乗って2000メートルのタイムを競い、その中から本当は2人が全国から出られて、私は4番か5番くらいでしたが、上の3人が抜けてそのおこぼれが来たという感じです。
――この大会はタイでの開催でしたが、現地はいかがでしたか
木野田 蒸し暑かったですね。日本代表になりたいと思っていたのですが、このようにエルゴで水上とは違ったかたちで選ばれたメンバーでも世界を見ることによって私自身刺激になりましたし、強い選手を見て自分ももっとやらなければいけないなと思いましたし、その大会で友達になった人たちのFacebookを見て、いま行われている世界選手権で活躍していると、私もそれに出た以上、水上でも結果を出さなければいけないと思いました。
インカレ初出場となる田口
――毎回の大会の出場種目は皆さんばらばらですが、それはどのように決めているのですか
木野田 まず部全体の目標があり、今回のインカレなら全種目優勝なので、対校のようにタイムを取って上から速い順に組むのではなく、戸田の中でも全国でも4種目全てが一番速くなるように勢力を分散させて、クルーを組んでいます。全日本の場合はクォドルプルとエイトで優勝することを目標としているので、合うメンバーを組んでいくのだと思います。
――合うとはどういうことでしょうか
木野田 (オールを水中に)入れるタイミングと出すタイミングが合えば良いわけではなく、水中での勢いのタイミングも合ってないと伸びにつながってこなかったり、誰かが崩れたりするので、合わせられない人はいないのですが、見た感じで監督が判断して決めていますね。
――相性の良い得意種目はありますか
木野田 ずっとスイープは漕いだことがなく、高校時代もシングルできょねんもいまもストロークをやっているので、あんまり後ろに乗るのは上手ではないのかと思います。
田口 高校時代クォドルプルにばかり乗っていたので完全にクルーボートが得意みたいに思ったのですが、いまは神レベルの人を見ているので自分は大したことないなと思ってきて、他で考えると、スイープだけは部内でも他を引っ張っていけるようになれたらと、希望ですが思っています。
石上 好きなのはダブルです。高校の時ずっと乗っていたので。
――インカレは大会の中でも特別な位置付けでしょうか
木下 はい。やはり女子はインカレでは全種目優勝、総合優勝、全日本はクォドとエイトで優勝という目標を掲げているので、そこにシーズンは合わせていますね。
木野田 お花見レガッタとか東日本(選手権)とかの大会に比べて、インカレは出場クルーが日本全国のいろいろな学校から来るので全体的に多いし、どの大学もインカレに向けて調整し、高めてきているのでこの大会に勝つということはワセダとして結果を残すという意義があると思います。
――木下さんは立て続けの舵手付きクォドルプルですが、艇での役割は何でしょうか
木下 私は一番年下で早慶戦とお花見レガッタの時はいっぱいいっぱいで自分でもついていくのに精いっぱいだったのですが、インカレに向けて組んでいる5人で話したのですが、一人一人もっと積極的にいってもいいのかなということになりまして、年下なのでもっとフレッシュに元気に盛り上げていけたらなと思いました。
――昨年に続いてのインカレ出場ですが、慣れはありますか
木下 スタートについた時は独特の緊張感というか雰囲気はあります。きょねんは決勝に行ったのですが、周りはシングルで強い人がいて差をつけられて負けてしまいました。ことしは乗る船は変わったのですが、きょねんは自分が漕いでいる間に喜んでいる選手がいたので、自分もそうなれればと思ってこの一年間やってきました。
――石上さん木野田さんは、ダブルスカルを二人で組むのは初めてですよね
木野田 大会自体で出るのは初めてですね。一回冬のトレーニング期間に2週間くらい組みました。
――冬に一回漕いで、相性は良かったですか
木野田 そうですね、その期間でいろいろな人と組んだのですが、石上が一番ストレスなく相性良く漕げましたね。
石上 私もそうです。
――それも今回インカレで二人が組むきっかけにはなったのですか
木野田 監督も言っていたのですが、何に出たいかアンケートを取った時に第一希望をダブルにしたので、それが反映されたのでしょうね。
石上 私も第一希望はダブルだったので。
――木野田さんはきょねんインカレの同種目で2位でしたが、今大会につながったものはありますか
木野田 私が今回の種目を第一希望にしたのはきょねんの未練が自分の中で一番大きいと思います。やはり1年生でしたし、4年生の足を引っ張ったり、決勝に連れていってもらったりしているという感覚が強く、4年生のおかげで成長できたので、今度はそのような自分の力でどこまで行けるか感じたかったので、ダブルスカルでエントリーしました。石上とも相性良いと思いますし、結果を残して今度こそは「4年生の先輩見てますかー」と叫びたいです。
――田口さんはいままで舵手なしペアでの試合経験はありましたか
田口 この種目自体がインカレでしかないので(ありません)。全日本のエイトとかでスイープを漕ぐ機会はあったのですが、今回ペアとなると、やはりバランスと2人の相性がタイミングを合わせています。
――北村選手とのコンビネーションは
田口 最初に漕いだ時から長さとタイミングがすごく合うなという印象がすごく強かったので、まだまだスイープの基本動作を二人と整え切ってはないんですけど、そこを調整しつつ、強く漕ぐことにシフトしていきたいです
――石上さんと田口さんは初めてのインカレになりますが、どういった大会にしていきたいですか
田口 女子部の目標がインカレ全種目優勝なので、選考に受かった時点で優勝するというのは決めました。勝つしかないという気持ちです。
石上 集中してリラックスして全力を出していきたいと思います。
――最後に改めてインカレに向けての目標と意気込みを一人ずつお願いします
木下 全種目優勝プラス総合優勝が目標なので必ず決めて勝ちたいと思います。
石上 高校のころダブルで優勝するつもりだったのですが、ペアの人が辞めてしまって優勝を逃したので、ここで優勝したいと思います。
木野田 勝ちたいとも優勝したいとも思いますが、結果はおのずとついてくるので、優勝すると意気込むよりは一回一回全力を出し切りたいと思います。
田口 入部して初めて部の目標に絡めるので、一本一本通して集中してその先に優勝があればいいなと思っています。
――ありがとうございました!
(取材・編集 高橋豪、矢野聖太郎、写真 須藤絵莉)
◆木野田沙帆子(きのた・さほこ)(※写真左)
1995(平7)年4月4日生まれ。スポーツ科学部2年。青森高出身。ポジションは女子ダブルスカルのストローク。水上では決めるところで決める頼もしい存在でありながら、ケーキ作りをする女子力も持ち合わせる木野田選手。相性の良い石上選手とのダブルスカルは、もはや死角がないと言っても過言ではないでしょう!
◆木下美奈(きのした・みな)(※写真中央後ろ)
1995(平7)年11月2日生まれ。スポーツ科学部2年。山梨・富士河口湖高出身。ポジションは女子舵手付きクォドルプルの2番。多方面からの質問にも真摯(しんし)に答えてくださったクールビューティーな木下選手。花形種目の女子舵手付きクォドルプルの出場メンバーでは最年少なので、艇をフレッシュに盛り上げてくれることでしょう!
◆石上璃奈(いしがみ・りな)(※写真右)
1995(平7)年8月28日生まれ。スポーツ科学部2年。長野・下諏訪向陽高出身。ポジションは女子ダブルスカルのバウ。2年生のゆるキャラ的存在だという石上選手。冷静な語り口からは想像もつかない内に秘めた熱い闘志を、初出場の夢舞台でも存分に見せてもらいたいと思います!
◆田口えり花(たぐち・えりか)(※写真中央前)
1995(平7)年10月17日生まれ。商学部2年。埼玉・浦和一女高出身。ポジションは女子舵手なしペアのストローク。マイブームは読書という田口選手、『お寺の経済学』に至るまでの幅広いジャンルを読みこなしていると言います。インカレには後輩の1年生と共にデビューしますが、栄光をつかみ取る準備は万端です!