梅雨らしい小雨が降り少し肌寒いほどの天候の中、東日本選手権が戸田のボートコースで行われた。早大から出場したのは1年生を中心とする男女のシングルスカル5艇。男子シングルスカルには、山口幹太(法1=青森)、菅原拓磨(国教3=東京・早大学院)、金子怜生(社1=東京・早大学院)が、女子シングルスカルには、渡邊楓(文1=新潟南)、工藤かれん(スポ1=愛媛・松山東)が出場した。全艇惜しくも準決勝進出とはならなかったが、それぞれが明確な課題と手応えをつかんだレースとなり、あすの順位決定戦へと意気込みを燃やした。
朝一番のレースから登場したのは渡邊。レースを通してリズム良く漕ぎ進めるも、他艇との差を詰めることはできない。「もっとあの時ああできたらなという点がすごく残るレースだった」と語るように、課題の残ったレースとなった。続いて登場した工藤は、序盤から他艇にリードを許すと、力強いスパートも及ばず先行艇を捉え切れないままゴール。試合後「落ち着き過ぎて積極的にいけなかったのは反省点」と振り返り、貪欲さをのぞかせた。
劇的なラストスパートを披露した菅原
男子部で最初に登場した山口は、戸田での2000メートルレースという初めての経験にうまく対応できず、「不完全燃焼のまま終わってしまった」と、悔しさをにじませた。上級生で唯一の出場となった菅原は、留学から帰国後初レース。自身のコンディション調整が難しい中での出場だったが、「順位は気にせずタイムは出そうと思って漕ぎました」と振り返ったように、ラストまで漕ぎの大きさを崩さず落ち着いたスパートで2位に食い込んだ。最後に登場した金子は初の大学レースに臨む。前半を積極的に入るものの後半はペースが落ち、苦しい漕ぎでゴールした。
力を振り絞り、苦しい表情でレースを終えた金子
惜しくも全艇が順位決定戦へ回る結果となったが、きょうのレースで感じ取ったものから、それぞれが明確な課題と目標を口にした。選手にとっては初めてのことが多かった今大会。目標をはっきりとさせたあすのレースで躍動し、今後のレベルアップに向けた足掛かりとなることを期待したい。
(記事 喜田村廉人、写真 鎌田理沙、大浦帆乃佳)
結果
▽男子部(予選)
【シングルスカル】
早大A(菅原)7分54秒59【組2位、順位決定戦へ】
早大B(金子)7分59秒11【組3位、順位決定戦へ】
早大C(山口)8分13秒96【組4位、順位決定戦へ】
▽女子部(予選)
【シングルスカル】
早大A(工藤)9分00秒70【組4位、順位決定戦へ】
早大B(渡邊)9分14秒90【組5位、順位決定戦へ】
コメント
菅原拓磨(国教3=東京・早大学院)
――きょうのレースを振り返っていかがでしたか
予選1位で(準決勝に)上がることができて、あとはタイムで全部あしたのレースが決まっちゃうので、とりあえず順位は気にせずにタイムは出そうと思って漕ぎました。結果のタイムはそんなに良くもなく悪くもなくという感じで、あしたはもうちょっと速く漕げたらいいなというのがあります。久しぶりに日本で漕ぐということに関しては、不慣れなところもあったり、体調も時差ぼけとかで調整が難しかったりしていました。でもいまの実力は限りなく出たと思います。
――留学中も競技を続けてらっしゃったとお聞きしましたが、そこで何か得られたものはありますか
向こう(スウェーデン)で結構レースにたくさん出たのですが、その中でも一番思い出に残っているのがシングル(スカル)のレースで。今回戸田でシングルで2000メートルのレースに出たのが初めてなのですが、いつものレースよりもリラックスして漕ぐことができたかなと思います。やはり向こうの人たちの方がはるかに速かったので(笑)。だからその点に関してあまり気にならなかったというか、周りが日本人というだけでリラックスできました(笑)。レースへの調整の仕方とか、出艇した後の気持ちの持ち方とかはすごく良い感じにできたかなと思いました。
――今回レースに出てみて、いまのご自身の実力をどのように捉えますか
正直もっと(タイムが)ひどいと思っていました。コンディションもすごく良いし、艇もものすごく良いものを貸して頂いたり。留学先に練習量に比べると、ワセダは3倍くらいあるので、その練習に早く慣れて、レースにパッと出て、そんなに悪くないタイムが出たと思っています。あしたはもう少し良いタイムが狙えるかなという現状ですね。
――その中で見つかった課題はありますか
とりあえずリズムですね。うちのコーチにずっと言われているのですが。基本的なローイングのリズムをもっと良くするということで。リズムをちょっとでも良くすると、5秒とか6秒とか簡単に変わるので、そこはしっかりあしたは意識して漕ぎたいなと思っています。
――ラストの追い上げが印象的だったのですが、順位ではなくタイムを意識したものだったのでしょうか
そうですね。3位のケイオーの人とは上がったり上がられたりというのが何度も何度もあったので、そんなに差されることを気にしないで、ラスト500メートルはケイオーの人を気にしないで、とにかく自分のタイムを気にして漕ぎました。タイム関係なく2位だったら、たぶんあんなに上げてないと思うので、そこは自分の漕ぎに結構集中して目標のタイムを出すということにしっかりフォーカスできたのが良かったのではないかなと思います。まあそれでタイムが出なかったのでそこは反省ですけど、その姿勢は良かったのではないかなと思います。
――あすの順位決定戦に向けて意気込みをお願いします
これでレース終わったら次はインカレ(全日本大学選手権)になっちゃうので、あしたはタイムトライアルと言ったらあれですけど、しっかり1位を狙って、課題のリズムとかもしっかり良く漕いで、夏のインカレにつなげたいです。
金子怜生(社1=東京・早大学院)
――きょうのレースを振り返ってみていかがですか
大学に入って初レースということで、まず自分が今まで練習してきたことをしっかり出し切ることに焦点を置いて頑張りました。
――金子選手は早大学院時代もボート部に所属されていましたが、大学に入学してワセダの漕艇部に入部しようと思ったきっかけはありますか
高校で部活を引退してから約10カ月ボート以外のいろいろなことをしたのですが、後輩の試合を見た時、やっぱりボートはかっこいいスポーツだと再認識したということがあります。
――高校でボート部を引退してから10カ月ぶりの試合となりましたが、意気込みなどありましたか
久しぶりだから結果が出ないなどと言い訳にはしたくありませんが、やはり自分に足りないところ、高校時代と比べても元に戻せていない部分はありました。まずはしっかりいまの自分にできること、自分の力を出し切ることを意識しました。
――今回のレースプランを教えてください
高校時代から前半に積極的に出るのが自分の強みだと思っていて、今回もそれができると思っていましたが、このスタイルを体現できなかったのが悔しいので、あした頑張ろうと思います。
――今回のレースを振り返って課題などはありましたか
まだまだ自分の強みがはっきりしていないレースだったので、あしたは自分の強みである前半に出ることを意識してやりたいです
――あすの順位決定戦での目標を教えてください
具体的に数字で言うと、タイムを10秒ほど速くしたいです。
工藤かれん(スポ1=愛媛・松山東)
――どのような意気込みでレースに臨みましたか
2000メートルをシングルで漕ぐのは久しぶりだったので少し不安もありましたが、自分の持っている力を出そうと思って臨みました。
――今回のレースプランは
スタートから出る、というよりもコンスタントに少しずつ伸ばしていこうと思いました。いつもだとスタートで出て、バテてしまうので。
――レースを振り返って
全体的に落ち着いてできたのが良かったです。しかし、落ち着き過ぎて積極的にいけなかったのは反省点です。
――結果について
もっと頑張ろうと思いました。
――見つかった課題があれば教えてください
スタートから相手を多少は意識して、欲を持って臨みたいと思います。
――あしたのレースに向けての意気込みは
少しでも、きょうの自分に勝てるように頑張りたいと思います。
山口幹太(法1=青森)
――きょうのレースを振り返っていかがですか
戸田での初のレースでシングルスカルも2000メートル漕ぐのも初めてだったので、不安もあったのですがレースの雰囲気をつかもうと思って臨みました。
――きょうのレースプランは
2000メートルが初めてだったので、とりあえずコンスタントに力を出して漕ぎ切ろうと思ってやりました。
――実際にレースを行ってみていかがでしたか
想像以上に2000メートルという距離が長くて、不完全燃焼のまま終わってしまったのが修正点かなと思いました。
――きょうの結果に対する率直な感想は
5艇中4位という結果だったのですがタイムが悪かったので、あすのレースではもっとプランを練って満足いくようにやりたいと思います。
――今大会までどのような調整を行いましたか
1週間前まではインカレに出るためのエイトに乗っていたので実質3日間の練習でシングルスカル(に出場する)ということだったので短かったのですが、調整という面ではうまくいったと思います。
――収穫はありましたか
やはり戸田での大会の雰囲気をつかめたというのが一番の収穫だったと思います。
――見つかった課題は
攻める気持ちが足りなかったと思うのでもっと出し切れるように最初から積極的に攻めていけたら良いと思います。
――あすに向けて意気込みをお願いします
あしたは順位決定戦ということでタイムが近い人と戦うので絶対競るレースになると思うのですが、負けないように序盤からどんどん攻めてタイムを縮めるように頑張りたいと思います。
――今後の目標を教えてください
今後はこの大会が終わったらインカレに向けてエイトに乗るので、今回の大会で得たことを生かして夏につなげられたら良いと思います。
渡邊楓(文1=新潟南)
――きょうのレースを振り返ってみてどうでしたか
大学に入ってからの初めての2000メートルで初めてのシングルのレースだったのですが、とても悲惨な結果になってしまいました。もっとあの時ああできたなという点がすごく残るレースでした。
――きょうのレースプランはどのようなものでしたか
初めてだったので分からないことが多かったのですが、テンポを意識してレートを落とさないようにすることや漕ぎが小さくならないように意識していました。
――どのようなことを意識して今大会に臨みましたか
初めてなりに全力を尽くすことができるといいなと思いました。
――今回の結果についてどう思いますか
とても悔しいので、これからもっと強くなっていければと思っています。
――今回のレースで見つかった課題点はありますか
レースプランの立て方の未熟さと体力のなさです。水中の力の使い方をもう少しよくできたらなと思います。
――あしたの順位決定戦への意気込みをお願いします。
きょうのレースの反省点をふまえて、下手なりにあしたは全力で漕げるように頑張りたいです。