桜が咲き始めた戸田ボートコースでは、ことしもお花見レガッタが開催された。シーズン開幕戦となる今大会は、冬季トレーニングの成果を確認する重要な意味合いを持つ。女子舵手付きクォドルプルが安定した実力を発揮すると、新入生も負けじと躍動。早大からは男女合わせて4艇が翌日行われる決勝へと駒を進めた。
早大勢で一番初めにコースへ姿を現したのは、女子シングルスカル予選に出場した米川志保(スポ1=愛知・旭丘)。大学デビュー戦ということもあり「とても緊張した」と語った米川であったが、予選を難なく通過する。続く準決勝では木野田沙帆子(スポ2=青森)と対戦。「接戦になったときに周りを気にしてしまった」と振り返った通り、ラストスパートで力を出し切れずに2位でフィニッシュ。首位の座は木野田に譲ったものの、二人はそろって決勝への切符を手にした。一方男子シングルスカルでは、鈴木大雅(スポ1=埼玉・浦和)や尾崎光(スポ1=愛媛・今治西)などフレッシュな顔ぶれが積極的なレース展開を披露。中でも、伊藤大生(スポ1=埼玉・南陵)は終始落ち着いた様子で着実に差を広げ、見事決勝進出を決めた。
1年生ながらも堂々とした漕ぎを披露した米川
続いて予選に登場したのは男子ダブルスカル。スタートから飛び出し、そのまま他艇について行くレースプランを組み立てていたものの、「500メートル以降に体力不足で落ち、そこから抜かれてしまった」(寺田圭希、人3=滋賀・膳所)と語る。力不足が表面化したものの、収穫の多いレースとなった。そして最後に出漕したのは女子の花形種目・舵手付きクォドルプルだ。セカンドクルーである早大Bはタイム順で、早慶レガッタにも出場する対校クルーの早大Aは着順で、それぞれ準決勝に進出。早大Bはなかなかレートが上がり切らず、5位に終わった。「もう少し頭から突っ込んでいけば良かった」と佐藤紫生乃(スポ3=宮城・塩釜)はレースを振り返る。一方早大Aは女王の意地を見せつけ1位で準決勝を通過した。
安定感のある漕ぎで決勝進出を決めた女子舵手付きクォドルプルの早大A
入部を決めた新入生が次々と決勝行きを決めるなど早大にとって好材料が多くあった。しかし上級生が思うように結果を残せず順位決定戦に回っていることも事実である。あすはそれぞれができうる最高の結果を出し、今季の初陣を勝利で飾りたい。
(記事 八木瑛莉佳、写真 三佐川唯、須藤絵莉)
※記事中の学年は新年度のものです。
結果
▽男子部(予選)
【シングルスカル2部】
鈴木大雅(スポ1=埼玉・浦和)3分49秒96【準決勝進出】
伊藤大生(スポ1=埼玉・南陵)3分41秒69【準決勝進出】
井踏直隆(文構1=東京・早大学院)4分03秒29【順位決定戦へ】
尾崎光(スポ1=愛媛・今治西)3分48秒38【準決勝進出】
正木丈治(商1=米国・ウッドブリッジ高)4分04秒13【順位決定戦へ】
【ダブルスカル】
早大 3分40秒02【順位決定戦へ】
S:富田剣志(スポ2=愛媛・今治西)
B:寺田圭希(人3=滋賀・膳所)
▽女子部(予選)
【シングルスカル】
米川志保(スポ1=愛知・旭丘)4分01秒37【準決勝進出】
木野田沙帆子(スポ2=青森)4分02秒25【準決勝進出】
北村綾香(スポ1=滋賀・膳所)4分16秒06【準決勝進出】
工藤かれん(スポ1=愛媛・松山東)4分40秒28【順位決定戦へ】
青木華弥(教1=東京・本所)4分23秒19【順位決定戦へ】
【舵手付きクォドルプル】
早大B 3分47秒83【準決勝進出】
C:三上千沙(スポ2=青森)
S:佐藤紫生乃(スポ3=宮城・塩釜)
3:田口えり花(商2=埼玉・浦和一女)
2:土井鈴奈(教3=埼玉・浦和一女)
B:波多野響子(教3=福岡・東筑)
早大A 3分34秒02【準決勝進出】
C:亀本咲季子(人3=埼玉・浦和一女)
S:土屋愛(スポ4=新潟・阿賀黎明)
3:榊原春奈(スポ4=愛知・旭丘)
2:石上璃奈(スポ2=長野・下諏訪向陽)
B:木下美奈(スポ2=山梨・富士河口湖)
▽男子部(準決勝)
【シングルスカル2部】
鈴木 3分52秒28【順位決定戦へ】
尾崎 3分49秒48【順位決定戦へ】
伊藤 3分44秒86【決勝進出】
▽女子部(準決勝)
【シングルスカル】
木野田 4分14秒03【決勝進出】
北村 4分32秒70【順位決定戦へ】
米川 4分15秒55【決勝進出】
【舵手付きクォドルプル】
早大A 3分32秒15【決勝進出】
C:亀本
S:土屋
3:榊原
2:石上
B:木下
早大B 3分48秒79【順位決定戦へ】
C:三上
S:佐藤紫
3:田口
2:土井
B:波多野
コメント
B:寺田圭希(人3=滋賀・膳所)
――きょうのレースを振り返っていかがでしたか
冬を越えてシーズン最初のレースでした。最初は並んでいたのですが、途中から一気に出られて、力不足を感じたレースだったと思います。
――レースプランはどのようなものでしたか
スタートでしっかりと出て、そのまま頑張って付いていこうという感じでした。1000メートルのレースで、400メートルでしっかりと決めるところをつくっていたのですが、500メートル以降に体力不足で落ちてしまって、そこから抜かれていかれました。
――冬場はどのような練習をされていましたか
主に2つ僕の中であって、1つが有酸素能力の向上と、もう1つが筋力増強とかウエイトトレーニングでした。水上でトレーニングしたり、マシーンやバイクなどを使ってトレーニングをしたりして、心肺能力を鍛えたり。あとはウエイト(トレーニング)を取り入れるというトレーニングをしてきました。
――今大会がシーズン開幕戦となりましたが、ことし一年間の目標をお聞かせください
インカレ(全日本大学選手権)で、順位を付けるという目標があります。過去二年間にインカレで敗退してきたので、今回は(順位を)付けるという目標があります。
――きょうのレースを終えて、何か改善すべき点などは見つかりましたか
肩に力が入ってしまって、なかなかリラックスできていなかったので、しっかりと肩の力を抜いて、リラックスして楽に進めていけたらいいなと思いました。
――あしたの順位決定戦に向けて意気込みをお願いします
あすは相手が自分たちと同じレベルなので、しっかりとスタートから差をつけていけるように、リラックスして漕いでいきたいです。
S:佐藤紫生乃(スポ3=宮城・塩釜)
――きょうの予選を振り返っていかがでしたか
経験が少ないクルーで肩に力が入ってしまい思い通りの漕ぎではなかったというのが正直なところでした。
――順位ではなく、タイムで準決勝進出を決められましたが
ぎりぎりで拾ってもらって、とりあえず一安心したというところも正直ありました。他のチームがいるレースの中でも自分たちに集中ということだけを考えて、あまり相手は意識せず、自分たちの漕ぎをしようというクルーの意識でやりました。
――クルーを組み始めたのはいつごろですか
もう少しで1カ月くらいです。
――準決勝のレースを振り返っていかがでしたか
準決勝のアップからなかなか良いものが出せなくて、クルー全員の準備不足を感じました。1レース目と2レース目の間の時間が短かったときの切り替えが大事だということを改めて感じました。もう少し気持ちを入れてと言いますか、この一本に懸けるぞという気持ちが必要だったのかなと思います。
――レース中、なかなかペースが上がり切らない印象でしたが
私たちが持っている実力自体はあれが限度なんですけど、もう少し頭から突っ込んでいって、「(ペースが)落ちても良い」くらいの気持ちでガンガンいけていたらなお良かったのかなと思います。そこは来月に出場する岐阜レガッタまでの課題かなと思っているので、あしたからまたやっていきたいと思います。
――冬季トレーニングはどのようなことをされましたか
長い距離を漕ぐということを監督(内田大介監督、昭54教卒=長野・岡谷南)も重視していて、女子は筋力の強化をしました。私は筋肥大という、筋肉を大きくするためのメニューなども組んでもらって、全体の底上げを図るようなメニューをしていました。
――今季の目標や意気込みをお願いします
私たちのセカンドクルーは早慶戦には出られないのですが、まずは来月の早慶戦を男女で完全優勝して、夏に向けて好発進ができるように、みんなで『One WASEDA』としてやっていきます。夏はインカレ(全日本大学選手権)全種目優勝と、全日本(選手権)は女子クォド(ルプル)とエイトを優勝するという目標があるので、確実に取っていけるように頑張っていきます。
尾崎光(スポ1=愛媛・今治西)
――大学初レースだったと思われますが、きょうのレースを振り返ってみていかがでしたか
戸田(ボートコース)で漕ぐということもあまりなかったのですが、大学生として初めてのレースで、やはりまずユニホームとかオールのワセダというものを背負って戦うということがある分、緊張がありました。でも自分なりのレースはある程度できたかなと思います。
――なぜワセダに入学することを決めたのですか
一番大きな理由は先輩です。僕が今治西出身なのですが、今治西の先輩にずっと憧れていて、ボートをもっと速くなりたい、強くなりたいと思って漕いできて。その人の所に行けるという機会があったので、ぜひワセダで漕ぎたい、と思って来ました。
――今大会ではどのような目標を掲げていましたか
もちろんAファイナルにいくということが目標だったのですが、きょうの準決勝では思うようにいかなくて、Bファイナルになってしまいました。そのBファイナルの中でも一番を狙って、タイムではAファイナルの人にも勝っていけるようなレースをしたいと思います。
――いまは大学の皆さんと一緒に練習をしているのですか
2週間ほど前に入寮して、それからは大学の皆さんと練習をしていました。
――どのような練習をしていたのでしょうか
シングルスカルで、最初はゆっくり長い距離を漕ぎ続けるという練習から始めて、今週に入って1000メートルなどのレースに近いレートで漕ぐという練習をしていました。
――高校のころとの違いは何か感じていますか
まず、毎日の漕ぐ距離というのが高校のころの倍くらいあって。それが大変だったのですが、施設がすごく練習する環境として整っているなということを感じました。例えば、この(戸田の)コースであったり、艇であったり、トレーニングルームであったり、一つ一つが自分にとっては新しい環境なので、素敵だなと思いました。
――予選では積極的なレース展開で他の艇を引き離していましたが、ご自身の強みは何ですか
きのう全体ミーティングの時でも言ったのですが、スタートから積極的にレースを進めて、そして余裕を持ってそこからレース展開をしていくっていうのが、自分自身のプレースタイルでもあります。でも逆に、後半や最後に敵を抜ける、どんどん伸びていく、という強みも一つあると思います。
――あすのレースに向けて意気込みをお願いします
きょう負けてしまってBファイナルになってしまったのですが、またきょうと同様にスタートから全力で最後まで粘りのある漕ぎで、持ち前のスパートで相手を差して、トップを狙っていきたいと思います。
米川志保(スポ1=愛知・旭丘)
――きょうの予選を振り返っていかがでしたか
大学に入って初めてのレースだったので、いままでのレースとは違う緊張感があったのですが、始まってみたら意外に落ち着いて最後まで漕ぐことができて良かったです。
――具体的に高校までのレースとはどのようなところが異なりますか
環境が変わったということで名前も知らない人がいたり、大学ってすごく練習しているイメージがあるのでどなたを見ても強そうだなと思ったりして、雰囲気が違うなと思いました。
――準決勝はいかがでしたか
予選を勝ち上がってきた人たちのレースなので、すごく接戦になることは最初から分かっていました。ですがレースで接戦になったときに周りを気にしてしまって、自分に集中できなかったです。
――きょうのレースで見つかった課題などはありますか
周りに人がいるときに落ち着いて自分の漕ぎができなかったのが課題です。あとは午前と午後でコンディションが少し違って、午後のコンディションにうまく対応できませんでした。どんなコンディションでもスタートから最後までちゃんとやらなければいけないなと思いました。
――具体的にどのような部分でコンディションを合わせるのに苦労しましたか
午前と午後の気温差もそうですし、風が午後になると(進行方向とは)逆方向から吹いてきて全然違いました。それに対応することにてこずりました。
――早大を選んだ理由を教えてください
高校の時からボートをやっていてワセダの名前をよく聞いていました。女子の先輩がインカレや全日本で優勝しているのを見て、高1の時から憧れを持っていて、ワセダに入りたいなと思っていました。
――漕艇部での生活は慣れましたか
引っ越してきたのは2週間前の週末です。やっと最近一人暮らしには慣れてきたのですが、やっぱり授業が始まると忙しそうだなと思っています。
――大学四年間の目標を教えてください
先輩のクルーを見ていると、「格好いいな」とか「私もあれに乗りたいな」などと思うので、対校のクォド(ルプル)など先輩と一緒に乗ってインカレや全日本で優勝したいなと思っています。
――あすへの意気込みをお願いします
雰囲気がいままでとは違う大会なのでまだ緊張していますが、自分のいま出せる力を出して、いまできることをやっていきたいと思います。