★女子部
今大会、全種目での優勝を狙う女子部。1日目、2日目を順調に勝ち進み迎えた3日目も他を圧倒する貫禄のレースを展開した。
女子シングルスカルの準決勝に出場した大石綾美女子部主将(スポ4=愛知・猿投農林)。「スタートはセーブする感覚だった」(大石)と語ったものの、序盤から他の選手を寄せ付けることなく、最終的に2着の選手に20秒近い大差をつけてレースを終えた。続く女子ダブルスカルでは、土屋愛(スポ2=新潟・阿賀黎明)・佐藤紫生乃(スポ1=宮城・塩釜)クルーが息の合った漕ぎを見せ、一度も先頭を譲ることなくゴール。決勝を見据えたレースで納得のいく結果を残し、明日に向けて弾みをつけた。結成して1か月も経たないチームで臨んだ女子舵手つきクォドルプル。しかしながら互いの実力を信頼し万全の準備を進めてきたチームにとって、全員での練習期間の短さは問題ではない。望月みづほ(スポ3=埼玉・大宮)が「予定通りのレースができた」と語るように、スタートで他校を大きく引き離すと後半は余裕の感じられる漕ぎで確実に決勝進出を決めた。
すべての種目で順当に駒を進め、ついにあす決勝を迎える。悲願である「全種目優勝」に向けてワセ女は全力で漕ぎ続ける。
(記事 土屋佳織、写真 細矢大帆)
★男子部
心地よい風が吹いたこの日の戸田ボートコース。漕艇では一般的に順風の条件下ではタイムが出やすいと言われている。逆風だった予選では、力強い漕ぎで1位通過した男子舵手なしフォア。しかしきょうの準決勝は順風に苦しみ、早大は序盤から失速。中盤以降は3位争いをしていた中大にも大きく引き離されてしまう。終盤はそれぞれの漕ぎが乱れ、息の合った漕ぎとは程遠いものだった。あすの順位決定戦では、大会前の並べ練習で敗れている慶大、中大と当たる。「自力は一人一人あるクルー」と小林大河(国教3=東京・早実)。自分たちを信じ、一丸となって1位でゴールし全体5位を狙いたい。
一方、前日の敗者復活戦から勝ち上がった男子エイト。中大との一騎打ちが予想された中、「第2クオーターでは攻めて、良い意味で勝負を決められた」(コックス高橋拓哉、政経4=東京・早大学院)という早大。追い風を味方につけ、一気に中大を引き離した。レース終盤、ダークホース・東北大に追い上げを許したが、力を温存して2位で決勝進出を果たした。しかしタイムを見れば、ワセダレコードを2秒も更新する5分48秒25。王者・日大にも匹敵する好タイムに、コーチ陣は「日本一を取るならここ20年で一番のチャンス」と期待を寄せる。「失うものがないのでとにかくワイルドに。スタートからゴールまで全部攻め続けたい」(バウ和田優希、教2=滋賀・膳所)。『挑戦者』が最高の条件下ですべての力を出し切ったとき、1996年以来のインカレ優勝が見えてくる。
(記事 佐藤裕樹、写真 加藤千暁)
結果
▽女子シングルスカル(大石)…1着【決勝進出】
▽女子ダブルスカル(S:土屋、B:佐藤紫)…1着【決勝進出】
▽男子舵手なしフォア(S:小林、3:江原、2:長山、B:佐藤琢)…4着【順位決定戦進出】
▽女子舵手付クォドルプル(C:大泉、S:榊原、3:山根、2:望月、B:辛島)…1着【決勝進出】
▽男子対校エイト (S:長田、7:新藤、6:竹内、5:是澤、4:山下、3:青松、2:鈴木、B:和田)…2着【決勝進出】
コメント
2番・望月みづほ(スポ3=埼玉・大宮)
――レースを振り返って
きょうは、あしたに疲れを残さないということで臨みました。予選のタイムでもきょうあたったチームとは差があったので、とりあえず最初の500メートルはオーバーペースくらいでがつんと入って、そのあとはレートは低くしつつも相手に差をつけていくという感じでやりました。本当に思惑通りというか、予定通りのレースができたと思います。あまり疲れもためずに、エントリー入れるところだったり、ファイナル押しきるといった、いつもの試合では動きが早すぎてできないような細かい部分も、4人で確認できました。あしたにつながるいい準決勝にできたかなと思います。
――満足のいくレースができたということですね
最初の500メートルで狙ったタイムが出ましたし、順風でかなり早いタイムだったんですけど、その中でも狙ったことができたので、よかったと思います。
――課題は見つかりましたか
第2、第3クオーターの苦しいところで落ちてしまうところがあるので、そこで明大や富山国際大などに追い付かれてしまうという可能性があります。しんどいのは相手も同じなので、私や辛島(瑞加、スポ3=東京・富士見)からしっかりバックアップして盛り上げて、相手がしんどいところで突き放すということをやっていきたいかなと思います。
――あしたの決勝に向けて一言お願いします
ことしの目標は、女子部は全種目制覇です。朝一のペアからシングル、ダブルと、全部優勝してくれると信じてます。このクォドのクルーでできる最後のレースなので、しっかり楽しんで、思いきり勝ってみんなで笑って終わりたいと思います。
コックス・高橋拓哉(政経4=東京・早大学院)
――きょうのレース展開は
スタートで出られてしまったんですが、どの学校もスプリントが強いことはわかっていたので焦らずコールをかけました。2クオーターでは攻めて良い意味で勝負を決められました。とりあえずあすの決勝に行くためには中大に勝とうということでした。東北大に出られてしまいましたが、あすの決勝につなげるという意味では変に出し切らず良かったのかなと思います。
――東北大はあまり気にならなかったということですね
そうですね。彼らはしばらく決勝に出ていなくて、決勝に出ることが1つの目標だったと思います。自分たちはあくまであした最高のパフォーマンスをすることが目標なので、それにつながるレースができたということで良かったと思います。
――タイムについてはどうですか
良いと思います。学校自体の歴代最高タイムは5分50秒で、それを超えることができました。コースのレコードタイムは日大の5分41秒なんですが、その時の入り1000メートルときょうのワセダの1000メートルは変わらないんです。それを考えると第3、4クオーターをもう少し伸ばせられればあした良い結果が出ると思います。
――きょうの日大のタイムとワセダのタイムはほとんど同じでしたが
向こうがあすに向けてどれだけ力を抜いているかはわからないですが、予選は8秒差だったのでようやく戦える土俵に立てたかなと。勢いはこっちの方があります。
――この3日間で良くなっていると手応えを感じますか
間違いなく良くなっています。おととい、きのうはあまり良くなかったんですが、だいたいこのクルーで練習していて悪いところが出て、2日目で復活の兆しが見えて、3日目で上昇気流に乗って最後はガツンと良いものが出るというサイクルが多かったんです。それを当てはめていくとあした良いものが出るのかなという自信はあります。
――あすの勝負の決め手となるものは何だと思いますか
最終的にはまとまりです。気持ちで8人がばらけなければきょうの第3、4クオーターももう少しいい戦いができたと思うので、8人のまとまりが大事ですね。
――あすの決勝に向けて意気込みをお願いします
いままでやってきたことを全て出し切って、最高のパフォーマンスで最高の結果を出したいです。