大会最終日は、決勝に舵手付きぺアとエイト、順位決定戦に舵手なしフォアが出場。最初に登場した舵手付きペアが、王者・日大に競り勝ち見事8年ぶりの栄冠に輝いた。男子の花形種目であるエイトの優勝にも大きな期待が寄せられたが、善戦むなしく昨年に続く銅メダルを獲得した。
★快挙達成!男子部に希望の光差す
「何が何でもピンク(日大)をつぶしてやろう」(田崎佑磨、スポ3=茨城・潮来)。そびえ立つピンクの牙城を崩すべく、男子舵手付きペアの決戦が幕を開けた。得意のスタートで序盤は他艇からリードを奪う展開となる。その後も正垣克敏(スポ3=熊本学園大付)が「突き放して勝負させない」と振り返るように、レースプラン通りの理想的な漕ぎを披露。だがレースも大詰めを迎えるにつれ、王者の影は徐々に迫ってくる。わずかなリードを奪いつつ、早大はラストスパートで勝負に挑んだ。苦しみを乗り越え共に戦い続けた3人は、王者の猛追も見事に振り切り、悲願の優勝。長年桜色に染まり続けていた戸田ボートコースを、鮮やかなエンジ一色に染め上げた。戦い終えたクルーへの思い、それは「ひたすら感謝」(正垣)。心一つに、勝利の味を知った3人の快進撃はまだまだ続く。
(記事 細矢大帆、写真 荒巻美奈)
★ベストを出すも、目標に届かず
前日の準決勝では4位に終わり、順位決定戦に回った男子舵手なしフォア。レース序盤、いきなりスタートで出遅れてしまうも、「(出場した)舵手なしフォアクルーの中では1番強い」(佐藤琢、創理4=東京・早大学院)と自負するコンスタントピッチで、中盤から徐々に追い上げを図る。準決勝時とは見違えるまとまりのある漕ぎで、大きな失敗もなく、順位決定戦2位、全体6位で今大会を終えた。しかし、本来の力を発揮できた一方で、「決勝に行きたかった」(江原大二朗、商3=埼玉・早大本庄)と目指していた舞台で戦えなかったことに悔しさもにじませたクルーたち。あと1か月半と迫った全日本選手権では、集大成として全てをぶつけたい。
(記事 栗坂美祐、写真 細矢大帆)
★2年連続銅メダル獲得するも、打倒日大ならず
17年ぶりの優勝に期待がかかった男子エイト。スタートスパートで先手を取った早大は、東北大と並んで中盤に差しかかる。「日大より常に前にいるということだけ意識させた」(コックス高橋拓哉、政経4=東京・早大学院)と、序盤から中盤にかけて猛攻を仕掛けてくる日大に対して、クルーたちは高橋の的確なコールに反応し必死に対抗。しかし、「何枚も上手だった」(ストローク長田敦、スポ2=石川・小松明峰)と語るように、その後は地力で勝る日大にじわじわと引き離される。この苦しい展開に、8人のまとまりはすこしずつほどけていった。結果は日大、一橋大に次ぐ3位。2年連続の表彰台、そして早大歴代最速タイムを更新したが、誰一人として満足している者はいない。「手ごたえは十分ある」(新藤耕平主将、スポ4=山梨・富士河口湖)。いざ、日本ボート最高峰の舞台へ――。エンジの猛者たちが輝きを放つ。
(記事 新田祐介、写真 荒巻美奈)
結果
▽男子舵手付きペア(C:中村、S:田崎、B:佐藤琢)…1着【優勝】
▽男子舵手なしフォア(S:小林、3:江原、2:長山、B:佐藤琢)…2着【6位入賞】
▽男子対校エイト (C:高橋、S:長田、7:新藤、6:竹内、5:是澤、4:山下、3:青松、2:鈴木、B:和田)…3着【3位入賞】
コメント
新藤耕平主将(スポ4=山梨・富士河口湖)
――インカレを終えて、率直な感想を
ことし主将になってからこの大会を目標に1年間やってきたので、悔しい気持ちが一番ですね。
――結果としては昨年同様の3位ですが
もちろん優勝を狙っていたので。特にまたそれがすぐ手の届くところにあったので。そういった意味で、悔しいという思いが強いですね。
――コーチ陣からも優勝の期待を寄せられていましたが
おそらく下馬評でもかなりワセダが来ると言われていたと思いますし、僕自身もことし勝てなかったらこの先勝てないんだろうなと思っていた。期待してもらってうれしいですけど、なによりそれに一番応えたいという気持ちはありました。
――日大、一橋大に負けた敗因はどう捉えていますか
日大には『ユニフォームティー=まとまり』の継続時間です。その継続時間で日大がどんどん前に出て行った。一橋大に関しては、力負け。最後のラストスパートでねじ伏せられてしましました。
――反対に、収穫点はありましたか
ワセダ歴代最速タイム5分48秒。この記録、そしてこの結果に、誰一人満足していなかったことです。そういう向上心はすごく評価していい部分かなと。今後も期待してもらっていいと思います。
――次のレースは全日本選手権で、新藤選手にとっては最後の大会になります。チームとしてやっていきたいことは何かありますか
今回『ワイルド』というスローガンを掲げて、荒々しくても勝ちにいくぞという気持ちを浸透させることができた。今度はその荒さをより完成形に近づけること。言うならば、パーフェクト・ローイング。パーフェクトなエイトに仕上げることができれば、きょうの社会人の記録を見てもらえばわかるように、自分たちもそう遠くにはいないので勝負できるし、優勝も見えてくると思います。
――具体的な目標はありますか
優勝、金メダルです。当初は入賞と言ってましたが手ごたえは十分あります。