男女ペア種目が決勝進出!エイトは敗復へ

漕艇

 全日本選手権は2日目。きのうに引き続き強い横風がコースに吹き荒れる中、早大からは男女合わせて6クルーがレースに挑んだ。予選では納得のいく漕ぎができなかった女子ダブルスカル、男子舵手つきフォアが準決勝に進出。新藤耕平主将(スポ4=山梨・富士河口湖)が乗る男子エイトが6着で敗復に回るなど波乱が起こる一方で、女子舵手なしペアと男子舵手付きペアがともに1着となり、あさっての決勝に進んだ。

 女子部の先陣をきったのは舵手なしペアの谷川早紀(スポ3=愛媛・今治西)、土井鈴奈(教1=埼玉・浦和一女)。「スタートで出ることができたので相手を見ながらずっと漕ぐことができました」と土井が言うように、序盤から優勢なレース運びを展開。その後も他のクルーの追撃をもろともせず1着でゴールした。結成してまだ1ヶ月というクルーなだけに、あさっての決勝でのさらなるパフォーマンスに期待だ。敗複に挑んだ女子ダブルスカルは、第1クオーターで筑波大に差を付けられるが、焦ることなく第2クオーターで捕らえ逆転。見事に準決勝に駒を進めた。

終盤で逆転した女子ダブルスカル

 一方、男子部は全日本大学選手権(インカレ)を制した舵手付きペアが予選に登場。インカレで激闘を繰り広げた日大と一橋大が同組となり、初戦から高いかべが立ちはだかった。レースは序盤から一橋大が積極的に攻め、ほぼ横並びで前半を折り返す。「最初の1000メートルで追い付かれても後半の1000メートルで一気に入れ換えてもう一回スピードに乗っていこう」(正垣克敏、スポ3=熊本学園大付)。この状況にもインカレ覇者は落ち着いていた。レースプラン通り、中盤でギアチェンジをして一気に一橋大との差を広げた。後半、中盤から徐々に追い上げてきた日大も振り切り、学生ナンバー1の実力を証明した。男子舵手つきフォアは負ければ終わりの厳しい状況で、一橋大に続く2位で準決勝進出を決めた。「クルーの目標は日本一」と公言したバウの小林大河(国教3=東京・早実)。あすの準決勝での大きな飛躍が目標達成のかぎとなる。

インカレ王者の意地をみせた舵手付きペア

 最後に登場した男子エイト。「周りが全日本トップクルーばかりだったので、決勝のつもりでレースに臨みました」と竹内友哉(スポ1=愛媛・今治西)が言うように、予選とは思えない独特の緊張感が張りつめていた。早大は序盤から他艇の後を追うレース展開に苦戦。焦りからかミスも多くなかなか悪い流れを打開できない。結局、その後も順位を上げられず6着でフィニッシュした。レース後、コックスの高橋拓哉(政経4=東京・早大学院)は「自分たちの本来の力を出しきれなかったです」と、あすの敗復に向けて課題が多く残る結果となった。

 あすの大会3日目は準決勝がはじまる。きょう予選を通過した男子舵手付きペアと女子舵手なしペアは、あさっての決勝に向けて順調な仕上がりといえるだろう。一方で、あす正念場を迎えるのは、決勝進出を目指す女子ダブルスカルと男子舵手つきフォア。課題は山積しているが、レースを重ねるごとに手ごたえをつかんでいるのは確かだ。加えて、予選の不甲斐ないレースで悔しさをにじませた早大エイト。高橋は「決勝行かないとしょうがないんで。1着で良い形で最終日につなげたいと思います」と力強く抱負を語った。悲願のエイト優勝に向けて、もう負けは許されない。

(記事 齋藤晃、写真 佐藤裕樹)

※掲載が遅れ、申し訳ありませんでした。

結果

▽女子舵手なしペア(S:谷川、B:土井)…1着【決勝進出】

▽女子ダブルスカル(S:佐藤紫、B:望月)…1着【準決勝進出】

▽男子舵手付きペア(C:中村、S:田崎、B:正垣)…1着【決勝進出】

▽男子舵手なしフォア(S:白濱、3:小坂、2:出町、B:杉山)…6着

▽男子舵手付きフォア

(C:藤川、S:江原、3:長山、2:佐藤琢、B:小林)…2着【準決勝進出】

▽男子エイト(C:高橋、S:長田、7:新藤、6:竹内、5:是澤、4:山下、3:青松、2:鈴木、B:和田)…6着

コメント

▽男子舵手付きペア

ストローク:田崎佑磨(スポ3=茨城・潮来)

――インカレで制した日大を再び倒しての予選首位通過おめでとうございます

まず日大は自分たちが勝ったので、自分たちを潰すためにクルーを変えてきました。明大も、一橋大もクルーを変えてきました。だからインカレ優勝というのはそれはそれで、今回は実力差も全然違うので全部まっさらな状態からのレースでした。インカレ優勝は自信にはなりますが、インカレに勝ったからというおごりや余裕はなく、もう一度取ってやるという気持ちがないと全日本は取れないという思いがありました。今回、自分たちの最低限の目標は学生日本一で、目標が日本一です。きょうの予選は全部学生で、インカレの決勝みたいな組み合わせでした。ここで勝てば学生日本一は間違いなかったので、だからがっつりと行きました。

――組み合わせで日大、一橋大と対戦することを知ったとき、どんなお気持ちになりましたか

また潰してやろうかなと。日大に負けていたら、当たり前ですが学生日本一ではないので。やはり1回勝ったというのは時の運が否めません。1回2回勝つとまぐれではなくて実力であることが証明できるので、もう1回潰してやろうと思いました。物怖じすることもなく挑むことができました。

――クルーを変えなかった早大はインカレ決勝のようにスタートから飛び出すことに成功しましたが、作戦だったのでしょうか

そうですね。きょうはあまり攻めすぎず、落ち着いていきました。タイムはあまり良くなかったですが、気にしていません。まだまだ余力はあります。

――最後のスパートも日大とのデットヒートでしたが、インカレ決勝よりも少し余裕があるように見えました

だいぶ余裕がありました。ラストスパートは自信があるので、スパートで船がかぶっていれば、負けていても勝っていても、間違いなく勝てると思っています。だからラストスパートで日大の方が早く攻めてきて並びましたが、これは勝ったなと思いながらスパートをかけました。

――日大に並ばれたとき田崎さんは左を見て日大を確認する動きが見られました

パッと見て、見ながら調整してスパートをかけました。本当に余裕があって、来るなというのが分かりました。

――あさっての決勝に向けて意気込みをお願いします

今回の全日本では絶対に日大には負けたくありません。最低限の目標である学生日本一と目標である日本一を達成したいです。さらにこれは個人的な問題ですが、個人的に日大には負けたくないですし、地元の新日鉄住金にも負けたくないです。嫌いとかではなく、地元だから負けたくないという気持ちがあります。もうひとつの組で勝ったのが新日鉄住金なので、だいぶ速いタイムでしたが、日大と新日鉄住金には負けたくないです。(新日鉄住金と)タイム差は10秒くらいついていますが、問題ないです。10秒と言うと怖いかもしれませんが、クオーターごとに換算したら2.5秒です。大したことないですし、少し頑張ればできることです。だからポジティブに捉えて、絶対ネガティブにならないように、全部ポジティブに捉えて、絶対に潰そうかなと思います。

――インカレ王者として臨む全日本ですが、インカレと同じく本気で頂点を目指されていると思います

もちろんです。まぐれの優勝ではなく、本当の実力だということをみんなに認めてもらいたいです。

▽男子舵手なしフォア

ストローク:白濱勇輝(政経4=東京・早大学院)

――きょうのレースを振り返って

きのうのは一本一本進む距離が他の組に比べて短いという反省があって、スタートであまり出れなかったのでスタートから大きく漕ぐようにしました。押すとシートが動くんですけど、なるべく大きく10割使って、一本一本で進めていくということを意識して漕ぎました。

――レース前に意識したことは実際にできましたか

練習でも一本で大きく進めたときがあったので、その感覚に近いものが出せてきのうよりはいいレースができました。

――全日本に向けて練習してきたことは

全日本大学選手権(インカレ)と全日本選手権(全日本)がありますが、普段はインカレに出たクルーがそのまま全日本に出るという感じで全日本はインカレの延長戦みたいなものなんです。自分はインカレで男子舵手なしクォドというのに出たんですけど、そもそもオールが違いますし、今回ストロークサイドで漕いだんですけどもともとバウサイドでした。インカレが終わってから変わったんですけど適応するのが結構大変で最初はキツかったです。ストロークは安定感が必要なポジションなので自信がなくて、だんだん漕げるようになってきてからチャレンジしました。舵手なしフォアはコックスがいないので軽くて影響を受けやすい繊細な艇なので、4人で力を合わせてやっていかなければいけないということで統一して、そこを1番大切にしてやっていきました。

――1年間を振り返って

早慶レガッタでは自分が2年と3年の時は負けていたので、(第2エイトで)勝つことができたというのはボート部に入ってからの中でもすごくうれしかったことです。その後、全日本軽量級選手権でクルーリーダーをやらせてもらったんですけど、どうやってクルーを速くしていくかというところを自分からしっかり考えることが必要になったので、そこは自分にとっても成長できたことです。結局順位決定戦の中で1位で全体では5位だったんですけど、自分たちが残せる成績の中では1番いい結果でした。社会人もいてそこに勝つのは難しくても他には勝てたので。そのような成績を残せたというのは良かったです。インカレはサードクルーということで、対校エイトと舵手付きペアというのがあってその次の組に乗ることができて、自分としてはすごくステップアップしていいクルーで乗ることができました。そこでも自分はクルーリーダーで、舵手なしクォドという初めて乗る艇だったのですごく大変でしたが1番濃い考える時間があったなと思います。インカレはクルーのケガとかもあって成績自体は良くなかったんですけど、自分の中ではいろいろ残るものがあったなと思っています。今回の全日本でも成績は残せなかったんですけど、勝つためになにができるかとかすごく考えることができたのでボートに関して一生懸命取り組めて、成績以外に財産として残るものがあったかなと思います。

――後輩に伝えたいことは

自分が学んだことなんですけど、いま言ったように自分はボートでそんなに際立った成績を残せていませんが、それはそれでボートが速くなるためにどうすればいいかというのを考えることにもつながったと思います。なので後輩もあまりボートが速くない人とかいると思うんですけど、遅いからこそボートに一生懸命取り組んでほしいです。たとえボートの成績を残すことにはつながらなかったとしても、残るものがもちろんあるので。取り組めば取り組んだだけ大きな財産になると思うので、それを信じて頑張ってほしいと思います。それが自分が学んだことなので。