「位置取りが悪いと良いことはない」中川5位でまたもV逸

自転車

 冬のクリテリウムがことしは転戦して行われる全日本学生RCS(RCS)。第7戦は埼玉・幸手工業団地で開催された。クラス3の片野陸(スポ1=長崎・鹿町工)は、RCS第6戦浮城の町行田クリテリウムラウンドに引き続き3位。2戦連続で昇格を逃し、悔しさから表彰台でも笑顔を見せることはなかった。クラス1の中川拳(スポ2=北海道・帯広三条)、RCSデビュー戦の萩本拓也(法2=熊本)は共に5位、クラス2の山本真寛(社2=青森・八戸工大一)は10位だった。
 

 クラス1の中川は昨年冬のクリテリウムにはエントリーしなかったが、ことしは積極的に参加している。RCS出場となると当日のために土曜日を調整に充てなければならず、距離を乗り込むことを優先していた中川は欠場を選んでいた。ことしはコーナーの回り方、集団スプリントをRCSで多く経験し、クリテリウムの克服を図る。また、勝負所の技術はロードレースにも必ず生きてくるだろう。レースはRCS暫定リーダーの岡部祐太(日体大)が集団先頭に立ち始まった。逃げとその吸収が繰り返される中、残り5周で落車が発生。中川が集団後方に下がっていた時に起きたため、失速を余儀なくされた。「位置取りが悪いと良いことはないと改めて感じたレースでした」と中川。先頭集団に追いつくため脚を消もうしてしまい、ゴールスプリントには参加したものの5位。「勝ちが全くないので苦手なクリテリウムで勝ちたかった」と、来季全日本選手権ロードレース優勝を狙う中川はオフシーズンでもどん欲に勝利を狙っている。

早大自転車部として初のレースとなった萩本

 クラス2Bに登場したのは片野。残り4周で松本京太(日体大)、村上翔真(大産大)がアタックを決め、二人が集団から先行する。残り2周で片野と他2名も集団から飛び出す。なんとか逃げ二人に追いつきたいところだったが、わずか3秒及ばず。前戦に引き続き惜しくも昇格を果たせなかった。「後悔しかないレース」と片野。全日本大学対抗選手権への出場にはクラス2への昇格が必須となるため、今年度中にはなんとしても雪辱を果たしたい。

 

コーナーを曲がる中川

  ことしは転戦しながら最終戦・神宮外苑クリテリウムまでクリテリウムの戦いが続く。毎回コースが異なるため、昨年までは一戦一戦重ねながら戦い方を覚えていくことができたが、ことしはそうはいかない。一周回ごとにコースの特徴をつかみ、その中で勝たなければならない。さらにこの冬、早大には途中入部の選手が加わり、新たな風が吹いている。新加入の萩本拓也(法2=熊本)は今回がデビュー戦となった。ことし2月に自転車を始め、サドルの上での日々はまだ浅い。しかし、クラス3Bでは逃げ数名に続きメイン集団先頭でゴールし、他の選手とそん色ない走りを見せた。萩本は4月に部の新歓ブースを訪れていたが、その時はまだ自信が持てず入部しなかったという。しかし、夏の一般レースで学生自転車競技連盟の関係者がスカウト。全日本大学対抗選手権、国民総合体育大会を終えたタイミングで入部に至った。早大は途中入部の選手が力をつけ活躍していく土壌があり、萩本の今後に期待がかかる。

(記事 曽称真衣 写真 曽祢真衣、喜柳純平)

結果

▽クラス3

片野陸 3位
萩本拓也 5位
 

▽クラス2

山本真寛 10位 

▽クラス1

中川拳 5位 

コメント

中川拳(スポ2=北海道・帯広三条)

――昨年は冬のクリテリウムに不出場でしたが、ことしエントリーしている目的は何ですか

僕はクリテがあまり得意ではないのですが、正直クリテに出ると一日に走る距離が短い割には土曜日もその調整に充てなければならないので土日あまり乗れなくなってしまうんですけど、ことしの冬は乗る距離を今の時期は気にせず、苦手なクリテの克服を目的としていました。クリテはスプリントになることが多いですが、スプリントもあまり得意としていないので、その練習、スプリントのためのゴール前の位置取りですね。クリテは普通のロードレースよりコーナーを曲がることが多いので、コーナーの処理もです。コーナーをうまく回れれば脚もたまっていって、スプリントに温存できるので、そういったものを体で覚えるために積極的に冬のクリテリウムに参加しています。

――きょうは逃げとその吸収が繰り返される展開でした

スピードコースだったので、逃げが決まりづらかったです。飛び出してもなかなか集団との差がつきにくいので、なかなか逃げも決まりませんでした。

――残り7周回で中川選手も逃げようとしていました

きょうは日体大が人数をそろえていたので、波状攻撃というか、交代でアタックしていて、僕もそこに便乗して逃げようとした場面はあったんですけど、結局逃がしてもらえませんでした。

――やはり集団スプリントでの勝負になりましたが、課題としている位置取りの評価はいかがですか

きょうの最後のスプリントの位置取り自体は結構いい位置で入れたんですけど、もう少し前に入りたかったですね。それはラストだったんですけど、残り5周目のバックで落車があって僕の前の前くらいの人が転びました。そこでストップしてから再度スタートしたので、1周して3周目に入るくらいのとこらで集団に追い付いたので、残り3周でスプリントに向けいかに脚を回復させるかを意識して走ってたんですけど、やっぱりスプリントのかかりは悪かったですね。そこでかなり疲労していた分、それがもし、たらればなんですけど、なかったらもう少し順位を上げられたのかなという感じもしています。

――アクシデントがあった中では良かったというところですか

そうですね。でも、勝ちが全くないので本当はここで勝ちたい、苦手なスプリントで勝てたらいいな、と思っていました。落車が起きた時はちょうど後ろに下がってしまったタイミングだったので、やっぱり常に位置取りが悪いと良いことはないと改めて感じたレースでした。

――この冬を越えた先にある来季の目標を教えてください

来年は全日本ロード(全日本選手権ロードレース)で優勝を狙います。特にTTは得意な方だと思っているので、TTの独走力をよりつけてそれを武器にロードでも戦っていけたらと思っています。

片野陸(スポ1=長崎・鹿島工)

――今大会の位置付けは

前回は3位を取っていたので、今回は本当に年内最後の大会ですし、昇格してことしの試合を終えて、来年に向けて練習しようかなと思っていました。だが、自分の力及ばず3位に終わってしまいました。

――レース前のプランはありましたか

このコースは道幅も広くて結構速いペースになるので最終スプリントで勝負にいこうと考えていました。

――中盤から2人の選手が前に飛び出しました

その時に逃げを作らせないような走りをするべきだったのですが、自分自身逃げを潰せるような場所にいなかったので最終的に逃げを認めた形になってしまいました。

――最終周回の前に先頭の2人との差は詰めていました

3人で途中逃げたのですがやはりもう少し3人で協調体制をとって前に追いつこうと思ったら追いつけたと思うのであまり、コミュニケーションがうまく取れず、追いつけないでただ足を使う展開になってしまいました。

――3位という結果に関しては

クラス2に上がるのは2位までですので、3位というのが1番悔しいですし、あと一歩なのでしかも2回目なので後悔しかないレースです。

――改善点はありますか

走れはするのですが、頭を使ってレースができていなくて、それが毎回の話ですので全く改善できていないのが残念です。

――次戦に向けての意気込みを聞かせてください

次は2月のレースとなりますが、その時までには自分の中での課題を見つけてそれに向けてしっかり追い込んで、次の大会では昇格できるような実力をつけてのぞみたいなと思います。