気温が30度近くまで上昇し5月とは思えないほどの気候となった山梨県境川。東日本学生選手権トラックが2日間にわたり開催された。早大からは多数の選手が出場しその中で男子は佐藤啓斗(スポ3=青森・八戸工)はケイリンで優勝、スクラッチでも出場した全員が決勝に進出した。女子では小泉夢菜(スポ1=埼玉・浦和工)が500メートルタイムトライアルで2位、スクラッチで3位、チームスプリントでは小泉と池田ゆめこ(スポ3=北海道・札幌旭丘)組が優勝と結果を残し目標とする夏の全日本大学対抗選手権に向けて収穫の大きい大会になった。
競り合いを制した佐藤
男子スクラッチ決勝には塩田航平(スポ4=埼玉・栄北)、孫崎大樹(スポ3=京都・北桑田)、岩田宗也(スポ4=広島・広島城北)、山本真寛(社1=青森・八戸工一)の4人が出場。レースは最初から先頭の入れ替わりが頻繁に行われ、振り落とされる選手もいたがワセダも連携プレーで対抗する。「以心伝心した走り」(山本)。先頭に出てペースを安定させ、後ろに下がった選手がいれば隣で並走し楽に走れるようにするなど作戦が奏功し、早大勢は集団から一人も漏れることなくレースを進める。しかし、後半になると疲れが見え始めた岩田、塩田が集団から脱落。孫崎、山本が先頭付近で粘るが残り1周からのスプリント勝負となった争いには参加できず山本が8位、孫崎が9位でゴールした。男子ケイリンにはこの種目を得意とする佐藤が出場。ケイリン種目は今回からルールが変更となったこともあり緊張や周りの選手への警戒ばかりに気を取られ、予選では仕掛けが遅れあえなく敗退してしまう。「自分のしたいような走りを意識した」(佐藤)。ここから気持ちを切り替え、敗者復活戦、1/2決勝と勝ち進み決勝に駒を進める。迎えた決勝。ケイリン種目は残り1周からのスパート合戦になることが通例だが、残り1周からのスパートでは勝てないと判断し早めに先頭に立つ。後続の追い込みもあったが、最後まで粘り切りケイリン優勝を決めた。
女子種目には小泉夢菜が公式戦初出場。池田ゆめこ(スポ3=北海道・札幌旭丘)とチームスプリントに挑んだ。決勝のレースでは池田が前に立ち前半から積極的な走りをみせ、相手との差はほとんどなく小泉につなぐ。小泉は残り1周でさらにスピードを上げ僅差の勝負を制した。「素直に嬉しいです」(池田)。池田、小泉共に大学の公式戦は初めての優勝をつかんだ。また、小泉は500メートルタイムトライアルにも出場し自己ベストから2秒以上遅れ2位。スクラッチでは最後に猛然と追い込むが先頭まで届かず3位に終わり課題も多く見つかったレースとなった。
表彰台で笑顔をみせる池田・小泉
ルーキーの奮闘もあり、男女で結果を残した今大会。合宿の直後ということで調整の意味合いが強かったこともあるが、この時期での好成績は選手たちの自信になったはずだ。ワセダが目標とする夏の全日本大学対抗選手権に向けて幸先の良いスタートを切った。
(記事 喜柳純平、写真 喜柳純平、曽祢真衣)
結果
▽男子スプリント予選
田中克尚 8位 11秒096 1/4決勝進出
安倍大成 11位 11秒213 予選敗退
後藤悠 4位 10秒805 1/4決勝進出
▽男子スプリント1/4決勝
田中克尚 後着 1/4決勝敗退
▽男子スプリント5位~8位決定戦
田中克尚 先着 5位 11秒08
後藤悠 DNS 1/4決勝敗退
▽500メートルタイムトライアル
小泉夢菜 2位 38秒361
▽女子スクラッチ決勝
小泉夢菜 3位
▽男子1キロタイムトライアル決勝
片野陸 17位 1分10秒151
▽女子スプリント予選
小泉夢菜 3位 12秒392 1/2決勝進出
池田ゆめこ 7位 14秒076 予選敗退
▽女子スプリント1/2決勝
小泉夢菜 後着 3~4位決定戦
▽女子スプリント3~4位決定戦
小泉夢菜 後着 4位
▽男子ケイリン予選
3組 佐藤啓斗 2位 11分23秒 予選敗退
▽男子ケイリン敗者復活戦
4組 佐藤啓斗 1位 1/2決勝進出
▽男子ケイリン1/2決勝
1組 佐藤啓斗 3位 決勝進出
▽男子ケイリン決勝
佐藤啓斗 1位
▽男子ポイントレース予選
1組 小野寛斗 17位 予選敗退
2組 八田衛 16位 予選敗退
▽男子スクラッチ予選
1組 塩田航平 1位 決勝進出
2組 孫﨑大樹 2位 決勝進出 山本真寛 7位 決勝進出 岩田宗也 8位 決勝進出
▽男子スクラッチ決勝
山本真寛 8位 孫崎大樹 9位 塩田航平 18位 岩田宗也 DNF
▽男子4キロインディビジュアル・パーシュート予選
中川拳 11位 5分2秒012 予選敗退
▽OPEN1キロメートルタイムトライアル
中井琢 9位 1分9秒108 八田衛 13位 1分11秒128 塩田航平 19位 1分12秒994
田中克尚 24位 1分13秒845 納家一樹 DNS
▽男子4キロメートルチーム・パーシュート予選
塩田航平 孫﨑大樹 八田衛 小野寛斗 7位 4分35秒850 予選敗退
▽男子チーム・スプリント予選
田中克尚 中井琢 安倍大成 8位 1分20秒635 予選敗退
▽女子チーム・スプリント予選
小泉夢菜 池田ゆめこ 2位 1分秒32 決勝進出
▽女子チーム・スプリント決勝
小泉夢菜 池田ゆめこ 1位 1分1秒129
▽女子500メートルタイムトライアル
池田ゆめこ 7位 42秒165
コメント
小泉夢菜(スポ1=埼玉・浦和工)
――今大会の位置付けは
今回は来週の全日本トラックにピークを持っていきたかったので、この1週間は追い込むっていう週にしたいなと思って大学の合宿が終わってその後、強化の合宿の方に行ってまた試合に戻ってきたのですが、良い練習ができたかなと思います。でも、試合では優勝したかったのでそれが悔しかったです。
――500TTの目標タイムはありましたか
自己ベストを更新することだったのに、それ以前に自己ベストに程遠い2秒も違うということはすごい練習が足りなかったのか、何か良くなかったのかなという感じです。
――コンディションはどうでしたか
コンディションは良い方ではなかったのですが、試合なとでもでも良くなくても結果を出さないといけない時も必ず出てくるのでその中で出せなかったので少し残念でした。
――今回は連戦で試合にかなり出場していましたが、疲労はありませんでしたか
疲労は結構ピークはきていました。でも追い込むと決めた週ですので、良い練習ができたかなと思います。
――大学に入ってから初めてのレースでしたが
大学に入って簡単にきっとタイトルを獲れるなと簡単な気持ちで臨んだのが間違いだったじゃないですけど、先輩とかもみなさん成長してますし、高校時代いくら自分がタイムが速かったからといってどんどん周りも成長しているので、自分だけ退化してるなと感じました。
――優勝したチームスプリントを振り返って
先輩と良い流れが作れたのは良かったなと思ってて、インカレもこの調子でつないでいければ良いかなと思います。
――全日本選手権にむけて意気込みをお願いします
ことしはジュニアのカテゴリーからエリートのカテゴリーに上がっで初めての大会ですのでそれが今の自分の実力エリートの中でどれだけ通用するのかを試す良い機会だなと思っています。500メートルでは結構メンバーも薄かったのでそれがエリート選手で強い選手も出ていなかったのでもしかしたら獲れるかなと思っているので500はしっかり狙っていきたいなと思います。スプリントは競技歴の長い先輩がいらっしゃるのでその先輩達の方が技術は上だと思いますが、出せる力は精一杯出したいなと思います。
山本真寛(社1=青森・八戸工一)
――今大会の位置付けは
東日本の大会ですので、気持ち的には僕は東北出身ということもあり、東北大会のような地区ブロックの大会という認識でしたので特に緊張とかはありませんでした。
――レースを振り返って
僕は高校時代から最後のスプリントで勝負するという選手ではなくて途中で抜け出して勝負にいくという選手で今大会もそういう走りのスタイルで走りきることが出来たと思ってます。
――連携プレーはありましたか
ワセダとしては同じチームの選手が出るので、足を引っ張らずという感じで、予選だと決勝は早稲田大学全員が予選を通ったので、決勝は少し話し合って以心伝心した走りが出来たと思います。
――8位という結果に関しては
8位というのはギリギリの入賞ラインですので、入賞出来て良かったという気持ちもあるんですけど、やっぱりもう少し行けたんじゃないかなという残念な気持ちもあるので、次の大会はそういうギリギリの高校でもそういうことが多かったので、はっきりとした良い成績を残すことが目標です。
――大学に入って初めてのレースでしたが
高校の時は1つ1つのレースに凄い緊張はありましたが、大学のレースとなると結構試合が週に1回と多い頻度であるので試合はあって当たり前という意識になってきて緊張はなかったですね。
――次戦にむけて
次のレースでも学校の足を引っ張らないようにしつつ段々とレベルアップして結果で示せたらと思います。
答え
佐藤啓斗(スポ3=青森・八戸工)――今大会の位置付けは
この大会はGW合宿のすぐそばということで合宿の成果を見せる大会という位置づけでした。
――合宿で重点的に練習したことはありましたか
今回はルールが変わって距離が長くなったので、最後までばでずに走りきるという部分を重点的に練習してきました。
――練習の成果は発揮出来ましたか
駆け引きが伴うレースということで、実力をうまく発揮出来なかったりして、特に予選ではそれが顕著に現れて予選敗退につながりました。
――予選敗退から敗者復活戦で勝ち上がってきましたが修正した部分はありましたか
ルールが大幅に変わったということで、最初は結構緊張したり、他の選手を警戒したりしたのですがそんなことをしてもあまり意味がないと最初の予選でわかったので、敗者復活戦以降は自分のしたいような走りを意識しました。
――レースプランなどはありましたか
全く考えてなかったです。最初の並び順がそのまま隊列になるということで、残り1週になる前に仕掛けないと勝てないような並びではないかと考えて、それをすぐに実行しました。
――2度目のケイリン優勝でしたが、いかがですか
昨年は特に強い選手が多く、ことしもそれなりに選手が多かったですが、飛び抜けて強い選手がいなかったというのも優勝につながったのかなと思います。来年以降もまた昨年のような強い選手が現れても、勝てるように慢心などはせずに来年も優勝したいと思います。
池田ゆめこ(スポ3=北海道・札幌旭丘)
――今大会の位置付けは
インカレに向けて、今のレベルがどれぐらいかを知るという目的で出場しました。
――試合前にはGW合宿を行ったと思いますが、合宿で重点的に練習したことはありますか
特に力をいれたのは、スタート練習とペース走です。チームスプリントでは1走を走るので、何度も繰り返し動画を撮ってフィードバックしながら練習をしました。ペース走は、男子の速い走行に必死にくらいついていきました。何度もちぎれましたが、かなりメンタルは鍛えられましたね笑
――今日の試合のチームスプリントでは小泉さんと作戦などはたてていましたか
特に作戦とかは決めてないです。強いて言うなら、ラスト直線ではできるだけアウト側を走るようにしてタイムを縮めることを意識して走りました。
――チームスプリントレースをを振り返って
スタートから加速までは順調でしたが、前半に突っ込みすぎて後半にスピードをキープすることに精一杯で、後輩にスピードを加速させながらつなげられなかったのは申し訳なかったと思っています。ただ、合宿で練習した成果は出たかなと思います。
――東日本選手権で初優勝を果たしましたが今の気持ちを聞かせてください
素直に嬉しいです。大学で競技を始めてからようやくの1勝だったので。また、後輩との初めてのチームスプリントデビュー戦ということもあり、なおさら嬉しいですね。本当に後輩の後半の頑張りには感謝しています。
――最後に次戦にむけての意気込みを聞かせてください
次戦は再来週に伊豆の修善寺で行われる修善寺カップです。この試合も自分の力試しのために臨もうと思っているので、今回の試合を糧にして頑張ります。