ケイオーを圧倒!新体制の門出を祝う14連覇

自転車

 ことしで50回を数える早慶定期戦(早慶戦)がホームである西武園競輪場で開催された。8月末の全日本大学対抗選手権(インカレ)で代替わりしてから、新体制で迎える初めてのレースとなった今大会。後藤悠新主将(スポ3=岩手・紫波総合)率いるワセダは、アンノウンディスタンスレースでこそ1位を譲ったものの、その他の種目では慶大を圧倒。連勝記録を14に伸ばした。

★ケイリン、ワセダ勢が上位を独占

(左)から田中、佐藤、後藤

 ケイリンには、エキスパートである佐藤啓斗(スポ2=青森・八戸工)に加えて、普段はスプリントを走る後藤、田中克尚(スポ1=岡山工)が出場した。最初の位置取りでは、ワセダ勢はケイオー勢の後方に控えていた。しかし、先導車が抜けると、一気に加速。最終周のバックストレートでまくり、最後まで前を譲ることなく、後藤、佐藤がワン・ツーフィニッシュを果たした。田中もケイオーの猛追に遭うが逃げ切り、3着でゴール。ケイリンはワセダの独壇場となった。

★優勝逃すも孫崎意地の2位入賞

序盤から攻めるレースをした孫崎

 アンノウンディスタンスレースは、ピストルが鳴った次の周が最終周となるという特殊なレース。ピストルがいつ鳴るか分からないため、ペース配分が難しいことが特徴だ。序盤は、孫崎大樹(スポ2=京都・北桑田)とケイオーの選手が4人規模の逃げ集団を形成する。しかし、6週目にメイン集団が追い付き、集団は一つに。その後、再び孫崎がアタックして大前翔(慶大)と逃げ、後続との差が一時は半周差まで開く場面もあった。しばらく逃げは維持されたが、15周目、メイン集団から飛び出した慶大がブリッジを成功させ、逃げ集団に1人加わる。すると、ここでピストルが鳴り、一着争いは3人に絞られた。最終周のバックストレートで孫崎は一気に前に出るも、ホームストレートで大前に差され、奮闘虚しく2着でゴール。ただ、「ケイオーにワンツーとられないように2位に食い込めたのは良かった」(孫崎)と一定の手応えをつかんだレースとなった。

★孫崎と塩田のワセダ対決が実現!軍配は後輩に

残り2周、レースは3人に絞られた

 エリミネイションレースは、一周ごとに最後尾の者が脱落していくというルールで、耐久力と瞬発力が要求されるレースだ。序盤はワセダからは脱落者は出ず、集団はみるみるうちにエンジに染まっていった。しかし、8周目で八田衛(スポ3=鳥取・倉吉東)がエリミネイトされると、短距離メインの選手は脚が持たずに次々と脱落。19周目には孫崎と塩田航平(スポ3=埼玉・栄北)と慶大の選手の三人に絞られた。最初のコーナーでは一旦ペースを落とす三人だったが、バックストレートで孫崎と塩田はスプリントをかけ、慶大の選手を置き去りに。最後は孫崎と塩田の先輩後輩対決となった。ここでも一度ペースを抑え、スプリントのように互いに様子をうかがい合う。しかし、バックストレートで孫崎が仕掛けると、消耗していた塩田はそれに反応することができず。同校対決は後輩に軍配が上がった。

(記事 佐藤諒、写真 本田理奈)

結果

▽オープン・アンノウンディスタンスレース

孫崎大樹2位 塩田航平4位 八田衛5位 中井琢6位 池田ゆめこDNF 田中克尚DNF

▽ケイリン

後藤悠1位 佐藤啓斗2位 田中克尚3位

▽チームスプリント

早大(後藤・中井・佐藤)1分19秒12 1位

▽オープン・1キロメートルタイムトライアル

中井琢1分09秒95 2位 八田衛1分12秒03 4位 池田ゆめこ1分28秒10 18位

▽1キロメートルタイムトライアル

佐藤啓斗1分08秒50 1位 塩田航平1分10秒20 3位 田中克尚1分11秒43 4位

▽エリミネイションレース

孫崎大樹1位 塩田航平2位 後藤悠5位 佐藤啓斗6位 中井琢7位 田中克尚9位 池田ゆめこ11位 八田衛14位

▽4キロメートルチームパーシュート

早大(塩田・八田・孫崎・田中) 4分41秒59 1位

コメント

後藤悠主将(スポ3=岩手・紫波総合)

――14連覇のかかった早慶戦でしたが、どのような意気込みで臨みましたか

ことしで50周年ということで記念となる大会だったので、負けたくないなと思いました。

――ケイリンでは優勝されました

きのうのうちにケイオーがどういう走りをしてくるかイメージしてて、そういう感じでやってくるだろうなっていうのをケイオーがやってきたので、きつかったですけどなんとかなりました。

――ケイオーがはじめから踏んでくるということでしょうか

そうですね。3番目が車間を空けてけてきたらしんどいなと思ってたんでふけど、それをやってきたので。でもまあ、対応はできました。ケイオーの3番手が外に膨らんでいたのでインからいきました。

――エリミネイションレースでは終盤で脱落しましたが、脚がもたなかったのですか

残り8人くらいのときに、前のケイオーの選手が落車したんですけど、それに接触して諦めました。結構楽に走れていたので、もったいなかったですね。あと一つ二つくらいは順位上げられるかなと思いました。

――普段走らないエリミネイションレースでしたが、走ってみて得たものはありましたか

スプリントと違って大人数で走るので、周りをもっと見たりすることや、ペース配分が大事だなって思いました。

――もう主将に就任されてると思うのですが、練習も後藤選手主体でやっているのですか

そうですね。長距離は塩田に任せて、短距離は自分とか中井(琢、スポ3=宮城・仙台二)でコーチに教わったメニューを決めてます。

――主将という立場にはもう慣れましたか

まだ慣れてないんですけど、やっていることはきょねんと大きく変わってないので大丈夫です。

――主将として臨む初のレースでしたが、快勝しました。良い門出となったのではないでしょうか

勝つことができて良かったです。(笑)

――主将としてことし一年間、どのようなチームを作っていきたいですか

みんな仲良く、チームワークの良いチームができたら良いなと思います。締める感じにしても後輩も自分も嫌なので、お互い向上心をもってやっていけるようにサポートできたらなと思います。

塩田航平(スポ3=埼玉・栄北)

――エリミネイションレースでは、最後に孫崎選手との一騎打ちとなりましたが、どのような展開に持ち込みたかったのですか

元々は前にワセダを固めて、安全に最後の方にワセダだけで残ることができればいいなと思っていたのですが、2回落車があって、混乱していて。あの中だったら最善の展開だったのではないかと思います。

――タイムトライアルは普段あまり出場しない種目でしたが

個人的にはわりと1キロは好きで、練習の終わりなどにたまに測ったりしていました。

――3位でしたが、走ってみていかがでしたか

タイムが良くなかったので、今後の課題ですね。

――チームパーシュートについては、このメンバーで練習はされていたのですか

元々田中克尚の代わりに中川拳(スポ1=北海道・帯広三条)が走る予定だったので。八田はインカレでは走っていないですが、そのメンバーでは練習していました。ただ、田中が練習に混じるというのは、春は少しやっていたので初めてではないですが、慣れないメンバーではありました。

――ローテーションはうまくいきましたか

大きな失敗はしなかったので、良かったと思います。

――途中までは慶大にリードされていました

前半は飛ばしすぎないようにと話していて、最後に僕も孫崎も力を残していたので、作戦通りではあったかなと思います。

――アジア大学選手権に出場し、クリテリウムで4位ということですが、収穫はありましたか

ロードレースで国際大会に出るのは初めてだったので、このシーズンの中で1番の経験になったのではないかと思います。クリテリウムもロードレースもすごく楽しかったので出場できて本当に良かったと思います。

孫崎大樹(スポ2=京都・北桑田)

――きょうの早慶戦はどのような大会として臨みましたか

毎年今のところワセダが勝ってきているのでことしもしっかりと勝つために全力で臨みました。やはり力を考えると自分は上の方にいると思うので、ただ勝つだけではなくて相手に強いと思わせて勝てるような走りを目指してやりました。

――アンノウンディスタンスレースでは序盤から攻め、後半は慶大2選手と3人で逃げる展開でした

序盤から動いていたこともあってか後半きつくなりました。全体的にレベルが上がっているのか序盤からいいペースでずっとレースが進んでいました。(先頭を)3人に絞れたところまでは良かったんですけど、そこで1着を取れなくて。でもケイオーの選手が2人でワセダが1人の中で、ケイオーにワンツー取られないようにしっかり2位に食い込めたのは良かったかなと思います。

――最後早大対決となったエリミネーションレースはいかがでしたか

序盤からワセダがやはりスタート位置で前にいたので、女子選手で不利な池田(ゆめこ、スポ2=北海道・札幌旭丘)、初めて走る克尚(田中)をできるだけ前に固めました。エリミネーションは後輪が最後尾の選手が落とされていくので、インコースの隊列の後ろでイン側に抑えられればその選手は落ちます。僕は序盤は後ろの方にいて、ケイオーの選手5、6人を落とすようなチームとしての動きをしました。その後は自分の勝つレースというか、積極的に力を出すレースをしてちゃんと勝てたのはすごく良かったと思います。

――狙った展開に持ち込めたのですね

そうですね。ただやはりエリミネーションもレベルが上がったのかずっとペースが良くて。驚きましたね。きょねんよりも断然ペースが速かったと思います。

――4キロメートルチームパーシュートの内容はいかがでしたか

メンバーが1人体調不良で急きょ短距離の田中を入れて。八田さんもケガ明けで久しぶりの団抜きだったので、言ってしまえば本当に初のメンバーだったし何もしていない状態だったので不安はあったんですが、4分40秒台を目安にラップタイムを刻んでいて前半は初めてのメンバーなので抑え目にして、後半をしっかりとペースを上げて巻き返しに行くプランだったので、プラン通りにいって良かったです。

――途中慶大に押されるのも想定していたのですか

はい。そこも計算していましたし、インカレを走った僕と塩田さんがメインで相手の状況をちらちら見つつ調整しました。