六大学総合3位 インカレへの足掛かり得る

自転車

 記念すべき第30回を迎えた東京六大学対抗競技大会。ことしは、例年と異なり全日本大学対抗選手権(インカレ)前の8月開催だ。会場の伊豆ベロドロームはインカレでも使用される。落車もなく、インカレ直前の実戦として有意義な大会となった。ワセダは法大、明大に次ぐ総合3位。優勝を狙える種目は多数あったが、いずれも勝ちきれず悔しさの残る結果に。インカレでは、幾度となく伊豆ベロドロームいっぱいに校歌を響かせたい。

 男子スプリントには後藤悠(スポ3=岩手・紫波総合)と田中克尚(スポ1=岡山工)が出場した。予選は200メートルのタイムトライアル形式で行われ、後藤が10秒81でトップ通過。田中も6位で二人とも1/4決勝へ進んだ。1組目の後藤は危なげなく1/2決勝へ駒を進める。3組目に登場したのは田中と曽我圭佑(明大)。曽我は昨年度インカレでスプリント3位という実力者で、予選も3位で通過している。3周回の残り200メートルのタイムを競うスプリントでは、序盤は相手の様子をうかがいゆっくりとこぐことが多い。しかし田中は1周目のバックストレート手前で早々に仕掛ける。奇策ともいえる戦法で不意を突き、そのまま逃げ切り勝利を決めた。しかし2本先取の1/2決勝では鈴木玄人(法大)に完敗し3-4位決定戦へ。後藤は決勝で橋本瑠偉(明大)と対戦した。「第3コーナーを回る前の直線のあたりから相手に並んでいって、そのまま差し切る走り方を目指していた」と普段より早いタイミングで仕掛けるが、2本とも惜敗し2位となった。

ルーキーらしい果敢なレースが光った田中

 スクラッチには孫崎大樹(スポ2=京都・北桑田)と中川拳(スポ1=北海道・帯広三条)が出場。「積極的に攻めて勝てればそれだけ脚があるということ」(孫崎)と1周目から集団を飛び出す。途中集団に吸収されてしまい1ラップすることはできなかったが、序盤から逃げる展開について「世界で戦うための準備としてそういう走りをしたい」(孫崎)と語った。終盤は小林和希(明大)の逃げを許し独走状態に。集団は2位争いの展開となり、最終盤仕掛けた孫崎が3位でフィニッシュ。また、1キロメートルタイムトライアルの手嶋将大(スポ4=千葉・国分)も3位に入賞した。万全のコンディションではなかった手嶋。全日本学生選手権トラックで出した1分05秒872には及ばなかったが「またインカレに備えてしっかり準備してきょうの1位、2位に勝つことを目標にまた頑張っていきたい」(手嶋)と語った。

1キロメートルタイムトライアルを走る手嶋

 団体種目のチーム・スプリント、チーム・パーシュートはいずれも2位。チーム・スプリントは、初めての組み合わせで慣れない部分もあったが「反省有り収穫有りという感じでポジティブな課題ができた」(手嶋)と前向きだ。チーム・パーシュートも「隊列はそこまで悪くないしまだまだ成長が望める」(孫崎)と振り返った。タンデムタイムトライアルも13秒34というタイムに「今回のタイムについては満足しています」(森)と好調ぶりをうかがわせた。インカレまで残された時間は少ないが、細かな部分を磨くことで必ず成長を遂げることができるだろう。2週間後のエンジの姿に期待が高まる。

(記事 曽祢真衣、写真 橋本望、進藤翔太)

チーム・スプリントのメンバー。(左)から後藤、手嶋、中井

チーム・パーシュートのメンバー。(左)から中川、伊藤、孫崎、塩田

結果

▽総合

早大 3位

▽男子スプリント

後藤悠 2位

田中克尚 4位

▽男子1キロメートルタイムトライアル

手嶋将大 3位 1分06秒15

佐藤啓斗 5位 1分07秒04

▽ポイントレース

納家一樹 7位 4ポイント

塩田航平 8位 3ポイント

中川拳 11位

▽スクラッチ

孫崎大樹 3位

中川拳 8位

▽チーム・スプリント

早大(手嶋将大・後藤悠・中井琢) 2位 47秒84

▽チーム・パーシュート

早大(伊藤和輝・塩田航平・孫崎大樹・中川拳) 2位 4分29秒59

▽タンデムタイムトライアル

森浩輔・中井琢 1位 13秒34

コメント

森浩輔主将(スポ4=神奈川・横浜)

――ことしはワセダがホスト校ということでした

例年は10月、11月の秋頃に行われる六大学トラックをインカレ(全日本大学対抗選手権)前の大事な時期に行ったのは多分初めてなんですけど、各大学、現状を知ることができたこと、落車がなかったことは良かったと思います。

――おっしゃる通りインカレ前ということで、インカレの前哨戦の色合いを帯びていました

ワセダとしては、団抜きとチームスプリント、1キロメートルタイムトライアル、タンデムと、タイムトライアル系の種目に関してはインカレに出場するメンバーが出場したんですけど、それぞれ良いところも悪いところもあったので、今回のタイムをもとにまた練習に取り組んでいきたいと思います。

――大学対抗3位という結果でした

総合3位という結果については、きょねん勝っていたメイジに負けたところは残念ですけど、それでも自分たちの力は出し切れたかなと思います。

――明大と、4年生の出ていない法大に負けてしまった原因は何だと思われますか

そこは実力差がはっきりあったと思うんで、少しでも詰められるように最後インカレに向けて残り20日間取り組んでいきたいです。

――残り20日間はどういった練習をしますか

ケガをしないことと、調子をピークにもっていくことが大事なので、練習を量よりも質を求めていきたいです。合宿もあるので、量もやるところはやって、疲れを抜くところは抜いてというメリハリをつけていきたいなと思います。

――森選手自身としては、インカレではタンデムスプリントに出場される予定ですが、本日の結果を振り返っていかがですか

今回のタイムについては満足しています。だいぶタイムを上げられたことは収穫の一つだったし、久しぶりにベロドロームでタンデムで走ったので慣れないところがあって、まっすぐ走れないところがあったので、そういったところを修正していけばタイムは上がるなと感じました。

――最後に、インカレへ向けて意気込みをお願いします

最後なので、楽しんで頑張ります。

手嶋将大(スポ4=千葉・国分)

――きょうの試合はどういった位置づけでしたか

インカレ前の最後の大会というのと、特殊な250メートルバンクを走る機会というのがなかなかないのでそこを確かめるのに加えて、今までやってきたことがある程度はまっているのかを確認するという意味でこの大会まで過ごしてきました。

――チーム・スプリントを振り返っていかがですか

目標タイムとしては48秒フラットとというのを自分の中で設定していたのでそれをクリアできたというのは良かったですが、2走の選手の強さを生かしきれなかったのと、他にもまだまだ1走と3走の修正部分があってそこを改善していけばインカレでも上位入賞が狙えると思ったので、反省有り収穫有りという感じでポジティブな課題ができたなと考えています。

――これからは連携面の改善が課題ということでしょうか

そうですね。それとこのバンクは特殊で、2走の選手とかはナショナルで慣れているのですが僕らはここを走ったのも3月以来で良くない部分もあって、ぎりぎりですけどそこを修正すればタイムも1秒くらい縮むと思うので、46秒台を目標にやっていきたいと思います。

――1キロメートルタイムトライアルについてはいかがですか

自分が先週まで腰を壊していて体調が良くない状態で挑んで、思ったよりは良かったというのはありますが、ライバルが良いタイムを出していたので、少しコンディションを落としてしまっている間に差が開いてしまったなという思いがあります。ですが、またインカレに備えてしっかり準備してきょうの1位、2位に勝つことを目標にまた頑張っていきたいです。

――最後にインカレへの意気込みをお願いします

もう4年生で最後ですので、残り3週間と少ないですけどやれるだけの最善の準備をして、タイムにこだわって自分のベストタイムが出せるようにやっていきたいなと思います。

後藤悠(スポ3=岩手・紫波総合)

――スプリント、チーム・スプリントともに2位という結果でした。その結果をどう受け止めていますか

悔しいですね。国体もありますし、3年生にもなったので、ことしは全部の大会で優勝するつもりで練習してきましたし。先月の個人戦(全日本学生選手権トラック)に続いて、目標を達成できなかったのは悔しかったです。

――スプリントでは、予選を1位で通過しました。感触は良かったのでしょうか

あと0.2秒くらいタイムを上げていきたかったので、納得いく状態ではなかったですね。

――きょうのレースでのプランなどはありましたか

強い選手と対戦するときに、いつもは第4コーナーを回ったくらいで差しにいっていたんですけど、そこを変えました。強い選手だとスピードも速いので、抜ききれないこともあって。第3コーナーを回る前の直線のあたりから相手に並んでいって、そのまま差し切る、抜き切るという走り方を目指していました。いつもよりは仕掛けるタイミングを早くしていました。

――きょうのレースの中で、良かったレースはありますか

決勝の一本目では相手の不意を突けたのかなとは思います。結果的に負けてしまったので、良くないところにはなるんですけど。あとは、チーム・スプリントでまあまあ良いタイムで回れたことですかね。個人のほうでは課題だらけでした。

――課題は具体的にどのようなところなのでしょうか

スタンディングから加速していって、トップスピードに持っていく能力ですね。あとは、相手との車間を詰めていくときに、加速できなかったので差し切れなかったです。

――その点については練習し切れていなかったのでしょうか

そうですね。練習していなかったからこそ負けてしまったと思います。

――月末のインカレに向けて、どのように課題を克服していきたいですか

最近ちょっと故障していて、長い時間の練習をできていなかったので、そこをまずはやっていきたいです。そういった持久力というところをまずは改善していけたらなと思います。さっき課題として挙げた、スタンディングからの加速や車間の詰めも持久力がなければできないので。

――そのような状態の中で、きょうのレース本数はつらかったのではないでしょうか

そうですね。しかも、1日から合宿をしていたんですよ。合宿からそのままきょうの試合だったので、なかなかきつかったですね。

――チーム・スプリントについて、なにかレースプランはありましたか

まだ3人の連携があまり良くないですし、個々の力が足りていないかなと思います。プランは特になかったですね。きょうのメンバーは初めての組み合わせだったので、プランというよりは、まずは個々が頑張る、という感じでした。やってみた印象として、まだまだ速くなれるなと思いましたね。

――インカレでもこのメンバーでいくのでしょうか

合宿次第ですかね。でも、ワセダの中では一番速いタイムだったので、このままいくかもしれないですね。

――インカレと同じ会場での開催となりました。同じトラックで競技をできたことはメリットなのではないでしょうか

そうですね。良かったと思います。でも、前哨戦ということで、負けたくはなかったですね。

――最後にインカレに向けて意気込みをお願いします

勝ちにいきたいと思います。

孫崎大樹(スポ2=京都・北桑田)

――きょうはどのような気持ちで臨みましたか

インカレ前に久々にベロドロームに入れるということで、僕はいつものように積極的にいくことを目標に走りました。こういう小さな大会でも積極的に勝ちを狙う走りをしようと思って、その通りの走りができました。でも勝ちきれない甘さがまだまだあると思います。いつも通りと言えばいつも通りだけど脚の調子はどんどん良くなっていると思います。

――スクラッチで積極的に攻めたのは1ラップ走行を狙っていたということでしょうか

スクラッチは日本だとみんなけん制を入れて最後にゴール勝負という雰囲気なんですけど、世界だとラップの取り合いになってしまうので、早い展開から抜け出してラップするという展開が多いです。やはり自分が目標としているのは世界なので、国内でもそういう走りができるように自分からつくっていくというのも大事です。そういう展開にならなくても、積極的に攻めて勝てればそれだけ脚があるということなので、世界で戦うための準備としてそういう走りをしたいなと思っています。

――最後は小林和希選手(明大)が抜け出す展開でしたが、集団に戻ってからどのような動きがありましたか

戻ってからケイオーの選手がひとり抜け出したと思うんですけど、彼がつかまるタイミングで僕もつかまるかつかまらないかの微妙な位置で追いかけていたら、ケイオーの選手がカベになり周回数も少ないということで逃げも決まりやすい状況でした。なので、僕も次集団の前に来たときに行こうかなと考えていた矢先に小林選手に行かれてしまいました。小林選手は本当にいいタイミングで行かれたので一瞬集団内全体が躊躇して、その間に一気に差が開いてしまって。前半に僕が仕掛けすぎて集団のメンバーもけっこう疲労がたまっていて、ポイントレースを走った選手もいたので集団が全然機能せずに小林さんを逃がしてしまう展開になってしまいました。小林さんから離れすぎたので、そこは自分がちゃんとマークしなければいけないところなので自分のミスかなと思います。

――3位という結果についてはいかがですか

小林さんの逃げが確定か確定じゃないかというところで集団は完全に2位狙いになっていたので、ここ抜け出せれば2位以上は確定だし、もしかしたら小林さんにも追いつくのではと思ったので自分から仕掛けてみて。2位に入った法大の1年生の選手がついてきましたが、攻めた結果表彰台に上れたのでそこは良かったと思います。

――チーム・パーシュートはいかがでしたか

団体追い抜きに関しては練習ができていなくて。本当は4人目に走る選手がケガをするなどいろいろトラブルがあって、団体追い抜きに力を入れるより個人に力を入れる方が良いのではと話していたので、なかなか練習できない状況でした。そんな中だったんですけど動画でも確認したのですが割と隊列はそこまで悪くないし、まだまだ成長が望めるような良い団体追い抜きだったなと思いました。

田中克尚(スポ1=岡山工)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

全然だめでした。

――200メートルタイムトライアルのタイムはいかがでしたか

ここ(伊豆ベロドローム)で走ったタイムとしては、今までとあまり変わりありませんでした。でも違う競技場ではもっとタイムを出しています。ここの場所はまだ慣れていないのですが、合宿もあるので、インカレまでに頑張りたいです。

――インカレまでにどのような点を強化したいですか

まだあまり重たいギアが踏めていないので、そこを練習して強化したいです。

――具体的な目標タイムを教えてください

10秒65くらいですかね。自己ベストは11秒00くらいです。

――ワセダのチームとしては3位になりましたがその点はいかがですか

もうちょっと上を狙えたんじゃないかなと思います。

――インカレに向けて意気込みをお願いします

インカレは優勝できるように頑張ります。