勝負を分ける逃げに乗り、金子が堂々の6位入賞! 孫崎は周回賞獲得!

自転車

 全日本大学対抗選手権(インカレ)前最後のロードレースとなったRCS第3戦・大町美麻ロードレース。ワセダからは7名が出走したが、次々に足切りによりレースから降ろされてしまう。他大も例外ではなく、出場者の93パーセントがDNFという過酷なレースとなった。昨年度インカレ8位の金子智哉(商4=神奈川・相模原)が唯一完走し、見事6位に入賞した。

 4時間半におよぶ戦いは雨の中始まった。序盤からアタックが頻発し、2周目には孫崎大樹(スポ2=京都・北桑田)含む7名がメイン集団を飛び出した。金子を含む4名がこれを追走。追走集団は逃げに追い付き、11名の先頭集団が形成された。3周回からは孫崎、松本祐典(明大)が中心となって先頭交代をしながら集団で逃げる展開に。孫崎は「たまたま先頭が僕だった」と期せずして5周回の周回賞を獲得した。

3周回で先頭集団に声掛けをする孫崎

 しかし、先頭集団とペースアップした第2集団との差は5周回終了時には縮まっており、メイン集団も第2集団に接近。6周回、レースは再び1つの集団になった。この後3、4名のアタックが数回試みられるが、いずれも吸収。のこり1キロ地点で松本がアタックし、松本と追走した6名により再び先頭集団が形成される。6周回終了時、孫崎、金子はメイン集団先頭を走り、伊藤和輝(スポ4=東京・昭和第一学園)、納家一樹(スポ1=東京・八王子桑志)は中ほどに位置していた。7周回で孫崎、伊藤は集団後方に下がってしまうが、納家、金子がメイン集団前方に位置して8周回に突入。8周回、4名がアタックしたが金子含む7名が追走、吸収し先頭集団は11名に。

最後の補給地点を通過する金子。この後3位争いが始まる

 そして9周回、レースが大きく動いた。先頭集団から岡本隼(日大)がアタック、冨尾大地(鹿屋体大)が追走し二人逃げの展開に。金子は第2集団で先頭2名を追うが、その差は開いていった。雨が上がり照りつける日差しの中、足切りを免れレースに残った選手はわずか9名。最終盤、第2集団では3位争いが繰り広げられた。「絶対に取らなきゃいけないと思った」と金子。しかし広瀬樹(中大)が3位でフィニッシュし、武山晃輔(日大)、野本空(明大)との熾烈(しれつ)なゴールスプリント勝負にもつれ込む。わずかに及ばず6位となったが、勝負を決する逃げを見極める眼、そしてそれをものにする脚を金子は持っている。ラストイヤーのインカレで、集大成のレースを必ずや見せてくれるだろう。

(記事、写真 曽祢真衣)

表彰式での金子

結果

▽男子クラス1+2

金子智哉 6位

孫崎大樹 DNF

納家一樹 DNF

伊藤和輝 DNF

岩田宗也 DNF

塩田航平 DNF

田中英祐 DNF

コメント

金子智哉(商4=神奈川・相模原)

――レース序盤を振り返っていかがですか

割と序盤から逃げに乗ったりしていましたが、逃げにいても集団にいても辛さは変わらないと思って、有力選手がいる逃げには乗っていたので3回くらいは逃げました。

――レースが動いたところを教えてください

やはり逃げができたところです。補給地点の辺りで日大の岡本がアタックして、自分は岡本をよくマークしていて、これはついて行かなくてはと思ってついて行ったら逃げが形成されたので、そこの判断はすごく良かったと思います。

――アップダウンの激しいコースでした

やはり何周も走るので徐々にですがかなり脚が削られます。確実に脚の差が出るコースですね。

――この大町市美麻特設周回コースは得意なコースなのでしょうか

コースに得意不得意はあまりないのですが、やはりきょねんインカレで8位になったコースなので得意意識はありましたね。

――目標にしていた順位はありますか

きょうの目標は3位以内で走っていました。最後あの集団で3位争いになった時、絶対に取らなきゃいけないと思ったのですが、あともう一もがきが足らず、最後どれだけ脚が残っているかというのが結果に出てしまったと思います。まだまだ練習しなければならないと思いました。

――補給はうまく取れましたか

補給は全部ちゃんと取れました。今回は雨が降るかと思っていたら意外と蒸し暑かったので、飲み物を多く取りました。

孫崎大樹(スポ2=京都・北桑田)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

きょうは調子が悪かったです。最初からアタック合戦が激しく、ずっと集団にいる方がきついので、調子が悪くても自分から動いて前に逃げました。一定のペースでずっと走った方が楽なので、タイミングを見計らって逃げを狙いました。うまく11人で抜け出して周回賞も獲得できたのでその点は良かったですが、後半は我慢できずに前の方から後ろに下がってしまい第2集団にいました。ですが第2集団もばらばらになってしまい、そこからは足切りとの戦いでした。ラスト2周で降ろされて完走できませんでした。

――やはり体調の悪さが影響したのでしょうか

それもあると思いますが、単純に後半疲れてから集中力が落ちて、そこで集団での位置を下げてしまったのが原因だと思います。

――5周回の周回賞は狙っていたのですか

いや全然です。周回賞があるのは知っていましたが、(5周回中)前の逃げの11人は協調していけるところまで行こうという雰囲気でした。同じ(6周回、8周回の)周回賞を獲った松本さんと11人の逃げをこういう風に回そうと、(集団で)意思疎通して回していたところ、たまたま(スタート・フィニッシュ地点手前の坂を)上がってきたタイミングで僕が先頭で。ここで周回賞だということが分かると集団にけん制が入りましたが、もらおうと思って取りました。

――集団に声を掛けているのが聞こえました

ナショナルチームで僕らはそういうのを経験していて。日本のレースは集団と逃げができる展開があまり起こりません。最近はできつつありますが、ローテーションに慣れていない人や、どういう風に逃げたら良いか分からない人もいて、ペースが乱れてしまうことがあります。そうなるとみんながきつくなりますし、協調して逃げたいのに協調できないということが起こるともったいないです。今回はいいメンバーだったし、後ろもアタック合戦で少し疲れていたので逃げるチャンスでした。松本さんと二人で声を掛けて、きれいに回そう、行けるところまでいこうと(集団を)まとめてみました。