伊藤・孫崎組、最初で最後のマディソン優勝!有終の美を飾る

自転車

 国内外の有力選手が松本に集った。ロンドン五輪ケイリン銅メダル、2013年UCIトラック世界選手権1kmTT銀メダルのサイモン・バンベルホーヘン(ニュージーランド)も出場した第3回JICF国際トラックカップ。大規模な大会ではないものの、海外の有力選手と学生選手が同じバンクで戦う貴重な機会だ。伊藤和輝(スポ4=東京・昭和第一学園)・孫崎大樹(スポ2=京都・北桑田)組がマディソンで表彰台の頂点に立った。

孫崎から伊藤に交代する瞬間

 大会2日目に行われたマディソン。伊藤・孫崎組は7月2・3日の全日本学生選手権トラック以来2度目の出場となった。塩田航平(スポ3=埼玉・栄北)は関谷聡(立大)と組み、埼玉チームとして出場した。スタート後、初めは伊藤がバンク内側走った。しばらくして他チームが次々に交代するが、あえてタイミングをずらし孫崎に代わらず伊藤がそのまま走行。交代をしないことで作ったリードを保ちつつ、ここで選手交代。1回目のポイント周回を迎え、孫崎が1位通過し5点を獲得した。

 しかし2位通過の法大(渡部将太・鈴木良)に2回目、3回目のポイント周回でいずれも先行され、2点差をつけられてしまう。1回目のポイント周回を終え、法大と共に集団から抜け出していたワセダ。そして4回目のポイント周回を前に、伊藤が法大に先行して前を走る集団に追い付く。つづいて法大も1ラップ走行となり、4回目のポイント周回へ。ワセダが1位通過で5点、ルーク・ノックス(オーストラリア)・荒井佑太(法大)組が2位、中村龍太郎・北澤竜太郎(ともにイナーメ信濃山形)組が3位で通過、4位の法大のポイントを1点に抑えた。2点ビハインドから2点リードへ逆転に成功。「そこが完全に勝負所でした」と孫崎は振り返る。

 終盤、法大が先行していたが2点リードを死守したいワセダ。法大より2つ下の順位でゴールすると、獲得ポイントで同点になり最終着順で敗北が決まってしまう。この時伊藤が加速、それに反応した他チームが法大を抜き1位、2位でゴール。法大は3位、ワセダが4位で着順を1つ差に抑えた。ワセダの優勝が決まった瞬間だった。後半思うように得点できなかった全日本トラックから2週間。計算された展開で見事リベンジを果たした。4年生の伊藤はこの夏引退するため、伊藤・孫崎組でマディソンに出場するのはこれが最後。「有終の美を飾りましたね」と伊藤は笑った。

表彰式での伊藤・孫崎

(記事 曽祢真衣、写真 深井文浩氏、城殿ひろみ氏)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

なお、写真は深井文浩氏、城殿ひろみ氏にご提供いただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

結果

▽マディソン

伊藤・孫崎 1位

塩田・関谷(立大) 6位

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コメント

伊藤和輝(スポ4=東京・昭和第一学園)、孫崎大樹(スポ2=京都・北桑田)

――優勝おめでとうございます。

伊藤・孫崎 ありがとうございます。

――どのような展開でしたか

孫崎 個人戦(全日本学生選手権トラック)と同じような展開で、1回目のみんなが交代するタイミングであえて交代しませんでした。そうしたら個人戦と同じように前に位置を取れて、そのままうまく決まって1回目のポイント周回で1位通過できました。その頃には法政と少し(集団から)抜け出すかたちになっていて、(伊藤から)僕に代わる少し前からメイン集団を離せていましたよね。

伊藤 そうだね。

孫崎 集団をちょっと離したところでペースを上げて、完全に2位の法政と僕らと残りのメイン集団という形でレースは進みました。法政とポイントの取り合いをする展開でした。

――1ラップしてから落車の危険はありましたか

孫崎 今回落車はありそうではなかったですね。みんなやはりレベルの高い選手ですし、組数も少ない分密集して交代することもあまりなかったので、個人戦に比べれば安全なレースでした。

――法大との勝負所はどのようなものでしたか

孫崎 ラップした後の4回目のポイント周回です。伊藤さんがラップする前に少し先行して法政を離してからラップしたので、法政が追いつくのに時間がかかっている間にもうポイント周回まであと1周に入り、そこで伊藤さんが4回目のポイント周回を1位通過してくれました。他のラップした集団の選手が2位、3位と入って法政は4位でポイント取ったので、そこで一気に3点開きました。それまでは5点、3点という風に(法大と)1点差で僕らは走っていましたが、そこで僕らは一気に3点獲得して2点差をつけました。そこが完全に勝負所でした。決勝点というか。ですが、最後のポイント周回は法政が先行していました。法政が僕らより2つ上の順位でポイントを獲得すると2点取られて、同点の着順判定で負けてしまうので、そこでまた計算して展開しました。伊藤さんが法政を追いかける動きを見せて、僕らについていた他のチームが一気にまくりに行きました。そのチームが法政を完全に抜き、1位、2位を取って法政が3位で、僕らが何とか4位に入って。(着順で)1点差だったので、詰められても1点しか詰められないので1点差で勝ちました。4回目のポイント周回前に差をつけてラップしたのも計算で、4回目と5回目を伊藤さんが冷静に考えてやってくれました。

伊藤 個人戦は後半がぐだぐだだったので、計算を意識しながら走っていました。

――今後二人で組んでマディソンに出場することはありますか

 いや、もう僕が4年生なので、これ以降引退までにマディソンの大会がなく、出場はありません。有終の美を飾りましたね(笑)。