マディソンで表彰台! ほか3種目で入賞

自転車

 トラック競技の学生日本一を決める全日本学生選手権トラックが開催され、ワセダからは13名の選手が出場した。2人1組で出場するマディソンでは伊藤和輝(スポ4=東京・昭和第一学園)・孫崎大樹(スポ2=京都・北桑田)が見事3位で表彰台に上った。後藤悠(スポ3=岩手・紫波総合)が男子スプリントで5位、手嶋将大(スポ4=千葉・国分)が1キロメートルTTで8位となり、二人共自己新記録で入賞。さらにタンデム・スプリントの森浩輔主将(スポ4=神奈川・横浜)・中井琢(スポ3=宮城・仙台二)も6位入賞。全日本大学対抗選手権(インカレ)まで残すところ約50日。2日間の戦いを終え、主将の森はインカレの舞台で「みんなが実力を存分に発揮できるように」と語った。

★マディソン、好機ものにし表彰台

交代する伊藤(左)・孫崎

 2人1組のポイントレースであるマディソン。レースに参加している選手はバンクの内側を走行し、もう1人の選手は外側をゆっくりと周回する。交代の際には内側の選手が外側の選手と手をつなぎ、前方に投げるように引っ張ることで加速を助ける。この時スピードを上手に託せるかによって後半の余力に差が出てくる。

 レース序盤、伊藤が先頭を走る展開で孫崎との交代に成功。1回目のポイント周回を見事1位通過し5ポイントを得た。2回目のポイント周回も直前の周で伊藤から孫崎に交代し、日大、京産大に次ぐ3位通過で2ポイント追加。確実なタイミングでの交代が功を奏し、前半は好機を逃さなかったが中盤以降なかなかポイント獲得にこぎつけない。終盤、逆転も狙える位置にはいたが「二人とも脚がなくなっていた」(孫崎)と最後は9着でフィニッシュ。合計7ポイントで3位、表彰台では笑顔を見せた。

★後藤、予選で自己新記録も決勝には残れず

1/4決勝での後藤

 昨年度大会3位の実力者である後藤は、男子スプリント予選で10秒480の自己新記録をマーク。予選1位の野上竜太(鹿屋体大)が10秒361の学連新記録、後藤含む上位5名が大会新記録を出し、男子スプリント予選は記録ラッシュとなった。予選を5位通過で1/4決勝へ駒を進めた後藤だったが、堀航輝(鹿屋体大)との対戦では「弱気なところが出た」(後藤)と良いタイミングで仕掛けることができず敗北。「1年間の目標としてこの大会での優勝を通過点に掲げていた」(後藤)と言うだけに悔しい結果になった。それでも5-8位決定戦では危なげない走りで1着、5位入賞を果たした。

★タンデム・スプリント、持続力が課題

5-6位決定戦の森(左)・中井

 タンデム・スプリントの森・中井は、予選では前半はうまく加速できたものの後半思うように伸びず1/2決勝進出を逃した。5-8位決定戦では安本昇平・徳田匠(鹿屋体大)の降格により勝利し、5-6位決定戦へ。5-6位決定戦では鈴木陸来・高橋綜一郎(法大)がアウト側スタート。森・中井の先行でレースは進んでいくが「仕掛けどころを間違えた」(森)と振り返る。のこり1周回のホームストレートで法大は「せーの」の掛け声とともに一気に加速。まくりきれずそのままフィニッシュとなった。前半の加速力を磨き、それを持続させる力をつけることで勝利が見えてくるはずだ。

★手嶋、自己新記録で新練習に手ごたえ

9組目に出走した手嶋

 男子1キロメートルTTの手嶋は5月の東日本学生選手権トラックから約4秒タイムを上げ8位に入賞。3週間前から新しくインターバルトレーニングを取り入れ、パワーメーターによる計測ではワット(仕事量)が毎週上がってきていた。自己新記録の1分05秒872を出したことで「良い流れで順調に上がっている」(手嶋)と練習の方向性を確認。しかし8位という結果には満足していない。インカレでは記録、順位共に今大会を上回り有終の美を飾りたい。

(記事 曽祢真衣、写真 橋本望)

結果

▽タンデム・スプリント

森浩輔・中井琢 6位

▽男子スプリント

後藤悠 5位

▽女子スプリント予選

中嶋綺砂 10位

池田ゆめこ 11位

▽男子4キロメートルインディビジュアル・パーシュート予選

伊藤和輝 23位

▽女子3キロメートルインディビジュアル・パーシュート予選

中嶋綺砂 9位

▽男子ポイントレース決勝

塩田航平 18位

中川拳 19位

納家一樹 DNF

▽女子ポイントレース決勝

中嶋綺砂 DNF

池田ゆめこ DNF

▽スクラッチ決勝

孫崎大樹 10位

▽男子1キロメートルTT

手嶋将大 8位

佐藤啓斗 17位

田中克尚 26位

▽女子500メートルTT

池田ゆめこ 15位

▽マディソン

伊藤和輝・孫崎大樹 3位

コメント

森浩輔主将(スポ4=神奈川・横浜)、中井琢(スポ3=宮城・仙台二)

――この大会を振り返っていかがでしたか

 (タンデム・スプリントの)予選は、昨年と同じ競技場で昨年よりも0.4秒あげられたということで、もう少しいけたと感じられる部分もあります。それでも自分たちの力は出せたかなと思います。

中井 予選に関しては、入りの加速は良かったんですけど、その後かなり他の大学よりも遅かったので、その分はインカレまでに改善していきたいです。

――普段、タンデムはどのような練習をされているのですか

 息を合わせる練習を中心にやっています。

――今大会はどのような作戦で臨まれましたか

中井 インカレに向けて良いイメージをつくるということで臨みました。基本的にまくりかさしでもっていこうとしたんですけど、そのまくり方、さし方に結構問題があったので、その点に関して改善していきたいです。

――問題があったというのは、具体的にどのようなことだったのでしょうか

 仕掛けどころが悪かったのと、相手チームの抜き方が悪かったです。

――5-6位決定戦は特に振り返っていかがでしたか

 正直勝てる展開でした。でも先ほども述べたように、仕掛けどころを間違えたのと、抜き方が下手だったところがあって負けてしまったので、そこは反省して次に生かしていきたいです。

――インカレに向けて強化したい点はありますか

 持続力です。

中井 最初の半周は一番速い大学とほぼ同等だったので、その点をもっと磨いていきたいです。

――森主将に伺います。主将として、インカレに向けチームをどのように引っ張っていきたいですか

 インカレまでもう60日を切ったので、まずはみんなが実力を存分に発揮できるように調整させていきたいです。インカレになったらあとはもうみんな頑張るだけなので、それまでに士気を高めてチームづくりをしていきたいと思います。

伊藤和輝(スポ4=東京・昭和第一学園)、孫崎大樹(スポ2=京都・北桑田)

――きょうのマディソンを振り返っていかがですか

伊藤 自分は最初スタート側だったんですけど最初2回スタートからの交代ができなくて1周目に限っては外側を回ってしまって危なかったんですけど交代しなかったことによって前半楽に前方にいることができて前半に関しては良かったんですけど終始きつい展開ばかりだったのでペースも速くてレース展開的にもきつくて力がないなと痛感したレースでした。

孫崎 前半は良い感じで流れて取れるところちゃんと取れてたんで良かったんですけど中盤後半あたりで力の差もそうですし技術の差も出てきて優勝した京都産業大学はその点序盤もちゃんとポイント取って中盤後半もしっかりと前の方で展開してポイント取れててその結果優勝なのでその差はまだまだ経験不足もあるし自分たちの練習不足もあるかなと思いました。

――二人で出場したのはいつ以来ですか

孫崎 出場は初です。

伊藤 合宿とかでは練習していたんですけど大会出場は初めてです。

――二人で前もってどんなことを話しましたか

伊藤 安全第一です。

孫崎 とにかく安全に、でもしっかりと攻めて無理をしない程度に交代の時とかも何回かわざと無理に交代せずに「無理」って言ってスルーしたりして、安全にでもそれなりに狙って走るっていう作戦でした。

――うまくいった点を教えてください

伊藤 一番うまくいったと思うのは狙った訳ではないんですけど、タイミングが良かった1回目のポイント周回の手前の交代で、その前に孫崎が1周抜け出したので抜け出したまま自分が孫崎に引き継いでそのままポイント周回を迎えられたので、その点が一番楽に多くのポイントを獲得できたのが今回の3位の結果につながったと思います。

――逆に惜しかった点はありますか

孫崎 最後の7周目あたりで、自分も前の京産大優勝チームと2位の日大とが前の集団で3人いて。3チームほど先行していて僕たちが第2集団の方で2、3人集団の方にいて、届かない距離でもないし届くかもしれないという絶妙な位置で最後7周ほど走っていて。うまく調整してラスト1周回を1位通過すれば逆転優勝も十分狙えたんですけど、2人とも脚がなくなってしまっていて。その前の集団にいれば十分逆転の可能性があっただけに目の前で優勝を決められたというか、逃した感じはしましたね。

手嶋将大(スポ4=千葉・国分)

――きょうのレースを振り返ってかがですか

練習も最近調子が良くなっていたので気楽に、普通に走ればベスト出るかなと思って挑んでいて。自己ベスト出したのは良かったですけど、8位だったのでうれしい半分これからまたポジティブな課題ができたかなと思っていて、得たものは多かったです。

――得たものとはどのようなものですか

練習をやってその練習がうまくはまっているかを確認できたという部分と、試合でそこそこベストを出せたという良い流れで順調に上がっているのが確かめられたので、そこの部分は今回の試合は良かったかなと思います。

――いま取り組んでいる練習が良かったということですか

3週間前からやっていて。それがけっこうはまってきているので今後また1ヶ月くらいでインカレまで1ヶ月半くらいあればまたどんどん調子が上がっていくのかなと思えたのでそこの通過点として良かったなと思います。

――新しい練習とはどのような練習ですか

インターバルメニューを1つ、父から教わったのを取り入れて。それがけっこう自分に合っていて。いくつか繰り返してそのメニュー自体もワットというものなんですけど、毎週ちょっとずつ上がってきていて。実走に関してもうまくいっているのでインターバルメニューがはまってそこそこ、東日本(東日本学生選手権トラック)で(1分)9秒だったので4秒くらい上げて。一応実感できていると思います。教育実習とか行ってたりしてあまり時間がなかったんですけど、逆にリフレッシュしてメニューに集中できたので今回はそういう部分に関して良かったと思います。

――ワットとはなんですか

パワー、仕事量のことです。室内練習だとワットが見られるのでにらめっこしながら上がるか上がらないかというのをやったりしてます。

――インカレに向けて意気込みを教えてください

とりあえず1キロメートルTTとチームスプリントで勝負したいかなと思ったいて。チームスプリントはまだメンバー決まってないんですけど、一応自分が4年生ということでまとめあげて確実に上位にいくというのを目標にしています。個人種目で1キロメートルTTをずっとやってきたので最後最低(1分)4秒出して、優勝できるかは分からないですけど、自己ベストだして最後の4年の意地を見せられたらと思います。

後藤悠(スポ3=岩手・紫波総合)

――今大会のスプリントを予選から振り返っていかがですか

1年間の目標としてこの大会での優勝も通過点として掲げていて、優勝を狙っていたんですけど予選から思ったようなタイムが出なくて。きょうあった1/4決勝でも自分の弱気なところが出て、良い展開にもっていけたと思ったんですけど自分でそのチャンスをつぶしたりして良くはなかったですね。

――チャンスとは仕掛けるタイミングのことですか

そうですね。仕掛けようと思ったんですけど、そこで止めてしまったり中途半端に走ってしまいました。

――大会前のコンディションはいかがでしたか

大会前のコンディションでは今持っているピストに2週間くらい前に変えて、それにまだ3、4回くらいしか乗っていなくて。体のコンディションは悪くなかったんですけど、それを自転車につなげることができていなかったのでそこは良くなかったです。

――ピストとは何でしょうか

自転車です。フレームを変えたので。

――次の照準となる大会はインカレでしょうか

いや、来週にジャパントラックカップ国際大会(JICF INTERNATIOLAL TRACK CUP)があって出場できることになったので。先週(国体の)県予選があって個人戦(全日本学生選手権トラック)があって調子を上げていけるように仕上げていたので、次は来週です。