ルーキー納家の走りが光る ベテラン勢は今後に期待

自転車

 ヒルクライムから一夜明け、菜の花飯山ラウンド2日目は高低差の少ない平地コースでの戦いが行われる。澄み切った湖、辺り一面に咲き乱れる菜の花という穏やかな風景とは裏腹に、大会2日目も過酷なレースが繰り広げられた。滋賀県で行われた全日本学生選手権クリテリウムから3日連続のレースとなるハードな日程ながら、早大からは6名の選手が出場。クラス3Bで出走した期待の新人・納家一樹(スポ1=東京・八王子桑志)は、堂々の優勝を果たしクラス2への昇格を決めた。また、2名の選手が出走したクラス2では、塩田航平(スポ3=埼玉・栄北)が6位。精鋭ぞろいのクラス1に出走した3名は、伊藤和輝(スポ4=東京・昭和第一学園)、岩田宗也(スポ3=広島城北)がレース途中で脱落するなど思うような結果を残すことはできなかった。

 前日のヒルクライムでは3位で惜しくもクラス2昇格を逃した納家。クラス3Bでのレースに「きょうは絶対優勝してクラス2に昇格してやる」と強気で挑む。トラブルで十分なアップができない中でのスタートだったが、それを感じさせない圧巻の走りを見せた。積極的に先頭で集団をけん引し、順位に応じてポイントが加算されるポイント周回では着実に点を重ねるなど、最後までレースの主導権を握った。ゴールスプリントはこれまでのポイント周回でも競り合ってきた法大の選手との一騎打ちに。デッドヒートの末見事先にフィニッシュし、走力だけでなく勝負強さもアピールした。1年生ながら華々しい活躍を見せたが、納家に慢心はない。「昇格しても通用する力は持っていない」と自らを分析し、さらなる努力を誓った。

法大の選手を抑え優勝した納家

 続くクラス2には、3年の塩田、ルーキーながらクラス2を走る中川拳(スポ1=北海道・帯広三条)が参戦。それぞれ安定したレースを展開し、塩田が集団中ほど、中川は集団後方につけて好機をうかがう。25周目を過ぎたところで「集団から抜けやすいところで逃げた」と塩田がアタック。先頭に躍り出ると、1位で次のポイントを獲得した。その後塩田が集団中ほど、中川は集団後方に位置したままゴールとなったが、この時のポイントが最終順位を押し上げ塩田は6位に。中川は28位に終わった。

最終コーナー手前、好機を狙う塩田

 トップレベルの選手が出場するクラス1には、伊藤、岩田、孫﨑大樹(スポ2=京都・北桑田)の3名が出走。90分以上にわたる過酷な戦いだ。それでも伊藤は序盤から2度ポイント周回で1位を獲得するなど攻めの走りを見せる。しかし終盤、足がつるというアクシデントに見舞われ無念のリタイア。好調だっただけに悔しさの残るレースとなった。また同じタイミングで岩田も脱落し、早大勢は孫﨑1人に。「中盤、後半あたりが勝負」と足を温存していた孫﨑は、後半何度か逃げを試みたものの、体力的にも厳しく思うように決められなかったという。10位という結果に、「全体的に力不足が目立つレースだった」と肩を落とした。

 それぞれに課題の見つかった第1戦。しかし自転車部の戦いは始まったばかりだ。個人としても部としてもまだまだ成長していける、そんな感触もつかめたレースだった。次のレースは今週末福島県で行われる東日本学生選手権トラック。すでに選手たちは、次戦に向けペダルをこぎ出している。

(記事 久野映、写真 蔵田有希、大庭開、曽祢真衣)

表彰式での納家。飯山の特産品も授与された

結果

▽男子クラス1

孫﨑 10位

伊藤 DNF

岩田 DNF

▽男子クラス2

塩田 6位

中川 28位

▽男子クラス3B

納家 1位

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コメント

伊藤和輝(スポ4=東京・昭和第一学園)

――きょうのレースを振り返っていかがでしたか

きのう自転車のトラブルがあって決戦用車輪がちょっと使えない状況だったんですけど、きょう会場に来て他の大学の協力もあって車輪がしっかりと使えるようになって。車輪がパンクしてしまったんですけど、それがしっかりと治ったおかげでモチベーションも上がってかなりやる気だったんですけど、まとめて言うとレース中に脚をつってしまって。それでDNFというかたちになってしまったんですけども、とてもモチベーション高く、意識を高くもっていただけに、脚をつってしまって完走できず非常に残念なレースでした。

――途中ポイント周回の1位通過が2度ありましたが、やはり気合いの表れということでしょうか

そうですね。逃げにいたメンバーがかなり有力で、ポイント周回を重ねても集団が崩れなかったので結構いけるなと思っていたので、ポイントを重ねて取れるところでしっかり取ることを意識して走っていました。

――ボードに池邉聖選手(慶大)のポイントが書いてありましたが、注目していたのですか

展開的にあの場面では池邉が(ポイントを)取っていただけで、どこで他の選手が何考えてるか分からないので。

――1番ポイントを取っていた選手として書いていたのですね

そうですね、はい。

――脚がつってしまうというのはよくあることなのでしょうか

いや、自分が1年生の時にあった全日本学生選手権個人ロードレースで脚をつって以来久々に脚をつったので、痛みに驚きました。あまりつらない方なので。

――お大事にしてください

塩田航平(スポ3=埼玉・栄北)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

久々にクラス2で走って、クラス1とは違い人数も多くて少し危ないところもありましたが楽しかったです。

――どのようなコースでしたか

きょうのコースはけっこうスピードが乗るコースでした。自分はコーナーが少し苦手なので、コーナーが少なかったのはありがたかったです。

――どのようなレースプランを持って臨みましたか

走る前はスプリントを重ねてポイントを稼いでいければいいと思っていましたが、走り始めてみると最終コーナーからゴールのラインまでがけっこう短くて、自分はコーナーで遅れるのでどうにもスプリントで(ポイントを)取れなくて、今度は逃げてみようかなと思って試してみました。

――ポイントを狙うタイミングはどのように判断しましたか

集団から抜けやすいところで逃げました。そこでうまく逃げられたら取れるかなと思いました。

――RCS初戦のきょうの結果をどのように受け止めていますか

1位になってクラス1に昇格するつもりだったので、昇格できなかったのは残念です。

――最後に次の試合への意気込みをお願いします

次に試合は来週の東日本選手権トラックで、久しぶりにちゃんとしたポイントレースを走ると思うので、1年生の時の3位を上回れるように頑張りたいです。

孫﨑大樹(スポ2=京都・北桑田)

――滋賀の全日本学生選手権クリテリウムから3連戦となったが身体に疲れはありませんでしたか

ステージレースに比べたら、身体に疲れは全然残ってなかったですね。

――きょうのレースプランとレースを振り返って感じたことを教えてください

90分間というレース時間とコースを考慮すると、ハイペースでレースが進むことが予想されたので、序盤は無理せず取れるとこで取りに行って中盤、後半あたりが勝負だと思っていました。前半、チームメイトが先に逃げている間、自分は後ろの集団をしっかりと抑えていました。中盤になると後ろの集団に疲れが見え始め、このままでは前方の集団と二分化されてしまうと察して、他のチームの人に追走されないようにアタックを仕掛けました。1人で前方の集団に追いつけて、それは良かったと思います。その後集団は結局1つになったんですが、自分はポイント周回を先頭で通過して5ポイントを取り、その後もポイントを取りにいこうとしていたところ、朝日大の選手の蛇行により鹿屋体大の選手と接触して、その時後輪がスローパンクしたんですが、レースにはさほど影響はなかったですね。後半は体力的にきつくて、何度か逃げにトライしたものの思うように決まらなくて。最終的には順大と明大の2選手に先行を許す結果となってしまいました。最後のラップは倍点なので3着でも4点取れば合計9点となるので(アタックに)トライしたんですが、早掛けしてしまいかないませんでしたね。全体的に力不足が目立つレースでした。

――この後の岩手で合宿をすると伺いましたがはどのような練習をしますか

岩手合宿後の東日本トラックでは、新チームの団体追い抜きがあるので、その練習をしつつ自分の練習もしてモチベーションを上げていきたいです。

――年度が変わって新入生も入りましたが、チームの雰囲気はいかがですか

みんな上を目指して意欲のある雰囲気ですね。勢いそのままに日々のトレーニングを重ねて、追い込んでいきたいと思います。

納家一樹(スポ1=東京・八王子桑志)

――きのうは惜しくも3位という結果でしたが、きょうはどのような意気込みで臨まれましたか

もう、きょうは絶対優勝してクラス2に昇格してやるという気持ちで臨みました。

――最初からずっと先頭を走って攻めていましたね

実はレースの組に関してトラブルがあって。直前になって分かったので、出走できるか分からないような状態だったのですが、何とか出走させてもらえることになって。その関係で全くアップができていない状態でレースが始まってしまって足も動かなかったので、前半飛ばして脚を動かすつもりでやっていました。

――具体的なレースプランはありましたか

自分はスプリントが得意なので、逃げが起きても潰してポイントはスプリントで取るということを意識していました。

――ゴールスプリントでは法大の選手と競っていました

途中のポイント周回でも競り合っていた選手で、スプリント力では絶対勝てると思っていたので、最後はもう行けると、思い切り行きました。

――クラス2に昇格されたということで、今後の目標を教えてください

昇格しても通用する力はもっていないと思っているので、練習頑張って半年くらいかけてクラス1に上がりたいと思います。