大一番であるインカレ(全日本大学対抗選手権)が終わり、ワセダは心機一転、新たな気持ちで新人戦(新人戦トラック東日本大会)に臨んだ。1、2年生に限られるとはいえ実力者も参加するこの大会で、佐藤啓斗(スポ1=青森・八戸工)が1kmタイムトライアルで2位に。ほかには孫﨑大樹(スポ1=京都・北桑田)が不調ながらもポイントレースで5位に食い込むなど、大型ルーキーの底力を見せた。
普段はケイリンのスペシャリストとして活躍している佐藤が、この日は1周400mのバンクを2.5周(=1km)走るタイムを競う1kmタイムトライアルに出走。「自分の力を出し切ろう」と考えて臨み、見事2位に輝く。「久々だったのであまり思ったように走れなかった」というものの、高いポテンシャルを発揮しケイリン一辺倒ではないということをアピールした。
専門外のタイムトライアルで快走を見せた佐藤
ポイントレースには塩田航平(スポ2=埼玉栄)と孫﨑の二人が挑戦。両名ともに余力を残した走りで予選を勝ち上がり、決勝の舞台へ。決勝は60周=24km、5周おきにポイント周回というルール。孫﨑は序盤から飛ばし最初のポイント周回を2位で通過すると、強気の走りで2回目のポイント周回でもポイントを獲得する。塩田も逃げに乗り着実にポイントを積み上げた。ラップ数も半分となる30周目、塩田、孫﨑を含む7人の逃げ集団が発生。そのまま7回目のポイント周回を迎えると、孫﨑は激しいスプリント勝負を勝ち抜きポイントを奪取する。この時点で孫﨑のポイントは全体の3番目。1位とは3点差、2位とは1点差であり、十分優勝も狙える位置につけていた。しかし、その後は上位選手たちの逃げに乗ることができず、なかなかポイントに絡めない。数回に渡りポイントを独占する先頭集団を、「捕まえないと話にならない」(孫﨑)とメイン集団を懸命に引いて追走した甲斐もあり11回目のポイント周回でなんとかポイントにありつくも、最終順位は5位に終わる。塩田も12位に沈み、ワセダ勢は他の強豪校を前に苦杯をのむ結果となった。
孫﨑。思うような成績を残すことができなかった
選手によって明暗が分かれた今大会。「調子が悪くても勝てるくらい波の激しさを抑えないといけない」と孫﨑はレース後、反省の言葉を口にした。また、専門外の競技で好成績を残した佐藤も「1位でないとまずいし、自分のベストを上回っていない」と厳しく自分の走りを評価する。このように今回の結果に満足していない様子だが、二人ともまだ1年生。時間は大いにある。乗り込みを怠らないで、弱点をつぶして長所を伸ばしていけば、遠からず自身が満足できるレース運びができるようになるはずだ。
(記事 佐藤諒、写真 寺脇知佳)
佐藤
結果
▽男子
ポイントレース予選 1組目 孫﨑 4位、2組目 塩田 4位
ポイントレース決勝 孫﨑 5位、塩田 12位
1kmタイムトライアル 佐藤 2位、後藤 7位、中井 18位
▽女子
3kmインディヴィデュアル・パシュート予選 池田 3位
500mタイムトライアル決勝 池田 3位
コメント
佐藤啓斗(スポ1=青森・八戸工)
――新人戦はどのような意気込みで臨みましたか
今回は1kmタイムトライアルに出場しましたが、普段はケイリンに出場していて1kmを走るのは非常に久々だったので、あまり順位とかは狙わず自分の実力を改めて確認するという意味で臨みました。自分の力を出し切ろうと思いました。
――ケイリンとタイムトライアルの違いはありますか
ケイリンは展開などいろいろ考えることが必要ですが、1kmタイムトライアルは純粋に自分との戦いなので、いままでのまわりとの戦いに比べてまったく走り方が違い、なかなか難しかったです。
――レースを振り返って苦戦した部分は
単純に久々だったのであまり思ったように走れなかったですね。これからもケイリンを走っていくと思いますがときどきこういう種目を走ることもあると思うので、そのときのためにこういう種目の練習もしていきたいと思います。
――ほかにレースで思ったことは
いままでの自分のタイムとしてはきょねんからほとんど変わってない状況なので、あと1秒切ってらいねんは1分6秒台で走れるようにしていきたいと思いました。
――走っているとき特に意識したことは
普段の1kmトライアルでは250mバンクや333mバンクで走るのがほとんどで、400mバンクで走る機会はほとんどなく、自分としてはまったく体感したことないような感覚だったので、特に意識せずにとにかく走りきることを考えていました。
――2位という結果についてはどのように受け止めていますか
1位でないとまずいし、自分のベストを上回っていないので、順位よりも自分のベストタイムを出すということをこれからも意識したいです。
――早慶戦に向けて意気込みをお願いします
早慶戦ではいままでと違って多数の種目に出場するので、多数の種目に合わせた練習やイメージトレーニングをして対応できるようにしたいです。
孫﨑大樹(スポ1=京都・北桑田)
――きょうは新人戦ということで1、2年生のみに出場となりましたが、それを踏まえて意気込みのほどはいかがでしたか
1、2年生しかいないのでここで優勝しておかないと3、4年生には絶対勝てないですし、らいねんからの自分の立ち位置というか指標にもなるので、一勝するつもりで挑みました。
――5位という結果については
先週の国体あたりから風邪を引いていて、調子がすごく悪くてきょうも走れるかどうか不安だったんですけど、割と走れて結構前前で展開できて積極的に動けていたので、調子悪くてもあれくらい走れるように、というかもっと調子が悪くても勝てるくらい波の激しさを抑えないといけないんですけど、その点ではまだまだ力が及ばないのと、きょねんの冬の乗り込みが浅かったのか1年間を通して調子の良い状態が維持できていないのでことしの冬はしっかりと乗り込んでらいねんは1年間コンスタントに結果を出せるように頑張りたいなと思います。
――きょうの作戦は
いつもなんですけど、ポイントレースは展開が同じで、危ない逃げにはしっかりと乗ってポイントも全部絡もうとするんじゃなくて、ちゃんと自分が一番良い5ポイントが取れるように、4位の1ポイントとかを狙いにいって5位でポイント取れないとかは無駄足を使ってしまうので、しっかりと狙ったポイントを取れるようにというのを意識してやりました。
――ということは前半のポイント周回で2位を連続で取ったのは狙いがはまったということでしょうか
最初は逃げる予定ではなかったんですけど、2周目とかだったのでみんな見逃してくれて本当は逃げ切って5ポイント取って上に上がって休憩して集団に落ち着くっていう予定だったんですけど、きょう優勝した高橋くん(優斗、中大)が調子良くてまさか後ろからあんなスピードで来るとは思わなくてちょっと想定外だったんですけどなんとか2位で我慢できて、次のポイントも本当は5ポイントが良いんですけどでもまあ2位で収めたんで良かったと思います。
――レース中盤以降は後ろの集団で長く引いていた印象を受けました
中盤休もうと後ろに下がっていたら逃げができてしまって、逃げのメンバーが良くて、なんとかして捕まえないと話にならないので、集団が引かないというよりみんな脚がなくて引けない感じだったんですけど、脚を使って前の方で何人か引いてくれる人がいたので、そのメンツで回して自分も余裕があったんでそういう感じでいきました。
――最後に、次戦である早慶戦に向けて意気込みをお願いします
初めての早慶戦(早慶定期戦)なんですけどワセダとケイオーだけなのでそこでしっかりと力を誇示できるようにしないと全国では通用しないので早慶戦でも積極的に前の方前の方で出る種目全部優勝できるように頑張りたいと思います。