ルーキー佐藤がケイリン2位!ほか2名も4位入賞、トラック総合5位に

自転車

 学生ライダーが総力をあげて臨む全日本大学対抗選手権(インカレ)。トラックレース最終日の3日目は一時濃霧に見舞われるなど天候は不安定だったが、佐藤啓斗(スポ1=青森・八戸工)が男子ケイリン2位で表彰台に上り、実力を遺憾無く発揮する。また、男子4kmインディヴィデュアルパーシュートで伊藤和輝主将(スポ3=東京・昭和一学園)、男子スプリントで後藤悠(スポ2=岩手・紫波総合)が共に4位入賞を果たした。

 予選を勝ち抜き出場した1/2決勝で早々に先頭へ出た佐藤。しかし最終コーナーで朝日大の選手の猛追をかわしきれず、2着で決勝へと駒を進める。決勝では集団後方に位置してスタートしたが、中盤明大の選手が飛び出すと佐藤もこれに反応、一気に前方へ移動した。迎えた最終周回、朝日大の選手と共に明大の選手を抜き去り、競り合いながらホームストレートへ。惜しくも敗れ2位となるが、ルーキーの存在感を十二分に表した。敗因を「実力不足」と明言し控え目にレースを振り返る佐藤だが、「らいねん実力をつければ優勝することができると思いました」と意欲的な展望も明かす。

優れた瞬発力で相手を突き放す後藤

 男子4kmインディヴィデュアルパーシュートに出場した伊藤は、予選4位。前半ペースを抑え後半に余力を残すというプラン通りの走りで、「自分の出せる限界が出ました」と予選を評価する。霧が立ち込める中行われた3~4位決定戦。「基本的に自分は相手選手は見ないようにしています」と視界の悪さに左右されることはなかったが、中盤以降に差をつけられ4位に終わる。「結果的にはまあ良かったと言える内容だったと思います」と語るが、対戦3度目の高士拓也(中大)に負け越したことには悔しさをのぞかせた。男子スプリントの後藤悠(スポ2=岩手・紫波総合)は、1kmタイムトライアル学連記録保持者の野上竜太(鹿屋体大)と1/2決勝で対戦する。「正直レースの前は負ける気がしなかったです」と振り返るも、2本先取のレースで惜しくも2本とも奪われ敗戦、3~4位決定戦に回る。曽我圭佑(明大)に先制されて迎えた3~4位決定戦2本目のレース。「自分の得意な後掛けでいった」と作戦通りの展開で曽我を追う。最終周回、バックストレートで差を詰めるもわずかに届かず、表彰台を逃した。

粘りの走りで好成績を残した伊藤

 インカレ直前に宮城県で行った合宿について「疲れに強くなりました」(後藤)など、手ごたえ感じていたワセダ。しかし「インカレには魔物が居ましたね」と伊藤が言うように、思うに任せぬ結果に終わった種目もあった。とはいえ、1年生にしてインカレ2位という華々しい戦績を収めた佐藤をはじめ、万全の状態ではないにもかかわらず4位に入賞した後藤、そして伊藤のレースはワセダの地力の高さをうかがわせる。昨年9位だったトラック総合順位が5位へと躍進を遂げたことも選手にとって自信になるはずだ。らいねんのウィニングランに期待したい。

(記事 曽祢真衣、写真 大庭開、佐藤諒)

駆け引きを制し、ケイリン2位に輝いた佐藤

結果

▽男子

スプリント 後藤 4位

タンデムスプリント 早大(森、中井) 6位

4kmインディヴィデュアルパーシュート 伊藤 4位

ポイントレース 孫﨑 8位

ケイリン 佐藤 2位

チームスプリント 早大(手嶋、後藤、佐藤) 6位

4kmチームパーシュート 早大(伊藤、塩田、八田、孫﨑) 10位

1kmタイムトライアル 佐藤 16位、手嶋 19位

▽女子

スプリント 中嶋 5位

3kmインディヴィデュアルパージュート 中嶋 8位、池田 10位

500mタイムトライアル 池田 9位

チームスプリント 早大(中嶋、池田) 6位

ポイントレース 合田、中嶋 DNF

総合成績

▽男子

トラック総合 5位

▽女子

トラック総合 6位

コメント

伊藤和輝主将(スポ3=東京・昭和一学園)

――まずは4kmインディヴィデュアルパーシュート(個抜き)ですが、4位という結果はいかがでしたか

走る前の予想は7位だったので、始まる前の予想からしたらだいぶ良い結果でした。

――予選タイムは4分45秒台でしたがその点についてはどうでしょうか

設定タイムも(4分)45から47秒ぐらいでした。ただ前半の選手を見る限り、前半オーバーペースで行った人たちは後半の方でかなり(ペースが)落ちたので、とにかく前半は(ペースを)落として後半に余裕を持たせようというレースプランで行ったらはまって、自分の出せる限界が出ました。

――コース上で掛けられていたラップタイムを聞いてもやはり前半を顕著に抑えていたことがうかがえますが、想定通りということだったのですね

はい。プラン通り完璧に走り切りました。

――自身のコンディションはいかがでしたか

前日までは印象としてはかなり悪くて、「明日からいけるかな」と不安な気持ちでした。走って見たら意外と脚が回ったなという感じですね。

――高士拓也選手(中大)との3~4位決定戦については

公式戦以外も含めると実際に対戦は3度目で、ちょうど1勝1敗だったのですが今回2敗になってしまいました。対戦自体はレース中霧が立ちこめていて相手が見えないこともありました。自分は自分のペースで走れて、後で聞いたところでは最初の方は接戦だったということで、逆に(相手が)見えていたら、ちょっと頑張ろうとして精神的にもペースが乱れたかもしれません。

――やはり相手が見えると気になるのですか

自分は予選でとことん(ペースを)落としたので、追い抜かれたら終わりだと思って、ちょっと一回後ろを確認したのですが、後ろが確認できないくらい背後に来ていた場面は焦りました。応援のタイミングや相手監督の目線で相手選手の位置を見て、まだ追いつかれていないなと確認するのですが、基本的に自分は相手選手は見ないようにしています。

――個抜きの結果としては満足のいくものになりましたか

そうですね。個人種目としては結果的にまあ良かったと言える内容だったと思います。

――続いて4kmチームパーシュートについてです。今回の感想としてはどのような印象でしたか

総合としては10位という結果で、ワセダ記録を抜こうということでスタートしたのですが、結果としては(4分)28秒台という結果で入賞ポイントを獲得する事もできませんでした。メンバーとしてはタイムが出るメンバーだったので、ちょっと心残りのある内容でした。

――練習時点では好タイムが出ていたのでしょうか

宮城県で行ったインカレの直前合宿では結構行けるんじゃないかというようなタイムだったので、ちょっと期待している部分があったのですが、インカレには魔物が居ましたね。自分が個抜きを走って前半が(ペースアップするのは)ダメだということが分かったので、他の3人にも「前半はしっかり抑えて、ラップタイムが遅すぎてもそれは後半上げる余力だと思ってしっかり落としていこう」と言ったのですが、それでもやはり何か足りない部分がありました。結果としては悪かったんですが、もう1年ほとんど既存のメンバーでできるので来年に期待が持てます。

――もう1つトラック部門全体を見て、種目を分担できるようになったことは大きかったのではないでしょうか

そうですね。各種目ごとに専門化できる選手が増えてきて、そうなると今度はロードにも専念できる選手が増えてくるので、チームの総合力としてはかなり高くなっていると思います。

――最後に明日のロードへの意気込みをお聞かせ下さい

しっかり計算はしていないのですが、きょねんの総合10位という結果よりは多分良いと思いますし、明日は総合順位が変動する可能性があるので、少しでも総合順位を良くするためにチーム一丸となって頑張っていきたいと思います。

森浩輔(スポ3=神奈川・横浜)

――タンデムスプリントの予選を振り返って

予選は順位は関係なく17秒7というタイムを出すことを目標にやってきたんですけど、ちょっと力んでしまって、18秒1というタイムであまり満足な結果ではなかったです。

――いま目標とおっしゃいましたが、タンデムスプリントで最終的に何位になることが目標でしたか

一応表彰台に立つということが目標でした。

――その目標ときょうの結果のギャップについてどのようにお考えですか

もう少しやれたかなっていうのはあるんですけど、予選の順位通りの順位になったので、宇自分たちの位置はこれくらいだったのかなっていう感じです。

――作戦はありましたか

まくりか、先行している状態での合わせ。そのどちらかでいこうという作戦でいきました。

――それがはまった試合はありましたか

法大戦は上手くいったなと思います。

――5~6位決定戦はいかがでしたか

少しペース配分を失敗してしまって、最後失速して順大に刺されてしまったので、もっと状況を冷静に判断して展開していかないといけないと思いました。

――来季から主将になるとうかがいましたが

その点については難しいというか大変な仕事だと思いますけど、らいねんへ向けての目標をしっかり立ててチームとしての総合順位も意識して、自分らしくやっていきたいと思います。

後藤悠(スポ2=岩手・紫波総合)

――この大会を振り返ってみていかがでしたか

1ヶ月以上前から、3日もがいて1日休むというふうにこの大会に標準を合わせて練習していたので、その甲斐もあって3日間ちゃんと戦うことができました。でも、インカレ期間中の体調管理がうまくできていなくて、ご飯も全然食べられないくらいでした。初日とかも、走った後すごくお腹が空いていたし、きょうは食べても吐いてしまったりしました。体の調子は良くなってきていたのに、メンタルとかの部分で負けてしまって体調管理ができていなかったかなと思います。

――先日の対談では、合宿で調子を上げていきたいとおっしゃっていましたが、それについてはいかがですか

合宿で負荷をかけて練習できたので、その点では疲れに強くなれましたし、合宿自体は良かったと思います。

――スプリントでは4位という結果でしたが、その結果はどう評価されていますか

おととい(の予選)が6番で上がったので調子悪いのかなと思ったのですが、きのうは普通に勝てたし、今朝ローラー回した感じも良かったので今回2位になった野上選手とかには正直レースの前は負ける気がしなかったです。でも、技術の差というか、小さいことの積み重ねでいつも通りの走りができなかったりしたのが負けにつながったのかなと思います。

――チームスプリントでは6位という成績でしたが、それについてはいかがですか

自分がもっとうまく走れれば、佐藤も手嶋も楽に走れたなと思います。合宿では良かったのですが、うまくいかなかったなと思います。タイムもTRSのときと大して変わらなかったので、来年に向けて合わせていければなと思います。

――雨の中でのレースだったと思いますが、雨の影響はありましたか

合宿中もけっこう雨が降っていたので、あまり雨には抵抗がありませんでしたね。でも、こっちは標高が高くて寒いので、スプリントの前とかはアップしても最初ゆっくり走っているうちに脚が冷えてしまったので、影響としてはそれがちょっとありましたね。

――きょうのレースでは先行していく場面が多かったように見えたのですが、なにか前もって決めていたプランなどはあったのでしょうか

順位決定戦では少なくとも2本あるので、先行と後掛けをどっちもやってみようと思っていました。1本目で先行したのですが、それでもまくられてしまったので、2本目は自分の得意な後掛けでいったのですが、それでもまくり切れなかったので自分の実力不足だったのかなと思います。作戦は良かったと思うのですが、それに伴う脚がなかったのかなと思います。

――先日お話を伺った際に、インカレを楽しみたいとおっしゃっていましたが、それについてはいかがだったでしょうか

楽しかったんですけど、本当にずっと気持ち悪かったんですよ。ご飯も食べられなくて、ずっとお腹空いているのに食べたら吐いてしまって。本当に気持ち悪かったですけど、楽しめました。走ってるときに笑っているとか言われたくらいなので(笑)。

――次のレースに向けてなにか課題などは見つかりましたか

ことしはあまり(次のレースである)国体(国民体育大会)に懸けていないといったらあれなんですけどそこまでではないので、インカレでの反省点を短い期間ですけど潰して、来年は自分の地元である岩手で開催されるので、それにつながる走りをしていきたいなと思います。

中井琢(スポ2=宮城・仙台二)

――タンデムスプリントの仕上がりや調子はいかがでしたか

調子は悪くはないつもりだったんですけど、予選のタイムを見るとあまり出し切れていないいうか。身体の調子は悪くなかったんですけど、全体を通して力みが大きかったかなと。

――インカレということで緊張してしまったのでしょうか

緊張は特にしていないですね。自分のレースへの持っていき方としてテンションを上げてやっていくっていうかたちなんですけど、上げすぎてしまいました。

――5~8位決定戦を振り返って

法政との対戦では我々が練習してきた平面からのダッシュっていう流れに持っていけたので良かったです。順大との対戦では先行したのは良かったんですけど、合わせにいくつもりが後ろから来たなと思ったら一気に上げすぎてしまって、合わせることができなかったです。もっと落ち着いて、順大のペアが来るまで我慢してそこから上げるべきでした。

――飛び出しのタイミングは相手が来たと思ったところだということですか

それだと日大戦のときみたいにワンテンポ遅れちゃうのでそれがちょっと怖かったです。自分から仕掛けていこうと思ったんですけど仕掛け時が早かったですね。

――インカレで得たものは

対戦に関してはまだ未熟だったなと。対戦のための練習はしていたのですが、実際に対戦になってみると駆け引きの下手さがちょっと出たなと思います。そこを埋められればやってきた練習をもっと生かせたのかなと思います。

――どのようにしてそこを埋めていきたいですか

場数を踏むしかないです。それとらいねんはもっとクレバーにいきたいと思います。

佐藤啓斗(スポ1=青森・八戸工)

――初めてのインカレはいかがでしたか

非常に緊張しました。高校の時もインターハイに出場していましたが、あまり目標とかもなかったですし。今回のインカレでは最低でも入賞するという勢いでやっていましたので、その分緊張もしていました。

――ケイリンの予選と1/2決勝を振り返っていかがですか

自分なりの走り方をできたと思います。

――決勝を振り返ってはいかがですか

展開に関しても非常に良く優勝も可能な状態でしたが、あと一歩のところで優勝することができませんでした。これは結果的にも実力不足が原因だと思うので、来年には実力をつけて実力勝負で勝ちたいです。

――決勝に臨む上で何かレースプランなどはありましたか

特にないです。ケイリン自体大学生になってから始めてまだあまり慣れないので、自由に走っています。

――決勝を走っている中で勝負所だと思うタイミングなどはありましたか

特にありませんでした。決勝ということで緊張していて。

――明治の選手が前に出た時についていったのは

反射的に。悔いの残らない走りというのがたまたま上手くいっただけです。

――最後朝日大の選手とデットヒートになりましたが走っていていかがでしたか

脚力という面では私は朝日大の松本(貴治)さんにははるかに劣っていましたが、このケイリンの駆け引きで互角近くまで戦えましたので、来年実力をつければ優勝することができると思いました。

――準優勝おめでとうございます。結果について今の率直な感想を聞かせて下さい。

ありがとうございます。目標は入賞ということで8位以内だったので、2位という結果は正直自分でも驚いています。来年は優勝を目指していきたいです。

中嶋綺砂(スポ3=三重・暁)

――今大会ではどのような意気込み、目標をもって臨みましたか

私は個抜きを中心にやっていたので個抜きで自己新を出すこととポイントレースではポイントを出しつつ完走してチームスプリントではきょねん4位だったので同じような結果が出せるように目指して、チームスプリントは結成してまだ4か月なんですけど、できるだけ2人で良いタイムを出そうということでそれを目標にして走ってきました。

――最も印象に残ったレースは

トラック最終日に行ったスプリントの5~7位決定戦が印象に残っていてスプリントはあまり経験がないので走り方が分からなかったんですけれども、私が一番インだったので一番最初に駆けると後ろが勝手にごちゃごちゃとしてその間に私が逃げられるから一番最初に駆けろというアドバイスをコーチいただいて、その通りにしたらピタッとはまって逃げ切って5位で入ることができたので印象に残っています。

――逆に悔いが残ったレースは

個抜きで前々から言っているんですけど、前半から飛ばし過ぎる癖があって、今回も出てしまい後半がバテバテでタイムがあまり良くなかったことと、ポイントレースで一回はポイントを取ることができたんですけど、3回目のポイント周回で周回数を間違えてポイント周回なのに前の選手と一緒に走っていくことができなかったのでそれがきっかけで(集団から)離れてしまったりとか。あとはポイントレースを走り慣れていないような選手の後ろについてしまってあまり休憩ができなかったことなどが悔いに残っていて、もっとうまい選手を見極めてポイントもうまく走れるように改善していきたいと思いました。

――今後に向けて

先ほども言いましたがうまい走りを見つけたりとか、あとは個抜きではもっとタイムをびしっと設定タイムに決められるように精度を上げていきたいです。7月の頭にあったTRSではチームスプリントが54秒9とかだったんですけど、今回53秒と1秒くらい縮めることができて合宿とかでもチームスプリントの合わせを中心にやってきたので、これからも一緒に合わせて行って二人でもっと早いタイムを出せるようにしていきたいです。