伊藤が力走で2位入賞を果たす!

自転車

 強い真夏の日差しが降り注ぐ中、東京お台場でことしも開催された湾岸クリテリウム。全長1.45キロメートルという短いコースの特性上ヘアピンカーブが多く、落車などに注意が必要な会場だ。ワセダからは、伊藤和輝主将(スポ3=東京・昭和一学園)や、今回クラス1という初舞台を踏んだ金子智哉(商3=神奈川・相模原)、孫﨑大樹(スポ1=京都・北桑田)らをはじめとする計10人の選手が出場。クラス2Bでは伊藤が2位という成績を収め、主将としての意地を見せた。また全国トップクラスの実力者がひしめくクラス1では、金子、塩田航平(スポ2=埼玉・栄北)、孫﨑の三選手が抜群のチームワークでレースを有利に展開するも、塩田は4位と表彰台にあと一歩及ばず。それでも堅実な走りを見せ存在感を示した。

 「皆が応援に来てくれていたので、いいレースを見せて優勝したかった」と、優勝の二文字を掲げてクラス2Bの試合に臨んだ伊藤。序盤から他大の選手が次々にアタックをかけるも、自らのペースを乱すことなく「ヘアピンは皆よりも速く回れる自信があったので、そこでなるべく足を使わないように集団の前の方に出て、楽にレースできるように心がけた」と冷静に機会をうかがう。レース後半には、自らアタックをかけレースをリードする場面も見られた。そして迎えた最終周。猛然とスパートをかけトップ争いに躍り出るも、僅差で競り負けてしまう。「日頃練習を外でしていなくて室内練習ばかりだったので、あまり外に対応できずに体力の消耗が激しかった」と、2位という結果にも悔しさをにじませた。

巧みなレース運びで2位に食い込んだ伊藤主将

 クラス2、3より長いコース16周の距離を、21人の精鋭で戦うクラス1。「3人で明大や他の大学の動きをチェックしていい展開にもっていけた」(孫﨑)と話す通り、強豪明大の4人を抑えつつ常に誰かが前にいるように意識したというワセダのチームワークが光るレースとなった。頻発する逃げを徹底的に潰し、レースの主導権を握りにかかったワセダ勢。明大を始めとした他大とけん制し合いつつ集団が大きく崩れないままに終盤に差し掛かるが、残りあと2周、東北学院大の猿田がアタックをかけたことでその均衡が破られる。金子が続き、力強い走りで集団から飛び出すと猿田を捉えトップに踊り出る。しかしその後、上位選手たちのゴールスプリントについていくことができず、結果は10位。一方これまで安定したレースを展開してきた塩田は、ゴールスプリントで一気に加速。4位でゴールをくぐり惜しくも表彰台には届かなかったが、「きょねんからこの大会を意識していた」と語る2年生は、最後まで粘り強い姿勢を貫いた。

見事な連携を見せた金子(左)、孫﨑(中央)、塩田(右)

 「根本的に基礎がやはりなっていない部分がある」(伊藤)と手ごたえだけでなく、課題もまた見つかった試合となった。だが「優勝者は出なかったので決して良い結果とは言えないですが、全日本大学別対抗選手権(インカレ)に繋がる内容だったと思います」(伊藤)と選手たちは前向きに捉え、もう次の目標を見据えている。8月には、全日本学生RCS第6戦、そしてインカレが控えており、自転車部の夏はまだまだ始まったばかり。猛暑の中各自の持ち味を発揮しようと奮闘した彼らの、さらなる飛躍に期待したい。

(記事 久野映、写真 桝田大暉、蔵田有希)

結果

▽クラス1 塩田 4位 金子 10位 孫﨑 12位

▽クラス2A 手嶋 8位

▽クラス2B 伊藤主将 2位 井上 7位

▽クラス3A 後藤 DNF

▽クラス3B 佐藤 DNF

▽クラス3C 田中8位 森 DNF

コメント

伊藤和輝(スポ3=東京・昭和一学園)

――きょうはどのような意気込みで臨みましたか

やはりお台場なので地元の友達も呼べましたし親も見に来やすくて、優勝したかったんですけど、というか皆来てくれるので良いレースを見せてあげたかったんですけど、2位という結果になってしまいました。

――きょうを振り返って試合内容はいかがでしたか

このステージは短い割に上りと下りがあって、あと日中の気温が35度を超えていてとてもサバイバルなレースだったと思います。日頃練習を外でしていなくて室内練習ばかりだったので、あまり外に対応できずに体力の消耗が激しかったです。

――きょうは何か作戦を立てて臨みましたか

作戦はその場しのぎでどうにかするって内容だったんですけど、このコースはきょねんも走っていて特にヘアピンは皆よりも速く回れる自信があったので、そこでなるべく足を使わないように集団の前の方に出て、楽にレースできるように心がけました。

――反省点や改善点はありますか

レースの中よりはレース前の練習においてもうちょっとするべきトレーニングがたくさんあったと思うので、そこです。

――チーム全体としてはどうでしたか

チーム全体としては、クラス3の選手は完走者がいたこと、でもクラス3なのでできれば表彰台もしくはクラス2に昇格も狙って欲しかったですし、クラス2も3人出てたんですけど1人しか表彰台に乗れなかったので、あまり良い成績とは言えなかったです。クラス1も3人でかなり積極的なレースはしてたんですけど、優勝者は出なかったので決して良い結果とは言えないですが、全日本大学対抗選手権(インカレ)に繋がる内容だったと思います。

――今後に向けて特に強化していきたいところはありますか

(自分自身は)根本的に基礎がなっていない部分があるのですが、もうインカレまで残り1ヶ月切ってるので、基礎のトレーニングをしっかりとして、まだことしだけでなくてらいねんもあるので、らいねんも見越したトレーニングをしていこうと思います。

金子智哉(商3=神奈川・相模原)

――きょうのレースの戦略は

特に作戦は立てていませんが、明治の有力な選手と一緒に行けたらいいなと。

――お台場の雰囲気やコースはどうでしたか

お台場の楽しい雰囲気は好きだったのですが、コースはヘアピンの立ち上がりがきつくて好きではなかったです。

――レース中に転んでしまうこともありましたが

オーバーペースになってしまいました。

――クラス1での初レースの手応えは

最後のスプリントまでは他の人と変わらずついていけましたが、最後のスプリントは敵いませんでした。

――最初から積極的に追っていく展開でしたが

自分が得意としているレース展開なので、自分の力を出せたと思います

――レース終盤は他の選手の飛び出しや接戦がありましたが

猿田選手(東北学院大)の良い飛び出しがあったので、ついて行こうと思いました。

――8月のインカレに向けて

合宿があるので、インカレの長い距離のレースをしっかり走れるように練習したいと思います

塩田航平(スポ2=埼玉・栄北)

――前回の試合後、この大会はきょねんから目標にしていたとおっしゃっていましたが、本日の目標は

頑張って優勝したいと思っていたのですが、届かなかったので残念です。

――走りについてはどういったことを意識していましたか。

(同じ組に)ワセダが3人いたのですが、ほかに人数をそろえているのが明大の4人だったのでそこに行かれてしまうと苦しい展開になると思い、明大の選手は徹底的にマークしました。

――本日の調子は

調子は良かったです。

――積極的に飛び出す場面が見られましたが

クラス1の選手はみんな速いので、様子をうかがっているだけではそのままゴールまで行かれてしまう心配があったので。特にワセダの他の2人が出られていないときは、自分から飛び出していくように心がけていました。

――チームとしてのプランはあらかじめ決めてあったのですか

特に誰がエースだというのは決めていませんでしたが、他大選手のアタックはできるだけ潰して、常にワセダの誰かが前にいるという状態を作るようにしていました。

――アタックを仕掛けるタイミングはどのように決めているのですか

< p>自分から仕掛けるというよりは、他の速い人が飛び出したときに食らいついていくという感じですね。

――きょう一日を振り返って思うことは

暑い中の試合でしたが、大きな事故やケガがなく終えられて良かったなと思います。

――次の目標は

次の目標はインカレですね。ロードでは個人の結果というよりもチームで長距離ロードが得意な孫﨑や金子さんが順位を上げられるような走りをすることです。また、自分のタイムを伸ばせるようにも練習していきたいです。

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孫﨑大樹(スポ1=京都・北桑田)

――この大会の雰囲気はいかがですか

普段のレースと違い東京都内の色々な人が見に来られるところなので観客が多く、自分たち選手からするとモチベーションが上がってすごく良いと思います。

――クラス1に上がって初めてのロードはいかがでしたか

先週怪我をしてしまって、思い通りの展開というか自分の走りができませんでした。また、クラスも上がったので厳しいレース展開になりました。でも完走できたことと、あと最後に少しチームメイトをアシストできたのでよかったと思います。

――クラス1にはワセダから3選手が出場していましたが、チームとしてのレースプランはありましたか

最初は特に作戦などはありませんでした。でもワセダが3人、明治が4人と人数が多く、この2チームが中心となってレースが動くと予想されていました。各自チームとしての機能を生かしつつ、3人で明治や他の大学の動きをチェックして良い展開に持っていけたので非常に良かったと思います。

――きょうの大会の個人としての目標はどのようなものでしたか

個人としては怪我をしていてどれだけ走れるか分かりませんでしたが、年間のシリーズ戦の1つなのでしっかりとポイントを稼いでシリーズチャンピオンに近づけたらいいなと思っていました。思いの外走れなかったのですが、まだ来週にも再来週にもシリーズ戦は続くので、しっかりそこで巻き返して年間シリーズチャンピオンになれるようにしていきたいです。

――きょうのコースは走りやすさなどいかがでしたか

ただの平坦だけではなくちょっとした起伏もあり、強い選手が勝つコースだったので非常に良いなと思いました。

――次の大会は、来週ですか

そうです。白馬で2日連続2連戦です。

――その大会に向けての目標を最後にお願いします。

今週必修の野外活動があるのですが、しっかりと練習し直して白馬ではしっかりとポイントを取れるようにしたいです。そしてシーズンランキングチャンピオンになれるようにしていけたらなと思います。