開幕戦で2名入賞 まずまずの滑り出し

自転車

 長野飯山で行われた全日本学生RCSクリテリウム第1戦。約1.15kmと距離は短めであるが、急角度の最終コーナーやそこを曲がってからゴールまで200m程度しかないなど、スプリントで勝負しづらいのがこのコースの特徴である。特定の周は上位でゴールを通過すると、得点が加算されるポイントレース形式が採られた今大会に、早大から計8名がエントリー。クラス2Aに出場した金子智哉(商3=神奈川・相模原)が3位、クラス2Bに挑んだ伊藤和輝主将(スポ3=東京・昭和一学園)2位と、あと一歩のところで昇格を逃してしまう悔しい幕切れとなった。

 45分間+5周の間に稼いだ得点数で競うクラス2。6回あるポイント周回やラストの着順に合わせて加算されるシステムだ。2Aに出場した金子と孫崎大樹(スポ1=京都・北桑田)は積極的な試合運びを見せる。序盤はメイン集団に控えていた金子だが、一回目のポイント周回の直後、順大の選手と共に逃げた。「スプリントでみんながもがいた後で逃げて、その次のポイントを取る」(金子)。そのまま2人で前を走り続け、作戦通り二回目のポイント周回を1位で通過。その後はいったん下がったものの、今度はルーキー孫崎がアタックを仕掛け、三回目のポイントを獲得した。しばらくはプロトンで様子を見ていた金子だったが、最後のポイント周回を見据えて前に出る。再び順大の選手と逃げを形成し、その勢いのまま最終ポイントを奪取。順調に得点を積み重ねた。ラストの着順次第では優勝も狙えた金子は集団の中で慎重にタイミングを窺いスプリント勝負に出る。しかし、結果は3着。最終順位3位と入賞したが惜しくもクラス1への切符は手からこぼれ落ちた。

奮闘したものの昇格を逃した金子

 午後に行われたクラス2Bは、午前中とはうって変わって雨模様。「悪天候で序盤はペースが落ちるだろうから前半のポイント周回にアタックが集中する」と予想した伊藤は、後半2本のポイントを取り、最後を1着で通過して優勝するというプランのもと行動した。そのため前半は先頭集団のすぐ後ろに位置取り、体力を温存。ポイント周回になっても前には出ず、冷静に機会を待つ。伊藤が動いたのは4回目のポイント周回。一気に加速し、独走状態を作り出す。そのままトップでゴールを通過し、5点を確保。次のポイント周回でも足を使って得点を積み上げた。その後はメイン集団で引いてアタックを仕掛ける選手をけん制。試合を思惑通りに展開した。迎えた最終ラップ、伊藤は最終コーナー前でゴールスプリントに入ろうとする。しかし、他大の選手に妨害され一瞬出遅れた。それが仇となり、最終順位2位に輝いたが昇格はお預けとなった。

巧みな試合運びを見せた伊藤

 「練習不足の場所も見つかった良いレースだった」とポジティブに試合を振り返る伊藤。満足できる結果ではなかったものの収穫はあったようだ。各選手は今回発見した弱点を改善し、更なる強化を遂げるに違いない。全日本大学対抗選手権までにどこまで成長できるか。ワセダの新たな戦いが幕を開けた。

(記事 佐藤諒、写真 高柳龍太郎)

結果

▽クラス3B 田中 DNF

▽クラス2A 金子3位 孫崎7位 中井DNF

▽クラス2B 伊藤2位 八田16位 井上DNF

▽クラス1 塩田9位

コメント

伊藤和輝主将(スポ3=東京・昭和一学園)

――今日のコースはいかがでしたか

1年生のころにこの飯山に参加したときは大雪の影響で2日目のクリテリウムが中止になってしまってここ自体は2回目なんですけど、初めてのコースでした。このコース自体あんまり路面は良くないですが、コースとしては簡単なので比較的走りやすいと思いました。

――今日はどのような作戦で試合に臨んだのですか

メンバーは、昨日クラス1に上がった選手がやはり強い選手で、その選手が抜けてそこからクラス2がどう動くかっていう展開でした。悪天候で序盤はペースが落ちるだろうから前半のポイント周回にアタックが集中するはずと予想しラスト2本でしっかり5点を2回取って最後を1着で通過して20ポイント取って優勝ということを考えていたんですけど、一回数え間違えまして(笑)、残り三回から取りに行ってしまいました。目標の二回は取ったんですけどその後の一回、マークしていなかったポイント周回で1位の朝日大の方にポイントを取られてしまったのでその点で最後ゴールスプリントで負けてしまって良くない流れができてしまいました。

――ポイント周回ではないラップで独走する場面がありましたがどのような意図があったのですか

集団の中にいても足を使わずに加速できるポイントがあって集団と相対するペースになるとどうしても前に行ってしまうので意図的に前に出たわけでもなくて自然と前に出てしまいました。また、1位の選手が強くて2位の選手が逃げる可能性があるポイントだったので集団の活性化を促したという面もあります。

――最後のスプリントはどのようなタイミングで飛び出したのですか

ラスト周回に入ってから最初の1コーナーでは4番手あたりにいたんですよ。位置取りが悪いので一旦下がって前に出ようと思っていたのですけど、ちょっと想定外の場所から選手が出てきてしまって。その選手を最終コーナーの前でかわそうと思ったんですけど、かわしきれなくて最終コーナーギリギリのところでかわす展開になってしまい、スプリントの準備がうまくいかない部分がありました。本当はコーナーの前から飛び出したかったんですけど、コーナーかわしてから三選手まくるっていうかたちになってしまって先頭まで届かなかったんだと思います。

――チームメイトと連携は取れましたか

いいえ、まったく取れなかったです。

――今回2位という結果でしたがどのようにとらえていますか

このレース全体の走りに関しては自分としては普通、50点と評価します。ただ、スプリント力が足りなかったり、スピードが乗らない部分があるので練習不足の場所も見つかった良いレースだったと思います。

――最後の5月9、10日の東日本トラックに向けての意気込みを教えてください

東日本は、2日前まで福島で合宿をするのであんまりコンディションが良くないのですが、その中で全力を尽くせるように頑張りたいと思います。

金子智哉(商3=神奈川・相模原)

――きょうの試合もやはり逃げてポイントを稼いでいこうとしていたのですか

はい。スプリントでみんながもがいた後で逃げて、その次のポイントを取るというのをやっていました。

――とすると、ある程度成功したと言えるのではないでしょうか

上手くいったんですが、本当は1回目に逃げた時に2、3、4回目のポイントも逃げて取ろうかなと思っていたのですがそれがうまくいかず、すぐ捕まってしまいました。本当はそこから一度休んでもう一度交互にポイントを取りに行ければ3回1着が取れて15点取りに行けると考えていたんですが、1回しか逃げることができなかったのは失敗ですね。

――色々な選手が代わる代わるポイントを取っていきましたが、集団内でも動きが多かったのでしょうか

別にペースが上がったりというのはなかったですね。僕が逃げても誰も追ってきませんでしたし、逃げやすくて良かったです。

――それだけに勝ち切れなかったのは悔しいですね

そうですね。後悔ですね。ただ1着の人がだいぶ強かったです。

――新シーズン始まって、まずは全日本学生RCSの初戦となりましたが調子の方はいかがですか

今週から朝練が始まってまだ生活のリズムが対応し切れていない部分もあったので、これからちゃんと合わせていって体調も戻していきたいです。

――3年目ということで徐々に結果も求められてくるのではないかと思いますがいかがでしょうか

4年目は色々と忙しくなると思うので、自分の中では3年の全日本大学対抗選手権をピークに持っていきたいと思っています。この前のチャレンジロード(第40回チャレンジロードレース)も入賞はしなかったんですが8位で、割と調子も上がってきているのでこの調子で頑張っていきたいです。

孫崎大樹(スポ1=京都・北桑田)

――今日を振り返って

1位でクラス1に上がりたかったんですけど今日のレースは自分の展開に持ち込めませんでした。先輩の金子さんが逃げてくれていたので集団を抑えることにして動いていたのですが、力足らずで足がなくなってしまって後半勝負できなかったです。ラスト金子さんがいい位置にいたのでアシストしてゴールポイントを金子さんに取らせることができればよかったんですけど、集団のペースが想像以上に上がってうまく連携が取れなかったので、その辺しっかり取れるようにして次のレースで誰でもいいのでとりあえず上がれるようなチーム連携っていうのを大事にしていきたいと思います。

――昨日はかなり調子が良く、今日は優勝に向けて並々ならぬ意気込みでレースに臨んだそうですが

昨日自分が思っていた以上に調子が上がっていて、いい感じに走れて2位だったので今日はいけるんじゃないかと思ったんですけど、ポイント形式に変わったため展開も色々変わったので厳しかったですね。

――ポイントレース形式は苦手なのですか

そんなことは別にないんですけど、昨日のロードレース方式と違って色んな選手が今日は攻めた走りをしたのでそれに全部対応するのが厳しかったですね。別に苦手とかではないので、次は上がれるようにします。

――大学のレースはいかがですか

高校生のレースより色んな学校の色んな選手が自分から動いてくれるんで誰かを徹底マークして、その誰かが動いたら全員が動くのではなくて、どの学校のどの選手も動いてレースを作っていくかたちなのでそうやって無駄に足を使うことなく自分のレースを作ろうと思えば作れると思うのでこれから楽しみです。

――最後に次の試合の目標を教えてください

もちろん優勝を狙っていきたいんですけどまだまだ大学生のトップの人たちには敵わないと思うので、できれば入賞とか表彰台とかを狙ってそしてクラス1に上がれるようにしていきたいなと思います。