塩田が3位に入賞を果たす

自転車

 毎年大きな盛り上がりを見せる湾岸クリテリウムに、ことしも多くの観客が駆けつけた。全長1.45キロメートルのコースにはヘアピンカーブがあり落車が起きやすい。選手たちはコースの特徴を意識しつつレースに臨んだ。ワセダは総勢13人が名を連ね、クラス2Aの塩田航平(スポ1=埼玉・栄北)が3位、クラス1の佐々木勇輔主将(教4=埼玉・早大本庄)が4位と上位に食い込む結果となった。

 コースを12周して勝負を決するクラス2にはワセダからAに6人、Bに5人が出走した。多くの選手が出場しワセダには有利な状況に。チームで連携して入賞を目指したが、集団から30秒以上離されるとアウトととなる厳しさからDNFが続出した。そんな中、Aでは塩田が力強い走りで攻めた。序盤から先頭集団に位置し、集団の動きを読みながらレースを運ぶ。ラストはスプリントが振るわず惜しくも3位でゴールとなったが、全日本学生選手権トラック以来の表彰台に上った。続くBでは伊藤和輝(スポ2=東京・昭和一学園)と金子智哉(商2=神奈川・相模原)が勝負をかけるが、終盤に差し掛かったところで金子が落車。レース前半からアシストを続けた伊藤も「最後は力尽きてしまいました」と追い上げることができず、入賞はかなわなかった。

今回はあと一歩及ばなかった塩田

 午後のクラス1は、路面からの強い照り返しの中行われた。コースを16周するレースに、ワセダからは佐々木がエントリー。序盤から積極的な走りを見せアタックを仕掛けていく。しかし逃げはなかなか決まらず、前に出ては集団に吸収されるという展開が続いた。すると、様子をうかがっていた明大の金井誠人が一気にアタック。反応した佐々木は「レースのなかで一番苦しかった」という走りで先頭に迫った。その後は金井と小林和希(明大)と共に逃げを形成するも長くは続かない。やがて後方集団に吸収されると再び11人での戦いとなった。佐々木はその後も先頭集団でレースを進め、ラストは5人での争いに。最終コーナー手前でトップに立ち勝負のタイミングを見極めていたが、早坂貴大(山梨学院大)の鋭いスパートに切り替えが間に合わず4位でレースを終えた。

積極的なアタックで会場を沸かせた佐々木主将

 歓声でにぎわう中でのレースは活気にあふれ、普段とは一味違った様相を見せた。選手たちは翌週に控えた全日本学生RCS第6戦、そして夏合宿での追い込みを経て1ヶ月後に控える全日本大学対抗選手権(インカレ)へと突き進む。残された時間で課題をいかに修正できるかが、勝利のカギとなる。

(記事 副島美沙子、写真 目良夕貴)

結果

▽クラス1 佐々木主将 4位

▽クラス2A 塩田 3位 足立 14位 谷口、手嶋、岩田、八田 DNF

▽クラス2B 伊藤 5位 金子 8位 有我、井上、中井 DNF

▽クラス3C 森 DNF

コメント

佐々木勇輔主将(教4=埼玉・早大本庄)

――きょうのレースはどのようなプランで臨まれましたか

レースだけでなく興行的な側面もあり観客の多い試合だったので、積極的に仕掛けて盛り上げて、見ていて面白い展開をつくろうと思いました。クリテリウムは攻めている側が有利になる競技なので、盛り上げつつも自分が有利な展開にしていければと考えていました。

――勝負をかけたタイミングはいつでしたか

金井(誠人、明大)が行った時ですね。金井が単独でブリッジをかけたけれど、集団に吸収されてしまった時です。残り9周ぐらいの時なのですが、そこまで連続で3回ぐらい僕が仕掛けていて、吸収されてというのを繰り返していて、僕が少し苦しそうにしているのを見て金井が狙ってきました。金井と相本(祥政、法大)が強かったですけど、僕のことを明治の金井と小林(和希)がすごくマークしていて、僕がきつそうだなというところで金井が思い切りアタックしてきました。そこで行かせると明治は人数が多くて押されられてしまいますし、他にそんなにガンガン集団を引けるような選手は多くないので行きました。鈴木龍(SEKIYA)や、一緒に逃げたヴェントスの村上さん(善昭、TOKYO VENTOS)あたりは引けますが、そこに頼って下がるというのも良くないので、あそこがたぶんきょうのレースのなかで一番苦しかったんですが、なんとしても自分で追いつかないといけないところで頑張って追いついたのが勝負だったのかなと思います。結局、そこで後ろもついて来てしまったのが良くなかったです。振り切って2人になれれば良かったんですが後ろが来ちゃって、金井もやめてという感じで。僕が頑張ったのに、その意味があまりその後の展開に反映されなかったというのが良くなかったですね。

――後半にTOKYO VENTOSの村上選手と前に出た場面がありました

あの時点でもうそんなに脚があるわけでもなく、人数も絞れていて7~8人になって、そんなにガンガンアタックする必要はないかなという感じでした。7、8人ぐらいだと一番後ろにいても楽なので、そもそもアタックする意味というのが弱くなってしまうんです。ゴールスプリントに備えて、ただし明大のどちらか片方(金井選手か小林選手)が行ってしまったらそのまま終わってしまうので、明治だけは完全にマークして、ローテーションもわざとタイミングをずらして抜けて、明大の後ろにつけるように外して、小林か金井の後ろに絶対つくようにしていました。そうしていたら、相本が行ってしまったという感じです。

――明大の選手は4人出場と最多でしたが、レース前から意識されていましたか

とてもしていましたね。向こうも僕のことを意識していました。明治は4人で、特に最後まで残った金井と小林は走れますし、市山(襄、明大)もうまいですし、鈴木(快彰、明大)も脚のある選手なので。走れる選手が4人もいて、法大も2人だったので、そのあたりに気をつけていましたね。

――ラストの勝負はいかがでしたか

あの時点であまり余裕はなかったのですが、5人の中で、下っているときにもういちばん後ろになってしまっていて。残りのスプリントを後ろからいくのは不利だと思っていたので、5番手よりは一番前に出てしまった方が良いだろうと思って、下りのコーナー直前で一気にイン側から出て、先頭でコーナー曲がって、そのまま前で流して行っていました。後ろが来た瞬間に合わせようと思っていたんですけど、思ったよりも山梨学院大のかかりが早くて鋭くて、見えた瞬間に合わせてももう間に合わないような感じで、出遅れて4位になってしまったという感じですね。もうちょっと余裕を残してスプリントにいければ合わせることもできたと思いますし、後ろから行っても良かったんですが、やはり人数差ですかね。仕方ないといえば仕方ない部分だと思うんですけど、ただ一人で走っている以上、それははね返さないといけないので、それをはね返すほどの実力がなかったというのが敗因です。

――きょうのレースを今後どのようにつなげていきたいですか

僕は毎週レースに出ていますけど、それが一番練習になると思っているからわざと多くエントリーしています。きょうのレースも積極的に走って、普段の練習では絶対に追い込めない領域まで追い込めるので、すごく良い練習になっています。いまは暑くて長い時間練習するのは大変なので、こうやって短い時間で高い強度でしっかり練習になっているというのは良いと思います。このままコンディションを保って、夏バテなどがないように質の良い練習を重ねて、合宿を終えてインカレにという感じですかね。次の白馬(全日本学生RCS第6戦・白馬クリテリウムラウンド)もありますし、ここから合宿を終えて上向きにしていけたらと思っているので、こういう練習を重ねていければと思います。

伊藤和輝(スポ2=東京・昭和一学園)

――本日のレースを振り返って

クリテリウムは、きょねんの神宮(全日本学生RCS最終戦・第八回明治神宮外苑大学クリテリウム)が無くなってしまったので、きょねんのお台場(全日本学生RCS第5戦お台場サイクルフェスティバル湾岸クリテリウム)以来の出場でした。ですから、楽しみと言えば楽しみでした。

――5位という結果についてはどのように捉えていらっしゃいますか

スタートリストを見ても分かる通り、ワセダはかなりの人数がそろっていましたから有利なレースができると思いました。しかし、今回のレースは集団から30秒離れると失格になってしまうので、その点では集団の中にいないと絶対に生き残れませんでした。集団の後ろにいてもヘアピンコーナーで落車がかなりありました。

――ヘアピンコーナーが難しかったということでしょうか

脚を使ってしまう場面が多かったですね。さらにコーナーを曲がる角度と逆向きに地面が傾いているので転倒しやすかったです。その分、技量面が必要なコースだったかなと思います。その辺りの技量で足りない部分があったので、ふがいない成績になってしまいました。

――チームとしてはどのような戦略を立てられていたのですか

人数が多いと、逃げた選手をチェックに行ったり、色々な戦略があります。周りを見やすく、周りもこっちを見てくれるため、こっちが動けないと向こうが動けないというパターンもつくれるのですが、段々とワセダの選手が消えていってしまいました。最後は順大のペースになってしまいましたね。

――先頭集団で順大の選手と争っていらっしゃいましたが

逃げる人と後ろを抑える人の2人がいて、抑える人とずっと争っていたのですが、その前から他の人をチェックしたりしていたので、最後は力尽きてしまいました。人数と強い選手の割合から考えて、クラス1に行ける可能性が高いと考えていたレースでした。ロード班では金子(智哉、商2=神奈川・相模原)を1位にと思いましたが、アクシデントがあってそれがかなわなかったのが残念でした。

――レースの早い段階で動いていましたが、その意図は

スタート、ゴール地点から裏側までずっと柵が無くて視界が開けているので、逃げるにしても距離が分かってしまいます。集団が大勢いるときは、集団がその気になったら一瞬で吸収されてしまうんです。クラス2Aはその展開でした。そのため、早い段階での逃げ切りは全く考えておらず、集団の脚をなくそうと思って飛び出しました。

――インカレへ向けての意気込みをお願いします

ことしの伊豆ベロドロームは室内なので、天候に左右されることなく自分の持っている技量と力量全てが発揮できる場だと考えています。ですから、伊豆ベロドロームだからこそ練習をしていかないと勝てないと思っています。

塩田航平(スポ1=埼玉・栄北)

――きょうのレースはいかがでしたか

けっこうワセダの人数が多かったので、僕たちが動いたら後ろの人が(集団を)抑えたり脚を休めようといったことは話していたんですが、気づいたら切られていっていました。(最後)僕がきつくなったので、スプリントも振るわず3位でした。

――早い段階で岩田宗也選手(スポ1=広島城北)と動いたのも、やはりあらかじめ話し合っていたことなのでしょうか

僕とか岩田は最初動けたら動くという話はしていたんですが、あまりうまくいかなかったですね。

――きょうのコースはどのような感触でしたか

怖いですね。基本的にタイルなのでアスファルトより滑りますし、奥のコーナーのバンクが逆になっていたので、僕はけっこうゆっくり走っていましたね。やはりスピードが落ちるのでインターバルがかかるとつらかったですね。

――やはり最後のスプリントはもう少し順位を伸ばしたかったのでしょうか

そうですね。前に1人逃げてしまっていて、その時点でもう僕は自分で動けなかったんです。動いていたら着外で動かなくてこの成績なので、どうかなという感じです。

――きょうのレースでは逃げができなかったなという印象がありますが

基本的に僕は、危なそうな逃げは引いたりアタックして潰していたんですが、自分で逃げようとしても追ってこられてなかなか決まらなかったですね。

――今回はフェスティバルとしての側面もありましたが

そうですね。暑い中でのお祭りでしたね(笑)。

――インカレまで残り1カ月となりました

合宿が8月に入ってすぐあるので、その合宿に入ったら本当にインカレという雰囲気になると思います。