着実な成長を見せ、3人が表彰台へ

自転車

 先月行われた全日本学生選手権個人ロードレースに引き続き、今回は全国の大学生がトラック種目の個人タイトルを争った。8月に控えた全日本大学対抗選手権(インカレ)で使用されるトラックと同じということで、試合内容もより重要視される中、後藤悠(スポ1=岩手・紫波総合)の男子スプリント3位を筆頭に三人が3位入賞という結果を残した。

 男子ポイントレースには佐々木勇輔主将(教4=埼玉・早大本庄)と塩田航平(スポ1=埼玉・栄北)の二人がエントリー。佐々木は予選レースでは1度ポイント周回をトップで通過すると、後はそのまま脚を温存して決勝へ進む。塩田も同じく余裕を持って予選を通過したいところだったが、なかなかタイミングが合わずポイントを取れない。本人も「ポイントが取れず、イラッとしていました」と振り返っていたが、それでもなんとか最終ポイント周回でもぎ取り、決勝へと進んだ。決勝は40km、160周で10周ごとにポイント周回が設定された。佐々木は後半に勝負をかけていきたいところだったが、集団の人数が思ったよりも減らず、想定していたよりも早い段階で攻勢に出た。しかしスプリント勝負になることで脚を消耗し、さらに日体大の小林(泰正)からのマークもあり、あと一歩ポイントを伸ばせずに3位でフィニッシュした。一方の塩田は、予選と同様にやはりタイミング良くポイントを奪うことができない。自ら積極的に逃げを打とうとするが、メイン集団に吸収されてしまう。全体として好機に恵まれなかった塩田は一度もポイントを獲得することができず、15位に沈んだ。

毎週レースが続く中でも安定した成績を収めた佐々木主将

 男子スプリントに出場した後藤は、5月に行われた東日本学生選手権トラック(東日本トラック)と同じく予選でトップのタイムを計測し、実力を見せつける。1/4決勝も難なく勝ち進み、何も問題は無いように見えたが、1/2決勝で後藤の弱点が露呈した。スプリント予選では一人ずつ出走してタイムを計測するため、純粋に速さのみが加味される。ところが決勝に入ると2人同時の出走となり、2人のどちらが先にゴールするかで勝敗が決まる。そのため単純な速さだけでなく、駆け引きや戦略も関係してくるのだ。1/2決勝の1本目、互いにけん制をしながらスピードを上げていると思いきや、突如相手に飛び出されそのままゴールされてしまう。予選では好タイムを出していた後藤だったが、レース展開の組み立てについての弱さが出てしまったかたちとなった。残念ながら2本目も負けてしまった後藤は、3、4位決定戦に回り、最終的に3位で大会を終えた。

入賞したが課題も残った後藤

 東日本トラックの後、着実に力は伸びてきていることは入賞者以外の成績からも十分見て取れる。しかしトラック選手を統括する谷口雄太郎(スポ4=東京・昭和一学園)は「まだ力不足な結果だったんじゃないかと思います」と厳しい言葉を忘れない。インカレまでにどこまで個々の力を伸ばせるか。残り1カ月半の成長に期待したい。

(記事 高柳龍太郎、写真 目良夕貴)

結果

▽男子

タンデム・スプリント 手嶋、森 予選11位

スプリント 後藤 3位

ケイリン 森 敗者復活戦6組3位

ポイントレース 佐々木主将 3位 塩田 15位

4kmインディヴィデュアル・パーシュート 伊藤 4位

スクラッチ 足立 15位※ 岩田 DNF 中井 予選3組13位

 ※警告により最下位降格

1kmタイムトライアル 手嶋 12位 谷口 17位

マディソン 谷口、伊藤 6位

▽女子

3kmインディヴィデュアル・パーシュート 合田 3位 中嶋 7位

500mタイムトライアル 中嶋 11位 合田 14位

ポイントレース 合田 5位 中嶋 DNF

コメント

佐々木勇輔主将(教4=埼玉・早大本庄)

――決勝のレースはどのように攻めようと考えていたのですか

まぁ後半勝負かなと思っていました。

――とはいうものの、攻め始めるタイミングが思ったよりも早かったように思えました

思ったよりも集団の人数が減らなかったですね。

――自分から積極的に仕掛けていましたが、余力があったということでしょうか

余力はありましたが、小林(泰正、日体大)がマークしてきたのでなかなか難しかったです。今回は(小林が)勝ちにきていましたね。結局スプリント勝負になってしまったので、そこで脚にきてしまったのかなと思います。

――先週の全日本選手権ロードレースにピークを合わせていたことを考えると今回の結果はかなりいい結果なのでは

かなりというか、まぁ悪くないかなという感じです。

――今回の結果を主将としてどう感じていますか

とりあえず、これでインカレの種目決めの材料はだいたいそろったかなと思います。今月末までなので、部員と話し合って決めようかなと思います。大会の結果に関しては、優勝が1つもないというのが残念ではありますが、3位が3つと4位が1つというのはそんなに悪くないんじゃないかと思います。みんないま出せる力は出せたと思いますし、特にトラック班はこの大会に向けて調整してきたと思うので。この結果を受けて、直すところは直して、インカレまでにいくつ順位を上げられるかが大事だと思っています。

――個人個人の課題はあると思いますが、チームとして何か重要な課題はありますか

いや、ないです。今回は個人種目ばかりだったので。取れる順位は個々で取ったと思います。3位の3人に関しては、どれも上の2人とは力の差があるかなと思います。逆に同列にいる他の選手を押しのけて3位になれたというところだと思います。それぞれ勝負強かったと思います。4、5位の選手と実力が近い中での3位だと思うので、そういったところにはむしろ課題は少ないかなと思っていますね。

――次週行われる全日本RCSに向けて一言お願いします

来週は、チームとしての戦術、いまのチームとしてできることを試していきたいと思います。

谷口雄太郎(スポ4=東京・昭和一学園)

――今回トラック班として何か目標設定をして臨んでいたのでしょうか

個人としてインカレと同じ会場ということで、一人一人が着実にインカレにつながるような成績を残すように、ということを目標に練習してきたつもりではいます。

――ということは、ここに合わせて集中的な練習もしていたんでしょうか

その予定だったんですけれども、やはり梅雨などの影響で思うような練習ができなかったのが事実です。想定したよりも実走ができなかったので、選手は結構不満があったんじゃないかなと思います。

――それを受けて、今回の結果をトータルで見たときどうでしょうか

トラック班としてはちょっとまだ力不足な結果だったんじゃないかと思います。もっと(結果を)狙えたのではないかな、と思います。

――特にまだまだいけるのではないかと思うのはどの部分でしょうか

タンデム(・スプリント)も合わせをしていなかったので、予選落ちはしないレベルにはいけると思いますし、1kmタイムトライアルの手嶋も僕もきょうは失敗してしまった部分があったので、もっとタイムは伸びると思います。伊藤も練習ができなかった分も合わせて本調子じゃなかったんじゃないかと思うので、そのあたりを含めてもっと上は狙える実力があると思います。

――東日本トラックからチームとして伸びた点はあるでしょうか

きょうは個人競技なので、どうですかね…。走ったバンクも違うのでちょっと何とも言えないですね(笑)。

――このコースについてはどうでしょうか

難しいですね、その質問は(笑)。僕は嫌いじゃないですけど、みんな角度があるから嫌いだって言いますね。どうしてもゆっくり走りにくいので、そういう部分に難しいところがあったり、きのうきょうと失格や降格が多かったと思うんですが、それらも走りにくさから出てきてしまっています。難しいコースではあると思うので、本当に好みだと思います。

――次はいよいよインカレになると思いますが、チームとしての目標をお聞かせ下さい

部で掲げている目標としては、総合で3位以内というのを昔から言っています。最近トラックが停滞気味かなと思っているので、それをここで覆してやろうかと。

――停滞を打破できそうな気配はありますか

ことし入ってきたメンバーもそこそこのレベルなので、一人一人が結果を出せればそれも夢じゃないかなと思うので、これからインカレまでしっかり練習を積んでいきたいなと思います。合宿もできるので、そういう場面で一人一人のレベルを上げればいいかなと思います。

後藤悠(スポ1=岩手・紫波総合)

――3位ということでしたが、今回の走りについてはいかがでしたか

東日本トラックの時と比べて力は付いてきたなと思うんですけれども、走り方などの技術やスタミナがやっぱり必要だなと感じました。

――1/2決勝を見ていて、走りの組み立て方や戦略の面でも模索しているのかな、と感じたのですがどうでしょうか

1/2決勝の1本目は知っている相手ということで、自分の弱点を突かれて普通に負けてしまいました。2本目は自分の得意なやり方で行ったのですが、ロングスプリントになってやはり自分の長所を活かせずに負けたという風に思っています。実力ですね。

――最後の3、4位決定戦では判定にも助けられましたがどういった状況だったのでしょうか

自分が違反したと思ったので、どっちも(レースを)止めたんですが(その違反が)取られなくて。グダグダな感じで終わってしまいました。でも自分のミスでした。

――いまの実力は出し切れましたか

出し切れたけれど、課題がたくさん見つかったという感じですね。

――自分の考えるいま一番大きな課題は何でしょうか

500m以上も巻ける脚をつくらなければいけないですし、決勝戦でも橋本(瑠偉、明大)さんはロングスプリントで勝っていたので、そこをつけたいです。後は自分の思った通りのラインを走れるようになりたいです。

――次に待つのはインカレですが、意気込みをお聞かせ下さい

やはり優勝することを目標にしています。今回みたいに(予選)一番抜けで優勝できたらいいなと思います。

塩田航平(スポ1=埼玉・栄北)

――予選スタート直後落車に巻き込まれましたがケガ等はありませんでしたか

全く痛くなかったので大丈夫でした。あの落車で(レースが)少しどうでもよくなりました(笑)。

――予選のレースでは首を傾げることが何度かありました

フラフラしている人が多くて危なかったということと、最終周回まで中切れとかが起きてしまい、ポイントを取ることができなかったので、イラッとしていました。

――決勝はいかがでしたか

最初は腰が痛くなかったのですが、途中から腰が痛くなってきました。そうするとポイント周回でもがけないので、とりあえず積極的に逃げてポイントを取ろうと思っていました。でも、なかなか逃げが決まらずにポイントを取ることができませんでした。それで結局0点になってしまったので、少し残念です。

――積極的に逃げを作ろうとしていた印象がありました

なかなか脚がそろわなかったのと、力がある人が分散していたので、逃げても追ってこられてしまう、という感じでしたね。何回か成立するかと思ったのですが、追いつかれてしまいました。

――腰の状態もあったのでしょうか

スプリントできなかったのが痛かったですね。腰の状態だけでなく、最近スプリントの練習をしていないので、スプリントも少し落ちているかなと思いました。

――全日本ロードの疲れはありましたか

きのう、おとといと自転車に全く乗っていないので疲れはなかったです。

――インカレに向けて

あと2カ月ないくらいですけど、今回と同じところですし、メンバーは多分橋本さん(英也、鹿屋体大)がこれに入るので、スピードはきょう以上に上がると思います。また下手な人も増えるので、落車が多そうなので少し怖いですね。