熊谷の妻沼滑空場にて早慶グライダー競技会が行われた。早大からは山本拓磨(法4=東京・早大学院)古田一輝(基理4=東京・早大学院)五十嵐大智(基理4=東京・中央大附属)重村淳輔(基理4=東京・麻布)伊藤大吉(創理4=東京・早稲田高)伊藤万貴(教育3=東京・早実)木下啓(基理3=東京・早大学院)が出場した。早大は六大学戦、関東大会において慶大に敗れ準優勝であったため、今大会で慶大に勝ち、3月10日から行われる全日本学生グライダー競技大会に向けてよい流れをつけたいところであった。競技では、1日目から慶大にリードを許す展開となった。逆転を目指す早大だが、大会期間中の2月28日にコロナウイルスの影響により、滑空場が封鎖されこの日が最終日となってしまった。その結果、慶大に優勝を許した。
初日の苦戦が響いた
今大会では1周39キロの周回を目指す。初日から条件がよく点数が大きく動く展開となった。「自分と古田が思いのほか苦戦してしまい、初日から速度差(周回の速度によって点数が決まる)で点差を付けられてしまう展開になりました」(山本)と両校とも2周回を達成したが、慶大には距離得点が入り、早大1401点、慶大2075点で1日目を終えた。2日目では山本が距離得点を獲得。ここで追い上げたいところであったが、慶大の2選手も同様に距離得点を獲得したためさらに点差を広げられ、早大1950.487点、慶大3139.787点となった。3日目、4日目は曇天や強風で条件が揃わず、両校ともに無得点で終えた。大会5日目は晴天に恵まれ両校が得点を重ねあう日となった。少しでも差を縮めたい早大であったが、慶大が1周を成功したのに対し早大は2ポイントに終わった。ここでも差をつけられた。そして前述の通り、この日が大会最終日となった。最終的な成績は早大2263点、慶大4096点。また個人の部では山本が準優勝となった。
個人の部で準優勝をおさめた山本
個人の部で山本が準優勝をおさめたものの団体では初日での苦戦が響き、点差をなかなか縮めることができなかった。ただ早大も粘りを見せた。5日目では「条件があまりよくないなか3時間を超える必死のフライトで1番に旋回点にたどり着けた」(山本)と奮戦した。追い上げられる可能性があった分、途中での中止が悔やまれる結果となった。
早慶戦だけでなく全日本学生グライダー競技大会までもが中止になってしまった。「大会終盤に向け良い流れができたところで突然終了となってしまい、結果としては煮え切らない部分があります」(山本)と悔いが残る結果となった。そして残念ながらこの代での優勝の夢はここで散った。事故によりゼロからのスタートとなった4年生の代だが、大会での優勝まであと一歩のところまできた。「絶対に勝利しそれを早稲田大学航空部の伝統とすることが目標」(伊藤)と後輩が4年生の思いを受け継ぐ。優勝まであと一歩だ
(記事 小野寺純平 写真 小野寺純平、関飛人)
結果
▽団体
2位 2264点
▽個人
山本 優秀選手賞
コメント
山本拓磨(法4=東京・早大学院)
――今大会を振り返っていかがでしたか
1日目から条件が良く点数が大きく動くことになりました。早稲田は自分と古田が思いのほか苦戦してしまい、初日から速度差(周回の速度によって点数が決まる)で点差を付けられてしまう展開になりました。そこから条件が良い日があまりなかったものの、慶應のエースが得点を重ね、早稲田も私含めて必死に食らいつけたものの少しずつ点差が開いてしまいました。大会5日目は早慶両校が意地をはり合って得点する良い日でした。大会終盤に向け良い流れができたところで突然終了となってしまい、結果としては煮え切らない部分があります。
――ご自身のフライトを振り返っていかがでしたか
1日目に苦戦してしまい、周回はしたものの慶應にリードを許す展開にしてしまったのは課題だと思います。2日目からは高校から航空部である慶應のエースに引けを取らずに食らいつけたのは自分でも満足しています。特に5日目では条件があまりよくないなか3時間を超える必死のフライトで1番に旋回点にたどり着けたのは非常にうれしかったです。
――個人として早慶戦ではどのような目標をもって臨みましたか?
今年度の大会(六大戦、関東大会)では全て慶應に負けて準優勝だったので今回こそ直接対決で勝つというのが目標でした。そのためにも、特に慶應の1番手のエースがネックになるのはわかっていたので、そこで引けをとらず食らいつくことで実力的にそこまで差がない2番手以降で勝負をかけられるようにするのが自分の仕事だと位置づけました。
――後輩に向けて一言お願いします
全国大会も中止になってしまい、日本一になるという目標は達成できませんでした。また、結局のところすべての大会で慶応に負けて準優勝という結果なので、来年度こそは慶應に勝って優勝してほしいです。
――同期に向けて一言お願いします
私たちの代は1年生で事故を経験し、辛いなかでも力を合わせて乗り越えてきた経験があります。特に自分は支えられた部分が多いと思います。感謝と同時にこれからもよろしく、と伝えたいです。
――ご自身の航空部での四年間を振り返っていかがでしたか
1年生の事故で半年ほど休止期間がありましたが、結果として慶應には一歩及ばなかったものの全国でも優勝を狙えるレベルまで来れたのは満足しています。航空部で学んだことはグライダー以外にもたくさんあるので、今度は是非それを教える立場として航空部に関わっていきたいと思います。
古田一輝(基理4=東京・早大学院)
――今大会を振り返っていかがでしたか
後輩や今まで支えてくださった先輩方に、早稲田の勝利を本当に見せたかったので、悔しい思いしかないです。ただ、チーム一丸となって目指すことの価値を大きく感じた大会でした。
――ご自身のフライトを振り返っていかがでしたか
相手の得点が先行した状況でも、パイロットとして、冷静に判断し、得点に結びつけられてところは、よかったと思います。ただ、まだまだ自分の実力不足を痛感したことの方が大きく、大会を通じて成長を実感していました。
――個人として早慶戦ではどのような目標をもって臨みましたか
ここ数年、早稲田の優勝がない中、早稲田団体としての優勝を目標に掲げて臨みました。
――後輩に向けて一言お願いします
みんなに勝利を届けることはできなくて、本当に悔しいです。だけど、みんなの支えはとても心強く、応援は胸に響いていました。感謝でいっぱいです。本当にありがとうございました。今後もずっと応援し続けます。
――同期に向けて一言お願いします
最高の仲間にめぐり合えてから、辛いことを乗り越え、これまでいっしょに戦えたことを誇りに感じます。本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
――ご自身の航空部の4年間を振り返っていかがでしたか
楽しいことよりも辛いときの方が多かった航空部生活だったかもしれません。それでも、最後まであきらめず、仲間とともに成長し続けられたことは、自分の財産として残る最高の思い出でした。
伊藤万貴(教3=東京・早実)
――今大会を振り返っていかがでしたか
今大会は、気象条件が思うようにいかず、強風や雨天に苦しめられました。そんな中でもしっかり周回、ポイントを獲得した先輩方の実力の高さと自分の力量不足を痛感しました。一瞬のチャンスを逃さない選手とそうでない選手では大きな差が出てしまう状況でしたが、機体ハンディを背負いながらも検討したと思います。しかし、結果はしっかりと受け止めてフライトを見直したいと思わされる大会でした。
――ご自身のフライトを振り返っていかがでしたか
1度チャンスの場面でフライトをしましたが、ノーポイントでした。フライト自体は全力を出し尽くせたと思いましが、今後に課題の残るものでした。先輩方に貢献することが出来なくてとても悔しい思いと、チャンスの少なさを来年までに埋めて、飛ぶことのチャレンジャーとしてリベンジしたいです。
――今大会で4年生が卒部となってしまいましたが、4年生に向けて一言お願いします
先輩方に貢献するどころか足を引っ張ってしまったこと大変申し訳ないと共に悔いが残ります。特に、大好きだった先輩方と勝利できなかったのは悔しいです。しかし、先輩方が事故後切り開いてくださった航空部活動を、十分に活かし来年こそは全勝しますので、期待していてください。
――今後に向けて一言お願いします
絶対に勝利しそれを早稲田大学航空部の伝統とすることが目標ですので、一歩ずつ成長し、目標を達成してみせます。また、多大なる方々のご協力、ご支援、ご声援があって部活に打ち込めていることの感謝を忘れず、活動して参ります。今後ともご声援の程よろしくお願いします。