3月1~9日、第54回全日本学生グライダー競技選手権大会が熊谷の妻沼滑空場で行われた。全国のグライダーが集う中、ワセダからは早稲田LS、早稲田23の2チームが出場。初日から雨に見舞われ、その後も強風などの悪条件が続いたが、限られたフライトの中でエース風間勇輝(基理4=茨城・江戸川学園取手)を中心に周回を成功させ、得点をあげた。結果は、早稲田LSが団体優勝、早稲田23が団体4位。個人としては、風間が2位、梶山健光(基理4=東京・佼成学園)が5位に入賞。今大会では、前半から着々とポイントを重ねていたにもかかわらず、後半は得点獲得するチームが相次ぎ、順位の変動も多く見受けられた。
フライトから戻るWW機
今大会でもやはりエース風間は、次々と周回を成功させ、ワセダLSチームの得点源として貢献。ノーコンテスト以外の日は毎回ポイントを重ね、個人でもトップに躍り出たため、団体・個人ともに優勝かと思われた。しかし、全国大会最終日。この日にポイントを奪えなかった風間は、最後の最後で逆転を許してしまい、2位に転落。団体成績も終盤に近づくにつれ、逆転が危ぶまれたが、なんとか逃げ切り、早稲田LSは優勝で締めくくる。「個人でも逆転されて、団体もあとちょっとで逆転されるところだった」(風間)と、ラストの逆転で悔しい結果とはなったが、団体優勝を第一の目標として臨んだ風間の表情は明るかった。
試合後、土手上で笑顔の部員たち
休む間もなく全国大会の2日後には、早慶戦を控える航空部員。「早慶戦は部員全員が集まって闘う大会なので、みんなでまとまって大会をやっていきたい」と語る安達拓人主将(先理3=神奈川・湘南)は、部全体のまとまりを尊重している。一人一人の課題も見つかった今大会での修正点をわずかな日数で調整していき、いかに慶大を引き離せるかが重要になってくる。
(記事 須藤絵莉、写真 宮西祐香子)
結果
▽団体
早稲田LS(風間・後藤峻・安達) 2830点 優勝
早稲田23(梶山健光・平井紀江) 2441点 4位
▽個人
風間勇輝 2126点 2位
梶山健光 1770点 5位
コメント
風間勇輝(基理4=茨城・江戸川学園取手)
――今大会をふり返っていかがでしたか
まずは、運がよかったな、と思います。実力も多分全体の中で、1、2を争うぐらいはあったと思うんですけど、18機もある中で、いいタイミングで上がれるというのは、くじ運がよかったなと思います。長時間開いてしまうと、空の条件が変わっちゃうので、運のいいところにいれたのでよかったです。
――個人2位、団体優勝という結果についてはどう思われますか
自分たちが大会前にみんなで決めて臨んだのが、団体優勝を第一目標でやってきたので、それが達成できてすごい嬉しいです。個人の優勝も狙えたとは思うんですが、そこは付属だと思うので、2位でも十分嬉しいです。
――今までこの大会に向けて、どのような練習をしてきましたか
ことしに入ってから、1月中は妻沼滑空場でいい条件で練習できたのですが、2月は雪が降ってしまったので、もっと東にある春日部の関宿滑空場に機体を運んで、他の大学が飛べない中、自分たちは訓練できたので、そこが大きなアドバンテージになったのではないかなと思います。
――早慶戦まで残りわずかですが、どのように調整していきますか
あしたが集合日なので、また来なければいけないのですが、それまで家に帰って休みます。
――今大会で課題は見つかりましたか
自分は最終日に他の機体が得点してる中で、得点できなかったので、個人も逆転されて、団体もあとちょっとで逆転されるところでした。もうちょっと粘って、悪い条件でも得点するという点が自分のまだ弱い部分だなと思いました。
――全国大会という場で、他大学から得たものはありますか
慶應大学が初日から運が悪くて、実力的はすごい選手が多くて、優勝候補の一つだったんですけど、くじ運が悪くて、その実力を発揮できずにいたんですが、最後の方の追い上げがすごくて怖かったです。諦めずに確実に得点を重ねていく力が慶應大学から感じられて次の早慶戦から楽しみです。
――早慶戦に向けて、意気込みをお願いします
ミスなく優勝します!
後藤峻(政経3=三重・津)
――今大会をふり返っていかがでしたか
楽しい大会でした。僕は、この全国大会を目標に入部して、やっとここまで来て、初めて優勝できて、いい大会でした。
――課題は見つかりましたか
2日目は他の人が周回をする中で一緒のタイミングで飛んで、同じように周回ができたというのが一つ自分の中でいい点だったんですけど、それに対して1日目は他の機体が回れない中、自分は高いところまでは行けたんですけど、そこで回ることができなくて、すごく反省しています。早慶戦は、機体数が少ない中で闘うし、相手の実力も高いので、自分がどれだけ能力差を出せるのかっていうところで周りきれないのは反省します。
――全国大会の場で、他大学から得たものはありますか
期間が長いので、精神的なものを維持するというのも大変で。狭い宿舎でたくさんの大学がいて、僕らは立命館大学と相部屋だったんですけど、すごい楽しそうに過ごしてたので、そういうリラックスして過ごす過ごし方もいいなと思いました。
――早慶戦に向けて、意気込みをお願いします
一緒のタイミングに飛ぶ選手には、絶対負けないようにがんばります!
安達拓人(先理3=神奈川・湘南)
――今大会をふり返っていかがでしたか
減点がなかったので、よかったです。得点できて順位が上がるのはあたり前なんですけど、他のチームとかは減点とかもあったので、うちらのチームはそういうのがなかったのでよかったです。
――課題は見つかりましたか
風間さんが飛んで、その次が後藤で、その次が私という順番でフライトしていくんですけど、三番手ということで、飛ぶチャンスもなかなか天候が悪くて一番手の風間さんしかフライト出来ない日とかもあったんです。その中で私が唯一飛べるチャンスで、そこそこ条件もあったタイミングで、私が周回できず得点できなかったので、そこが一番の課題です。
――主将から見て、今の部の状況はいかがですか
全国大会はわりと選手と数人の手伝いのクルーだけで、ほとんど回せてしまうのですが、全員が集合してこの妻沼で活動しているわけではないので、全員の顔を見ながら全国大会ができたわけじゃないので、そこが心配です。早慶戦は部員全員が集まって闘う大会なので、みんなでまとまって大会をやっていきたいと思います。
――現在のライセンス取得の状況は
今ライセンス持ってるのは、今の4年生含めて6人で、同期や一個下の2年でライセンスまでもう一歩の者がいるので、来年の9月の六大学までには、もう3人くらいは増えると思います。
――全国大会の場で、得たものはありますか
関西の大学と触れ合えるのは、この全国大会くらいしかないので、関西系の大学から学ぶものは多いです。関東の大学はたくさん飛ぶ機会があるんですけど、関西の大学は飛ぶ機会が少ないみたいで、一つひとつのフライトに対してすごく貪欲に飛んでいる感じが刺激的でした。場所はあるんですけど、規模が小さくて滑走路が短かったりするらしいです。
――早慶戦に向けて、意気込みをお願いします
ドーンと堂々と飛びます!
梶山健光(基理4=東京・佼成学園)
――試合全体を振り返ってみていかがでしたか
楽しかったです。順位はあまり考えませんでした。この後も早慶戦を控えているので、それに向けて調整できたかなという感じです。
――今大会で何か課題は見つかりましたか
強い風のときに上がっていくことが難しくなってしまうので、今大会でも使ったクラブ機(大会では使用しない練習機)で周回できるようにすることが課題です。
――2日後の早慶戦へ向けて意識していきたいことはありますか
早慶戦はクルー含めてチーム全体で戦うので、そこを全員が勝つという高い意識を持ってやっていくことが大事だと思います。今大会で多かった遅刻や、部屋を綺麗にするなど、そういうところを、しっかりとやった上で一丸となって頑張っていきたいです。
――新体制になって少し経ちましたが、後輩の状況はいかがですか
どんどん進歩していて素晴らしいと思います。
――早慶戦での意気込みを教えて下さい
死なない程度に頑張ります(笑)。
平井紀江(法3=兵庫・星陵)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
私自身、この大会で初めて得点して、団体4位という結果に結びついたので、少しでもサポートできたことが嬉しかったです。個人は、飛ぶ順番とかがあったので、あまり上位は狙わずに、自分ができることをしようと思っていたので、この結果で満足しています。
――今大会で何か課題は見つかりましたか
課題は、得点は一回できたのですか、冬の強い風での飛び方であっとり、もう少し何とかできたかなという場面はありました。経験の量とか資料を調べたり、そういうことをしていれば、もう少し足掻くことはできたかなと思います。
――早慶戦へ向けて意識していきたいことはありますか
早慶戦のルールの五角周回という大きな周回をひとりでしたことがないので、何キロ、何メートルあれば、大丈夫かという目安であったり、あとは風の向きや速さを気にしたフライトとか、冬の教官と一緒にした訓練とかを思い出して、それを活かせたらいいなと思います
――機会無線主任という役職はどのようなことをするのですか
この大会でも使っていた無線機やウインチから出ている索をさらにまたグライダーにつなげるような部品があるのですが、そういった部品を作ったり管理している係のリーダーです
――女性部員は少ないですが、ライセンスの取得を目指している選手は他にもいらっしゃるんですか
同期のもう一人の女の子も単独での飛行の回数を重ねる努力をしています。あと下の2年生は3人いて、フライトに意欲的なので彼女たちも、またその下の1年生も目指して頑張っていると思います
――早慶戦へ向けて意気込みをお聞かせ下さい
私は出場選手の中では全然経験も少なくて、技術面でもけっこう劣っているところもあると思うのですが、自分が飛ぶ番になったら、しっかり自分のことができるように、そして、自分がしたことが、できれば周回につながるように頑張りたいと思います