関東大学トーナメント準決勝が開催され、早大ボクシング部からは4人の選手が出場し戦いに挑んだ。フライ級・岩田翔吉(スポ4=東京・日出)が試合開始1分ほどでTKO勝ちという好調なスタートを切ったが、続くライト級・井上稜介主将(スポ4=東京・八王子東)はダウンを奪われTKO負けとなる。ライトウェルター級・藤田裕崇(社4=愛知・清林館)は、持ち前のスタミナでしっかりと戦い抜いたが判定負けとなり、ウェルター級・土田大輔(教3=富山・呉羽)は最後の最後まで勝敗が見えなかったが、僅差で判定負けという結果になった。
最初にリングに立ったのは岩田、対峙したのは東大の選手だった。ゴングが鳴って間もなく試合は岩田の独壇場となる。抵抗を一切許さず相手を打ちのめし、僅か1分で2度のダウンを奪ったところで、レフェリーが慌てて試合終了を告げた。残酷な程の力量差を見せつけて、岩田は見事に勝利を収めた。続く井上主将の相手は日体大の選手である。序盤は果敢に攻め込み相手を圧倒していたが、相手の重いパンチに苦戦し、2R2分でTKO負けとなった。滑りやすいリングが災いしてスリップ(足が滑りバランスを崩すこと)し、それをダウンと判定されていたようにも思えたが、「言い訳にはならない」と潔く語る井上主将。試合終了後一瞬見せた涙は、この日までに積んだ練習、主将としての思いなどを感じさせるものであり、胸を打たれた。
強烈なパンチを叩き込む岩田(左)
藤田も同じく、日体大の選手と対戦した。「間違いなく今まで対戦した中で一番強い相手だった」と語った藤田は、鋭い左ジャブで攻め、見事に3分3ラウンド、その最後の1秒まで戦いつくしたが、勝利には残念ながら一歩及ばなかった。最後に登場した土田も、日体大の選手を相手に戦った。ストイックな土田は、厳しい練習と自制で自らを追い込み今日に備え、リングの上でその実力を発揮した。重みのある右パンチを数多く叩き込んだものの、相手選手も手強く、その力量は拮抗する。勝敗が最後までわからない白熱した試合となったが、僅かな差で惜しくも敗北を喫した。
闘志に溢れる藤田
今回の準決勝は、初戦終了時点のポイントで同点を獲得し、3部の首位にあった日体大と早大の実質的な一騎打ちであり、2部昇格を大きく左右する一戦であった。残念ながら昇格は難しくなったが、4人の試合は非常に見応えのあるものであり、それぞれの熱意、勝利への意気込み、喜びに満ちた表情や、悔しさを滲ませる様子、その全てが観客を魅了したのは間違いないだろう。また、決勝進出を決め、4年連続優勝に大手をかけた岩田の活躍からは目が離せない。7月の後楽園ホールに、チーム全員の思いを背負って臨むエース岩田は、どんな戦いを見せてくれるのか。決勝戦が楽しみである。
(記事 庄司笑顔、写真 新津利征、庄司笑顔)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
▽準決勝
フライ級 ○岩田翔吉 TKO(1R1分1秒)
ライト級 ×井上稜介 TKO(2R2分)
ライトウェルター級 ×藤田裕崇 0-3(27-30、27-30、27-30)
ウェルター級 ×土田大輔 1-2(28-29、30-27、27-30)
コメント
岩田翔吉(スポ4=東京・日出)
――試合にはどのような気持ちで臨まれましたか
勝って、次に良いバトンを繋ぎたいと思っていました
――序盤から好調でしたね
そうですね。きょうは左パンチの調子が良かったです。
――最初からダウンを狙っていきましたか
はい。しとめてやろうという気持ちでした。
――ダウンを決めた際はどのように感じましたか
勝てるなと思いました。
――TKOになった場面はどのようなパンチだったのでしょうか
左ボディでした。
――今日の試合はご自身としてはいかがでしたか
合格点といったところですかね
――最後に次戦に向けて一言
KOで優勝します。
井上稜介主将(スポ4=東京・八王子東)
――試合にはどのような気持ちで臨まれましたか
今日は準決勝でしたが、実質的に、日体大と早大の一位争いで、2部昇格のためには大事な試合でした。勝ちたかったです。
――実際に戦ってみていかがでしたか
相手のパンチが予想よりも強かったですね。勝てなくて申し訳ない気持ちです。
――ダウンをとられたというより、スリップされたように見受けられましたが
ダウンは正直足が滑ったためというのもあります。リングが滑りやすかったこともあり、ちょうどふらついたところで相手から強いパンチを受けてしまい、バランスを崩したという感じです。ですが、言い訳にはならないので。
――早大ボクシング部全体として、今回の試合を振り返っていかがでしたか
自分以外は良かったと思います。岩田は強いので3部では勝って当たり前という感じですが、そこで確実に勝つところが流石だと思います。藤田も土田もよく頑張ってくれました。
――今後の展望をどうぞ
7月にある岩田のトーナメント決勝までがチーム戦です。それまで、チーム全員で戦っていきたいと思います。
藤田裕崇(社4=愛知・清林館)
――どのような気持ちで試合に臨まれましたか
絶対に勝つという気持ちで臨みました。
――試合はいかがでしたか
絶対に勝つという気持ちで臨みました。相手選手は、今まで対戦した中で一番強かったです。
――試合の感想をお願いします
負けることは本当に考えていなかったし、とにかく悔しいです。どうしても勝ちたかったし、結果的に2部昇格も難しくなってしまったので、本当に悔しいです。
――ご自身の試合を振り返って
まだまだ自分は『ボクシング』ができていないなと思いました。ただ、どんなにきつくても気持ちだけは折れず、3R最後まで諦めずに戦い通しました。それが見ている人に伝わったなら、4年間ボクシングを頑張ってきて良かったなと思います。
土田大輔(教3=富山・呉羽)
――試合にはどのような気持ちで臨まれましたか
部での練習だけでなく終わった後も筋トレに取り組み、禁酒もして今日に備えました。4年生の先輩方が自分の前に2人負けてしまっていたので、恩返しという意味でも、しっかり勝たなければならないと思い、試合に臨みました。
――試合を振り返って
緊張していて、少し動きが硬くなりましたが、試合が始まったら割といつも通り動けました。
――ご自身のどのような点が良かったと思われますか
パンチがよく当たったし、相手のパンチも見えていました。
――改善したい点はありますか
もっと練習しようと思います。最後のラウンドが結構きつかったので、3Rしっかりフルに戦えるスタミナをつけたいところです。
――最後に今後の意気込みをお願いします
コラソン!(corazon:スペイン語で、心、心臓を意味する)今回の試合前に多くの人に「コラソン!」と励ましてもらいましたので、これからも胸に刻んでいきたいです。