ことしもついに始まった、関東大学ボクシングトーナメント(トーナメント)。二年前に2部から3部への降格を喫してしまった、あの無念の雪辱を果たすべく、日々練習を重ねてきた早大ボクシング部からは、5名の選手がトーナメントに臨んだ。このトーナメントで、各選手は試合に出場し、勝利して得点を稼ぐ。そしてその合計点が、3部に所属する大学の中で1位になれば、2部と3部の入れ替え戦への出場権を勝ち取ることができる。この1回戦はその道のりの第一歩となる大切な試合だ。
1日目、好調なスタートを切ったのは、エース岩田翔吉(スポ4=東京・日出)。持ち前の冷静さで相手の隙を的確に狙い、3分3R全てにおいて相手を圧倒し続けた。特に強烈なボディブローを叩きこむ姿に、敵味方問わず震え上がったことは間違いない。「久々に3R戦った」と岩田にとっては新鮮みもあったようだが、堂々のフルマークによる判定勝ちにはやはり脱帽である。続く馬場友成(スポ3=神奈川・湘南学園)は、序盤から果敢に前に出る好戦的な姿勢を見せた。しかし力量は拮抗し、2R後半、馬場は惜しくもダウンを奪われ敗北を喫する。この日最後の試合に臨んだのは、早大ボクシング部主将、井上稜介(スポ4=東京・八王子東)。今回が主将として初めての試合となった。「ワセダを背負うことのプレッシャーを感じた」と語ったが、それを感じさせない強気な姿勢で、早々に試合を支配する。絶え間ないジャブで相手を押さえ、自身のペースから逃がさない。そうして着実に追い詰めた井上は、3R1分32秒、TKOで見事勝利を収め、主将として非常に頼もしい姿を見せてくれた。
先陣を切って勝利を掴んだ岩田(右)
2日目、最初にリングに上がったのは藤田裕崇(社4=愛知・清林館)。今回の対戦相手は今まで戦ってきた中でも一番の高身長だったそうだが、腕の長さ(リーチ)の差をものともせず、鍛え上げた脚力で懐に入り込んでいき、右パンチを繰り出した。その豊富なスタミナ、ハイレベルなフットワークが勝利の決め手だったといえよう。1回戦の最後を飾ったのは土田大輔(教3=富山・呉羽)。試合に臨んだ際は、「近頃勝てていなかったので緊張していた」と言う土田だが、あっという間に相手を追い込んだ。相手の体力、精神力を大きく削り取る力強いパンチで、試合の流れを完全に掌握する。最後は左アッパーでダウンを奪い、1R2分56秒で華々しい勝利を収めた。正に格の違いを見せつけた一戦であったといえるだろう。
ワセダを背負い導く井上主将
2日間で計4勝を挙げた早大ボクシング部。最上の結果とは言えないかもしれないが、それぞれの選手たちが、この日のために並々ならぬ練習を重ねて、全力で臨んだことが感じられる一戦であった。入れ替え戦への出場権を得るためには、個々の勝利、優勝が必要になる。選手たちは確実にそれを掴み取る意志の強さ、実力を兼ね備えている。また、試合に臨むのはリング内で戦う選手たちだけでなはない。リングの外から声援やアドバイスを送るチームメイトたちも、勝利への気概と、仲間への信頼が溢れていた。その強い絆も、今後大きな鍵となるだろう。2部昇格への期待は高まるばかりだ。次は6月の準決勝。その活躍から目が離せない。
(記事、写真 庄司笑顔)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
▽1回戦
フライ級 ○岩田翔吉 3-0(30-27、30-27、30-27)
バンタム級 ●馬場友成 TKO(2R2分4秒)
ライト級 〇井上稜介 TKO(3R1分32秒)
ライトウェルター級 ○藤田裕崇 2-1(29-28、28-29、30-27)
ウェルター級 〇土田大輔 TKO(1R2分56秒)
コメント
岩田翔吉(スポ4=東京・日出)
――今日の試合はいかがでしたか。
久々に3R戦いました。普段KO勝ちが多いので。
――序盤は相手を分析し、徐々に自分のペースに引き込んでいる印象でしたが
そうですね。最初は相手を見て、そこからは攻めていきました。
――的確に相手の隙にパンチを入れていらっしゃいましたね
空いているところが見えてましたから。
――今日の試合での見所はどこだったと思われますか
やっぱりボディですかね。
――今後の意気込みをお願いします
4年連続優勝を達成したいと思います。
井上稜介主将(スポ4=東京・八王子東)
――今日の試合はいかがでしたか
主将として初めての試合でしたから、プレッシャーがありました。ライト級での試合としても初めてでした。
――これまではライト級ではなかったのですか
部での兼ね合いから、当初はフライ級、続いてバンタム級に所属していましたが、今回はライト級で臨みました。
――試合に影響はありましたか
普段からライト級で戦っている選手と比べると、体格差があります。今回は体格差を意識しながら手数を繰り出し、前に出て相手との距離を縮めていきました。
――主将として試合に臨むと、やはりプレッシャーを感じるのですね
ワセダを背負っていますからね。歴代の先輩方はこんな風に感じていたんだなと改めて知りました。ですが、同時に周囲の応援に支えられていることも感じられました。先輩方を超えられるようになりたいと思います。
藤田裕崇(社4=愛知・清林館)
――今回の試合では何が勝利につながったと思いますか
相手が背の高い選手だったので、その対策をとったことでしょうか。
――対策とは
身長の差はリーチの差に繋がります。リーチの長い相手との試合では、踏み込みが大切になります。ですが普段から走り込みをやっていて足には自信があるので、あまり心配はしていませんでした。
――走り込みと仰っていましたが、普段どのように鍛えていらっしゃるのでしょうか
ランニングですね。毎日5キロは走ります。ただまっすぐ走るだけでなく、色々な走り方を織り交ぜて考えながら鍛えています。
――今後の意気込みをお願いします
優勝を目指します。誰よりも練習量しているという自信があります。次の対戦相手は強敵となりそうなので、まずはそこを乗り越えたいです。
土田大輔(教3=富山・呉羽)
――今回の試合はいかがでしたか
近頃勝てていなかったので、緊張していましたが、上手くやることができました。
――何が勝利につながったと思いますか
相手に恵まれていたかなと思います。
――TKOになった場面のパンチは
左アッパーです。
――では今後の意気込みをどうぞ
まずはトーナメントで優勝します。コラソン!(corazon:スペイン語で、心臓、心を意味する)