【特集】早慶主務対談

ボクシング

 第62回早慶ボクシング定期戦が12月1日慶大日吉キャンパスにて開催される。今回は早慶主務対談ということで、選手たちをさまざまな面からサポートしている早大・岸本拓也(スポ4・兵庫・明石城西)と慶大・重増耕太郎(4年)の
お二人に普段の役割や早慶戦に向けた気持ちなどを語ってもらった。

 ※この取材は10月18日に行われたものです。

「トリプルタスクを遂行する能力が大事(岸本)」

主務兼トレーナーとして日々部を支える岸本

――お二人のボクシングとの出会いを教えてください

岸本 受験生時代ってストレスが溜まるじゃないですか。そこでたまたまボクシングを観たら、これは面白そうと思って、受験終わってから1ヶ月間ボクシングジムに通ったのが出会いですかね。

重増 僕は、大学に入って打ち込めるスポーツを探していて、いろいろな部活を回った結果がボクシングでした。

――主務になったきっかけは

岸本 留学中に監督から「主務やりますか?」と言われて、イエスしか選択肢がなかったです。自分ポンコツなのでできるかな、と思ったのですが仕方がなかったですね(笑)。

重増 3年生の時に副務をやっていて、一個上の小笠原さん(小笠原夢生=平30卒)に主務をやるかどうか聞かれて、副務をやっていて大変だったのですが、ここまできたらやろうと思ってやりました。

――前の主務の方にアドバイスなどはもらいましたか

岸本 今でも全然もらうんですけど、頑張ってくださいと言われました。

重増 連絡を早くしろだとか、信頼を得るためのアドバイスをもらいました。

――主務の仕事を教えてください

重増 基本的に部活の窓口だと思うので、体育会本部や学校から来る書類をもらって、下のマネージャーに流しています。あとはOBと連絡を取っています。

岸本 それはしてますね。

重増 主務はOBとの連絡が大事なので。

岸本 何かあったらとりあえず主務が受けることが多いですね。

――主務に求められる資質とは

岸本 マメさと、あとはダブルタスク、トリプルタスクになってもしっかり遂行できる能力が大事ですね。人間は忘れる生き物なので、2つ3つと(仕事が)増えると気が抜けちゃったり、忘れちゃったりするので、そこをしっかりメモするなり処理する能力が大事かなと思います。

重増 うちの部の場合は、マネジメントということで、部全体を見渡して不足がないかを確認したりする“全体を見る力”が大事なのかなと思います。

岸本 確かに。

「選手としても主務としても活躍できれば(重増)」

にこやかな表情で質問に答えてくれた重増

――主務業をしていてつらかったことは

岸本 ポジティブなことはなくて、失敗した思い出しかないです。「俺ポンコツだな」って。

重増 つらかったことの具体的なエピソードはないですが、基本的に主務をやっていると仕事が増えてきて、僕の場合選手兼主務なので、選手をやって疲れているのに、主務をやるのは大変でした。

――岸本さんは学生コーチとの兼任ですが、両立は大変でしたか

岸本 学生コーチも主務もどちらかというと俯瞰して見る立場なので、そこは類似点があるのかなと思っていて、そこはすごくやりがいを持ってやっています。選手も困ったことがあったら聞いてくれたりするので、そこは自分自身応えていきたいというのは常日頃ありました。

――その主務の苦労を部員は感じていると思いますか

重増 うちは結構選手も分かってくれているので、それはありがたいです。僕は結構、疲れると愚痴を言ってしまうので、4年生の仲良い人と飲みに行ったりすると、主務忙しいみたいな話をしているので分かってもらえるのかもしれません(笑)。

岸本 僕も結構分かってもらえていると思います。今週ちょっとインターンで部活にあまり行けなくて、下級生に仕事を頼んだらやってくれたりと恵まれているなと感じました。

――主務としてのやりがいはどうですか

重増 たしかにやりがいはあると思います。主務をやることでOBの方と関わって、感謝の言葉をいただいたりだとか、あと僕は試合ですごく活躍していた選手ではないので、その分主務としての部のマネジメントに携わることで、少しでも部に貢献できたのかなというような気持ちは少し感じました。

――お二人から見て両校ボクシング部の印象は

岸本 すごく戦法を考えてるなと思います。なかなか技術で勝負しても高校からやっている人には勝てないので、スタミナと気持ちで押し勝つっていう戦い方だなと思います。

重増 ワセダは一時期部員が少ない時期があったんですけど、最近増えていて盛り返してきたなというか、土田くん(土田大輔主将=教4・呉羽)のイメージが強いので…。(笑)

岸本 それネガティブな方ですよ(笑)。

重増 ワセダボクシング部というと土田くんの顔が浮かびます(笑)。

――今までの早慶戦で印象に残っている場面は

重増 2年前、ちょうどケイオー開催でかつ60回目だったので、大規模に行われたのですが、結局ミドルの手前までで3ー3だったんですよね。それでうちの徳山さん(徳山雄太=平30卒)と垂水さん(垂水裕嵩=平29法卒)がすごく拮抗した試合をして、その日は結局ケイオーが勝ったんですけど、印象に残っています。

岸本 僕も第60回はすごく印象に残っていて、すごくかわいがってもらっていた当時の4年生の代で主将だった淡海さん(淡海昇太=平29教卒)がずっと勝てなくてすごく努力しているのを見ていたので、結果負けてしまったんですけど、背中を見れたという点ですごく印象に残っています。

――早慶戦に対する思いを教えてください

岸本 やはり勝利ですね、試合は勝たないと面白くないし、勝つために努力しているので。ケイオー有利と思われているので、そこでうちが一矢報いれれば、ドラマをつくれればなと思いますね。うちが最近変わったことは、昔活躍されていた大久保さん(大久保賢児=平21卒)という方をコーチに迎えていて、今すごく後輩も伸びているので、1年生の努力とかもぶつけられればなと思います。

重増 4年生最後で、幸いなことにホーム開催なので、選手としても主務としても出場して、活躍できればなと思います。

――お二人にとって早慶戦とは

重増 リーグ戦ももちろん負けられないんですけど、ワセダとケイオーってどのスポーツでもライバルなので、みんな負けられないなと感じていますね。

岸本 二つあって、まず一つは特別な試合ということ、あと一つは冬の練習の成果を発揮する場所ということです。冬は大きな大会がないのですが、ありがたいことに早慶戦があるので、モチベーションを切らさずに頑張れます。

重増 下半期の目標ですね。上半期がリーグ戦で、下半期が早慶戦という大きな目標です。

――最後に早慶戦に向けての意気込みをお願いします

重増 月並みな言葉にはなってしまいますが、今年も盛り上がる早慶戦をつくろうと思いますので、ぜひ応援に来てください。

岸本 今年はボクシング界が揺れましたが、その中でも純粋な気持ちでボクシングをしている選手もいるので、そのピュアなプレーを観に来ていただけたらなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 森田和磨)

早慶ボクシング部を多面的に支える二人にも注目です

◆岸本拓也(きしもと・たくや)(※写真左)
1996年(平8)6月19日生まれ。174センチ。75キロ。兵庫・明石城西高出身。スポーツ科学部4年。主務と学生トレーナーの二つの役割で部員を心体共に支える重要な存在です。

◆重増耕太郎(しげまし・こうたろう)(※写真右)県千葉高出身。慶大法学部4年。選手兼主務として仕事をこなす慶大ボクシング部に必要不可欠な重増主務。今年の早慶戦では開催を支えつつも、選手としての出場、勝利を目指します。