リーグ初戦、接戦を制す

ボクシング

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)。2部リーグに所属するワセダは、2ヶ月にわたって5校と対戦する。7人の団体戦で行われる試合は、おのおの「3分3ラウンドという短いラウンドの中で、全部の力を出し切らなければならない」(原田優樹主将、文4=埼玉・開智)。リーグ初戦で専大と対戦したワセダは新人選手が3名出場した中、原田主将が先陣を切る判定勝ちでチームに勢いを付けると、第6戦で伊藤未来也(スポ2=東京・駿台学園)が強烈な左フックでRSC勝ちを収めるなど、4-3で接戦を制した。

 第1戦に登場したのは原田主将。フライ級からライトフライ級に階級を下げることになり、今回大幅な減量を強いられた。厳しい減量の影響でスタミナが低下したが、「応援してくれている後輩がいるので、試合の時にスタミナが切れましたとは言えない」(原田主将)と最後は気力で相手を上回り、怒涛のパンチでポイントを稼ぎ判定勝ちを収めた。主将の勝利で勢いに乗ったワセダだったが、2戦目のフライ級・佐藤雄介(政経2=宮城・泉館山)は第3ラウンド、左フックで相手に応戦するも判定負け。1-1と専大に並ばれてしまう。続く第3戦、バンダム級・佐藤雄介(法4=北海道・旭丘)は第2ラウンドは劣勢だったが、第3ラウンドで攻勢に出てポイントを奪い、判定勝ちで2-1とした。

鋭いパンチを繰り出す原田主将(奥)

 リーグ初戦ながら、ワセダは新人選手3名がエントリーした。第4戦・ライト級に出場したのは新人・江口礼(スポ1=栃木・作新学院)。高校時代、3年連続(’10~’12)で関東大会を制し、昨年の総体ベスト4の成績を持つ実力者は、一階級上の4年生に対し互角以上の戦いを見せた。高橋宏和監督(昭60理工卒=岐阜・多治見北)が「負けた江口がいちばん良い試合をした」と語るなど、第2ラウンドでは左右フックの連続パンチを繰り出した。試合はまさかの判定負けとなったが、実力が伺えた。続く第5戦のライト級も新人の淡海昇太(教1=神奈川・浅野)が出場。第3ラウンド残り2分から激しいパンチで攻める展開に持っていくも、淡海も判定負けとなった。3敗を喫し、後が無くなった状況で迎えた第6戦。自信を持ってリングに上がったという伊藤未来也(スポ2=東京・駿台学園)は、迎えた第2ラウンド。相手の攻撃を交わした直後に鋭い左フックが決まる。この試合唯一のダウンを奪い、そのままRSC勝利。第2ラウンド1分54秒で決まった試合後は、リング脇で「去年少し伸び悩んでいた未来也がきょう会心の出来で勝てた」と語った原田主将らチームメイトと共に喜ぶ姿を見ることができた。3-3、勝負の行方は第7戦、ウェルター級の新人・ヤバシ・チャータイ(スポ1=愛知・名古屋工学院専門学校)に託された。昨年の総体覇者であるヤーチャイは「3ラウンドでRSCいけると思った」と、大学デビューとは思えない堂々たる試合運びを試みる。しかしこちらも8キロの減量がスタミナに影響し、なかなかパンチが出なかった。放つ度に右フックがインサイドブローの反則を取られ、「考えながら試合をしてしまいました」(ヤバシ)という。それでも有効的にパンチを繰り出し、見事判定勝ち。「リーグ戦全勝」を目標とする期待の新星が、まずはかろうじて勝ち星をあげた。

RSC勝利を決める左フックを放つ伊藤(右)

 合計4-3。ワセダは専大相手に接戦を制し、リーグ初戦を勝利で終えた。「単純に実力」(高橋監督)で出場した3名の新人選手もそれぞれが持ち味を出した。原田主将が言うように、「もう少し勝利への執念を持ってくれれば更に結果も付いてくる」と、次戦以降の活躍が期待されるそれぞれが「一試合、一試合ベストを尽くす」(高橋監督)先に、念願の1部昇格がある。

(記事 佐藤裕樹、写真 三尾和寛)

結果

▽ライトフライ級

原田優樹○ 判定 ×山本 諒

▽フライ級

佐藤雄介× 判定 ○高橋将貴

▽バンタム級

佐藤雄介○ 判定 ×岩澤 翔

▽ライト級

江口 礼× 判定 ○鈴木大河

▽ライト級

淡海昇太× 判定 ○石渡通弘

▽ライトウェルター級

伊藤未来也○ RSC ×三澤勇人

▽ウェルター級

ヤバシ・チャータイ○ 判定 ×今井祥平

コメント

高橋宏和監督(昭60理工卒=岐阜・多治見北)

――リーグ戦初戦を振り返って

思ったより苦戦しました。

――主将の原田選手が初戦を勝利して、チームに勢いを付けたと思いますが

すごい努力家で、普段から練習も真面目、今回フライ級からライトフライ級の非常に厳しい減量ということで、きょうはそのために調子が悪くて、際どい試合になってしまいましたが、最後に普段の練習の成果が出て良かったと思います。

――3人の1年生が出場しました

単純にもう実力です。ことしは1年生に恵まれまして、3人とも期待しています。負けた江口がいちばん良い試合をしたと思います。江口の相手は一階級江口より上の4年生で、本当によく頑張ってくれました。試合はもうどう考えても江口が勝っていたと思います。

――今季のチームとしての目標は

一試合、一試合ベストを尽くす。本人の良いものを出し尽くすという試合が出来ればと思います。

原田優樹主将(文4=埼玉・開智)

――リーグ初戦を勝利しました

絶対勝てるところは勝てたと思うので、その点ではチームとして最低限の結果は出せたと思うし、いままで期待していた選手が結果を出してくれて嬉しいです。

――その選手はどなたですか

具体的には、去年少し伸び悩んでいた未来也(伊藤未来也、スポ2=東京・駿台学園)がきょう会心の出来で勝てたので、本当にそれは今後に繋がると思うので、良かったと思います。

――個人としても勝利して、チームに勢いを与えたと思いますが

自分のところが絶対キーポイントになって、局地戦そこで勝たないといけないと思っていたので、しっかり最後の最後まで気力を振り絞れて良かったです。

――ライトフライ級での出場で減量はいかがでしたか

減量は7キロ程あってしんどかったのですが、それでも応援してくれている後輩とかがいるので、試合の時にスタミナが切れましたとは言えないので必死にやりました。

――7キロの減量は厳しいですか

1週間あまり食べれないので、最後はスタミナが無くなったのですが、計量後に食べて少しは回復出来たので良かったです。

――3人の新入生が出場しましたが

1年生に期待の星が入っているので、その選手にもっと経験を積ませて、もう2、3年でもっと大きい結果を出せるような選手になってほしいので、これからもいっぱい出場してほしいです。

――きょうの1年生3人の印象はいかがでしたか

1年生3人それぞれ持ち味は出せていたと思いますが、もう少し勝利への執念を持ってくれれば更に結果も付いてくると思います。

――今季の部としての目標は

去年、中大と東洋大に惨敗したので、ことし東洋大はいませんが、代わりに日体大がいるので、中大と日体大に意地を見せたいです。

――最後に、大学ボクシングの魅力は

大学ボクシングは、プロとはラウンド数も違います。3分3ラウンドという短いラウンドの中で全部の力を出し切らなければならないので、最初から全力で。プロが長距離だとしたらアマチュアは短距離で、全速力で心肺機能を追い込んだりして全部試合で出し切らなければいけません。その点が、短期間で実力を全部出しきろうとするところが魅力的だと思います。

伊藤未来也(スポ2=東京・駿台学園)

――3敗と後のない状況での試合でしたがどのような気持ちで試合に臨みましたか

不安はあったのですが、きょねんから1階級上げて体の動きも良いなというのがあったので、試合は久しぶりだったのですが自信を持ってやろうと思ってリングに上がりました。

――調子は良かったですか

良くはなかったですが、本来の自分のスタイルでボクシングが出来たかなという気がします。

とにかく無駄な打ち合いをしないで、できるだけ距離をとって、アウトボクシングというのですが、アウトボクシングをしようというのが作戦でした。

――思い描いたような試合になりましたか

うまくいったと言って良いのではないでしょうか。

――最後のRSCを奪ったパンチは相手の攻撃をうまくよけた後に繰り出しましたが、狙っていましたか

いや、何も狙っていなくて、自分でも一瞬何が起こったのかよくわからなかったです。自然に出たパンチです。

――次の戦いに向けての意気込みは

この調子で流れの乗っていきたいという感じですね。

――個人として今季の目標は

リーグ戦では全勝で、個人としてはきょねん鼻の怪我があって個人タイトルの国体と全日本には出られなかったので、ことしは万全な状態で個人タイトルを狙っていきたいです。

ヤバシ・チャータイ(スポ1=愛知・名古屋工学院専門学校)

――きょうの試合の感想は

結果的には勝って、自分でも試合は勝ったと思ったのですが、自分の気持ちとしては負けたかなと思います。パンチが出なかったですし、スタミナ的にも8キロ減量しているのが影響したと思いますが、それは言い訳になるので、次からこれを課題にして頑張っていきます。

――どのような作戦でしたか

3ラウンドでRSCいけると思ったのですが、右フックがインサイドの反則を取られて、それがちょっとなんでかなと考えながら試合をしてしまいました。

――反則で減点を取られましたが、個人としては納得いっていないということですか

自分としては大丈夫かなと思っていたのですが、レフリーに取られてしまいました。

――話は変わりますが、総体王者のヤバシ選手が進学先として早大を選んだ理由はなんですか

小さいころからスポーツをやってきていて、早大にはスポーツ科学部があるのと、ボクシング部にはすごく伝統があって、真面目にやっていらっしゃる部なので、ここで頑張っていこうと思いました。

――次戦への意気込みはどうでしょう

減量しているのでそれを追いこんで、次の試合ではRSC勝ちできるように頑張りたいです。

――今季の目標を教えてください

まずはリーグ戦全勝ですね。