最終節も敗れ、リーグ戦5位で終幕

ボクシング

 2勝目を目指して臨んだ関東大学リーグ戦(リーグ戦)。最終節・平国大戦を前に、原田優樹主将(文4=埼玉・開智)は「後楽園に傷痕を残して帰ろう」とリング上で円陣を作って気合を入れた。試合はバンタム級の佐藤雄介副将(法4=北海道・旭丘)が宣言通りのRSC勝ちを収めて有終の美を飾ることに成功。さらに新人選手2人がこの試合も勝利してリーグ戦3勝目を果たす。しかしチームは合計3-4で敗れ、リーグ戦を5位で終えた。

チームトップタイの3勝をマークした江口

 「あわよくば相手を倒して勝ちたいと思っていました」(佐藤副将)。最後のリーグ戦に並々ならぬ意気込みで挑んだ。それでも試合開始直後は冷静にジャブを狙い、ポイントを獲得することに専念。得意とする左ストレートも決まり、2ラウンド(2R)以降は相手を倒すことを意識し始めた。迎えた3R、ずっと練習してきたという左を当てて右フックを放つ形で1度目のダウンを奪う。その直後も攻撃の手を緩めず、「決めてやろう」という気持ちから前に出て、凄まじい連打攻撃で2度目のダウン。3R1分27秒RSC勝利。レフェリーから試合終了が宣告されると、佐藤副将は観客席に向かって拳を突き上げた。ボクシング未経験者が諦めずに続けた4年間の集大成。「最後はリーグ戦で勝てるようになったことが嬉しい」と語った佐藤副将の活躍は、見る者に勇気を与えるものとなった。

 バンタム級・江口礼(スポ1=栃木・作新学院)とウェルター級のヤバシチャータイ(スポ1=愛知・名古屋工学院専門学校)はこの日そろって勝利を挙げ、チームトップとなるリーグ戦3勝でシーズンを終えた。ライトウェルター級・淡海昇太(教1=神奈川・浅野)を含め、新人選手3人が初戦からレギュラーを守り抜くなど、若き力の活躍が光ったリーグ戦だったと言える。チームとしては、リーグ戦わずか1勝。開幕戦で専大との接戦を制して以来、白星を得ることはなかった。

来季こそはリーグ戦全勝を誓うヤバシ

 「今のままでは状況は好転しないし、何かを変えていかなくてはいけない」(原田主将)。その『何か』ということに関して原田主将は、選手の自己管理と底上げを口にした。今季は何度か選手が試合直前に棄権をし、ポイントを失った状態からの戦いを強いられることがあった。減量の失敗から、万全の体調でリングに上がることができなかった選手もいる。原田主将は「自己管理と底上げに絞っていけば少なくとも今よりは好転する」とし、12月の早慶ボクシング定期戦(早慶戦)やその先を見据え、部員の基礎体力向上を目指してこの夏の練習に励む。

(記事 佐藤裕樹、写真 三尾和寛)

 

関東大学リーグ戦第5節
階 級 早 大 スコア 平国大
LF ◎原田 優樹 ●7―10○ 青木 伸之
矢野 亮 ●RSC(3R1分14秒)○ 東江 勇太
佐藤 雄介 ○RSC(3R1分27秒)● 中島 征英
江口 礼 ○9―8● 宇津木 秀
山崎 柊 ●3―8○ 秋吉 翔太
LW 淡海 昇太 ●3―8○ 畠中 和浩
ヤバシ・チャ―タイ ○7―6● 友松 藍
※◎は主将、監督は高橋宏和監督(昭61理工卒=岐阜・多治見北)
コメント

原田優樹主将(文4=埼玉・開智)

――リーグ戦最終戦でしたが、チームにはどういった言葉をかけて試合に臨みましたか


順位がほぼ確定していてモチベーションを失いかけたかなと思ったのですが、練習の時から意識高くできていたので、リングの上での試合前の円陣の時には「順位は決まっているけど、後楽園に傷痕を残して帰ろう」と言いました。

――個人としての目標は


平国大は軽量級が強いと分かっていたので、とりあえず盛り上げる試合をして次につなげようという気持ちでした。

――試合を振り返っていかがですか


この前の試合は不完全燃焼で、自分としても歯がゆかったのですが、きょうは相手も強いということで思い切りぶつかって3分3R付き合ってすごく楽しかったです。結果としては僅差で届かなかったのですが、自分が納得できる内容だったし面白い試合ができたので、後に良い雰囲気で渡せたかなと思います。

――チームとしてはリーグ戦1勝に終わってしまいました。どう受け止めていらっしゃいますか


今のままでは状況は好転しないし、何かを変えていかなくてはいけないと。その何かというのは選手の自己管理だったり、層が薄いので選手全員の底上げをして実力をつけないといけないと思います。自己管理と底上げに絞っていけば来年は少なくとも今よりは好転するのではないかと思います。

――次の団体戦は早慶戦となりますが、どういったチーム作りをしていきたいですか


夏に個人戦で抜けるメンバーもいるのですが、基本的には夏にも練習があるので、しっかり走り込んで早慶戦や、早慶戦だけではなくて来年を見据えた基礎体力をつけたいなと思っています。

――個人としての目標はいかがでしょうか


今もう僕のスタイルは決まっているので、3分3R打ち合い続ける、それをもっとクオリティを上げていくというか、深めて進化させていくということが目標ですね。


佐藤雄介副将(法4=北海道・旭丘)

――リーグ戦最終戦に臨むにあたって、強い意気込みがあったと思いますが


4年間通して最後だったので、「絶対に勝つぞ」という気持ちで、あわよくば相手を倒して勝ちたいと思っていました。自分の希望通り、最後は相手を倒して勝つことができました。自分としては満足です。

――きょうの試合の入りはどうでしたか


ジャブが最初から当たっていました。まずはポイントをどんどん取っていこうと、落ち着いて攻められました。2R、3Rで相手が効いてきたなという印象を抱き、セコンドからも行けると言われたので、倒しに行こうと思いました。左を当てて右フックを決めてダウンを取り、最後は手数でラッシュして、連打で2回目のダウンを奪ってレフリーストップという形で勝利しました。

――最初のダウンを奪ったときはどのような気持ちでしたか


ずっと練習していて、今までのリーグ戦でも何度か出そうと思っていたのですが、なかなかできずにきょうを迎えました。きょうはずっと練習してきたパンチで決めて、相手を倒そうかなと思っていたので、それが最後に練習していたことが出て嬉しかったです。きれいに決まって、気持ちよかったです。

――お得意の左ストレートはいかがでしたか


左もがんがん当てていけたので、それもポイントを取っていたと思います。

――最後の連打でダウンを奪った場面を振り返ってください


前に出て連打をしましたが、「決めてやろう」という気持ちでした。連打をしている途中でダウンを奪い、レフリーストップがかかりました。(2回目の)ダウンを奪ったときは、勝ったかもしれないと思いましたが、レフリーがストップするまで試合は終わりません。もし続行していたら、また同じ感じで叩いてやろうと思っていました。

――勝利が決まった瞬間の感想をお聞かせください


応援席に向かってガッツポーズしましたが、気持ちよかったです。

――最後のリーグ戦を終えましたが、振り返っていかがですか


ボクシング未経験で、本格的な格闘技もやってなかったので不安ではありました。下級生の頃は本当に色々な人に殴られて、下手くそな状態がずっと続いていました。それでも4年間諦めずに続けたことで、最後はリーグ戦で勝てるようになったことが嬉しいです。本当に4年間続けて良かったです。その中で、同期の原田(原田優樹主将、文4=埼玉・開智)や髙橋寛行(政経4=千葉・稲毛)とか、後輩のみんなと一緒に試合ができたことが一番思い出に残ります。

――佐藤選手と同じく、ボクシング未経験で入部した後輩に向けてメッセージをお願いします


最初は伸び悩みとかがあると思いますし、「もう辞めようかな」と思うこともあるとは思います。頑張って諦めずに続ければ、気づいたら上手くなっているので、後輩たちにも続けてほしいです。自分も行けるときは練習に行って、指導をしていくので、頑張ってほしいです。

――引退は12月の早慶戦でしょうか


そうですね。本来であれば、これから個人戦があるのですが、自分は4月に全日本選手権の予選に北海道ブロックで出場して負けてしまいました。大学院に進むので、8、9、10月にそのための入試があります。時間があれば練習に参加しようと思います。入試が終わったらすぐに部に復帰して、早慶戦に向けて頑張ります。