10月3日に関東学生選手権(関カレ)が開幕した。初日は男子サーブルと女子エペの個人戦・団体戦、さらに男子フルーレと女子フルーレの団体戦が行われた(※フルーレ団体戦の結果は、後日個人戦と併せて掲載します)。男子サーブルで田中智也(商3=千葉・東葛飾)が8位、佐藤悠雅(人科2=福岡・西南学院)が12位、女子エペで蓮井陽菜(スポ4=香川・高松北)が4位となり、全日本学生選手権(インカレ)の出場権を獲得。団体戦でも結果を残し、両種目ともインカレ出場を決めた。
円陣を組む男子サーブル陣
★男子サーブル団体戦
人数がそろわず団体での練習はほとんどできなかったという男子サーブル陣だが、確かな手応えを感じた試合となった。初戦は慶大と対戦。田中が第1セットをものにするも、徐々に相手のペースに飲み込まれ中盤には6点差をつけられる。そのなかでも「ルールが曖昧な審判がいると不利なままゲームが進んでしまう」と何度も学生審判に対しアピールをし、自分たちの流れをつくり出そうとした。その甲斐あってか第7セットにダグラス・ビューワーニック(スポ4=埼玉・星槎国際)が追い上げを見せ、第8セットで佐藤が逆転。1点リードした状態で田中が最終セットに挑んだ。しかし再び相手に逆転を許し、あと1点でゲームセットと追い込まれた状態に。それでも田中は落ち着いて連続でポイントを重ね、最後は「これまでの経験を活かして」一本勝負を制した。続く中大戦では、佐藤が第1セットを制するもその後は追う展開となり40-45で惜敗。3位決定戦でも日大に敗れ4位となった。ただ田中が「(中大戦は)これまでやってきた中で一番善戦した。(全体を通して)ヤマを張って立ち合いに入らないという、やってはいけないと決めていたことをやらなかったのがよかった」と話すように、決して悔しさだけが残る試合ではなかったようだ。ここで得た収穫を武器に、インカレでは昨年の3位を超える結果を狙う。
一本勝負を制し喜ぶ田中
★男子サーブル個人戦
早大からは田中と佐藤が出場。両者とも4戦全勝で予選を突破し、決勝トーナメントへ進出した。田中は初戦を15-5と危なげなく制すると、3回戦は慶大の山田翔也と対戦。序盤は相手に主導権を握られるも、「なぜ点を取られて、なぜ取れたのかを考えた」とプレーを修正し逆転。15-12で勝ち切った。ベスト4をかけた4回戦でも序盤にリードを許したが、立ち合いで中途半端に前に出ないことを意識して一時は逆転に成功するなど、粘り強さを見せた。最後はあと一歩及ばず8位に終わったが、他大選手との練習を重ねたことが功を奏し、昨年の34位から急成長を遂げた。一方佐藤は初戦を難なく勝ち取り勢いをもって3回戦に臨んだが、ここで思うようなプレーをさせてもらえない。審判に対して何度も自身の攻撃権を主張する場面が見られるも、そのアピールはなかなか実らず。15-7で敗戦し、12位で試合をあとにした。この悔しさをバネにしたインカレでのリベンジに期待がかかる。
12位と健闘した佐藤。ただ判定には悔しさが残る
★女子エペ団体戦
女子エペ団体には、蓮井、柴田華(スポ4=神奈川・横須賀大津)、池田佳央理(社1=岡山大安寺中教校)の3人が出場した。今大会は関東学生リーグ戦に出場しなかった柴田が団体に加わり、全員がエペ専門の選手で臨んだ。「連携とか、次どういう風に攻めるかというところはすごく考えやすかったし、作戦も立てやすかった」と蓮井。役者が揃い、バランスの取れたチームになった女子エペ陣は、全員がコンスタントに点を重ねていき、初戦で東北学院大を45-23と圧倒した。続く専大戦では勢いそのままに第3セットまでリードしたものの、中盤で逆転されるとそのまま引き離されて敗北を喫した。しかし、チームワークの良さを発揮して前回大会と同じベスト8入りを果たした。
蓮井とハイタッチを交わす柴田
★女子エペ個人戦
個人戦にも団体戦メンバーの3人が揃って出場した。蓮井はシード権を持っていたため本戦からの参加。柴田と池田は予選から出場し、それぞれ3勝1敗と好成績で通過した。本戦で結果を残したのはやはり蓮井だった。蓮井は、同じく本戦からの出場だった昨年のこの大会で初戦に苦しんだ経験から、大学やナショナルトレーニングセンターで15分の試合の経験を積んできたという。相手の出方を伺いながらカウンターを狙っていく戦術が見事にハマり、初戦となった2回戦と、続く3回戦を危なげなく勝利する。準々決勝は蓮井にとって昨年敗退した、超えなければならない壁だったが、冷静にポイントを重ねてベスト4進出を勝ち取った。続く準決勝では敗れ3位決定戦に進んだが、中盤で点差を離され、終盤に決死の猛攻を見せるも及ばなかった。柴田と池田は初戦で敗退したが、予選を好成績で通過したことは大きな自信となるだろう。
個人では4位となり、団体戦でもチームをけん引した蓮井
団体戦では仲間が1本取るごとにベンチも全身で喜んだり、個人戦では出場選手とサポート役のチームメイトがしっかりとコミュニケーションをとったりするなど、早大の雰囲気のよさは健在だ。残りの試合も全員がそれぞれの役割を果たし、ベストコンディションで臨めることを願っている。
※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。
※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。
※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。
(記事・写真 槌田花、吉岡直哉)
コメント
男子サーブル【田中智也(商3=千葉・東葛飾)】
――今大会の目標は
団体も個人もベスト4だったんですけど、団体に関しては1人留学に行ってしまって、他の種目から1人補填してという状況だったので、なかなか練習も全員揃ってやることができなくて。大変だったんですけど、意外とこれまでの経験を生かして何とか慶大に一本勝負で勝てたということで、よかったかなと思います。
――その慶大に関して、審判にアピールする場面が多くみられました。終盤で逆転しましたが、何か審判との駆け引きなどチームで意識したことなどありますか
そうですね、学生が審判なのでアピールがすごい大事で、ルールが曖昧な審判とかがいると不利なままゲームが進んでしまうので、そこはしっかりケアしながら。自分たちがやってはいけないことを決めていて、それをやらないように意識していました。
――やってはいけないことというのは
ヤマを張って立ち合いという最初にプレーヤーが入るところにいかないという。全部考えて組み立てて5本集中して取るということを決めてやっていました。
――中大との試合は44-40とあと一歩及びませんでしたが、その要因は何だとお考えですか
最初にちょっと点差が離れてしまって、そこですかね。そこを最初から集中してとんとんでまわしていければ、割と希望が見えたのかな。中大とこれまでやってきた中で一番善戦したんですけど、最初から食らいついていけばよかったなと思います。
――団体としてうまくいったところがあれば教えてください
やってはいけないことをやらなかったところですね。やってしまうと、点を取られるだけではなくてチームの雰囲気的にも「なんでやっちゃうの」とか不満がたまって流れが悪くなっていくと思うんですけど、そこをみんな徹底して、やってはいけないことをやらないというのができたので、そこはよかったところかなと思います。
――田中さんは去年34位で今年が8位とすごく成績が上がりましたが、何かきっかけなどはありますか
週1以上で他大学に練習に行っています。そもそも今はサーブルが2人しかいなくて人数もすごい少ないので、とにかく他の人と練習するということを意識して、練習に取り組んできたのでそれが結果に出てきたかなと思います。
――個人戦、逆転勝ちが1つあって、最後も一時逆転する場面が見られましたが、自身が相手を追う状態となったときに意識していることはありますか
自分が何でやられているかということを考えて、それをとにかくやらないというのと、逆に自分が3点何で取ったかを考えてそこで勝負しました。自分が(点を)取られていることをやらない、取っているところで集中するという考えて、組み立て直してプレーを変えてやっていました。
――具体的にはどういうところで点を取られて、どういうところで取れていたのですか
3回戦は、取っていたところっていうのが立ち合いで結構前に出て相手が下がったところをいくと流れがくるなと思って、逆に取れていないところは、最初中途半端に出てそこから相手が止まったときに前に出てしまってそこでやられるみたいになって。入りが中途半端になるか、前にいくかというところで変わったので、思いっきり前に出ました。
――この夏重点的に練習してきたことがあれば教えてください
団体としては本当に練習できなくて(笑)個人としては、構えですね。重心を、自分の身体が動きやすいところを見つけるようにしたというのと、さっき言ったように他大学に練習に行くとか、他大学の選手をすごい呼びまくって練習していました。あとは人数が少ないので、その分個人に密着した、少人数だからこそできる練習を。部員同士のフィードバックを多めにしたり、ただずっとスパーリングするのではなくて、1回1回「今の動きはやっちゃだめでしょ」みたいな感じで話し合ってやってきました。
――最後にインカレの目標をお願いします!
個人はメダルで、団体は…去年一昨年が3位だったので、それを超えられるような結果を出したいと思っています。
女子エペ【蓮井陽菜(スポ4=香川・高松北)】
――個人戦ベスト4という結果について、率直にどのように捉えていますか
前回がベスト8だったので、それ以上は取りたいなっていうのと、もちろん優勝を目指していたところはあります。
――やはり悔しさもありますか
ここまで来たら、優勝まで行きたかったなっていう感じですね。
――今日を通して、相手の動きを見てカウンターを仕掛ける場面がすごく多かったと思ったのですが、それは意識していましたか
そうですね。全部の試合で最初に時間を使って、1セット目に2-2とか(のロースコア)で終える試合が多かったです。自分から取り急がずに、相手の様子を見ながら相手に攻撃を出させて取るというのは意識しました。
――それがやっぱり2回戦、3回戦では上手くいったということですか
そうですね。
――この大会を迎えるにあたって、どのような準備をしてきましたか
4月の個人戦からすごく久しぶりで、大学の大会のシーズンに入ってから初めての個人戦の大会でした。自分はシードだったので、予選がない中でどうやってトーナメントにうまく入っていけるかっていうところはすごく意識しました。大学の練習とか、ナショナルトレーニングセンターの方でも15分の勝負は結構していました。
――次に、団体戦について伺います。春の関東学生リーグ戦とは違って、柴田さんが入って全員エペが専門の選手で戦いましたが、その手応えはいかがですか。
連携とか、次どういう風に攻めるかというところはすごく考えやすかったし、作戦も立てやすかったかなと思います。あとは柴田が入ることで、私と同期なんですけど、やっぱり心強さというか、いてくれるだけでベンチも盛り上げられるしっていうところで、安心感は、柴田の存在が大きかったなと思います。
――やはり個人戦でもベンチに柴田さんがいて声をかけてくれたことが大きかったのでしょうか
そうですね。
――団体戦ではインカレに向けてどのように準備していきたいですか
今回チームの中で話し合って出た課題があるので、それを修正して、インカレで改善できるように、勝っていけるように準備していきたいなと思います。
――個人と団体で、どちらもインカレに出るということで、意気込みをお願いします
大学生活最後のインカレっていうところで、もちろん優勝を目指して、一戦一戦丁寧に、自分のプレーが出せるように準備していきたいなと思います。あとは団体戦についても、さっきも言ったんですけど、チームのみんなで改善して、一戦一戦頑張っていきたいなと思います。
結果
☆男子サーブル団体【ダグラス・ビューワーニック(スポ4=埼玉・星槎国際)、藤澤将匡(スポ4=宮城・仙台城南)、田中智也(商3=千葉・東葛飾)、佐藤悠雅(人科2=福岡・西南学院)】4位
早大○45-44慶大
早大●40-45中大
早大●23-45日大
☆男子サーブル個人
田中智也(商3=千葉・東葛飾)8位
佐藤悠雅(人科2=福岡・西南学院)12位
☆女子エペ団体【蓮井陽菜(スポ4=香川・高松北)、柴田華(スポ4=神奈川・横須賀大津)、池田佳央理(社1=岡山大安寺中教校)】5位
早大○45-23東北学院大
早大●33-45専大
☆女子エペ個人
蓮井陽菜(スポ4=香川・高松北)4位
池田佳央理(社1=岡山大安寺中教校)19位
柴田華(スポ4=神奈川・横須賀大津)22位