女子フルーレが「上出来」の3位!男子フルーレも4位で1部残留を果たす

フェンシング

 5月6日、王座決定戦(王座)進出と一部リーグ残留をかけた関東学生リーグ戦(リーグ戦)が開幕。1、2日目には男女フルーレの試合が行われ、男子フルーレが4位、女子フルーレが3位でどちらも一部残留を決めた。全日本選手権(全日本)で優勝するほどの実力者・川村京太(令5スポ卒)が抜けた男子フルーレは、「入替戦もありえるのでは」という思いを抱えながら対戦。それでも結果的に2勝3敗で4位となり、2年連続王座出場はかなわなかったものの「思ったよりも戦えた」と振り返った。一方、1年生2人を迎え大きくメンバーが入れ変わった女子フルーレは「1勝はしたい」と話していたが、蓋を開けてみれば3勝2敗で3位と期待以上の結果を残した。

日体大戦で勝利し抱き合う女子フルーレ

☆男子フルーレ

 絶対的エースの川村が抜け、一抹の不安を感じていた男子フルーレ。昨年の王座で優勝し日本一に輝いたダグラス・ビューワーニック(スポ4=埼玉・星槎国際)と藤澤将匡(スポ4=宮城・仙台城南)がまだ在籍しているといえども、全日本王者の穴は大きい。それでも竹内隆晟(スポ2=岡山大安寺中教)と黄尚飛(国教4=シンガポール・メリディアン・ジュニア・カレッジ)を加えた4名が各々の役割を全うし、チーム全員で一部残留をつかみとった。

2度の驚異的な追い上げを見せた藤澤主将

 初日の第1戦、中大との試合では藤澤の活躍が光る。6セット目、19-25と6点ビハインドでピストに入った藤澤は相手に主導権を握られ、1点も取れないまま4失点。しかしここで藤澤は「このままでは終われない」と連続で9点を奪い、中大に1点差まで詰め寄る怒涛の追い上げを見せる。その後も黄、藤澤、ダグラスがそれぞれ健闘するがわずかに及ばず、40-45で敗戦した。2戦目は専大戦。序盤は相手を追う展開となるが、5セット目にダグラスが逆転し、そのリードを保ったまま45-40で勝利をあげた。2日目はまず慶大を無難に下すと、続いて日大と対戦。早大が序盤から劣勢に立たされ、途中でダグラスが同点に追いつくもリードを奪い返すことはできず、41-45で惜敗した。そして最後に当たったのは、全戦で15点以上の差をつけて白星をあげてきた法大。その文句なしの強さに早大も圧倒され、3セット目まで0-15と1度も突きを決めることができずにいた。しかし4セット目、ついに竹内が2点を搾取し沈黙を破ると、続くダグラスも3点を奪い少しずつ点数を重ねていく。さらに6セット目、「自分がやらないと雰囲気が悪いまま終わってしまう」とギアを上げた藤澤が、3分間で11点を奪う猛攻で主将の意地を見せつけた。ただ序盤についた差は大きく、チームは31-40と大敗した。

ハイタッチをかわす男子フルーレ陣

☆女子フルーレ

 エースの森多舞(スポ3=山口・岩国工)、新加入の早川葵彩(スポ1=東京・東亜学園)、岡田彩希(スポ1=京都・龍谷大平安)、リザーブの蓮井陽菜(スポ4=香川・高松北)で構成された女子フルーレ。久々にフルメンバーで臨んだ早大だが、「2部に落ちないように1勝はしよう」と謙虚な目標を掲げていた。ただ実力者がそろったこのチームが1勝にとどまるはずはなく、彼女たちは秘めた底力を見せつけることとなる。

初日を1勝1敗で終え、迎えた2日目。3試合目となるこの日の初戦は、のちに無敗でリーグ優勝を果たす日大と対戦した。1セット目に森多がリードを奪うも2セット目で逆転を許し、最後まで相手を追うかたちとなり敗戦。続く中大戦は、1セット目に森多が5-2と良い流れをつくるも、直後に岡田が逆転され9-10に。しかし、「試合中にゾーンに入れた」と調子の良さをのぞかせた早川がすぐさま取り返す。岡田は時折追いつかれそうになりながらも、時間を使ったプレーでチームに貢献。それぞれが中盤以降も得点を重ね、最後は森多がそのリードを守り切って45-38で2勝目をあげた。ラストは、選手たちが「絶対に勝ちたい」と口にしていたという日体大戦。大きく点差を離すことはできずとも、序盤から早大に流れを引き寄せその勢いのまま45-39で勝ち切り、抱き合って喜びを爆発させた。「結果はあとからついてくるもの」と達観し、何よりも試合を楽しもうとする女子フルーレが今後どこまで成績を伸ばし続けるか注目したい。

1年生ながら森多に劣らずポイントを重ねた早川

 「自信がない部分もあったが、思ったよりも戦えていい試合ができた」という男子フルーレと、「上出来」と話す女子フルーレ。そろって一部残留を決め、想像以上の手応えを感じた大会となった。圧倒的な実力のある選手がいる=強いチームとは限らない。チームワークや団体の雰囲気が勝利の要となるということを呈した早大は、10月の関東学生選手権(関カレ)や11月の全日本学生選手権までの期間でさらなるチーム力の強化をはかってくるだろう。

(記事・写真 槌田花)

※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

コメント

藤澤将匡(スポ4=宮城・仙台城南)

――4人の役回りや作戦を教えてください

ダグラスが点を取って、自分が耐えたり点を取りに行ったりと臨機応変にやって、竹内やジェットが耐えるというところが主な戦術だったんですけど、できた試合とできなかった試合が分かれたのかなと思いました。

――どのような目標を掲げて試合に臨んでいましたか

もちろん王座出場、2位入賞を目指してやっていたんですけど、惜しい試合もあったのですが、残念ながら達成することはできませんでした。

――大会を振り返っていかがですか

自分たちが戦ってきた今までの積み重ねが如実に出たのかなと思う反面、思ったよりも戦えたのかな、と思います。実は試合前は、入替戦もありえるんじゃないかと、川村京太先輩が抜けたあとの代だったので自信がない部分もあったんですけど、思ったよりも戦えていい試合ができたのではないかなという感じです。

――藤澤さんのコンディションはどうでしたか

全然悪くなかったですし、少し気負いすぎていた部分、緊張していた部分はちょっとあったのかなと思います。

――1日目の中大戦で怒涛の追い上げが見られましたが、どのようなことを意識して臨んでいましたか

あのとき自分が0-4でやられてしまっていたんですけど、このままでは終われないなという気持ちがありつつ、自分がやらないとこのまま負けてしまうなと思ったので、割り切って「自分は思いっきりやろう」と思いました。

――法大戦でも追い上げがありましたが、そのときはどのようなことを考えていましたか

同じですね。このままだと負けてしまうというところで、自分がやらないと雰囲気も悪いまま終わってしまうので、思い切って自分ができることを精一杯やろうと思っていました。

――日大戦でコーチから「立ち合いで下がるな」と言われていましたが、後手にまわってしまったところがあったのでしょうか

立ち合いで下がるなというのは、前での方が戦えているよということだと思うので、そこのやり取りで前に行って、自分なりに得点を取ってこいというような意味だったのかなと思います。

――次の目標を教えてください

団体戦だと次は関カレなると思うんですけど、そのときはジェットが卒業してしまって竹内と俺とダグラスの3人になるんですけど、その3人で優勝を目指して頑張っていきたいと思います。

――川村さんから何かアドバイスは受けられましたか

さっきも良いところと悪いところがちゃんと出たよねというところで、悪いところを直していっていいところを伸ばしていこうというふうに言ってもらえました。

――最後に、藤澤選手は左利きですがどういうメリットがありますか

右と左のやり取りはこっちは当たり前なんですけど、向こうからしたらちょっと少ないので当たり前ではないというところで、そこの距離間ややり取り、手の誘い方が(右と左で)変わってくるので、そこがメリットかなと思います。

早川葵彩(スポ1=東京・東亜学園)

――今日はどのような目標を立てていましたか

初めてのリーグ戦だったので、2部に落ちないように1勝はしようという目標でした。

――3位となりましたが、その結果はどのように受け止めていますか

上出来やなと思いました。

――3人の役回りや作戦は

舞先輩はメンタルが強いし、たぶん自分がどうなっても(ポイントを)取ってくれると信じていて、自分は中回りなので取れたら取るし、取れなかったらキープするという感じでした。1番手の子が基本守るベースで取られることが多かったので、舞先輩に負担をかけないように、取られずに取るということを意識してやっていました。

――3人の中でもコンディションがよかったように見えたのですが

試合中にゾーンに入れて、いつもより剣が見えたり距離もよかったり、自分的にもいい試合展開にできました。

――オフシーズン中や、前回のフェンシング・カップから強化してきたところは

大学に入って環境が変わって、自分の時間をつくるのが難しくてフェンシングカップは集中して臨めなかったんですけど…団体戦の方が個人的にすごい好きで、楽しもうと思って、夜寝る前に好きな音楽聞いたりリラックスできる方法を自分で考えるとか、メンタルのコントロールを頑張りました。

――早稲田の団体戦の雰囲気はいかがですか

人数が少ないですけどみんな仲良いし、女子フルーレに関してはチームワークが一番良かったなと思います。自分的にも楽しかったですし、早稲田の雰囲気はすごい好きです。

――個人的によかったところと、次につなげたいところをそれぞれ教えてください

自分が引っ張っていこうという姿勢を見せることができたし、何より試合を楽しめたことが一番よかったかなと思います。結果はあとからついてくるものなので、楽しんだ結果3位になれたことはすごい良かったと思います。団体の雰囲気はいいので、このままもっと仲良くなって、関カレやインカレに向けて優勝目指して頑張りたいです。

結果

▽男子フルーレ

早大[ダグラス・ビューワーニック(スポ4=埼玉・星槎学園)、藤澤将匡(スポ4=宮城・仙台城南)、黄尚飛(国教4=シンガポール・メリディアン・ジュニア・カレッジ)、竹内隆晟(スポ2=岡山大安寺中教校)]4位

●40‐45中大

○45‐40専大

○45‐31慶大

●41‐45日大

●31‐45法大

▽女子フルーレ

早大[森多舞(スポ3=山口・岩国工)、早川葵彩(スポ1=東京・東亜学園)、岡田彩希(スポ1=京都・龍谷大平安)、蓮井陽菜(スポ3=香川・高松北)]3位

●36‐45日女大

○45-42法大

●30‐45日大

○45‐38中大

○45-39日体大