3年ぶりの早立戦 早大が全勝で今シーズン好発進

フェンシング

 立命大のフェンシング部を早稲田に迎え、3年ぶりの早立戦が開催された。新体制となって最初の対外試合であるこの一戦。早大は全種目で勝利を飾り、4月下旬の全日本学生フェンシング・カップ(フェンシングカップ)や5月の関東学生リーグ戦(リーグ戦)に向けて幸先の良いスタートを切った。また今大会には、4月から早大生となる新入部員も参戦。女子フルーレ2名、女子サーブル2名、女子エペ1名、男子エペ1名と計6名の新戦力を擁し、早大のさらなる強化に弾みをつけた。

早大が全勝し、次戦に向けていい流れをつくった

 第1試合目に行われたのは男女フルーレ。男子フルーレは川村京太(令5スポ卒)に代わって、昨年リザーブとしてチームを支え続けた竹内隆晟(スポ2=岡山大安寺中教校)が新たに剣を取り、竹内、藤澤将匡(スポ4=宮城・仙台城南)、ダグラス・ビューワ―ニック(スポ4=埼玉・星槎国際)の3名で組まれた。「調子がすごい良かった」というダグラスが1セット目に5ポイントを連続で奪うと、続く竹内も持ち前の「気持ちの強さ」で得点を重ね早大に流れを持ち込む。しかし立命大も粘り強い追い上げを見せ、試合は拮抗(きっこう)した展開に。ダグラスは1点ビハインドで最終セットを任されたが、「多分勝てるな、という自分がいた」と、気迫のこもったプレーで主導権は譲らなかった。最後は44-44の一本勝負。ダグラスは冷静さを失わず、「あまりアタックせずに、(距離を)つかんでみたいと思った」と少し下がりながら相手の動きを判断、それにうまく反応し決勝点を挙げた。一方女子フルーレは、森多舞(スポ3=山口・岩国工)が岡田彩希(スポ1=京都・龍谷大付平安)、早川葵彩(スポ1=東京・東亜学園)の新戦力を擁して対戦。序盤から大量リードを奪うと、そのまま失点を最小限に抑え45-17で圧勝した。

一本勝負を制したダグラス

 第2試合目には、男子サーブルと女子エペが行われた。男子サーブルは中盤まで2点差以内の大接戦となるも、6セット目に佐藤悠雅(人科2=福岡・西南学院)が連続ポイントで相手を引き離す。続く密田創太(国教2=東京・早大学院)、佐藤がさらにリードを広げ10点差とすると、初めて最後回りを任された田中智也(商3=千葉・東葛飾)が多少の追い上げにあいながらも、しっかりと試合を締めくくり45-39で勝利。田中は、「相手を見すぎて、合わせようとしすぎて後手にまわってしまった」と次につなげたい改善点を挙げつつ、「(自分の)調子が悪かったが、団体として助け合いができた」と密田や佐藤のカバーに感謝した。女子エペは序盤、蓮井陽菜(スポ4=香川・高松北)が早大に流れをつくるも、新加入の池田佳央理(社1=岡山大安寺中教校)の調子が上がらず相手のペースに呑まれてしまう。しかし池田は「中央で止まるのではなく、前後を使った方がいい」というアドバイスを受け、「思ったようにプレーができるようになった」と得点を重ねられるように。柴田華(スポ4=神奈川・横須賀大津)が4セット目に再度逆転すると、5、7セット目で池田は相手を上回り点差を広げた。終盤に立命大が差を縮めてきたものの、蓮井と柴田がそれを振り切り45-43の接戦を制した。

男子サーブルの新キャプテン・田中

 ラストは男子エペと女子サーブル。男子エペは、周旻朗(国教4=台湾・セントステフェンズカレッジ)に加え、新戦力の中本尚志(スポ1=山口・岩国工)とフルーレの藤澤が参戦した。チームメイトからの大きな声援を受けリラックスした様子で試合に臨んだ周は、要所を締めるプレーで早大に流れを生み出す。さらに、先々月のジュニアW杯で7位となった中本や、高校時代に全国高等学校選抜大会エペ団体での優勝経験がある藤澤も着実に得点を重ね、45-20で圧勝した。一方女子サーブルは、新入部員の伊藤花乃(スポ1=愛媛・三島)と山﨑妃奈乃(法1=千葉・渋谷幕張)、フルーレの森多が試合に臨んだ。2023年1月時点での女子サーブル(ジュニアU20)ランキングで3位の山崎、9位の伊藤という最強コンビが属する早大は、見込み通り序盤から自分たちのペースで試合を進める。抜群の身体能力で専門の違いをものともしない森多の活躍もあり、7セット目が終わった時点で15点の差が。続く伊藤が立命大の猛追にあい9点差に詰め寄られるも、最後回りの山﨑が逃げ切り45-38で勝利した。

今後の活躍にも期待がかかる新加入の山崎

 調子が乗らないメンバーがいる中でも、団体で助け合い全勝を収めた早大。この追い風を受けながら、今大会で顕在化した課題を克服し、次戦のフェンシングカップへつなげていきたい。

(記事・写真 槌田花)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

コメント

☆ダグラス・ビューワ―ニック(スポ4=埼玉・星槎国際)☆

――今季最初の試合を終えて率直な感想をお願いします

 勝ててよかったです。

――合宿ではどのようなところを重点的に鍛えましたか

 今回の合宿はフィジカルメインだったんですけど、フィジカルの強化という部分と、仲間とのチームワークを重点的に鍛えた感じです。

――今日の試合の作戦は

 僕と将匡はいつも通りやって、若干プラスでまわそう、新2年生の竹内くんはトントンで、できればプラス1、っていうイメージでいったら勝てるだろうと思ってやりました。

――実際に戦ってみていかがでしたか

 僕の調子がすごい良かったですね。今日に早立戦があるということは前々から決まっていたので、早めに来てアップをしっかりやったり、前日とかも疲れが残らないように、と準備したことで結構調子がよく、結果もついてきたかなと思います。

――他のメンバーについてはどうですか

 正直、将匡は調子が悪かったかなという感じで、でも僕がうまくカバーできましたし、竹内に関しては良いところもあったし悪いところもあったなという感じです。

――川村(京太、令5スポ卒)さんが抜けた穴は大きいと思うのですが、チームとしてどういう強化を図ってきましたか

 チームの中軸となる選手が抜けて、新たに加わった選手(竹内)があまり全国の舞台での経験などがなくて、そういう部分では、僕と将匡の2人がうまく重ねながら、竹内は気持ちが強いので、そこをどうやって気持ちをうまく乗らせてあげるかというところがキーになってくるのかなと思います。

――最後回りで、1点負けている状態でダグラスさんにまわってきましたが、どういう気持ちで臨みましたか

 いつも通り前に行ってやろう、と。正直、やばいなという気持ちはなくて、行けるだろうという気持ちがあったので良かったと思います。

――最後の1本勝負も、気持ちで勝ったという感じですか

 1本勝負のときは、「1本勝負だ」と冷静になっている自分と、「たぶん勝てるな」という自分がいたので、とりあえずアタックせずに(前に出ずに)、いったん(距離を)つかんでみたいという気持ちがあったのでちょっと下がってみて、相手の動きを見ると同時に自分をコントロールできたらなと思ったのが、結果的に最後取れたのかなと思います。

――最後、フェンシングカップに向けて一言お願いします

 最初の大学の大会になるので、そこでしっかり優勝して、リーグ戦、王座で(団体)日本一を目指せるように頑張りたいです。

☆田中智也(商3=千葉・東葛飾)☆

――今季最初の試合を終えて率直な感想をお願いします

 去年までいた森多(諒、令5社卒)さんが抜けてしまって、僕がサーブルのキャプテンになって初めての試合でした。みんな団体の巡目が初めてで、僕が最後回りとか、佐藤が中回りっていうのが初めてだったので結構練習したんですけど、その時も初めての役回りで調子の浮き沈みがみんなあって、みんなの調子がよくなるタイミングはあまりなかったんですけど、今日もちょっと僕が調子悪くて、他の2人が調子いいという感じで。リーグ戦が近いので、それに向けてみんなが浮き沈みなく、安定したプレーができるように頑張っていきたいと思いました。

――今日の試合の作戦を教えてください

 今日の作戦としては、相手に1人強い選手がいたので、その選手はトントンくらいで抑えて、他の2人でなるべく点を取って楽に進めたいね、という感じでした。一応25点差という目標を決めていたんですけど、なかなかうまくできなかったので、スコア目標もまた新たに決められたらなと思います。

――今日の試合でよかったところはありますか

 よかったところは、僕が失敗したときに他の2人がカバーしてくれて、2人うまくいかないと良くないんですけど、誰かが調子のよくないときに2人がカバーして、声掛けをしてうまく調子を戻してくれたので、そこらへんは団体として助け合いができたかなと思います。

――フェンシングカップに向けて意気込みをお願いします

 最近練習では、団体より個人の練習に特化してやっているので、他大とかも行ってやっているので、その成果を出せたらいいなと思います。

――ご自身のプレースタイルはどのようなものですか

 僕は、とりあえず最初は見て相手に合わせて決めるスタイルでやっているんですけど、今日は見すぎて、相手に合わせすぎて下がってしまい後手にまわってしまったので、そこはもう少し自分でうまく見て、いいタイミングでできたらいいなと思います。

☆池田佳央理(社1=岡山大安寺中教校)☆

――早大として出場した初めての試合でした。率直な感想をお願いします。

 早大生としての初めての試合で、(早大で)初めて団体を組んだのでとても緊張したんですけど、先輩たちのサポートもあって、しっかり自分のプレーができたと思っています。

――早大の雰囲気はどうですか

 先輩、後輩関係なく、自分たちで声かけしたり雰囲気をつくったりするのがとてもいいと思いました。

――合宿で重点的に鍛えたポイントを教えてください

 フィジカル中心の合宿だったんですけど、高校のときにはあまりやらなかったようなトレーニングが多くて、筋肉痛になったりして大変だったんですけど、先輩やトレーナーの方のサポートもあってたくさん鍛えられたと思います。

――一番印象的だったトレーニングは何ですか

 印象的なのは…砂浜のトレーニングが大変でした。初めて砂浜でトレーニングをして、楽しさもあったけど大変でした(笑)

――今日はどんな作戦を立てていましたか

 私が一番年下なので、先輩たちの足を引っ張らないようなプレーをしつつ、先輩たちの試合へのつなぎを意識しました。

――試合を振り返ってよかったところを教えてください

 最初の試合で自分の思ったようなプレーができなくて落ち込んでいたんですけど、先輩たちの声かけとかアドバイスのおかげで、2、3試合目は自分の思ったようなプレーができたのがすごいよかったと思います。

――どういうアドバイスをもらいましたか

 試合をする空間をしっかりと生かして、中央で止まってプレーするんじゃなくて、前後を意識したプレーをした方がいいよとアドバイスを取り入れて、その後は改善しながらできたのでよかったと思います。

――次の試合に向けて改善したい点はありますか

 もっと自分のプレーをもっと積極的にできるようにすることが一番の目標です。4月は個人戦なので、自分のいいところ、悪いところをしっかり見つけながらプレーできるようにしたいです。

――ご自身のプレースタイルはどのようなものですか

 めちゃくちゃガツガツ行くようなタイプではないんですけど、しっかり相手のミスを誘いながら、自分の点を取れるところはしっかり取っていくようなプレースタイルだと思います。

――フェンシングカップに向けて一言お願いします

 個人戦なので、しっかりと自分で試合の展開を考えながら1点1点積み重ねていけるように頑張りたいと思います。

結果

▽男子フルーレ団体

早大[藤澤将匡(スポ4=宮城・仙台城南)、ビューワーニック・ダグラス(スポ4=埼玉・星槎国際)、竹内隆晟(スポ2=岡山大安寺中教校)]

〇45-44 立命大

▽女子フルーレ団体

早大[森多舞(スポ3=山口・岩国工)、早川葵彩(スポ1=東京・東亜学園)、岡田彩希(スポ1=京都・龍谷大平安)]

〇45-17 立命大

▽男子サーブル団体

早大[田中智也(商3=千葉・東葛飾)、佐藤悠雅(人科2=福岡・西南学院)、密田創太(国教2=東京・早大学院)、ビューワーニック・ダグラス(スポ4=埼玉・星瑳国際)]

〇45-39 立命大

▽女子エペ団体

早大[蓮井陽菜(スポ4=香川・高松北)、柴田華(スポ4=神奈川・横須賀大津)、池田佳央理(社1=岡山大安寺中教)]

〇45-42 立命大

▽男子エペ団体

早大[周旻朗(国教4=台湾・セントステフェンズカレッジ)、藤澤将匡(スポ4=宮城・仙台城南)、中本尚志(スポ1=山口・岩国工)]

〇45-20 立命大

▽女子サーブル団体

早大[森多舞(スポ3=山口・岩国工)、伊藤花乃(スポ1=愛媛・三島)、山崎妃奈乃(法1=千葉・渋谷幕張)]

〇45-39 立命大