近代五種「嬉しさ半分、悔しさ半分」早大の柴田が3位

フェンシング

 11月18日、19日に行われた全日本選手権(全日本)。近代五種のシニアナショナルチームに属する早大の柴田華(スポ3=神奈川・横須賀大津)が、この全日本で堂々の3位を獲得した。

 近代五種とは、1日の間に水泳、フェンシング、馬術、レーザーラン(射撃・ラン)の5つの競技を執り行い、選手の万能性を競うスポーツである。その過酷さから「キング・オブ・スポーツ」とも呼ばれるこの競技は、1912年からオリンピック種目として採用されている。2000年のシドニー大会からは女子種目も追加されるなど、徐々に人気を高めている近代五種。62回目となった全日本では、今年も日本一の称号をかけ全国のプレーヤーが集い火花を散らした。

表彰台に上がり笑顔の柴田(右)

☆水泳(200m自由形)☆

 柴田が一番得意とする水泳では、セミファイナルこそ「(レース中の)感覚とタイムが一致していなかった」と、思うような結果を残せず6位に終わったものの、ファイナルではセミファイナル以上に前半からしっかりスピードに乗ることを意識し、タイムを7秒ほど縮めて2位に浮上。285ポイントを獲得した。

☆フェンシング(エペ)☆

 1分間の1本勝負で総当たり戦を行うランキングラウンドと、さらにその結果を踏まえ30秒間の1本勝負を行うボーナスラウンドの合計得点で順位が決まるフェンシング。攻撃する際に体から突っ込む癖があるという柴田は、所属するフェンシング部の仲間からのアドバイスを受け、腕から入ること、また剣を大振りにしないことを意識して試合に臨んだという。時間を使ったプレーでランキングラウンドでは220ポイント、ボーナスラウンドでは2ポイントを獲得し、柴田は最終4位で競技を終えた。

☆馬術(障害飛越)☆

 本来なら時間をかけて信頼関係を築きあげた馬に乗るところだが、近代五種では初対面の馬と共に競技に臨む。今回の全日本では、馬が決定してから競技開始まで20分しか猶予が与えられなかったという。そのわずかな時間の間に馬の得手・不得手を見定め、また前回乗った選手などにヒアリングを行いながら調整を重ねるも、「障害前の歩数や間隔が合わず、馬任せになってしまった」と自身が誘導できなかったことを悔やんだ柴田は6位。285ポイントを得た。

☆レーザーラン(射撃5的+600m走を4セット)☆

 これまでの3種目の得点を1ポイント=1秒にタイム換算し、時間差をつけて上位の選手からスタートするレーザーラン。ここでゴールした順番がそのまま近代五種の順位となる。射撃ではレーザーピストルを用い、10m離れた標的に50秒の制限時間内で5回命中させなければならない。射撃を得意とする柴田は、1回目は「いい感じに当たった」と本人も納得のスピードでクリアしたのだが、続く2、3回目は比較的時間がかかってしまった。「陸上がそこまで得意ではないので、射撃を当てなければ前が見えないというプレッシャーがあった」と焦りがそのまま競技にも影響したという。そして熾烈(しれつ)な3位争いが繰り広げられていた4回目、4位の選手が柴田と同じタイミングで射撃場に入った。「この射撃次第で勝負が決まる、負けられないと思った」と腹をくくった柴田は、1回目の9秒20を上回る7秒35で5発を命中させ、4位の選手を引き離し見事3位でゴール。昨年に引き続き栄冠を手にした。

柴田が一番得意とするのは水泳

 この勝負を「嬉しさ半分、悔しさ半分」と柴田は振り返る。「最低限の目標が3位だった」と、レーザーランのデッドヒートを勝ち切ったことへの喜びは口にしたものの、優勝を目指していた自身にとっては悔いも残る結果となった。来年はオリンピック選考を兼ねたアジア大会も開催されるため、ワールドカップで成績を残し、まずはアジア大会に内定することを目標にあげた柴田。勝負強さを武器に、さらなる大舞台を目指していく。

(記事 槌田花、写真 本人提供)