終盤を迎えた関東学生選手権大会(関カレ)。大会4、5日目には男子エペと女子サーブルの個人戦、団体戦が行われた。男子エペ個人戦では金高大乗(社4=香川・高松北)が3位、周旻朗(国教3=台湾・セントステフェンズカレッジ)がベスト8に入った。また女子サーブル団体戦ではベスト4入りを果たすなど、ほとんどの種目において上位ランクインするかたちとなった早大。全日本学生選手権大会(インカレ)に向けて大きな弾みをつけた。
☆男子エペ
男子エペの個人戦には、金高、周、寺井健人(教4=東京・早大学院)が出場。寺井は1回戦を15―7と危なげなく勝利し、2回戦に臨んだ。その対戦相手は、スーパーシードにより2回戦から参戦する周。どちらも一歩も譲れないこの早大対決は15―10で周に軍配が上がり、寺井は32位で試合を終えた。そして周は3回戦、専大の伊藤海之亮を相手に14―13と大接戦を制し、準々決勝へ進出。しかし、慶大のエース・中島恒の前に8―15と及ばす8位となった。一方で優勝を目標にしていたという金高は、守り主体の試合運びで順調に準決勝まで駒を進める。しかし準決勝の舞台で、法大の 浅海聖哉を相手に13―15と競り負け3位に終わった。金高はこの敗戦に対し「もともと実力で負けているような相手。練習量も彼は全然違うので、そこの差で負けた」と話すが、一本勝負まで持ち込めたことをプラスにとらえ、インカレ優勝に向けてさらなる強化をはかりたい。
団体戦は、個人戦に出場した3人で戦った早大。金高の個人戦と同様、守りの展開を繰り広げ、最後は金高が一本勝負を制するという作戦で臨んだという。その思惑通り、一進一退の攻防を繰り広げながら38―39と1点ビハインドでアンカーの金高につないだ。しかし「最後に追いついて、そのあと僕が少し欲張って1点取りに行ってしまったところにカウンターを食らった」とわずかに及ばず43―45で接戦を落とす。それでも金高が自信を持って「チームとしては100点」と話すエペ陣。インカレで頂点を目指すべく、あと数週間さらに進化を続ける。
男子エペ個人戦で3位となった金高。団体戦でもチームをけん引した
早大対決に敗れはしたが奮闘した寺井
男子エペ個人戦で8位の周
☆女子サーブル
女子サーブルの個人戦には黒田ほのか(スポ4=香川・三本松)が出場。黒田にはスーパーシードが適用されていたため、2回戦からの参戦となった。相手は菅野桃子(日大)。前回の対戦経験から菅野には黒田の戦法を見抜かれており、それを踏まえた技に黒田は対応することができなかったという。初戦であったこともあり、「気持ちの切り替えができず、試合に集中できていなかった」と、相手をうまくかわすことができず、9―15で敗戦を喫した。実力では十分上回る相手に思い通りの試合を展開できず「反省点しかない」と11位に終わった黒田だが、これを糧にインカレではベスト4入りを目指す。
黒田に加え、フルーレ陣の狩野央梨沙(スポ4=宮城・常盤木学園)と森多舞(スポ2=山口・岩国工)を擁して臨んだ団体戦。ベスト4を目標に掲げ、初戦は日体大と対戦した。黒田が「私がとりあえずマックスまで取り切るという感じでやっていたが、思いのほか2人とも動いてくれていた」と話すように、専門種目の違いをものともせず3人全員が得点を重ね、45―18と圧勝。続く準決勝では、今大会の個人戦で準優勝した山内今日香を中心にサーブル陣が豊富な東京女子体育大と当たった。2セット目以降は常に相手にリードを許すかたちとなり30―45で敗れはしたが、アンカーを務めた黒田が、あと1点で東京女子体育大の勝利が決まるという場面で連続ポイントを奪うなど、最後まで屈せず戦い抜いた。3位決定戦では、5セット目に最大10点あった差を黒田が「取るのはここかなと、気持ち前のめりな感じで入ろうと思ってやっていた」と怒涛の追い上げで3点差まで詰めよる。「マックスの25点まで取れていたらよかったが、取りきれなかったのでそこは反省点」と悔しさをにじませるも、流れを大きく早大に引き寄せた一戦であったことには違いない。その後は惜しくも点数を重ねることはできず29―45で黒星となったが、黒田を中心に念願のベスト4を手繰り寄せた。
団体戦の3位決定戦で怒涛の追い上げを見せ、ガッツポーズをする黒田
目標としていたベスト4入りを達成し、笑顔のサーブル陣
※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。
※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。
※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。
(記事、写真 槌田花)
コメント
女子サーブル【黒田ほのか(スポ4=香川・三本松)】
――お疲れ様でした。まず個人戦のことから伺います。初戦で日大の選手に負けてしまいましたが、要因はどこにあったと思いますか
日大の選手が、前に対戦したときの私の戦法を考えていて、それに対応した技をしてきていたので、それに私がはまってしまったというか、思い通りにやられてしまったことが要因としてあるかなと思います。あとは、スーパーシードで入って1試合目だったということもあって、気持ちの切り替えの部分ができなくて、試合に集中できていなかったというのも1つの要因かなと思います。実力的には勝てたかなと思うので、その2点が敗因だと思います。
――見抜かれてしまった戦法というのは
最初の4メートルの立ち合いの部分があるんですけど、そこで私がアタック権利を取ったときに結構すぐに打ちがちなので、そこで剣を払って返されるというのが多くて。あとから相手に聞いてみたら、ちゃんと真っ直ぐ打たせてくれるから叩きやすかったと言われて、自分の間合いがばれていて…それが戦法としてありましたね。
――逆によかったところはありますか
全然なかったですね(笑)反省点しかなくて。ほんの少しで言えば、少しだけその入りを変えられて、開いた点数を詰められたところがちょっとよかったかなと思います。相手によって距離とかタイミングを変えるというのが私の課題の1つなので、そこが少しだけできたかなっていうくらいです。
――団体戦の目標はどう定めていましたか
目標はベスト4に入ること、日大に勝つことが目標でしたね。
――どういう作戦をもって臨んでいましたか
作戦はなくてですね…(笑)私がとりあえずマックスまで取り切るという感じでやっていたんですけど、思いのほか2人とも動いてくれていたので、嫌なイメージではなくて楽しいイメージでやって、という雰囲気だったので。それくらいです。
――3位決定戦ではかなりの追い上げも見られました。あれはどのような気持ちで戦っていましたか
相手の回りが早回りの選手、実力的にも一番弱い選手だったので、取るのはここかなと思って、気持ち前のめりな感じで入ろうかなと思ってやっていました。あそこでマックスの25点まで取れていたら良かったんですけど、取りきれなかったので、そこは反省点ではありますね。
――団体戦を振り返って、点数をつけるとしたらどれくらいですか
80点くらいですね。どの試合もなんですけど、私が最後9回り目で相手に取られてしまったというのがあって、20点分は私の反省点かなと思うので80点で(笑)
――最後に、インカレに向けて意気込みをお願いします
個人戦は、関カレでベスト16だったので、インカレではベスト4入りを目指して頑張りたいなというのと、団体戦も当たり次第ではあると思うんですけど、協力してもらって、今回のようにベスト4に入れたらいいかなと思っています。
男子エペ【金高大乗(社4=香川・高松北)】
――目標はどのように立てていましたか
目標は優勝にしていました。だから(3位は)残念でしたね。
――準決勝では接戦だったと思いますが、勝ちきれなかった要因はどこにあったと思いますか
そうですね。もともと実力で負けているような相手だったので、最後接戦になるなとは思っていたんですけど。最後勝てなかった要因は、日頃の練習ですかね。練習量は彼とは全然違うので、そこの差で負けたと思いますね。
――逆に個人戦を通してよかった点はどこですか
よかったところはあって、もともと作戦として守り主体で最後一本勝負を勝ち切るという展開を想定していたので、全試合守り、守りで、余裕で勝てる試合もあれば、最後一本勝負で勝つ試合もあったので、そこは作戦通りうまくいったなと思います。
――団体戦はどのような作戦で臨んでいましたか
団体戦も一緒で、中央大学も強い選手はたくさんいるので、最後僕の一本勝負にする予定でした。結構作戦通りいっていたんですけど、最後追いついて、そのあと僕は少し欲張って1点取りに行ってしまったところをカウンター食らったので、あそこは僕の判断ミスかなと思いますね。
――点数をつけるとしたら、どれくらいですか
チーム的には100点で、個人的には80点くらいかなと思います。20点は、その最後のところですね。
――最後に、インカレに向けて意気込みをお願いします
インカレは個人も団体も優勝します!