関東学生選手権は2日目を迎えた。この日は男女フルーレ団体が行われ、熱戦が繰り広げられた。男子は準々決勝で日大に敗北し5位。女子は準決勝で日大との接戦を勝ちきることができず。3位決定戦に勝利し入賞ははたしたものの、悔しい結果になった。
日大戦後、悔しさを隠せない溝口(右)
★栄冠遠く…悔しさにじむ3位(女子フルーレ団体)
「優勝を目指して」(千葉朱夏、スポ3=岩手・一関第一)—女子フルーレの目標は明確だった。5月の関東学生リーグ戦(リーグ戦)は制したものの、その後の全日本学生王座決定戦(王座)では決勝で力尽きた。真の女王となるために、選手は強い気持ちを持って挑んだ。
初戦となった東女体大戦を危なげなく勝ち抜くと、準決勝で日大と対戦することに。春こそ振るわなったが、昨日の個人戦で優勝を果たした森千絢(4年)を筆頭に実力のあるチームだ。迎えた試合、最初にピストに登場したのは千葉。「点を取られても点差を広げられないようにする」(千葉)との言葉通り、リードは許したが流れまでは渡さず。ここでの粘りは大きく、中盤まで互角の戦いを演じる。だが5周り目で狩野央梨沙(スポ1=宮城・常盤木学園)が森に連取を許すと、そこから早大は劣勢となる。3点のビハインドで、前日決勝で対峙した2人に命運を託す形に。溝口は決勝戦の反省を生かし、強敵相手にアタックを決めていく。そして残り数秒で1点差まで詰め寄った。だが「がむしゃらに前にいってしまった」(溝口)と冷静さを欠いたプレーは得点につながらず、追い付けないまま時間切れに。無念が残る敗北となった。
結果を出し切れなかった要因として溝口が挙げたのは団体戦の練習不足だった。連携が大切になるだけに団体の経験を積めなかったのが今回の結果に響いてしまった。だがリベンジの舞台はまだ残されている。11月に開催される全日本学生選手権(インカレ)だ。もう一度栄冠をその手に。真の女王への挑戦は続く。
プレーでもチームを引っ張る竹田(右)
★格上に敗北、見えた課題(男子フルーレ団体)
男子はリーグ戦を戦ったメンバーに、9月に入部したジェット・ン(国1=シンガポール・メリディアンジュニアカレッジ)を加えた新チームで挑んだ。初戦を難なく突破すると、ベスト4を懸け日大との対戦に臨む。だが「エースである自分自身が振るわなかった」(竹田陸人、社5=神奈川・法政二)と、1周り目の竹田が1-5とリードを奪われると、その後は追いかける展開に。3周り目の川村京太(スポ1=東京・東亜学園)が得点を重ね、竹田も復調の兆しを見せたが、日大との点差を縮めるまでには至らず。ジェットが足を痛め、思うようなプレーができなかったことも響いた。最後まで苦境を打開できないまま、ベスト8でトーナメントから姿を消すことになった。
「率直に悔しい」(竹田)。序盤で流れを作ることができず、一方的な展開になってしまった日大戦。上位進出のための道のりは険しいことを痛感した大会だった。一方でジェットの加入により団体4人全員がフルーレ専門の選手になったことは大きなプラスに。コンディションによってメンバーの入れ替えが容易になり、戦術においても幅広い選択を取れるようになるからだ。あとは「ポテンシャルはすごいある」(竹田)と語るチームの力の高さを、インカレにぶつけることができるか。長らくチームを支えてきた竹田、中埜匡貴(創理4=東京・早大学院)にとっては最後の学生大会となる。意地をみせたいところだ。
(記事、小原央 写真、大島悠希)
※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。
※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。
結果
▽男子フルーレ
早大[竹田陸人(社5=神奈川・法政二)、中埜匡貴(創理4=東京・早大学院)、川村京太(スポ1=東京・東亜学園)、ジェット・ン(国1=シンガポール・メリディアンジュニアカレッジ)]5位
2回戦:◯45-8 青学大
準々決勝:●28-45 日大
▽女子フルーレ
早大[遠藤里菜(スポ3=群馬・高崎商大付)、千葉朱夏(スポ3=岩手・一関第一)、溝口礼菜(スポ3=千葉・柏陵)、狩野央梨沙(スポ1=宮城・常盤木学園)]3位
準々決勝:◯45-17 東女体大
準決勝:●34-36 日大
3位決定戦:◯45-23 専大
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コメント
竹田陸人(社5=神奈川・法政二)
――きょうの結果をどのように捉えていますか
関カレベスト8ということで、決していい結果ではなかったです。目指していたものではなかったですが、リーグ戦が5位だったので日大と法政大に当たることは分かっていました。リーグ戦では日大には勝ちましたが、向こうのエースが不在の時でした。今回負けたことは率直に悔しいですし、エースである自分自身が振るわなかったりと、反省をすべき点が多かったです。
――関東学生選手権(関カレ)のトーナメントに臨むにあたり、どのような話し合いをされていましたか
台風の影響もあり、予定していた他大学との練習試合をすることができなかったり、準備で難しい部分はありました。ジェット(ン、国1=シンガポール・メリディアンジュニアカレッジ)が新しく9月に入ってきて起爆剤として使おうと話をしていたのですが、ジェット自身も足を痛めたりとあまり機能しなかったりと、作戦内ではなかったです。また日大は格上だと思うので、リーグ戦では勝ちましたが挑戦する気持ちで臨みました。
――日大戦はどのように臨まれましたか
今回も上と下でトーナメントが分かれていたのですが、リーグ戦で勝ったというのはまず絶対に上を取る。自分は相手の左利きの伊藤大輝(4年)選手が得意だったので、5本全部を自分が取り切って後ろにつなげていけばいいかなと対策は考えていました。ただ最初に1ー5で伊藤に負けたことで、作戦失敗だったと思います。最初に離されたのが敗因だと思います。
―― 個人的に振るわなかった要因は
相手との駆け引きを疎かにしたのが1つと、勝負が早いところで改善すべきところはまだまだあります。
――全日本学生選手権(インカレ)に向けてどのように調整しますか
自分がインカレ前に教育実習で3週間いなくて、教育実習から帰ってきて2日後にインカレなのでコンディションとしては決して良くはないですが、3人だけで練習をせずに積極的に他大学に行き、違う相手と練習をする。自分がいないからといって練習を疎かにせずに、遠くからでも頻繁に言っておくべき部分ではあります。
――下級生の今大会の活躍はどのように見てましたか
ジェットは足が痛くて本来のパフォーマンスではなかったですが、個人戦でもベスト8に入りましたし、これから楽しみだと思います。海外で転戦した時にシンガポール代表としてジェットは目立っていましたし、早稲田を引っ張ってくれるのではと思います。川村(京太、スポ1=東京・東亜学園)はうまいのですが、どうしても左利きの相手になると突きにいくより置きにいってしまう部分はありますが、これからも頭脳派として生きていって欲しいです。中埜(匡貴、創理4=東京・早大学院)は4年生で最後なのですが、良い時と悪い時があり団体戦向きではないのかもしれないですが、流れが乗っている時に出せるとチームに勢いがつきますし、相手も嫌だと思います。ポテンシャルはすごいあると思うので、自分たちの力とコンディションがマックスなら優勝も狙えると思うので、コンディション調整などの部分は頑張っていきたいと思います。
千葉朱夏(スポ3=岩手・一関第一)
――今日の結果をどのように捉えていますか
自分たちは優勝を目指してやっていたので、悔しい結果ではあります。
――怪我をされていたという話を聞いたのですが、いつ頃怪我をしてしまったのですか
3月終わりくらいに骨にひびが入ってしまって。リーグ戦(関東学生リーグ戦)も出れなかったんですけど、今回怪我もしっかり治って出れるようになりました。
――久しぶりの実戦に緊張はありませんでしたか
緊張はあまりしなくて。いつも通りできたので良かったかなと思います。
――団体の1周り目で起用されていましたが、何か意識していたことはありますか
強い選手と当たることが多いので、勝つことを前提に戦ってはいたんですけど、とりあえず点を取られても点差を広げられないようにすることを意識してやっていました。
――日大戦の対策はありましたか
相手は最初にエースが出てきて、そこはできるだけ差を広げられないようにするということと、相手は積極的に仕掛けてくる選手が多かったので、そこは受け身にならないようにしていました。
――昨日と今日の試合で収穫はありましたか
自分のなかで一回やられていたことを切り替えられないことが多かったんですよ。例えば前に行ってやられているのに、焦って前に行ってしまったりということがあって。今回は前に行ってやられたときは、我慢して後ろで取るとか。前だけじゃなくて後ろで取れるように意識できたのは収穫だったかなと思います。
――全日本学生選手権(インカレ)に向けて意気込みをお願いします
個人もそうなんですけど、団体は今回の関カレ(関東学生選手権)で優勝できなかったので、インカレでは優勝できるように対策をしっかり練って、一つ一つ勝って優勝につなげたいと思います。
溝口礼菜(スポ3=千葉・柏陵)
――団体戦の目標であった優勝には届かなかったが今のお気持ちはいかがですか
団体戦は個人戦ではなくて一人で試合を組み立てるものではないのですが、そこでみんなで団体戦の練習をする回数が少なくて、もしかしたらチームとしてお互いのことを分かりきってなかったのかと思いました。
――あまり一緒に練習する機会はなかったのですか
狩野央梨沙(スポ1=宮城・常盤木学園)はナショナルチームとして違う場所で、世界を目指してやっていて、そこでなかなか練習に来られないときがあったり、残っているメンバーでも団体戦をやる回数が少なかったのが一番大きな原因だったかなと思います。
――日大戦で心掛けていたことはありましたか
個人戦の決勝で戦った相手が日大のエースで、昨日は結構大差で離されてしまいました。今日は、最後は勝って戦う状況がベストだったんですけど、自分の途中のせいもあってうまくいかなかったです。負けている状況で最後が回ってきて、最後に取りきれなかったのが、やはり個人のスキルが足りなかったと思っています。
――日大戦の最終セットで、1点差にまで追い付きましたが、振り返っていかがですか
1点差までに追い付いたのに、その後、前に突っ込んでいったらやられてしまって、そこをもう少し冷静になって、考えられたら良かったと思います。そこが次の自分の課題です。
――冷静になれなかったのはどうしてですか
残り3、4秒で1点差になり、どうしようってなった時に、取りに行かなきゃってなってしまい、しかしがむしゃらに前に行ったら相手にやられてしまいました。3秒ってフェンシングでは結構長いのですが、そこでもっと冷静になって仕掛けていればもしかしたら勝てていたかもしれないです。最後は自分の責任かなと思っています。
――チームとしての課題は
チームワークとしては、チームの雰囲気も良くて、仕上がってきていると思うのですが、一人一人の個人スキルを上げることが、次のチームとしての目標かなと思います。個人のスキルが上がれば勝てるようになると思います。
――全日本学生選手権(インカレ)に向けて
インカレは個人団体共に取りに行きたいと思っています。